一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

Minerva交流将棋団体戦2022(4)

2023-01-28 11:21:21 | LPSAイベント

第4図以下の指し手。△5七桂成▲4一馬△6七成桂▲同銀△4八飛▲7八金△4一飛成▲6四歩△4九竜▲8八玉△8五桂打▲8六銀△6六歩▲同銀(第5図)

第4図で中倉宏美女流二段は、「ちょっと無理気味だけど……」とつぶやいて△5七桂成とした。
島井咲緒里チームは当然?▲4一馬と飛車を取る。しかし△6七成桂▲同銀に、私が打った△4八飛が好打。詰めろ馬取りで、これで逆転した。もちろんここまでが宏美女流二段の読み筋で、それを後続者が実現させれ、理想的展開といえる。
戻って▲4一馬では、黙って▲5七同金と成桂を取っておく手もあったかもしれない。
△6六歩▲同銀を利かし、また私の手番。ここで決め手がある。

第5図以下の指し手。△6七銀▲7九飛△7八銀成▲同飛△6七金▲7九銀△7八金▲同玉△6七歩▲1三角△4六歩▲7七銀右△5八竜(第6図)

私はノータイムで△6七銀。もし▲同金なら△7九角▲9八玉△8八金で詰み。ミスター中飛車氏は▲7九飛と不屈の粘りだが、後手は△7八銀成から△6七金と食いついて、勝勢は動かない。
島井女流二段の▲1三角に、私の△4六歩が友達をなくす一手。私はもとから友達がいないので、打てたわけだ。
△5八竜の王手も厳しい。

第6図以下の指し手。▲6八桂△同歩成▲同銀引△6五桂▲4六角成△7三桂▲8五銀△4九飛▲3六馬△6九飛成▲8八玉△6八竜寄▲同銀△同竜(投了図)
まで、宏美チームの勝ち。

▲6八に歩は打てないので桂合いだが、これもつらい。△同歩成▲同銀引には△6七金▲8八玉△6八竜▲同銀△7八飛まで詰みだったが、本譜は△6五桂のノコギリ引き。▲4六角成に宏美女流二段も△7三桂とし、万が一にも負けない態勢である。
▲8五銀に△同歩はまだるっこしく、私は△4九飛とおろした。
最後は△6八同竜まで、島井女流二段がみなの了承を得て投了した。
もちろん感想戦も行う。先手は、仕掛けたあとに▲2四歩を垂らせなかったところに悔いが残った。
第4図の▲3二馬では▲2三角が私の読みだったが、それは△4一飛と寄って、後手も指せないことはなかったようだ。

ともあれこれで、10点獲得。しかし入賞まではほど遠く、諦めていた。
隣の部屋に行くと、上川香織女流二段チームVS礒谷真帆チームが熱闘中である。こちらは対局者が椅子に座り指すスタイル。チームによって仕様が違うのが面白い。
局面は礒谷チームが勝勢。ほどなく上川チームが投了した。上川女流二段は「私が悪手を指したせいだわー」と嘆いた。
これで礒谷チームは3連勝で、優勝が確定した。
そして2位はと見ると、なんと宏美チームがすべりこんだらしかった。同じ18点が複数いたのだが、なぜか私たちになったらしい。
表彰式である。優勝の礒谷チームには、豪華な副賞が贈られた。そして2位はやはり、私たちでだった。
大庭美夏女流初段「2位は同点のチームがあったんですけど、これは団体戦です。団体戦での勝利が多かったチームを上位としました」
何とも不思議な入賞があったものだ。副賞は醤油やお米など生活必需品で、リーダーの宏美女流二段ももらえた。「欲しかった」と、マジで悔しがっている女流棋士もいた。
なお、入賞を逃した渡部愛チームは、渡部女流三段直筆のミニ色紙が贈られていた。ファンからすると、こっちのほうが価値があったりする。
これでお開きである。私は久し振りのイベント参加で、女流棋士を交えた団体戦も初めてだったこともあり、とても楽しめた。
またこうしたイベントがあり、私が心身ともに健康だったら、また参加したいと思う。
LPSAの皆様、ありがとうございました。
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Minerva交流将棋団体戦2022(3)

2023-01-27 00:04:42 | LPSAイベント

第4図以下の指し手。▲2五飛△3四馬▲2七飛△3七歩成▲同飛△2六角▲4八金△3七角成▲同銀△3九飛▲4九歩△1九飛成▲4四金△2五馬▲5三金△7一玉▲5二と△6七香(第5図)

