藤井聡太竜王・名人は隠れた鉄道マニアで、生まれ変わったらどんな職業に就きたいか? の問いに「電車の運転手」と答えたそうだから、相当年季が入っている。私は将棋が弱いので藤井竜王・名人の話し相手にはなれないが、鉄道のほうなら、多少話を合わせられそうだ。
そこで「子どもの日」のきょうは、藤井竜王・名人に乗ってもらいたい鉄道路線を10コ推してみる。なお選択に関しては、私が乗車した路線に限定した。
第1位 JR日南線
日南線は宮崎県と鹿児島県のおもに海岸部を走る路線で、風光明媚。しかし乗客が多いのはせいぜい青島までで、そこから先は閑散区間となる。終点志布志は、かつて志布志戦と大隅線が接続していたが、国鉄末期に相次いで廃止された。同時に志布志駅構内も大幅縮小となり、ただの小駅になってしまった。駅前の舗装された大道路に鉄路があったことを思うと虚しいが、一線が残っただけでも佳しとしよう。
第2位 JR指宿枕崎線
指宿枕崎線の始発は鹿児島中央で、ここ近辺は通勤路線だが、だんだん寂しくなってくる。指宿のひとつ先、山川からは閑散区間となり、終点枕崎は本土最南端の終着駅なのだが、やはり駅前が整備され、往年の面影はない。この構図は日南線と同じだ。しかも最近は、山川以南を廃止する話すら出ている。藤井竜王・名人は指宿を訪れたことがあるが、山川以南を乗っただろうか。乗るならいまのうちである。
第3位 JR石北本線
北海道の鉄道は廃止が繰り返され、魅力のある路線が物理的に少なくなった。その中で石北本線は、本線と名が付きながら、偉大なローカル線を思わせる。白眉は生田原付近にある常紋トンネルで、全長507mのこのトンネルは、タコ部屋労働者によって掘られた。死者も100名以上いたと言われ、いわく付きの路線になっている。私たちが苦も無く列車で抜けられることを、ありがたく思わなければならない。
第4位 大井川鐡道
大井川鐡道は、大井川本線と井川線がある。大井川本線はほぼ毎日SLが走り、車両も年季が入っている。私が乗車したときは、車掌さんがハーモニカを吹いてくれた。井川線はマッチ箱のような車両になり、アプト式ラックレールで登る区間もある。崖すれすれのところを走るルートもあり、始発から終着まで楽しい路線だ。
【5月14日註:大井川本線の川根温泉笹間渡~千頭間は、2022年9月の豪雨で不通になった。2025年全通予定。】
第5位 JR只見線
只見線は2011年7月の豪雨で113.6kmが不通となった。JR北海道なら100%廃止にするところだが、JR東日本は違う。紆余曲折はあったものの、2022年10月に全線復旧した。当時は新規開通したようなよろこびだったと推察される。沿線はほぼ只見川に沿っている。会津若松側から見ると列車の左側を流れるので、座席もそちら側を取らなければならない。
第6位 JR五能線
青森県の南津軽郡と秋田県能代市を結ぶ五能線は、日本海を堪能できる路線として有名である。1990年からは客車を使用した「ノスタルジックビュートレイン」が運行された。私も乗ったことがあるが、最後尾は観覧車になっており、表に出ることができた。後にも先にも、こんなに粋な列車に乗ったことはない。
第7位 広島電鉄
路面電車は全国47都道府県のうち、17都道府県にあるらしいが、広島市電はその代表格だ。先の戦争で広島に原爆が落とされたとき、その3日後には電車が走り、市民の希望の象徴になったという。広島電鉄は本線をはじめ7つの路線を有し、総営業キロは35.1kmに及ぶ。車両も新旧を織り交ぜたうえ3両連結があったりして、見ても乗っても楽しい。
第8位 JR木次線
木次線は、亀嵩駅が松本清張の名作「砂の器」の舞台になったことで有名だ。映像化された当時から亀嵩駅は蕎麦屋を併設しており、現在はその資料が充実している。惜しむらくは発着本数が少なく、途中下車がままならないこと。また、列車が軽量化され、それはいいが、シートがロングシートになってしまった。これでは沿線風景を味わうことができず、大減点だ。
第9位 ゆいレール
かつては沖縄県にも鐡道が走っていたが、先の戦争で壊滅的な打撃を受け、すべて廃止になってしまった。しかし沖縄県は2003年、「ゆいレール」として開業した。たぶん、日本で最も歓喜した開業だったと思う。ゆいレールはモノレールだから、景色がよい。ビルの間を抜けていく感じが最高である。2019年には、首里―てだこ浦西間4.1kmが延伸開業した。
第10位 JR瀬戸大橋線
本州と四国を鉄道で行き来できる日が来るとは思わなかった。瀬戸大橋線は電車からの眺めもよく、これが普通料金で味わえるとは、ありがたいことである。津軽海峡線が新幹線でしか行けない現状から、なおのことそう思う。
