一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流名人リーグはどうなっている

2024-10-31 00:30:10 | 女流棋戦
ちょっとうっかりしていたのだが、女流名人リーグがけっこうな佳境に入っていた。まだリーグ中盤戦だと思っていた。
ではさっそく、ここまでの結果を見てみよう。

■女流名人リーグ■
(優勝者は女流名人挑戦、陥落4名。持ち時間・2時間)
【7勝】
①西山朋佳女流三冠(加藤→今井)
【5勝2敗】
②内山あや女流初段(野原→渡部)
【5勝3敗】
③石本さくら女流二段(○山根→野原)
⑦今井絢女流初段(○鈴木→西山)
【4勝4敗】
④渡部愛女流三段※(○大島→内山)
【3勝4敗】
⑦加藤桃子女流四段(西山→山根)
【3勝5敗】
⑦大島綾華女流二段(●渡部→鈴木)
【2勝5敗】
⑦野原未蘭女流初段(内山→石本)
【2勝6敗】
④山根ことみ女流三段(●石本→加藤)
⑥鈴木環那女流三段(●今井→大島)

実は、リーグ表を見たのは今回が初めてかもしれない。
女流名人挑戦は、7連勝でぶっち切っている西山女流三冠でほぼキマリ。女流棋士の中に「実力四段」が混じっているのだから、快走は当たり前。ほかの女流棋士にも頑張ってもらいたいが、努力をした結果がこれだろうから仕方ない。
残留確定は、4勝4位の渡部女流三段まで。陥落は4名だから、3勝以下の5名にその可能性がある。
もうちょっとリーグ戦が盛り上がってもいいのだが、福間—西山の各棋戦番勝負が面白すぎて、霞んでしまっている。ちょうどいまやっている、ワールドシリーズと日本シリーズみたいなものだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福間女流五冠の不戦敗つづく

2024-10-30 23:45:31 | 将棋雑記
最近ビックリしたのはやはり、福間香奈女流五冠の「アレ」だ。
26日に行われる予定だった第4期白玲戦第6局に、福間女流五冠が体調不良を訴え、不戦敗になった。
これで西山朋佳白玲は2勝2敗2不戦勝となり、白玲防衛が決まった。しかし女流棋界最高の公式戦とは裏腹の衝撃の結末で、私はぽかんと呆けてしまった。
この23日には第14期女流王座戦第1局があったが、福間女流王座は元気に?対局に臨み、西山女流三冠に快勝していた。だがやはり、福間女流五冠の容態は安定していなかったのだ。
これに複雑な思いだったのが当の西山白玲だった。自身の病気は延期の措置になったのに、妊娠による体調不良は延期不可では、同性として割り切れないものがあっただろう。
西山白玲は旧Twitterに、主催者ならびに関係者、対局場を細かく挙げ、深く感謝の意を表した。これが西山白玲にできる精一杯の誠意であった。
ところが話はそれで終わらない。その3日後の29日、福間女流五冠は、第46期女流王将戦第3局でも体調不良で対局回避となり、西山女流王将が1敗2不戦勝で防衛となった。しかも通算5期でクイーン王将を獲得というオマケ付きである。
白玲戦は一応2勝していたからアレだが、女流王将戦は初戦に負けている。一回も勝ってないのにクイーン王将獲得とは、これまた西山女流王将、複雑な思いであっただろう。
なお白玲防衛のとき、「不戦勝でタイトルの行方が決まったのは女流棋界初」と書いたメディアがあったが、男性棋戦を含めても「初」ではないのか? むかし升田幸三八段が香落ちの将棋をボイコットするなどがあったが、あれはタイトルの行方が決まったあとのことだった。だから私には、記事の意味がよく分からなかった。
話を戻し、この有様では、福間女流五冠の今後が心配だ。さしあたっては。あさって11月1日には早くも、第5期白玲戦のA級1回戦が行われるのだ。だけどもう、福間女流五冠は対局できる体調にないのではないか。このまま休場してしまうのではないか?
仮に前倒しで休場したとして、白玲戦はリーグ戦だから、主催者は不戦にせず、延期扱いにすると思う。
問題は11月5日から始まる、第32期倉敷藤花戦の挑戦手合いだ。
今期の挑戦者は伊藤沙恵女流四段である。伊藤女流四段は挑戦者決定戦でも室谷由紀女流三段の妊娠休場につき不戦勝になっていた。よって、挑戦者決定戦→三番勝負と、不戦でタイトルを獲るという前代未聞の珍記録となる。
ちなみに倉敷市長はおなじみ、伊東香織さんである。おなじ「いとう」姓で、いいではないか。
そうしたら伊藤女流四段は、39年前の谷川浩司新名人ではないが、「倉敷藤花を1年間預からせていただきます」とでも述べるのだろうか。
という冗談はさておき、本当にタイトル戦が行われなかったら、倉敷藤花戦は地方新聞に観戦記が載るから、やはり実戦譜は欲しいところである。
そこでウルトラCがある。福間女流五冠のご主人に登場していただき、伊藤女流四段とエキシビジョンマッチを行うのはどうだろう。
ご主人・福間健太さんは元奨励会三段で、第55回リーグ戦では、13勝2敗で最後の3戦を残し「マジック1」だった。ところが福間三段はその3局に全敗し、大魚を逸したのだった。
つまり氏の実力はほぼ四段で、その後に参戦したアマ棋戦でも好成績を残しているから、伊藤女流四段とは当然、互角以上の好勝負を保証できる。
とにかく、福間女流五冠は体調第一に考えたほうがいい。タイトル戦は逃げないから、また取りに行けばいいのだ。
そして西山女流三冠は堂々と、タイトルをこのままもらえばいい。おめでとうございます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年度上半期・私が勝手に選ぶ、驚愕の一手

