28日は某所で面接を受けた。仕事内容は相当厳しい、ということを言われた。それはこちらも覚悟しているので問題はないが、遠回しに不採用を匂わせた可能性もある。
でもそれなら、なんで面接をしたのだろう。
21日に面接した会社は、28日に大判の封書で返事が来た。大判、ということは中身を見ずとも採否は分かる。履歴書が同封されているから、不採用ということである。
先週の感触ではいい感じだったのだが、錯覚だったようだ。これは28日の会社もダメと考えたほうがよい。私としたことが、ちょっと楽観しちゃったな。
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第59期王位戦七番勝負、菅井竜也王位と豊島将之棋聖の第7局は、先番豊島棋聖の勝ち!! 豊島棋聖はこれで二冠となり、「8人8タイトル」は72日間で終わった。
王位戦最終局の場合、先手でも後手でも、データ上は王位が有利だったが、今シリーズに限れば先手必勝のジンクスがあり、豊島棋聖はそちらにあやかった恰好だ。なお全7局先手勝ちは史上初。
もし豊島棋聖が敗れていたら、「8人…」は来年の王将戦以降に持ち越しになったのだが、なかなか難しいものだ。それでも「6人6タイトル」の31日間、「7人7タイトル」の36日間を更新した。
ただし日本将棋連盟は「8人8タイトル」のグッズを売り出したばかりなので、できればもう少し続いてほしかったのではないか。それは私も同じで、もう少し群雄割拠のテイを味わっていたかった。
今シリーズのポイントは、第6局にあったと思う。
第1図は豊島棋聖が▲8三金と打った局面。ここで菅井王位は△8二銀打と受けたが、これがよくなかったという。
正着は△7七桂不成らしく、以下▲7三竜△8九桂成▲同玉△5九竜▲7九歩に△7四香!!(参考1図)が妙手。これが詰めろ逃れの詰めろになっていて、後手が面白いらしい。この順は森内俊之九段の指摘らしく、さすが十八世名人である。
妙手△7四香には▲8二銀△同銀▲9二金△同玉▲7四竜△8三銀打▲7二竜△7四歩(参考2図)で後手の勝ち。これは終盤の鬼・宮田敦史七段の指摘らしい。
何度も「らしいらしい」で申し訳ないが、ネット解説をそのまま転用しているので、私も何がなんだか分からないのだ。
だってそうであろう。たとえば参考1図の△7四香って何ですかね?
第1図に戻って、まあ私レベルなら、後手玉が詰めろじゃないから、とりあえず銀を取っとこう、と△7七桂不成は指すかもしれない。続く▲7三竜にも、取れば詰みだから△8九桂成~△5九竜は指す。だけど▲7九歩に△7四香で後手よしなんて、一生考えても浮かばない。だって▲7四同角で何でもないでしょう。▲5六角がいなければ先手玉が詰むとは思わないから、△7四香の発想がないのだ。
以下の手順もそうで、先手に金を差し上げて、参考2図の△7四歩まで先手に手段なし、と言われても、とっさには理解不能である。まだまだ綾がいくつもありそうではないか。
ところがプロの目にはキッチリ結論が出ている。それが恐ろしいのだ。
とはいえさすがの菅井王位も、112手目の△7二金打からひたすら受けに回っていたので、第1図でギアチェンジしての△7七桂不成は、見えなかったのだろう。
だが羽生善治竜王や藤井聡太七段ならどうだったか? 羽生竜王はつねに新鮮な目で局面を見ているし、藤井七段の目も、つねに相手玉にある。△7七桂不成~△7四香は発見したのではないか。
さらに第1図では△8二金打の受けもあったようで、この結論は千日手。ここ大山康晴十五世名人なら、さして考えずこの手を指した気がする
本譜の△8二銀打は敗着級の手なのだが、これもプロレベルの話で、私レベルが後を指し継げば、どっちが勝つかまったく分からないのは言うまでもない。
本局をもし菅井王位が勝っていれば、4勝2敗で初防衛。奪取+防衛を果たして、菅井株は安定の高値になったのだが、まことに惜しかった。
そして最終第7局も激戦になったのだが、これも豊島棋聖が勝ったのは前述の通りである。
この将棋も最終盤に△8二銀打(第2図)と受ける手が出たのだが、これもマズく、以下は豊島棋聖の攻めが繋がった。
ここでは△8二桂と、今度は安い駒で受けるのがよかったという。しかし穴熊の8二の定位置は銀だから、こう打ちたくなるのもやむを得ない。2局連続で「△8二銀打」が敗着というのも珍しいが、菅井王位は運がなかった。どんな局面でも形で指さず、読みをいれないといけない、の教訓となった。
というわけで、堂々の豊島二冠の誕生である。今年3月には王将戦タイトルマッチとA級順位戦プレーオフを立て続けに戦うという殺人的なスケジュールだったが、神様はしっかり見ていた。ちょっと遅れたが、今回の二冠はそのご褒美だろう。
豊島新王位、菅井七段、お疲れ様でした。