藤井竜王・名人は有名になりすぎて、ふらっとひとり旅もできまい。おしのびで鉄道旅行ができることを願っている。
そこで「子どもの日」のきょうは、藤井竜王・名人に乗ってもらいたい鉄道路線を10コ推してみる。なお選択に関しては、私が乗車した路線に限定した。
第1位 JR日南線
日南線は宮崎県と鹿児島県のおもに海岸部を走る路線で、風光明媚。しかし乗客が多いのはせいぜい青島までで、そこから先は閑散区間となる。終点志布志は、かつて志布志戦と大隅線が接続していたが、国鉄末期に相次いで廃止された。同時に志布志駅構内も大幅縮小となり、ただの小駅になってしまった。駅前の舗装された大道路に鉄路があったことを思うと虚しいが、一線が残っただけでも佳しとしよう。
第2位 JR指宿枕崎線
指宿枕崎線の始発は鹿児島中央で、ここ近辺は通勤路線だが、だんだん寂しくなってくる。指宿のひとつ先、山川からは閑散区間となり、終点枕崎は本土最南端の終着駅なのだが、やはり駅前が整備され、往年の面影はない。この構図は日南線と同じだ。しかも最近は、山川以南を廃止する話すら出ている。藤井竜王・名人は指宿を訪れたことがあるが、山川以南を乗っただろうか。乗るならいまのうちである。
第3位 JR石北本線
北海道の鉄道は廃止が繰り返され、魅力のある路線が物理的に少なくなった。その中で石北本線は、本線と名が付きながら、偉大なローカル線を思わせる。白眉は生田原付近にある常紋トンネルで、全長507mのこのトンネルは、タコ部屋労働者によって掘られた。死者も100名以上いたと言われ、いわく付きの路線になっている。私たちが苦も無く列車で抜けられることを、ありがたく思わなければならない。
第4位 大井川鐡道
大井川鐡道は、大井川本線と井川線がある。大井川本線はほぼ毎日SLが走り、車両も年季が入っている。私が乗車したときは、車掌さんがハーモニカを吹いてくれた。井川線はマッチ箱のような車両になり、アプト式ラックレールで登る区間もある。崖すれすれのところを走るルートもあり、始発から終着まで楽しい路線だ。
【5月14日註:大井川本線の川根温泉笹間渡~千頭間は、2022年9月の豪雨で不通になった。2025年全通予定。】
第5位 JR只見線
只見線は2011年7月の豪雨で113.6kmが不通となった。JR北海道なら100%廃止にするところだが、JR東日本は違う。紆余曲折はあったものの、2022年10月に全線復旧した。当時は新規開通したようなよろこびだったと推察される。沿線はほぼ只見川に沿っている。会津若松側から見ると列車の左側を流れるので、座席もそちら側を取らなければならない。
第6位 JR五能線
青森県の南津軽郡と秋田県能代市を結ぶ五能線は、日本海を堪能できる路線として有名である。1990年からは客車を使用した「ノスタルジックビュートレイン」が運行された。私も乗ったことがあるが、最後尾は観覧車になっており、表に出ることができた。後にも先にも、こんなに粋な列車に乗ったことはない。
第7位 広島電鉄
路面電車は全国47都道府県のうち、17都道府県にあるらしいが、広島市電はその代表格だ。先の戦争で広島に原爆が落とされたとき、その3日後には電車が走り、市民の希望の象徴になったという。広島電鉄は本線をはじめ7つの路線を有し、総営業キロは35.1kmに及ぶ。車両も新旧を織り交ぜたうえ3両連結があったりして、見ても乗っても楽しい。
第8位 JR木次線
木次線は、亀嵩駅が松本清張の名作「砂の器」の舞台になったことで有名だ。映像化された当時から亀嵩駅は蕎麦屋を併設しており、現在はその資料が充実している。惜しむらくは発着本数が少なく、途中下車がままならないこと。また、列車が軽量化され、それはいいが、シートがロングシートになってしまった。これでは沿線風景を味わうことができず、大減点だ。
第9位 ゆいレール
かつては沖縄県にも鐡道が走っていたが、先の戦争で壊滅的な打撃を受け、すべて廃止になってしまった。しかし沖縄県は2003年、「ゆいレール」として開業した。たぶん、日本で最も歓喜した開業だったと思う。ゆいレールはモノレールだから、景色がよい。ビルの間を抜けていく感じが最高である。2019年には、首里―てだこ浦西間4.1kmが延伸開業した。
第10位 JR瀬戸大橋線
本州と四国を鉄道で行き来できる日が来るとは思わなかった。瀬戸大橋線は電車からの眺めもよく、これが普通料金で味わえるとは、ありがたいことである。津軽海峡線が新幹線でしか行けない現状から、なおのことそう思う。
藤井竜王・名人は有名になりすぎて、ふらっとひとり旅もできまい。おしのびで鉄道旅行ができることを願っている。