一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2019年ゴールデン・ウィーク旅行(15)

2019-08-09 00:08:48 | 旅行記・G.W.編
私は再び飫肥城址に向かう。その前に、近くのスーパーに寄り、「白熊」を買った。天文館本家のしろくまは食したことがないが、加世田に続いて2度目の簡易かき氷だ。
手早く白熊を食べ、大手門をくぐり飫肥城址に入る。石段を登り右手を行くと、小学校があった。城の敷地に学校、といえば長崎県福江島・福江城址の五島高等学校や、鳥取県鳥取城址の鳥取西高校を思い出してしまうが、いずれにしても城址に学校とはうらやましい。
しかし壁には、「子供たちを写真に撮らないでください」の注意書きがあった。「思い出は目に焼き付けてください」ともあった。
現代は全員がケータイを持っていて、その場にあるすべての存在が撮影可能である。それだけにプライバシーも侵されているが、この一文はその注意喚起を促したのだ。私も自戒したい。
引き返すと、掃除のおじちゃんがいた。
「いい写真は撮れましたか」
「はい」
「ああ、それはよかった」







本丸跡に上がると、飫肥杉がそびえる一面があった。ここは以前も訪れたはずだが、明快な記憶がない。前回はぼんやり回っていたのだろう。
広い敷地に数十本もの杉がそびえていて、木漏れ日が幻想的である。杉は一直線なのがよく、私も姿勢を正したくなる。
そのうち一組の家族連れがきて、興味深そうにあたりを散策しはじめた。私はこういう家庭をついに持てなかった。
私も20分ほどたたずみ、パワーをいただいたと実感したので、これで失礼する。









さっきの水路に戻り、先に進んでみる。すると、鯉が優雅に泳いでいた。
ここが日本人の良心で、これが外国だったら、すぐに盗まれているだろう。ウチの桃の実も、アジア系外国人が盗みを働いたから、オフクロが恐れおののいて枝をザンギリに伐採してしまった。外国人が日本に来てくれるのはいいけれど、犯罪だけは犯してほしくない。
近くに渋い佇まいの洋館があり、こちらも味わい深いが、これで飫肥の観光は終わりとする。







とはいえまだ、1ヶ所寄れる時間がある。青島に行ってみたいが、そこ行きのバスはすでに営業を終えている。となればJRを使うしかなく、次の日南線上りは16時31分である。
私は早足で急ぐが、駅までが意外に遠い。あまりにも着かないので途中で地元の人に聞いたら、すぐそこだよ、と教えてくれた。
飫肥駅舎は飫肥城を模しているのか、立派な外観だった。旧大社駅のミニマム版といえようか。
駅前にはさっきの高校生カメラスタッフがいた。いい画は撮れただろうか。



すでに列車は入線しており、飛び乗った。SUN QパスがあるのにJRを使うのはアレだが、日南線は存続すら危ぶまれる大赤字路線であり、これが寄付になると思えばなんでもない。
私は席に座る。向かいには男子高校生が大人しく座っており、そうなんだ……などと考えたらウトウトした。
気が付くと下車する人がいた。それが青島駅で、もう着いてしまった!
しかしドアが閉まり、私はオーバーランである。やむを得ず、次の子供の国で降りた。
下り列車はすぐに来ないが、バスは17時16分があった。
バスは定刻を7分遅れ、乗車した。青島バス停には約3分で着き、私にしては珍しく、被害を最小限に抑えることができた。
青島といえば青島全体と鬼の洗濯板、青島神社で有名である。私も何度も訪れたが、駅から近いのが魅力で、つい再訪してしまう。
青島への入口付近に、「宮交ボタニックガーデン青島」の看板が目に入った。ここは青島亜熱帯植物園のはずだが、リニューアルしたのだろうか。
弥生橋を渡り、青島に入る。青島神社はいつものように、威厳に満ちていた。
鳥居をくぐると、その先に、ハート型を模した柱が据えられいた。「天の御柱巡り」というらしいが、最近立ったものだろう。青島神社は縁結びの神様である。しかし御利益はあるのだろうか。