ここまで先手の駒で働いてないのは、▲2九の飛車である。そこで▲2五飛と浮いたが、大悪手。苦しめの将棋を、決定的に悪くした。
▲2五飛の心は△3四馬に▲5五飛の転回だが、そこで△6四角がピッタリなのを軽視した。
本譜は反省して飛車を引くことにしたが、▲2九飛は△3七歩成▲同銀△4七歩成▲同金△3八角があるので▲2七飛。だがそれでも△3七歩成が利いた。
やはり▲同銀は△4七歩成▲同銀△3八角で先手敗勢。よって▲同飛と取ったが、△2六角の準王手飛車を喰らってしまった。
個人での対局ならバカバカしくて投げているところだが、団体戦では投げられない。▲4八金は辛抱の一手だった。
しかし礒谷真帆女流初段は徐々に優位を拡げ、得した香を△6七に据えた。

第5図以下の指し手。▲6八銀打△同香成▲同銀△4七歩成▲6一と△同銀▲4七金△同馬▲4八金△3八銀(終了図)
まで、一公の時間切れ負け。

△6七香にはA▲6八銀と引きたいが、△同香成に▲同金は馬筋が恐いので▲同玉とする。が、すかさず△6九馬▲同玉△6七銀で負けである。それで、泣きの涙でB▲6八銀打とした。しかしここに駒を投入するようでは戦力が乏しくなり、負けである。
最終△3八銀には慌て気味に▲5八角と打ったが、ボタンを押すのが遅れ、時間切れ負けとなった。しかし間に合ったとしても、「△4六歩」(礒谷女流初段)くらいで負けである。

感想戦は、礒谷チームの若手会員が加わった。途中2図で私は▲3二成桂としたが、▲5六金(参考図)と打つのがよかったようだ。

参考図でA△3四馬は▲4三銀。B△4四馬は▲2三飛成で先手有望である。Aで▲4三銀を打つための▲5六金で、ややもったいない気もするが、手厚い金ともいえる。
不慣れな将棋を頑張っていい展開にしたのに、急所の局面で読みを欠いた。まあ、これが私の実力である。礒谷先生、ありがとうございました。
2回戦は結局、宏美チームは0勝だった。これは入賞が厳しくなった。
3回戦は隣の部屋に移り、島井咲緒里チームとのリレー対局である。対局に先立ち、中倉宏美女流二段と作戦会議を行った。すると振り飛車党が多く、振り飛車で行くことにした。問題は島井チームも飛車を振った場合だが、それでも振り飛車で行くことにした。
振駒で島井チームの先手となる。チームにはミスター中飛車氏、Akuさんなど、知った顔がある。島井女流二段とAkuさんは同じモスグリーンのお召し物で、意気投合したようだ。ことに、AkuさんがLPSAファンクラブに入っているとは意外だった。
持ち時間はなく、初手から30秒。▲7六歩△3四歩▲1六歩と始まり、△4四歩とやったら▲2六歩と、島井チームに居飛車を明示された。私たちはよろこんで四間飛車に振る。作戦通りに進み、これは負けられなくなった。
島井チームは腰掛け銀。小堀清一九段が得意としていた戦法で、シンプルだが破壊力がある。宏美チームも慎重な受けが要求されるところである。
しかし島井チームはすぐに仕掛けず、左美濃に組む。宏美チームも呼応し、格調高い戦いになった。

第1図以下の指し手。▲2五桂△2二角▲3五歩△2四歩▲3三桂成△同角▲3四歩△2二角▲2五歩△同歩▲1五歩△同歩(第2図)

咲緒里チームは▲2五桂と待望の仕掛け。▲3五歩に私の番が回ってきて△2四歩と桂を取りにいったが、どうだったか。桂得しても角頭のキズが大きく、のちのち苦労が多くなる。
そこへミスター中飛車氏の▲3三桂成が軽手で、やっぱり後手が苦しくなった。これも私の△2四歩のせいである。

第2図以下の指し手。▲1四歩△同香▲3八飛△4五歩▲同歩△同銀▲3三歩成△同角(第3図)