2024-10-29 00:18:45 | 将棋雑記
半期に一度の企画「2024年度上半期・私が勝手に選ぶ驚愕の一手」を、今月上旬に発表するのを忘れていた。それで、約1ヶ月遅れで発表する。
今回選んだのは、上半期最終日の9月30日に京都市で指された、第72期王座戦第3局(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)・▲永瀬拓矢九段VS△藤井聡太王座戦である。
ここまで藤井王座の2連勝。後がない永瀬九段は角換わりを志向し、いつもの形になった。
そこから永瀬九段がうまく指し、大優勢になった。思えば前期の第4局もここで行われ、永瀬王座(当時)が必勝形になりながら、終盤の落手で歴史的逆転負けを食らったのだった。
ちなみに、この将棋が指されたのが昨年10月11日だったので、私は永瀬王座のこの落手を、「2023年度下半期・驚愕の一手」に選んだのだった。
さて本局、この局面まで来たらもう永瀬九段は負けられないが、藤井王座の受けも見ものである。藤井王座といえばAIばりの終盤が代名詞だが、実は大山康晴十五世名人ばりの受けにも目を見張るものがある。勝率8割を実現するには負け将棋も勝たねばならず、それには強靭な受けと、強烈な勝負手が必須となるのだ。
藤井王座はふらふらと玉を逃げ、一手すいたところで、渾身の香を打った。