社務所には多くの御守りが売られていた。私が以前求めた「男御守」「女御守」もある。しかし頒価は1,000円で、300円も値上げしていた。42%upとはどう考えても不当で、これでは買う気も失せる。だが御朱印だけはお願いする。帳面を預けて、お参り後にもらうシステムである。
本殿を右に入った敷地で、絵馬のトンネルを往復する。私は奉納する気はないけれど、壮観である。
本殿でお賽銭を投じ、社務所で御朱印帳をいただく。ここは2頁に渡って記帳されるので、納め料も600円となる。よく分からないが、青島神社は商売っ気が旺盛なのだ。
帰り道、自販機に「Sparkling日向夏」のペットボトルがあったので、購入した。鵜戸神社で買わなかったやつである。遠い昔のことに思うが、あれは今日の午前の出来事なのだ。
150円に抵抗があったが、日向夏はシュワシュワして、美味かった。
もう帰るしかないようである。青島発18時10分のバスに乗った。
そして18時39分、田元神社前で降りた。ここ田元神社が目的ではなく、ここから空港まで歩いていくためである。SUN Qパスの利用は元は取れたと思うが、思いっきりトクをした感じでもなかった。
我がANA618便は、20時10分発だから余裕である。途中、以前入った中華料理屋があったが、再食したい感じでもなかったので、先を急ぐ。
日南線の線路を越えると、陽も暮れてきた。空港の看板も見えた。このまま夕食抜きで、空港に行くよりなさそうである。

今年も結果的には楽しい旅だったが、私の現在、将来を考えると、どこか空疎というか、虚しさも内包される旅だった。
(おわり)
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2019年ゴールデン・ウィーク旅行(14)

2019-08-08 00:53:40 | 旅行記・G.W.編
バス停付近に戻ると、そこから港が一望できた。彼方の民家の庭先では、鯉のぼりが泳いでいる。すでに端午の節句は過ぎたが、面倒で片付けていないのであろう。
今日は平日なので。郵便局で貯金ができるのだ。しかし港近くの集落にはなさそうで、私は陸側の集落に向かう。なんとなく、沖縄のそれを思い出した。
私の鼻は、このあたりに郵便局があることを示唆しているが、見当たらない。庭先にいた住民に聞くと、向こうの県道沿いにある、と教えてくれた。
県道に出ると、立派な建物が見えた。「鵜戸郵便局」507円。次に旅行貯金ができるのはいつになるだろう。
もとの道に戻ると。吹毛井バス停があった。さっきのバスでは同名のJR駅を通っており、本来ならそこから日南線を使いたいところだが、今回はSUN Qパスがある。
ベンチの上に、博多区演舞台でいただいた記念品を並べてみる。すでに奉納した預かり笹は除き、熊本の美味しい水500ml、西鉄ボールペン2本、チロリアンやアルフォートなど、個包装のお菓子10ヶ、キャンディー1ヶ、さらに消しゴム大の意味不明品1ヶ、西鉄絆創膏5枚1組、ポケットティッシュ1ヶがあった。以前トイレットペーパー2ヶをもらった時もそうだったが、これでは募金100円以上の見返りで、却って申し訳ない。
小腹が空いたので、チロリアンを食べる。ああ、幸せだ。



さてこれから、飫肥に行こうと思う。ここは以前一度訪れたことがあるが、冬の時期+雨模様だったので、あまりいい記憶が残っていない。今回はその払拭である。
飫肥行きのバスは13時15分だったが、定刻を15分過ぎてもバスが来ない。さすがに不審に思い、時刻表下に記載してあるバス会社に電話をした。するとその最中にバスがきた。
〆て19分の遅れとは、何をやっていたのだろう。
運転手は遅れの理由を述べることもなく、遅れを取り戻すふうでもなく、マイペースでバスを走らせる。むかし石垣島の空港行きバスで、空港に20分で着くところを40分もかけたバカ運転手がいたが、今回も蔑ろにされたようで、私は不快になった。
定刻を13分遅れの14時09分、バスは終点飫肥に着いた。
そこは大通りが一本サーッと伸びており、左右の商店が城下町風に設えられていた。以前はJRで来たので、ここまで来ることなしに城下町の観光をしてしまったのだ。
ここは映画のセットのようで、私は放心してしまった。