両チームとも、みな立って指している。それでぐるぐる回るわけではなく、自分の番が来たら一歩前に出て指す。でも私はほかの人の番を飛ばして指そうとしたりして、どうもいけない。
第2図でAkuさんは時間に追われ▲1四歩としたが、ここは▲2四歩と垂らす手も有力だった。
▲3八飛には△4五歩が振り飛車らしい一手。以下△4五同銀まで振り飛車も捌け形だが、咲緒里チームの▲3三歩成も味のいい手だ。△3三同角に次の手は当然であろう。

第3図以下の指し手。▲3三同飛成△同桂▲6五歩△5六銀▲同歩△4五桂▲3三角成△4一飛▲3二馬(第4図)

▲3三同飛成は騎虎の勢い。△同桂に▲6五歩で島井チームも勢いが出てきた。
▲4五同歩に△4五桂も駒損を防いで味のいい手だが、ここは△4九飛成を優先させる手もあった。
△4一飛には▲2三角かと思ったが、島井チームは▲3二馬。ここで宏美チームは宏美女流二段の番である。その指し手は。

(つづく)
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Minerva交流将棋団体戦2022(2)

2023-01-26 00:52:42 | LPSAイベント

第6図以下の指し手。△4四桂▲2七銀△2六歩▲同銀△3六桂▲3七玉△4八桂成▲同金△2五歩▲1七銀△3六金▲同玉△4八角成▲2三金△3一玉▲3七歩(第7図)

団体戦は隣の将棋にも興味をひかれるが、いまはその余裕はない。
私は△4四桂と打った。これには▲4五銀右か▲3七銀でまだ難しいと見ていたが、男性氏は▲2七銀。これには△2六歩が絶好で、▲同銀に△3六桂。急に私が優勢になった。
しかし▲4八同金に△2五歩がどうだったか。△2五歩▲1七銀を利かさないと、本譜△4八角成のとき▲3七銀右を嫌ったからだが、考えすぎ。すぐに△3六金だった。
本譜の△3六金に男性氏は▲同玉と取ったが、ここは▲3八玉と引く手はあったと思う。以下△2七金▲4九玉△1七金となるが、これは金の位置が悪すぎて自己嫌悪に陥る。
本譜は△4八角成となって後手勝勢である。

第7図以下の指し手。△5九馬▲同角△2九飛▲2二角△4一玉▲3三金△同金上▲7七角△4四歩(終了図)
まで、男性氏の時間切れ負け。

△4四歩の局面で、男性氏の30秒が切れた。でも終了図で先手玉は受けなし、私の勝ちは動かない。
感想戦では、第6図からの△4四桂に▲3七歩と我慢してまだこれからの将棋、という結論になった。
なお感想戦の最中、お嬢ちゃんが入ってきて、私ひとりがバカみたいにしゃべっている時間があった。
ほかのメンバーは2勝2敗。合計3勝2敗で、チームの勝利となった。個人は1勝が2点で、チーム勝利が2点。よって、宏美チームは8点を獲得した。

2回戦は指定局面戦で、私たちは礒谷真帆女流初段チームとの対戦となった。渡部愛女流三段選定の将棋がプリントされ、それぞれの盤の上にかぶさっていた。
なお、礒谷チームは1名のドタキャンがあり、私たちはチームの誰かが中倉宏美女流二段とペアを組むことになった。結局青年が立候補して、それはまあよかったが、これはペアを組んでいる側が思考の統一ができず、損である。本来ならドタキャンがあったチームが不利にならねばならないのに、不公平である。ドタキャンをした人は反省してほしい。
私は礒谷女流初段との対局になった。指定局面だから当然平手である。用紙をひっくり返すと、ずいぶん序盤だった。私たちはその局面を並べる。
「あれ…? これ、この前の王将戦リーグじゃねえの? 羽生×豊島戦の」
私は頓狂な声を挙げる。
「……よくご存じですね」
と宏美女流二段。
「勉強してますからね」
豊島将之九段が序盤で銀捨ての奇手を放ったが読み抜けがあり、羽生善治九段が快勝したやつだ。
私は2番席で、先手になった。ということは、勝った羽生九段を持つことになる。
対局が開始された。

指定局面以下の指し手。▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△3六歩▲同飛△3三歩(途中1図)
▲2六飛△3五銀▲2九飛△4四歩(第1図)