△9六香! ふつう、香は下段から打つものだが、ここではあえて近づけて打った。そこで永瀬九段が1分将棋の中、▲9七歩と打ったのがマズかった。
その前まで後手玉は簡単な詰めろだったが、それは9筋に歩を打つ手があったからである。利き数の少ない端は、歩の叩きが銀に近い働きをすることがある。▲9七歩を打つ前、永瀬九段の持駒は「金銀歩5」だったが、実戦的には「金銀銀歩4」の感じだった。
だが9筋に歩を打ってしまっては、持駒は「金銀」のみとなる。これでも後手玉は詰みそうだが、ギリギリ逃れている。これが△9六香の効果で、玉が9五まで逃げられるのだ!
本譜はそこで△7八銀。これに▲8八金打の変化がよく分からないが、それでは先手負けなのだろう。
よって永瀬九段は詰ましにかったがもちろん詰まず、無念の投了となった。
戻って図では、▲9七桂と跳ねて先手が勝ちだったらしい。だがこの手は△同香成と取られて王手が続きそうだし、8九の地点も開く。人間的には、歩でガードしたくなるところである。大山十五世名人は、「人間は間違える」の信念のもと指し手を進めたが、藤井王座にもそれが垣間見えることがある。それが△9六香だった。
藤井王座が掘った、恐るべき落とし穴であった。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

増田裕司七段の順位戦復帰の目を考える(1)

2024-10-28 00:03:51 | 目を考える
先日、日本将棋連盟の棋戦表を見ていたら、第2回達人戦で、増田裕司七段が予選を突破していたので、驚いた。
以前もチラッと触れたことがあるが、私の顔は増田七段によく似ている。全体的な雰囲気も含め、そっくりといってよい。ある年に将棋会館で行われた将棋ペンクラブ関東交流会に、増田七段がふらっと現れた。
私は増田七段に、「私、先生に似ていると思うんですけど、どうでしょうか」と問うた。
すると増田七段も即座に「うん」と答えた。私はうれしくなって、(女流)棋士とツーショットで収まる趣味はないのだが、このときばかりは頼み込んで、撮らせてもらった。私の頭が薄く肥満気味なのがアレだったが、ふたり並ぶとそっくりだった。
さてその増田七段の今年度の成績を確かめたら、かくのごとくだった。

5月16日 第96期棋聖戦一次予選1回戦 ●長岡裕也六段
6月4日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦1回戦 ○神崎健二八段
6月26日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦2回戦 ○長岡裕也六段
7月2日 第18回朝日杯一次予選1回戦 ●長沼洋八段
7月17日 第10期叡王戦七段戦1回戦 ●矢倉規広七段
7月29日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦3回戦 ○浦野真彦八段
8月13日 第66期王位戦予選1回戦 ○齊藤裕也四段
9月5日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦4回戦 ○黒田尭之五段
9月12日 第73期王座戦 一次予選1回戦  ○島本亮六段
9月19日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦5回戦 ●山本博志五段
9月25日 第2回達人戦予選1回戦 ○畠山成幸八段
9月25日 第2回達人戦予選2回戦 ○阿部隆九段
10月3日 第66期王位戦予選2回戦 ●狩山幹生四段
10月16日 第73期王座戦一次予選2回戦 ○冨田誠也五段
10月22日 第2回達人戦予選3回戦 ○今泉健司五段
10月22日 第2回達人戦予選決勝 ○藤原直哉七段

なんと、11勝5敗! このうち、若手の黒田五段、冨田五段、齊藤四段を倒した星が光る。そして達人戦が公式戦だったのが絶妙で、フリークラス脱出の目が出ていた。
その条件は例によって、まずは「いい所取り30局以上で勝率.650以上」。これは最初の5局を端折れるので「9勝2敗」となり、残りを「11勝8敗」でよい。
また、今回は年度初めからよく勝っているので、「参加棋戦数+8勝で、年度勝率.600以上」でもよい。
増田七段の場合、7大タイトルに朝日杯、NHK杯、銀河戦、達人戦に参加しているので、「19勝12敗」がクリアの一例となる。その場合、残りを「8勝7敗」でよい。
ところが改めて調べると、衝撃的事実があった。増田七段は、今年度がフリークラス10年目なのだ!
たしか熊坂学六段のときに議論になったが、フリークラスは11年目の勝敗は、復帰規定にカウントされない。年度末の戦績までが対象である。となると、「いい所取り30局」を指している猶予はないのだ。
じゃあ前年度の成績を加えればいいと思うが、前年度は終わり8局が1勝7敗だったので、全然ダメだ。
よって、増田七段順位戦復帰の条件は、「年度19勝12敗」。これだけとなった。ただ、残りを「8勝7敗」は、現在の増田七段の調子なら十分可能だ。
残り棋戦は、