左手に商家資料館、なる建物がある。面白そうだが、有料なのでパスする。
とりあえず飫肥城址に向かう。周りの建物は味わい深く、「九州の小京都」の異名にふさわしい。
こちらの民家にも、まだ鯉のぼりが泳いでいる。
豫預館なる武家屋敷があるがこれも有料。付近7施設に入れる共通券を買えばいいらしいが、すべてを見るのは億劫だし、外観を見るだけで十分なので、ここでも出費を見送る。こうして私は、観光地に来ながら観光地を漫喫しないのである。
飫肥城址前では、高校生らしき男子が、大型ビデオカメラを持っていた。何かの活動だろうか。私はまだ城址には入らず、なおもあたりを散策する。
塀際のお堀に鯉が泳いでいるらしいが、それはこの先だろうか。





明治の外交官・小村寿太郎の生家があった。これは移築で、一部改装がなされ、瓦屋根は現代のものだ。だが家の造りは明治時代を彷彿とさせ、ここだけ空気が違う。
ああちょっと小腹が空いた。とりあえず大通りに戻ると、南側に食事処があったので、入ってみる。
…と、このドアは左の店かと思ったら、右の店だった。それは小さな店舗で、気風のいいオバチャン……否、ママさんが経営していた。
「何かガイドブックを見て来た?」
「いえ、たまたまここに来て、食事ができそうだったから」
「あらあ……ここ、そういう人、多いのよッ!」
出された麦茶をいただくと、乾いた喉に染み渡った。
別に何を食べてもいいのだが、ママさんのオススメは「魚うどん」で、トビウオの身をすりつぶし、それをそのままうどん状にしたものだという。
トビウオは淡白だがダシにすると美味く、私が長崎の九十九島で食べた「あご(トビウオ)ラーメン」は、確かに美味だった。
「飫肥でもPRしてるんだけど、なかなか爆発的には売れてないね」
ではそれをいただくことにした。
出てきた魚うどん(720円)は、パッと見はふつうのうどんと変わらなかった。ただちょっとチリチリがあって、インスタント麺みたいな感じである。
一口すすると、うどんのようなツルツル感はないが、うどん自体にいいダシが染み込んでいて、まさに「魚うどん」を食べている気がした。つゆが美味いのは言うまでもない。
さて飫肥といえば同じ日南市に油津がある。油津は広島東洋カープのキャンプ地だ。ママさんもカープのファンで、選手の人となりをいろいろ知っていた。私はうどんをすすりながらしゃべる。
「丸が広島を出ちゃいましたね。広島の人は不満でしょう」
「でも丸は性格がいいからねえ。私いまも応援しているよ」
「●●はどうです?」
「ああ、あれはダメよ。遊び人だもん。態度でかいし」
「ほう。そうは見えませんが」
「そうじゃないのよ。タクシーなんか乗っても、ふんぞり返ってるらしいのよ。言葉づかい悪いしね」
ママさんは話し好きで、私がウンウン頷いていると、どんどん斬新ネタをぶちこんでくる。私も驚くやら可笑しいやらで、時が経つのを忘れてしまう。
話は芸能界にも及ぶ。
「亀梨クン、彼はいいわあ。以前こっちに来たことあるんだけどね、もう腰が低いの!
芸能人なんてサ、カメラがないと態度が大きいと思うじゃない。でも彼は違う! 食事に行ってもね、レストランで一人、目立たないように食べてたんだって!」
「おおおおそうですか! 亀梨クン、一般人には冷たい気もしますけどね、そうじゃないんですね」
人は見かけで判断してはいけないのだ。
「飫肥城址は行った?」
「いえ、まだ中には入ってません」
「行きなさい! ほら、新聞にも紹介されたんだから」
壁を見ると、飫肥城址が紹介されている、読売新聞夕刊の切り抜きが貼られていた。「ここの飫肥杉がパワースポットなんだから!」
「鯉も泳いでましたね」
「あれはね。何年か前に全滅しちゃったのよ。2、3年前かな、また放流しようってことになって……」
私はまだ鯉を確認していないが、飫肥城址ともども、見なければいけない。
「また来てよ!」
ママさんの元気な声に送り出され、私は店を出た。
(つづく)
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2019年ゴールデン・ウィーク旅行(13)

