一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第70期順位戦・名人挑戦者および昇降級者予想・答え合わせ

2012-03-31 00:33:49 | 勝敗予想
30日夜は、昨年10月に録画しておいた、三谷幸喜監督の映画「ザ・マジックアワー」を観た。これが殊のほかおもしろく、ゲラゲラ笑ってしまった。まだ観ていない方は、レンタルしてでも観る価値があるシャシンだと思う。

第70期順位戦は、16日(金)のB級1組順位戦で全日程を終了した。当ブログでは昨年の6月1日に、名人挑戦者と各クラスの昇降級者の予想を書いたが、きょうはその答え合わせをする。
左が予想、右が結果である(◎は予想が当たり)。

A級
名人挑戦・丸山忠久九段→羽生善治王位・棋聖
降級・谷川浩司九段、屋敷伸之九段→丸山忠久九段、久保利明九段

B級1組
昇級・木村一基八段、深浦康市九段→橋本崇載七段(八段に)、◎深浦康市九段
降級・井上慶太九段、畠山鎮七段→藤井猛九段、中村修九段
B級1組にはタイトル経験者が3人いたが、ひとりは昇級、ふたりは降級と、ハッキリ明暗が分かれた。
深浦九段の昇級は当然。深浦九段はB級で指している場合ではない。
藤井九段は連続降級となった。振り飛車党は受難だ。中村九段はギリギリ残ると見ていたが、やはり降級となった。「昭和55年組」は、高橋道雄九段が孤軍奮闘している形となった。
橋本八段の9勝3敗は見事。このメンツで、リーグの勝ち頭になるとは思わなかった(失礼)。橋本八段はファンの後押しが大きいと思う。いうまでもないが、ファンを大事にしない棋士、これは失格である。むろん橋本八段はファンを大事にしている。それを神様も見ているのだ。

B級2組
昇級・戸辺誠六段、広瀬章人王位→◎広瀬章人七段、飯塚祐紀七段
広瀬七段の昇級は当然とはいえ、10戦全勝は見事だった。
私が押した戸辺六段は後半追い上げたが、序盤の3連敗がなんとも痛かった。
ダークホース・飯塚七段の昇級は、正直言って意外だった。飯塚七段は、今から17年前の26歳のとき、「HotDog press」の記事に登場したことがあるが、印象に残っているのはそのぐらいである。まあどのクラスもそうだが、誰にも昇級のチャンスはあるということだ。

C級1組
昇級・村山慈明五段、豊島将之六段→佐藤天彦六段、◎豊島将之六段
佐藤六段が、トップの成績で1期抜けした。豊島六段、村山五段と手強いところと当たっていたが、連続昇級は見事だった。
前期9勝1敗で頭ハネを食った村山五段は、緊張の糸が切れたか、6勝4敗の星に終わった。好調を持続するのはむずかしい。
王将位挑戦の実績がある豊島六段は当然の昇級。しかし7勝しかできず、同じ7勝が7人もいた中で、順位の利を活かしての昇級だった。これをラッキーと思って、来期はぶっちぎりで昇級してもらいたい。

C級2組
昇級・菅井竜也四段、永瀬拓矢四段、中村太地五段→阿部健治郎五段、◎中村太地五段、船江恒平四段(五段に)
今期のC級2組は、3人が10戦全勝。史上初の快記録で、文句なしの昇級となった。
残念だったのは、順位6位で9勝1敗の菅井五段。頭ハネにもかからなかったとは、なんという巡り合わせの悪さか。
しかし…。C級2組に降級制度が復活して24年。その間、成績の悪い棋士は降級し、クラス内の実力差はいっそう薄くなったはずだが、それなのに全勝が3人も出るとは、どういうわけだろう。
菅井五段も、唯一の敗戦は船井四段からだった。もし直接対決がなければ、菅井五段も全勝で昇級していた可能性が高いのだ。
だからいまの若手四、五段は段違いに強いのかと思いきや、20代でフリークラスに降級する例もある。いまの新四段は、実力にムラがある気がする。

以上、今期の正解は4/14。前年より3ポイント落ちた。A級とB級1組で1つしか稼げなかったのが痛かった。来期は14/14を目指して、予想を立てたいと思う。
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第23期女流王位戦リーグ全勝敗予想・答え合わせ