第33期銀河戦
第73期王座戦
第2回達人戦
第38期竜王戦(2局)
第75期王将戦
第51期棋王戦
第75回NHK杯

となる。このうち銀河戦は9月に予選が行われているが、結果はまだ公表されていない。2勝していたらずいぶん楽になる。
とにかくこれからは一局でも多く勝って、対局を繋げていくしかない。
しかし熊坂六段といい中尾敏之六段といい、どうしてフリークラス10年目で勝ちだす棋士が出てくるのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第37期竜王戦第3局・2日目

2024-10-27 00:47:35 | 男性棋戦
第37期竜王戦第3局(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)第2日、佐々木勇気八段の封じ手は、やはり歩を取る手だった。まあそうであろう。
対して藤井聡太竜王は9筋に歩を垂らす。これも予想された手だが、この進行は佐々木八段の9筋の突き越しの利がなくなっている。
佐々木八段は馬を引き付け徹底抗戦。いずれにしても、戦いは7~9筋に絞られると見ていた。
だが、藤井竜王は4筋の歩を突く。▲6六の角は当然そちら側にも利いていたわけで、ほうぼうに活躍の場を与える藤井竜王らしい手だった。
そこからまた、戦いは7~8筋に移る。結果はともかく、攻めているほうが気分がいいのではなかろうか。
佐々木八段も懸命に守るが、藤井竜王の攻め駒がつねに残っている。その寸暇を割いて佐々木八段も反撃を試みるが、藤井竜王は当然受けない。
佐々木八段の8筋の角打ちにも飛車でむしり取り、返す刀で飛車の丸得に成功した。
そこでABEMA AIの評価を見ると、藤井竜王が70%以上になっている。藤井竜王の終盤は完璧だから、このあとは間違えないだろう。対して佐々木八段が仮にその後間違えなかったとしても、局面がフィナーレへ向かっている以上、その差が縮まることなく、藤井竜王が勝つに違いない。
あとは藤井竜王の寄せの構図を鑑賞するのみだが、藤井竜王は異筋に2枚の角を据えた。これが当然ながら的確な配置だったようで、佐々木八段は長考するが、もうダメなようだ。中盤で2時間以上も考慮時間に差があったのに、みるみる追いついてきた。この消費時間の関係も、いつもの通りである。
佐々木八段は銀を埋め、飛成の王手のあと、根元の桂を取った。が、ここでAIの形勢バーが「藤井99:1佐々木」になった。ということは、この局面で後手玉に即詰みがあるということだ。
それなら藤井竜王は必ず詰ます。果たして長くは待たせず、藤井竜王は角を切って王手をした。ここで佐々木八段が力なく投了した。
投了以下は馬を取る一手だが、▲8四飛と中空に打つ妙手があり、即詰みは免れない。
とはいえこの馬を取らず投了は中途半端で、ふつうは取ると思う。だが、▲8四飛を盤上に実現させるのは不愉快である。ここでの投了は、佐々木八段の矜持の表れでもあった。
佐々木八段、すぐに駒を戻し感想戦に入った。▲8四飛は盤上にないにしても、この投了図を早く崩したい、という思いがあったのかもしれない。
さて注目の第3局も、終わってみれば藤井竜王の快勝である。相変わらず、恐ろしい強さだった。ちょっと意味不明の玉の繰り替えも、秀逸な構想となった。まさに名人に定跡なし。ヘボの違和感など、ホントに違和感でしかなかったのであった。
第4局はだいぶとんで、11月15日、16日。佐々木八段の巻き返しに期待である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする