このたび日本将棋連盟とサントリー食品インターナショナル株式会社から、「SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2021」の創設が発表された。
この棋戦の目玉は、ファン投票による棋士選出だそう。藤井聡太二冠や羽生善治九段は黙っていても選出されるだろうが、あとはどうなるだろう。意外な人が選出されそうで、興味は尽きない。
さて私が新棋戦を作るとしたら、何になるか。
私は、引退棋士のみが参加できる「OB戦」としたい。
将棋ファンなら分かると思うが、棋士の引退は、棋力が大きく減退したから……という理由は少ない。順位戦から陥落し、10年の間に規定の成績を取れないまま強制引退、というケースが半分以上を占めると思う。
よって中には熊坂学五段のように、森内俊之竜王に勝ちながら翌年引退、というケースもある。だから引退棋士が現役棋士と戦っても、勝機は十分あるのだ。これはスポーツの世界とは事情がまったく異なる。これだけの実力がありながらレッスンプロに収めてしまうのは、もったいないではないか。
たとえば原田泰夫九段などは、「原田は引退してからのほうが強くなった」とつねづね語っていた。
また植山悦行七段も、「ボクは引退してからのほうが勉強しているよ」と真顔で語っていた。
大野八一雄七段にしても最新戦法に精通しているし、指導対局を受けても相変わらずの巧妙な指し回しで、衰えはまったく感じられない。
そんな引退棋士たちの真剣勝負を、いま一度見てみたいのだ。
これは人気投票でもエントリー方式でもいい。場合によっては中原誠十六世名人や加藤一二三九段ら人気棋士の雄姿を見られるし、いまや投資家に間違えられている桐谷広人七段、先ごろ電撃引退した橋本崇載八段、あと1勝が足りずに引退した中尾敏之六段、熊坂五段も参戦となる。まさに夢の棋戦ではないか。
思えばかつてはこの役目を、達人戦がかすかに担っていた。だが達人戦は途中から一流現役棋士が参入するようになり、棋戦自体も2015年に休止されてしまった。
植山七段や大野七段の教室に参加していてさびしいのは、対局後の自戦解説を聞けなくなったことである。棋士に教えを受けている以上、やはり対局を応援したいのだ。もう一度、あのやりとりを味わいたいのだ。
ただこのOB戦にも難点がある。若手棋士や現役人気棋士の参加がないので、華がないのだ。
そこに目をつぶれば、現役時代を彷彿とさせる熱戦が見られることを保証できる。
この棋戦の目玉は、ファン投票による棋士選出だそう。藤井聡太二冠や羽生善治九段は黙っていても選出されるだろうが、あとはどうなるだろう。意外な人が選出されそうで、興味は尽きない。
さて私が新棋戦を作るとしたら、何になるか。
私は、引退棋士のみが参加できる「OB戦」としたい。
将棋ファンなら分かると思うが、棋士の引退は、棋力が大きく減退したから……という理由は少ない。順位戦から陥落し、10年の間に規定の成績を取れないまま強制引退、というケースが半分以上を占めると思う。
よって中には熊坂学五段のように、森内俊之竜王に勝ちながら翌年引退、というケースもある。だから引退棋士が現役棋士と戦っても、勝機は十分あるのだ。これはスポーツの世界とは事情がまったく異なる。これだけの実力がありながらレッスンプロに収めてしまうのは、もったいないではないか。
たとえば原田泰夫九段などは、「原田は引退してからのほうが強くなった」とつねづね語っていた。
また植山悦行七段も、「ボクは引退してからのほうが勉強しているよ」と真顔で語っていた。
大野八一雄七段にしても最新戦法に精通しているし、指導対局を受けても相変わらずの巧妙な指し回しで、衰えはまったく感じられない。
そんな引退棋士たちの真剣勝負を、いま一度見てみたいのだ。
これは人気投票でもエントリー方式でもいい。場合によっては中原誠十六世名人や加藤一二三九段ら人気棋士の雄姿を見られるし、いまや投資家に間違えられている桐谷広人七段、先ごろ電撃引退した橋本崇載八段、あと1勝が足りずに引退した中尾敏之六段、熊坂五段も参戦となる。まさに夢の棋戦ではないか。
思えばかつてはこの役目を、達人戦がかすかに担っていた。だが達人戦は途中から一流現役棋士が参入するようになり、棋戦自体も2015年に休止されてしまった。
植山七段や大野七段の教室に参加していてさびしいのは、対局後の自戦解説を聞けなくなったことである。棋士に教えを受けている以上、やはり対局を応援したいのだ。もう一度、あのやりとりを味わいたいのだ。
ただこのOB戦にも難点がある。若手棋士や現役人気棋士の参加がないので、華がないのだ。
そこに目をつぶれば、現役時代を彷彿とさせる熱戦が見られることを保証できる。