2012-03-30 00:35:58 | 勝敗予想
26日(月)に女流王位挑戦者決定戦が行われ、先手の里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花が清水市代女流六段を降して、女流王位への挑戦権を獲得した。
当ブログでは昨年の12月1日に、リーグ戦の全勝敗と挑戦者の予想を書いたが、きょうはその答え合わせをする。なお、きょう書いたカード横の勝敗は、実際のもの。

<紅組>
1回戦
○清水市代女流六段-●中村真梨花女流二段→正解
○上田初美女王-●鈴木環那女流初段→正解
●岩根忍女流二段-○斎田晴子女流五段→正解
2回戦
○清水-●岩根→正解
●上田-○中村→間違い
○斎田-●鈴木→正解
3回戦
○清水-●上田→正解
●岩根-○鈴木→間違い
●斎田-○中村→正解
4回戦
●清水-○鈴木→間違い
○上田-●斎田→正解
●岩根-○中村→正解
5回戦
○清水-●斎田→正解
●上田-○岩根→間違い
●中村-○鈴木→間違い
※清水女流六段、優勝。→正解

<白組>
1回戦
○里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花-●中井広恵女流六段→正解
○矢内理絵子女流四段-●本田小百合女流二段→正解
●石橋幸緒女流四段-○室田伊緒女流初段→間違い
2回戦
○里見-●室田→正解
○中井-●矢内→正解
●石橋-○本田→間違い
3回戦
○里見-●本田→正解
○中井-●室田→正解
●矢内-○石橋→間違い
4回戦
○里見-●石橋→正解
○中井-●本田→正解
○矢内-●室田→正解
5回戦
○里見-●矢内→正解
○中井-●石橋→正解
○本田-●室田→正解
※里見女流三冠、優勝。→正解

挑戦者決定戦
○里見-●清水 里見女流三冠、女流王位挑戦。→正解

紅組は15局中10局が正解だった。
紅組は清水が走ると見ていたのだが、4回戦で鈴木に敗れ、一気に混戦となった。清水は最終5回戦で斎田を破り、紅組優勝を果たしたが、もし負けていたら、4者プレーオフになるところだった。
大健闘だったのは鈴木。戦前の予想は勝ち星なしの0勝5敗だったが、全5局を終えて、清水戦の勝利を含む3勝2敗は見事だった。いまとなっては鈴木および鈴木ファンに深くお詫びするしかない。やはり私生活が充実しているのだろう。

白組は15局中12局正解。里見は5戦全勝で優勝。里見と中井の星は全局正解した。序盤の里見-中井戦がやはり優勝決定戦だった。
最終局の前、中井と話をする機会があり、「(中井先生が最終局も勝つと思うけど、里見さんも勝つと思うんです。だけど里見戦の)直接対決で負けちゃったんだから、(もし挑戦がダメでも)諦めがつきますよね」と中井にいったら、中井は苦笑していた。広恵はホントにかわいい。
白組は3局の予想を間違えたが、その3局とも石橋がらみ。私は2勝3敗と予想したのでアレだが、1勝4敗という結果はいただけない。
やはり石橋は疲れている。代表職が負担になっていると思われるので、ほかのLPSA女流棋士がサポートしなければいけない。

冒頭で記したとおり、挑戦者決定戦は里見-清水の顔合わせになり、里見が制した。この予想も正解。
この将棋、二転三転の泥仕合で、熱局なのか凡局なのかよく分からない。ただし終盤、負けになってからの清水の粘りが凄かった。よく勝つ(女流)棋士は、こういうところから勝つのだろう。清水が白星を稼ぐわけである。

整理すると、挑戦者決定戦を含めた31局中、23局が正解。正解率は.742。前述のとおり、紅白の優勝者と、挑戦者が当たった。しかしこれは大方の予想どおりで、自慢するほどのことではない。しかし大方の予想どおりにコトが進んではいけないのである。来期は、ほかの女流棋士の奮起を期待したい。
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将棋ペン倶楽部 2012年春 第57号

2012-03-29 00:04:50 | 将棋ペンクラブ
27日(火)夜は「謎解きはディナーのあとでスペシャル」(フジテレビ)を観た。昨年10月~12月にレギュラーで放送していた本格推理コメディーで、私が好きだったドラマである。
今回の沖縄スペシャル、殺人の動機やあり得ない偶然などのご都合主義には目をつぶるとして、次のシーンはどうなのか。ネタバレを防ぐため詳細はボカすが、麗子(北川景子)のいる部屋に風祭警部(椎名桔平)がどうやって入れたのか、どう考えても解せない。
そのほか、今回はCMの入れ方も悪く、若干消化不良が残った。北川景子の美しさだけが救いだった。