磯谷女流初段はLPSAの最年少女流棋士で、今回対局できることをうれしく思う。とはいえこの局面、居玉での仕掛けで、私の将棋ではない。羽生先生、なんでこんな速攻をしちゃったかなあ、と思った。ただ、飛車先の歩は交換したであろう。私は▲2四歩~▲2六飛。
と、礒谷女流初段は△3六歩から△3三歩(途中1図)と収めた。

「感想戦ではこんな感じだったんですよね」
と礒谷女流初段。あっちだけこの将棋を知っているとは、面白くない。
私は▲2六飛と寄り、△3五銀に▲2九飛と引いた。将来の△3七桂が気になるが、まあこう引くところであろう。
△4四歩にはどう指すか。

第1図以下の指し手。▲2二歩△4五歩▲2一歩成△4六歩(第2図)

このまま無条件で桂を取られては先手が悪い。私は▲2二歩をひねり出した。もし△同金なら▲5三桂成△同玉▲3一角で先手勝ち。
よって桂を取り合ったが、この間に4筋の歩がじわじわ伸びてきた。

第2図以下の指し手。▲1七角△3四歩▲3五角△同歩▲2二と△同金▲3四桂△5二玉▲2二桂成(第3図)

ぐずぐずできない私は▲1七角と打った。対して△3六銀なら、▲4四桂△4三金▲2三飛成で先手優勢。よって礒谷女流初段は△3四歩と受けたが、私は読み筋通り角を切り、返す刀で桂のふんどし。結果的に駒得になり、まあまあの戦果となった。

第3図以下の指し手。△3四角▲4四歩△6七角成▲5八金右△4五馬(途中2図)
▲3二成桂△2四桂▲4二成桂△6二玉▲4三歩成△3六歩(第4図)

ここで礒谷女流初段の△3四角が好点。考えずに感覚で指した感じで、センスがいい。しかし私もさして考えずに▲4四歩。この歩は将来必ず活躍すると思った。
そこで礒谷女流初段の△6七角成がまた渋い手で、普通は△8九角成だが、それは▲7八銀△9九馬▲2三飛成で先手有利となる。後手は飛車を成らせてはいけないのだ。
▲5八金右に△4五馬(途中2図)も一貫した辛抱で、簡単に局面を決めないのである。

私の▲3二成桂に△2四桂もけっこうな辛抱である。これで飛車の活躍は阻まれたが、と金を作り、指せると思っていた。
しかし第4図での次の手がマズかった。

(つづく)
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Minerva交流将棋団体戦2022(1)