2019-08-07 00:08:51 | 旅行記・G.W.編
翌7日(火)朝。今回の旅行もいよいよ最終日である。今日は急いて帰京しなくてもいいのだがそこはそれ、世間様が仕事をしている時に、いつまでもプラプラしているわけにはいかない。2月の北海道雪まつりも昨年末のあんでるせんも、その理由でいつも通りの日程になってしまったのだ。
ちなみに昨晩はのんびり過ごした。期待の有料ビデオだが、東横INNは創業者が女性だからかソフトなものが多く、夢中で観るコンテンツはない。これは今後の課題であろう。
さて帰りの飛行機だが、7日になれば便は選び放題である。私はマイルが若干たまっているのだが、7日も無料航空券に引き換えられるのか、それは片道だと何マイルを要するのか……などいろいろ考えたら面倒くさくなって、株主優待券を使うことにした。
こちらは料金の半額だから考えやすい。本日20時10分宮崎空港発のANA618 便を予約し、カード決算も行った。19,840円。これで今回の旅行で、予約するものはすべて終わった。
さて、朝食である。東横INNは無料で朝食が付いている。1階に摂りに行くといつものバイキング方式で、たらふく食べてしまった。しかしこれで、豊吉うどんを食べられなくなってしまった。ここはまたの機会とする。
本日はこれから、鵜戸神宮にお参りに行こうと思う。昨年は志布志から日南線に乗り、車内で行程を検討したのだが、バスのダイヤがよく分からず、断念した。今回は宮崎駅から出発するから大丈夫である。
ホテルをチェックアウトし、駅前09時40分発の宮崎交通バスに乗った。
バスは海岸沿いや山沿いと、景観豊かな場所を走る。今日は2日ぶりの快晴で、またいっぱい汗をかきそうだ。
11時13分、鵜戸神宮バス停に着いた。広い駐車場のようなところである。昨年の調べでは、鵜戸神宮は崖っ淵にあり、ここからは徒歩となる。
朽ちかけた建物の壁に、「宮崎のみやげに 鵜戸神宮参拝記念 オリジナルテレホンカード」と、ボードが打ちつけてあった。ここもかつては繁盛していたのであろう。栄枯盛衰である。
数十段ある階段を登り切ると、右手にジュースの自販機があった。「Sparkling日向夏」が美味そうだが、全部売り切れである。
鵜戸崎隧道(トンネル)があり、その中は風が強かった。
隧道を出るとその先は太平洋である。必然的に左に折れると、朱塗りの神門があった。そこを抜けると、今度は一回り大きい楼門。これも鮮やかな朱色である。







くぐってしばらく歩き、再び崖に出ると、左手階段下が本殿となる。いわゆる「下がり宮」で、神社では珍しいようだ。
参道を歩き玉橋を渡り、急な階段を下ると、岩窟内に社殿があった。入るとちょっとひんやりして、それが妙に心地いい。
私は本殿にお賽銭を投じ、隣接の社務所で御朱印をいただく。昨今のブームに乗っているようで抵抗があるが、やむを得ない。
おちちあめ、なるものが300円で売られている。豊玉姫が海に帰る際、乳房を置いて行った?のが岩になり、そこから湧き出た水を飲むと健康になると言われているらしい。妊婦さんや子育て中のお母さんには、さらに効果大だ。
日本人はこうした伝承に弱い。300円は商売のニオイがして購入をためらうが、結局買ってしまった。どうもうまく乗せられた気がする。
「運玉」があった。崖下の岩にある窪みに入れば御利益がある、というよくあるヤツだ。窪みの周りはしめ縄で囲われていて、その中の岩部分に当たるだけでもいいらしい。5個100円。これは私も試してみよう。
運玉は黄土色で、「運」の文字が彫られている。男性は左腕で、女性は右腕で投げる。
私の1投目は、勝手が分からず、外れた。2投目も外れたが。窪みに近づいた感じだ。3投目。あれ? 今のは窪み近くの岩に当たったんじゃないか?
4投目は外したが、5投目は……これも窪み内の岩に当たった気がした。いつの間にか傍で見ていたあんちゃんが「オオーッ、さすが!!」と叫んだが、どうなのだろう。
観光客は、いつの間にか多くなっている。しかしコゴールデン・ウィーク明けということもあり、混雑、というほどではない。私はこの辺で、失礼しようと思う。