20日(火・祝)に、「将棋ペン倶楽部」最新号(2012年春号・第57号)が届いた。今号は拙稿が掲載されているので、本を開くにも楽しみがある。
では各投稿内容を紹介する。

・新春対談 ゲスト・後藤元気さん ホスト・木村晋介将棋ペンクラブ会長
後藤元気氏は、第21回と第23回の将棋ペンクラブ大賞・観戦記部門大賞を受賞している。観戦記を書くうえでの苦労話ややり甲斐など、興味深い話が続く。ホスト・木村会長の進行がいい。

・将棋と笑いが合体した幸福な一夜。…長田衛
昨年末に行われた「将棋寄席」のレポート。長田氏も演者として、いつも一番手に登場している。いわば将棋寄席のイチローである。

・正月雑記…中林速雄
筆者が年末に借りた将棋の本と、年始に観た将棋番組についての雑感。

・十三棋道舘道場<前篇>…北川茂
筆者が高校生の頃、初めて将棋道場に赴く。そして何回目かの日、ある棋士に指導対局を受けるのだが…。初めての将棋道場は誰しも敷居が高いもの。そのドキドキ感を見事に活写している。

・忘却の角<完結編>…大沢一公
大野八一雄七段は、第24期竜王戦6組の準決勝戦で敗れ、決勝トーナメント進出はならなかった。しかしまだ、5組昇級の道は残っていた。果たしてその結果は…?

・棋神伝 坂田三吉とその時代3…茂山俊一
今号はさまざまなエピソードに交え、大正12年に指された、関根金次郎八段と坂田三吉七段の香落ち戦を紹介。三吉が嘆いた「わいの銀が泣いている」の将棋である。意外と知られていないがこの将棋、三吉が勝っている。

・閑話休題…前田知弘
将棋パズルを紹介する。

・渡辺麒一郎さんの盤寿…魚谷勝造
将棋ペンクラブ会員で、元幹事でもある渡辺麒一郎氏の盤寿の祝い。

・将棋教室…榊原智
将棋教室でコーチを務める筆者による、教室のレポート。

・将棋の名称…今泉忠芳
将棋はいつから「将棋」と呼ぶようになったのか、検証する。

・愛棋家坂口安吾(下)3…本多俊介
坂口安吾は囲碁と将棋、どちらの観戦記も書いたが、棋力はどのくらいだったのか。さまざまな証言をもとに検証する。

・オレたち将棋んゾンビ9…バトルロイヤル風間
ボツになった4コママンガ3本を掲載。

そのほか、「将棋ペンクラブ大賞歴代受賞者一覧」など、計76頁。ペンクラブ大賞作品が載る秋号と比べて頁数が少ないのはやむを得ないが、もう少しボリュームが欲しい。投稿者は固定気味なので、別会員の投稿も期待したい。
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中村真梨花女流二段は、「ピンポンパン」のおねえさん・酒井ゆきえに似ている

2012-03-28 00:28:41 | 似ている
ジョナ研メンバーの参謀格であるR氏の「RAYの駒落ちdeGO!」は、氏の駒落ち自戦記を綴るブログである。そこに最近、中村真梨花女流二段が登場している。「女流棋士スーパーサロン」での一コマで、熱戦譜とともに、プロ級の腕を持つR氏の撮影による、中村女流二段の写真が掲載されている。
それを見ると、中村女流二段がずいぶん痩せて、綺麗になっていたので、驚いた。
そのとき、アッと思った。
中村女流二段は、タレントの酒井ゆきえに似ている!
いうまでもないが、酒井ゆきえは「ママとあそぼう!ピンポンパン」の3代目おねえさんである。その期間は1975年~79年。調べによると酒井ゆきえは、フジテレビの元アナウンサー。アナウンサーがこんな役をするとは珍しいが、そもそも彼女が、「ピンポンパン専任」を含んだ入社だったらしい。
当時はこんなシステムもあったのだ。道理でニュース番組などでは、酒井ゆきえを見なかったわけだ。
中村女流二段と酒井ゆきえの人となりで、合致しているところはとくにない。似ているところは顔。クリクリッとした眼とタマゴ型の輪郭、さらに愛くるしい笑顔がそっくりである。
そうか…。ふたりがそっくりならば、中村女流二段には子供将棋教室の講師が向いているのではないか。彼女の笑顔は、子供に安心感を与える。声もロリ系だし、なかなかに適任だと思われる。日本将棋連盟および女流棋士会は、一考する余地があると思う。
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天河戦三番勝負を振り返る

2012-03-27 00:58:16 | 女流棋戦
きのう26日の「笑っていいとも!」に、オネエのハムナプトラ田中が出演したが、彼(彼女?)の結婚記念日が平成元年11月11日、とのこと。
あら~。植山悦行七段、中井広恵女流六段夫妻と同じ日ではないか!!