2023-01-25 01:17:59 | LPSAイベント
昨年11月27日(日)、LPSA主催「Minerva交流将棋団体戦2022」が、港区男女平等参画センターであった。実に3年振りの開催だが、私は会員参加型のイベントはちょっと苦手で、ほとんど感心がなかった。そのうえ近年は私の頭がヒドイことになり、LPSAのメンバーに晒せない、という思いもあった。
ところが11月17日のLPSA麹町サロンin DIS・島井咲緒里女流二段の回で、咲緒里女流二段にその勧誘をされた。そこで私も折れ、参加の運びとなったわけだった。
当日は昼からで、私は自宅から山手線に乗った。降車駅の田町には小諸そばがあり、それをたぐって会場に乗り込もうと思った。
山手線は上野に到着し、京浜東北線の快速に乗り換えようと思ったが、秋葉原でもいいか。
ところが御徒町で山手線のドアが閉まったまま、ナゾの停車を行った。その間向かいのホームに京浜東北線が停まり、追い越して行った。これは山手線にとって屈辱である。ったく、こっちは滅多に山手線に乗らないのに、たまに乗るとこの遅延である。
田町下車。かつてのLPSA芝浦サロンの最寄り駅で久し振りだが、駅前がすっかり変わっていた。参画センターへは中空にデッキが通じていて、ここを歩けば一直線で着くようだ。
だが私は直進し小諸そばを目指す。だが意外に距離があり、私は参画センターへ向かうことにした。
デッキの1階はフードコートがあり、人々で賑わっている。これが整備事業の成功形だと思った。
参画センターの指定部屋に着くと、中から藤森奈津子女流四段らが迎えてくれた。
この瞬間に私のハゲを披露することになるので、けっこう勇気が要った。入室すると、渡部愛女流三段は明らかに私の頭頂部を見たふうだったが、明るく応対してくれた。その配慮に感謝した。
会場は、すでに参加者がほぼ集まっていた。そのヤル気に脱帽である。
ほどなく開会の時間になり、参戦の女流棋士が勢ぞろいした。中倉宏美女流二段、船戸陽子女流三段、渡部女流三段、上川香織女流二段、島井女流二段、礒谷真帆女流初段の6女流棋士。藤森女流四段、大庭美夏女流初段はサポートに回る。皆さんお変わりなく、元気そうである。
開会の辞は渡部女流三段が務めた。相変わらずの美しさ。LPSAは今年も渡部女流三段を中心に回っていくのだ。
今回は先の6女流棋士が参加し、5人一組のチームを作る。よって、会員の定員は4×6の24名となる。しかし1人のドタキャンがあり、23名の参加だった。
対局は3つ用意され、1回戦が「通常対局」、2回戦が「指定局面対局」、3回戦が「リレー対局」である。勝つと得点が与えられ、上位2チームに賞品が出る。私はLPSAのイベントに参加すると、毎回何かしらの賞品をもらって帰ったものだが、今回はどうか。
チーム分けはすでに決まっていて、私は宏美女流二段のチームだった。
まずは通常対局である。相手は船戸女流三段チーム。チームリーダー同士は対局せず、誰が誰と当たるか分からない。こういう場合、女流棋士と指せるのが当たりなのだろう。と、船戸女流三段が席を替わった。宏美女流二段と当たったのかもしれない。ただし船戸女流三段は、さらに遠くへ行ってしまった。
私は1番席に座り、相手は30代と思しき男性である。傍らに幼少のお嬢ちゃんがおり、ふたりがかりだ。ちなみに3番席は宏美女流二段、相手の4番席は船戸女流三段だった。
振駒で男性氏の先手。ということは奇数後手で、このやり取りが団体戦である。チェスクロックも用いるので、本気の戦いだ。
将棋は男性氏の三間飛車となった。これは石田流に組んでもらい、それを崩したいところだが、男性氏はなかなか▲7五歩を突かない。私はシビレを切らして飛車先の歩を決めたが、これは作戦が分列して損だった。
男性氏は▲6八飛と寄り仕掛けを封じる。そして▲4六銀。いかにも三間飛車を指し馴れている感じで、私は強い警戒感を持った。

第1図以下の指し手。△9四歩▲9六歩△4四歩▲3六歩△4三銀▲2六歩△2四歩▲2七銀△2三玉▲3八金△3二金▲4八金左(第2図)

△9四歩▲9六歩はいいとして、△4四歩は妥協の一手。▲4五銀の脅威におびえたからだが、かなり弱気だった。この歩を突いたために、玉の整備が難しくなってしまった。△3二金まで、後手陣はちっとも固くなっていない。

第2図以下の指し手。△3一角▲3七桂△2二角▲9八香△4二金左▲6九飛△3二銀▲5九飛△4三金右▲5五歩(第3図)

△3一角~△2二角は何たる手。ひとり千日手で情けない。しょうがないから左美濃への組み換えを狙ったが、男性氏に万全の態勢で▲5五歩と来られた。

第3図以下の指し手。△8六歩▲同歩△4五歩▲同桂△5五歩▲2五歩△同歩▲2四歩△同玉▲6八角△2三玉▲2四歩△1二玉▲1五歩△同歩▲5五銀(第4図)

第3図で△5五同歩は▲同銀で先手の注文通り。私は△8六歩から△4五歩とした。もし▲同銀なら△5五歩で、次の△4四歩を狙う。
よって男性氏は▲同桂と取ったが、私は△4四歩から桂を取る楽しみができた。
しかし△5五歩に、▲2五歩の玉頭攻めが厳しかった。これがあるから天守閣美濃はイヤだ。△2二角があるときはなおさらである。
私は▲6八角と▲2四歩の組み合わせから逃げようとしたが、2度目の▲2四歩に△同玉は▲5五銀が厳しく見え、△1二玉と引いた。しかし▲2四歩が残っては後手非勢である。

第4図以下の指し手。△5四歩▲4六銀△6六角▲1四歩△2二玉▲1五香△1二歩▲3五歩△4四歩▲3六銀△4五歩▲同銀直(第5図)

△5四歩▲4六銀に、△6六角と飛び出して、急に視界が開けた気がした。何より玉の懐が拡がったのが大きい。
▲3五歩には△4四歩と桂を殺す。▲3六銀の圧迫にも△4五歩と取り切り、当初の目的は達成した。
さあ問題はここからだ。