帰り道、おちち湯が売られていた。「冷」もある。しょうが汁を溶かし、砂糖で煮たものである。どちらも100円で、紙コップでの提供である。ついでなので、冷をいただくことにした。
ちょっと甘みが強かったが、美味かった。本当に乳を飲んでいる気分だった。
もうひとつ、寄るところがある。行きに古神符納め所を認めたのだが、博多区演舞台でいただいた預かり笹を、納めるのである。本来は御神符や破魔矢、絵馬を納めるのだが、預かり笹だって似たようなものだろう。ここまでいい観光ができたのは、この預かり笹のお陰だ。
笹はこの3日間でかなり乾燥し、一部葉っぱは落ち、一部茎も欠落していた。私は10円を投じ、奉納した。
ここで私のスマホが鳴った。出ると、4月29日に面接を受けた会社で、正式な入社依頼だった。
「入っていただけますか」
「? ああ、も、もちろんでございます。よろしくお願いいたします」
50歳過ぎ、未婚で将来性のない私を、よくぞ採ってくださった。本当にありがたいことで、私はこの会社で、定年まで勤めあげようと思った(この時は)。
だが、出社が20日から、というのがよく分からなかった。そんなに間隔が開くということは、私を早急に必要としていないのだろうか……?
そうそう、私にはもうひとつ、やることがあった。今日はこの旅行初の、平日なのである。
(つづく)
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2019年ゴールデン・ウィーク旅行(12)

2019-08-06 18:42:06 | 旅行記・G.W.編
私は隣接している観光案内所に向かう。桜島周辺はだいたい見るところが決まっているが、私の知らないビュースポットがあるかもしれない。
「桜島で3時間近くあります。それでどこがいいですか」
と私。
今夜は宮崎宿泊を予定している。鹿児島天文館から宮崎行きの最終高速バスは18時35分である。逆算すると、17時30分前後のフェリーで戻れればよい。
すると案内嬢は、「サクラジマアイランドビュー」という観光バスを案内してくれた。周遊バスで、途中に展望台もあるという。バスはもちろん有料だが、SUN Qバスも使えるという。それなら絶好で、今回はこれに乗車しようと思う。
まずは歩いて2分のところにある、月讀神社に向かう。階段を登りきると高台から海が一望でき、素晴らしい。しかし空が曇天なのは痛い。まあ、雨が降らないだけよしとするか。
月讀神社の本殿は朱色で、いかにも九州らしい。お賽銭を投じて参拝した。