第4期天河戦三番勝負は、中井天河が石橋幸緒女流四段を2-0で降して、防衛した。きょうはその2局を振り返る。

※第1局
中井の先手で始まった本局。▲2六歩に石橋は△3四歩。▲7六歩に△4四歩。以下相矢倉になったから、これは石橋の作戦だった。2手目に△8四歩としなかったのは、この手を中央にかけたかったからと思われる。
中井は自然な指し回し。対して石橋の△2二銀(引)はどうだったか。なんでも指す石橋だが、その根幹は前に出る将棋で、△2二銀のような、凹む手は似合わない。
さらに42手目、△3三桂もどうかという手。△2二銀と引いた以上、△3三桂はセットの手順だが、中井に▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩▲2六銀と一手で銀を繰り返られ、▲1五歩と薄い1筋に手をつけられては、ハッキリ石橋が苦しくなった。
そもそも△2二銀・△3三桂と指すならその前の△1四歩が不急の手で、石橋の作戦がチグハグだったことは否定できない。
むろん端歩を突いての「しゃがみ矢倉」はあり、例えば平成4年8月11日の竜王戦決勝トーナメント・高橋道雄九段対佐藤康光六段戦で、後手の佐藤六段が指している。ただしそのとき先手の陣形は「森下システム」で四段目に歩が並んでおり、端攻めの心配はなかった。
本局、中井はなおも自然な指し回しで優位を拡大する。石橋は△2九成香右と桂を補充するが、この忙しいときに、一手の価値があるとは思えない。この辺り、すでに石橋の闘志は萎えていたようだ。
87手目▲5一とで石橋が投了したが、ここで△同玉はなかったか。▲4三馬△5二銀▲3四馬△1五角の局面は後手やる気がしないが、少なくともほかのLPSA女流棋士なら、そこまで指したと思う。
ともかく石橋、よほど疲れていたのか、本局は勝利に対する執念が感じられなかった。

※第2局
前局から18日後の一戦。中井は充実、石橋は多忙、の構図は変わっていなかったと思う。
将棋は先手の石橋で、横歩取りに進んだ。18手目、中井は△8四飛。現在は△8五飛が主流だが、中井は△8四飛の将棋も意外に多い。
石橋、▲3三角成から▲2三歩が、早くも本局の命運を賭けた手だった。△6二銀型を咎める意味だが、これで勝てたら新定跡誕生である。とはいえ大事なタイトル戦なのに、性急に決着をつけにいってしまった、という感は否めない。体力的な懸念でもあったのだろうか。
余談ながら私と藤田麻衣子さんの指導対局で、私が▲2三歩~▲2三角と同様の攻めを敢行したことがある。しかしその将棋は藤田さんが△7二銀型だったため、その後の▲3二とが詰めろにならず、切らされて負けた。藤田さんとの将棋は、いつも楽しかった。
石橋の猛攻を、中井は丁寧に受ける。△4二金、△2一香、△2二歩など、さすがの指し回しだ。ほかのLPSA女流棋士なら、たちまち潰されていただろう。
△7二金と逃げ道を開け、△6一玉、△7一玉と横すべりに逃げる。そして△8三金が勝ちました、という一手。
将棋は攻めて勝つだけが能ではない。ギリギリで先手の攻めを凌ぎ、勝ちを決める。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見るようだった。
78手目△7七歩。駒を渡さずに詰めろで迫り、ここで石橋が投了。中井が天河位防衛を果たした。
石橋はキャンキャン跳ねる将棋が持ち味だが、本局、いや前局も含めて、それが空回りした感じだ。逆にいえば、それをうまく抑え込んだ中井の指し回しが見事だった、といえる。
しかしこの有様では、LPSA棋戦で中井に太刀打ちできる女流棋士は皆無である。ほかの女流棋士の奮起が待たれる。
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