第5図以下の指し手。△3五歩▲同銀△3四歩▲4六銀△3三桂▲3六銀(第6図)

第5図で△4四歩は▲3四銀とすりこまれ、お手伝いになると思った。そこで△3五歩だが、▲同銀に次がまた考えどころ。怖いが、△3四歩と打った。
これに▲同銀直は△同銀▲同銀△3六桂となる。後手もかなり脅威だが、先手氏がこの桂をどこまで恐れてくれるか。
と、男性氏は熟考のすえ、▲4六銀と引いた。私の気合が通ったわけで、これはいけるかもしれないと思った。
△3三桂に▲3六銀と引かせ、次も結構な勝負手だった。

(つづく)
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田中女流2級、初優勝

2022-04-11 00:26:31 | LPSAイベント
世間ではどのくらい注目されていたか知らないが、先月13日は、東京・府中市にて「第15回武蔵国府中けやきカップ・将棋女流棋士1dayトーナメント」が行われた。
今年の目玉は解説者で、いつもの中座真七段ではなく、羽生善治九段と谷合廣紀四段だった。
若手の谷合四段はともかく、羽生九段がゲストとは驚きで、そういえば以前もLPSAのイベントで森内俊之九段がゲスト出演したことがあったが、今回もよく羽生九段を呼ぶ予算があったものだと思う。
私も見に行きたいが、このコロナ禍で人数制限があり、気が付いたときは募集を締め切っていた。まあ、そうであろう。
そういえば今月16日に天童市で行われる「人間将棋」も、藤井聡太竜王見たさに17倍を超える観戦希望があったという。すまんが私は抽選に参加するほど、羽生九段や藤井竜王を見たいとは思わない。
話を戻して、女流棋士側の目玉は、けやきカップ初参戦の田中沙紀女流2級である。
田中女流2級は1月30日に行われた第77回1dayトーナメント「Minervaカップ」で決勝に進み、渡部愛女流三段に必勝の局面を作りながら、敗れた。田中女流2級に今度こそはの思いがあったことは想像に難くないが、それより自分の将棋を羽生九段に解説していただく栄誉のほうが大きかろう。私には田中女流2級がLPSAに入会したことの成否は分からないが、少なくとも女流棋士会にいたら、今回のような機会はなかった。
今回は中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、礒谷真帆女流初段、堀彩乃女流1級、田中女流2級と、5名によるトーナメント。まず島井女流二段が礒谷女流初段に勝ち、その島井女流二段を宏美女流二段が破り決勝進出。反対の山では田中女流2級が堀女流1級を破り、宏美女流二段-田中女流2級の決勝戦となった。
第1回から出場している宏美女流二段は何回目の決勝進出か分からないが、不思議と優勝がない。しかし今回は相手がはるかな後輩であり、さすがに優勝を意識しただろう。
決勝戦開始。なお今回はいつものネット中継のほかに、YouTubeでの中継もあったようだ。
田中女流2級の先手で▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△8四歩▲7六歩。いままでは飛車先の歩を突かず角道も開けない変態的な将棋が多かったが、ここまでで大駒二枚を働かせ、言うことはない。これだけでも、田中女流2級が大野八一雄七段門下になった意味があった。
将棋は田中女流2級得意の底矢倉に、宏美女流二段の雁木。角を換わったあと、▲8二角(第1図)が、羽生九段が「視野が広いですね」と褒めた好手。以下△6二金▲4二歩△同飛▲9一角成と進み、先手が一本取った。

そこから数手進み、田中女流2級▲4四香(第2図)。

これには羽生九段が「△5二飛▲4六銀△4三歩という感じでしょうか」と解説する。
しかし宏美女流二段は△4四同飛。それは▲6二馬と金を取り、田中女流2級優勢である。以下も田中女流2級が手堅く指し、うれしい初優勝となった。
田中女流2級は女流3級からなかなか上がれなかった苦い過去があるが、最近の将棋を見るに、よく読みが入っていて、ひ弱な面がまったくない。
田中女流2級は女流順位戦D級でも、3勝1敗と健闘している。田中女流2級は今後も勉強あるのみである。そして勝つことしか、他者を見返す手段はないのだ。頑張ってください。
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