下に降りると左手にバス停があったが、次のアイランドバスは15時33分で、まだ10分以上待ち時間がある。
そこに路線バスが到着したので、反射的に乗ってしまった。アイランドバスがどういうルートを辿るか知らないが、どこかで明快な分岐点があるだろう。
バスは海岸沿いを軽快に走る。しかしけっこうな距離を走っており、このまま行ったら桜島を出て、鹿屋方面に行ってしまう。
地元のおじいさんが降車ボタンを押したので、私も乗じて降りた。
改めて観光パンフレットを開くと、私はどうも、かなり行き過ぎてしまったようである。
戻りのバス時間を調べたが、過疎地域なので本数がない。つまり私は徒歩で戻らざるを得なくなった。歩道の海側には巨木が何本も立ち、これはこれでビュースポットだが、私はもはや鑑賞する余裕をなくしていた。私は急ぎ足で戻る。
パンフレットを仔細に見ると、サクラジマアイランドビューはAコースとBコースがあり、現在地から最も近いバス停は、国際火山砂防センターになった。しかしそれはAコースで、バスは来ない。よってその2つ先、赤水湯之平口まで16時14分に着ければ、湯之平展望所での途中下車が可能となる。
私はひたすら歩く。しかし道のりはかなり長い。さっき、無計画にバスに乗ってしまったツケがここで出た。私の人生全般においてだが、私は重大事案において後先考えずに軽率な行動をすることが多い。今回は旅行中の出来事だからどうでもいいが、これが仕事先で起きたら大変だ。ゆめゆめ気を付けねばならぬ。
15時57分、野尻バス停に着いた。しかしまだアイランドバスのコース内に入っていない。
6分後、国際砂防バスセンターに着いた。それは茶色い建物で付近の雰囲気とマッチしているが、営業しているふうではない。



ここはBコースのみの到着なので、次(最終便)は16時47分となる。
ここからあと11分で、2つ先の赤水湯之平口に行かねばならないが、それは内陸部に入るから、どこかで右折しなければならない。鉄道ならレールがあるから分かるが、道路にはその目印がない。これは微妙なことになった。
約7分後、1つ先の赤水麓に着いた。ここは路線バスとの共用で市営バスは同じ「赤水麓」、鹿児島交通バスは「薩摩赤水」となる。しかしどうも、赤水湯之平口には時間的に着けなくなった。よって私が乗れるアイランドバスは、16時44分発の最終便のみとなった。



私はスマホで今宵の宿を検索する。東横INNのHPから、「宮崎駅前」を見る。もうゴールデン・ウィークは終了なので、もちろん空室有である。4,160円はさすがに安く、感謝の意味で有料ビデオ(500円)もオーダーした。
あとは天文館からの高速バスに空きがあるかどうかだが、これはさすがにあるだろう。
定刻を2分遅れて、アイランドバスが到着した。中型のかわいらしいバスである。バスは私がいま来た道を戻る形で、タイム3分で国際砂防センターに着いた。ここで引き返し、16時50分、再び赤水麓に着いた。
バスは発車し、右折して細い道に入った。ここが観光コースの入口とは、パッと見には分からない。
バスはくねくねと登っていく。この道のどこかを私もかつて歩いたことがありそうだが、ちょっと分からない。いずれにしてもこの道に定期バスを走らせることで、鹿児島市は観光道路にしたわけだった。これは市の観光課がよくやったと思う。企画の勝利だと思う。
バスはなおものんびりと走る。桜島がどこにあるかは分からぬが、このゆるゆる感もよい。
17時10分、湯之平展望所に着いた。これが立派な建物がある展望台で、ここからの眺めは最高のはずだ。あー、ぜひ下車したいところだが、これが最終バスでは、そのまま行かざるを得ない。
バスはゆるやかに坂を下り、17時25分、桜島港に着いた。5分の待ち合わせで、鹿児島港行きのフェリーが出る。ここは計算通りである。
鹿児島港には定刻を数分遅れ、17時50分くらいに着いた。ここで高速バスの予約である。
バスセンターに電話をかけると、宮崎行きの席は取れた。天文館からの乗り場はだいたい把握しているので問題はないが、受付嬢は過剰なくらい心配してくれて、好感が持てた。
天文館バス停に着いて、再びバスセンターに電話を掛ける。するとさっきの女性が出てくれて、近くにある窓口でチケットを入手してください、と言った。
ああそうなのか。口頭だけの座席確保ではダメらしい。「チケット発券」は最初の電話でも聞いた気がしたが、すっかり忘れていた。この、ヒトの話を聞き流す、というのも私の悪い癖である。
宝くじ売り場っぽい外観の発券所で、チケットを入手する。これで宮崎行きは本当に完了である。
一安心して辺りを見回すと、クレープの自動販売機が目に入った。200円からで、ベーシックの「チョコ生クリーム・ケーキ入り」は、4つがすべて売り切れになっていた(あるいは、最初から作っていなかったのか?)
ほかはチョコ&カスタードのハーフ&ハーフも美味そうだが、結局買わない。近くのコンビニで、おにぎりとアイスを買った。



宮交バスの高速はまゆう号は、定刻を数分遅れて到着した。
5Dに座り、ホッと一息。あとは宮崎までのんびりである。観光はなんだかんだで体力を使うので、こうした移動時間が最もくつろげるのだ。
宮崎駅前には、定刻を10分遅れの、21時43分に到着した。
そして宮嵜駅前といえば、駅構内にある「三角茶屋豊吉うどん」が安くてオススメである。しかし今日はさすがに営業終了である。明朝に食べられるだろうか。
コンビニで洋風幕の内弁当を買い、東横INN宮崎駅前にチェックインした。
(つづく)
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2019年ゴールデン・ウィーク旅行(11)

2019-08-05 19:09:45 | 旅行記・G.W.編
私はカップを捨てに待合室へ戻ると見せかけて、そのまま裏からバスターミナルを出た。つまり乗車拒否である。
運転手は私が戻ってくるものと思いしばらく待つかもしれないが、そんなものは知らん。この便には縁がなかった。
10分くらいして戻ると、もちろんバスは出ていた。待合室に入りあらためて鹿児島中央行きを調べると、直行便はさっきのが最終だった。これはちょっとした誤算である。
私は今宵の宿は取ってないし、明日は指宿の砂むし温泉に入るので、指宿に泊まれれば都合はよい。しかし指宿に適当なビジネスホテルはないし、この歳でユースホステルに泊まるのも面倒だ(そのくせ毎年、会員を自動更新しているが)。
よってネットカフェがある鹿児島中央に戻るしかないのだが、枕崎からJRを使うにもお金がかかる。出費を最小限に抑えるには、伊集院方面のバスに乗るよりなかった。
18時45分発の伊集院行きに乗った。何とこれも最終である。タイム1時間で伊集院に着き、鹿児島本線に乗り換える。まさか今日、JRを使うとは思わなかった。鹿児島中央までは370円で、つまらぬ意地を張ったために、いらぬ出費になってしまった。
20時17分、鹿児島中央着。私は隣接のビックカメラに寄ったあと、さんざん道に迷いつつ天文館まで歩き、サイバック天文館店に入店した。
フラットブースは空いており、ナイト12時間パックをお願いした。
しばらく休んだあと、表に食事に出る。なお外出の際は、保証金を置いて行くシステムである。
どこで食事にするか迷ったが、近くのすき家で、牛丼をかっ食らった。私の食事は、結局こうなるのだ。
戻ってネットを見る、西鉄高速バスのHPは、「WEB割」と称して、天神-鹿児島間の料金が2,900円になっていた。
前日までの予約、便変更不可などいくつかくくりはあるが、昼便の定価は5,000円だから、ずいぶん安い。席数限定なのかどうか知らぬが、こうした優遇チケットはもっと広く告知してほしいものだ。
ただ私の方も、いま調べるなら前日に調べとけよ、という話である。いかがわしいビデオを観ている場合ではなかった。
シャワーを浴びると、脳天が痛く、触るとタンコブができていた。昼、高速バス車内の網棚にぶつけた時のものだ。いまさらながら不愉快である。今回は両足の爪もダメージを受けるし、もはや満身創痍だ。
すっかり夜更かしして就寝、というところで、ブース内の異変に気付いた。
何と、ブースの奥に向かって、マットがせり上がっていたのだ。なんでこんな不自然に盛り上がっている? 
体を横にすると、ヒザ下あたりから角度がついて、うまく寝られない。寝返りも打てない。えー、こんな内装は初めてである。
しばらくごちゃごちゃやったが、改善される類のものではない。さすがに頭に来て、スタッフを呼んで文句を言った。
「かくかくしかじか」
「ああこれは、下にコードの配線が隠れているのです」
「いやそういう問題じゃないんだ。この角度はまずいでしょ。横になれないでしょ。ヒザの部分から上に反り返って、ほら。いままでほかのお客さんから文句は出なかった?」
「そういったクレームは来たことがありません」
ハアー!? お前の店は、クレームがなかったからほっといたのか!!
サイバックはこういうところがあるのだ。かつては天神店でも、換気のダストが直接ブースに入るのに、それを1年以上、放置したままだった。
今回の件だって、この不備は設置の際に分かっていたことだろう。それをそのまま放置していた責任者に問題がある。お前ら、これで文句が出ないと思ったのか? バカか?
よろしい。それなら、私がクレーム第1号者として、この不備を世界に知らしめてやろう。
No.64ブース、忘れないよ。


(右下から伸びる線を直線にすると、途中から角度が変わっていることが分かる)

6日(月・振)。昨夜はあれから、16番ブースに替えてもらった。当然床は全面フラットで、気持ちよく睡眠できた。
今日はとりあえず、指宿に向かう。ネットカフェ近くのバス停から、バスを利用する。歩いていけば直線距離ですぐだが、SUN Qパスを使わなければならない。
鹿児島中央駅までバスに乗り、砂むし会館前方面行きに乗り換えた。乗客はパラパラである。
タイム1時間42分で、砂むし会館前に着いた。JRなら駅前から歩かねばならないが、バスは施設のすぐ前まで運んでくれる。
「砂楽」で1,080円を払い砂場に向かう。この時間でも、けっこうな人が埋まっていた。
私の番が来て、所定の位置にあおむけなり、砂をかけてもらう。……うん?
背中の、砂が……冷たい。今日はまだ曇天である。しかし砂むしは地熱を利用しているから天候は関係ない。とすればたまたま砂の冷たいところにあたったのかもしれないが、これでは汗をかけないところである。
といって私の性格では、場所を替えてくれとは言えない。前夜のブース変更とはちょっと意味合いが異なるのである。
結局15分くらいして砂場から出たが、ほとんど汗をかいていなかった。やっぱり、今年の旅行は何かが違う。
ちょっと早いが、昼食にしよう。行きつけの中華料理屋「紅龍」はもう開いていた。
私はいつもの「揚げやきそば」(760円)をオーダーする。お品書きには「5月6日までのメニューとさせて頂きます」とあるが、価格改定でもするのだろうか。でもそれなら、そういう書き方をするだろう。よく分からん。
揚げやきそばは、いつもの味で、美味かった。
指宿駅前には徒歩で着いた。ここからJRで枕崎に行き、「歩揺」に行ってもいいが、いまさら私が訪ねたところで、先方には迷惑なだけだろう。
とりあえず鹿児島中央方面に戻り、桜島に渡ろうと思う。桜島フェリーもSUN Qパスは無料で乗れるからだ。
バスは12時18分というのがあった。定刻を2分遅れて指宿を出発。14時近く、金生町で降りた。ここから徒歩圏内で、鹿児島港があるのだ。
大通りに出ると、彼方に桜島が見えた。今日ももくもくと噴煙を上げている。



その時、かなり催してきた。朝に済ましたのに、砂むし風呂で内臓が活発になり、宿便が活気づいたのかもしれない。
ちょうど鹿児島県のアンテナショップみたいなところがあり、そこでトイレを借りた。
御礼、というわけではないが、「げたんは」(194円)というお菓子を買った。鹿児島の郷土菓子らしいのだが、初めて知った。
何とか鹿児島港へ着いた。鹿児島港-桜島港は、あまり知られていないが、24時間運航である。次の便は14時45分だ。
私の乗ったフェリーは、「第十六櫻島丸」だった。二等客室には、意外に乗客がいた。
「げたんは」は、その名の通り下駄の歯の形をしていて、黒糖味だった。これは万人に受ける味である。
タイム15分で、桜島港に着いた。



(つづく)
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