一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1000勝に近い棋士・3

2024-11-21 13:29:50 | 将棋雑記
2023年7月22日に「1000勝に近い棋士・2」をアップしたが、それから1年4ヶ月が経ったので、「3」をアップしよう。

森下卓九段58歳…982勝722敗→994勝747敗
森内俊之九段54歳…967勝614敗→992勝630敗
郷田真隆九段53歳…943勝614敗→980勝637敗
深浦康市九段52歳…901勝563敗→927勝585敗
久保利明九段49歳…832勝551敗→853勝574敗
渡辺明九段40歳…735勝392敗→764勝420敗
豊島将之九段34歳…583勝285敗→605勝321敗
藤井聡太竜王・名人22歳…333勝66敗→386勝79敗
◆達成微妙な棋士◆
高橋道雄九段63歳…893勝762敗→901勝790敗

まず、前回984勝だった丸山忠久九段が驚異の追い上げで、2023年12月8日に、史上10人目の公式戦1000勝を達成した。おめでとうございます。
現在1000勝にいちばん近いのは森下九段で、マジック「6」である。ただし森内九段が猛追しており、マジック「8」まで来ている。森内九段はフリークラスなので対局数は少ないが、森下九段が亀の歩みなので、これは逆転するだろう。
豊島九段は前回から22勝を上乗せしたが、36敗している。このところ不調のようである。
藤井竜王・名人は53勝を上乗せして386勝。22歳で棋士をスタートする例も多いのに、すでに386勝。この先何勝するのか想像もつかないが、おのが年齢を鑑み、途中までしか確認できないのが残念だ。
高橋九段は前回より8勝を上乗せして、900勝は達成した。
しかしここから99勝が大変だ。2022年度は7勝、2023年度は6勝、今年度は5勝なので、年間7勝ペースで計算すると、14年かかってしまう。
それと、現在高橋九段はC級2組所属だが、そこは1勝5敗。順位戦から陥落したら即引退なので、だいぶ厳しい。
現在では、阿部隆九段57歳の867勝がまだ脈があるが、ちょっと様子を見ておこう。
なお前回まで「達成微妙な棋士」に入れていた南九段だが、うっかりしたのだが、南九段は2023年度からフリークラスだった。現在851勝で1000勝達成は不可能となったので、外した。
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紫綬褒章受章者

2024-11-09 00:25:45 | 将棋雑記
この秋、渡辺明九段が「紫綬褒章」(しじゅほうしょう)を受賞した。将棋界からは16人目、40歳は最年少とのことである。
そこで調べてみると、紫綬褒章のほかに、藍綬褒章(らんじゅほうしょう)を受章している棋士がいた。この2つを合計して16人ということである。
ちなみに内閣府によると、紫綬褒章は
「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」
をいう。藍綬褒章は、
「会社経営、各種団体での活動等を通じて、産業の振興、社会福祉の増進等に優れた業績を挙げた方」
をいう。
では、16人の受賞年と、受賞時の獲得タイトル数を記してみよう。なお、肩書は当時のものとした。

木村義雄十四世名人(55)1960年秋 紫綬褒章 8期
升田幸三九段(55)1973年秋 紫綬褒章 7期
塚田正夫九段(61)1975年秋 紫綬褒章 6期
大山康晴十五世名人(56)1979年春 紫綬褒章 77期
丸田祐三九段(62)1981年秋 藍綬褒章 0期
原田泰夫八段(59)1982年秋 藍綬褒章 0期
廣津久雄九段(63)1986年春 藍綬褒章 0期
二上達也九段(60)1992年春 紫綬褒章 5期
加藤一二三九段(60)2000年春 紫綬褒章 8期
米長邦雄永世棋聖(60)2003年秋 紫綬褒章 19期
中原誠十六世名人(60)2008年春 紫綬褒章 64期
谷川浩司九段(52)2014年秋 紫綬褒章 27期
佐藤康光九段(47)2017年春 紫綬褒章 13期
森内俊之九段(47)2017年秋 紫綬褒章 12期
羽生善治竜王(48)2018年秋 紫綬褒章 99期
渡辺明九段(40)2024年秋 紫綬褒章 31期

名だたる名棋士のなかに、丸田九段、原田九段、廣津九段の名前があるのが興味深い。丸田九段は2期4年、原田九段は3期6年、連盟会長を務めた。また廣津九段も、地元静岡で長く普及に努めた。いずれも将棋界の発展に尽力しており、国もしっかり見ていると思った。
二上九段から中原十六世名人までは、還暦で受賞。木村十四世名人と升田実力制第四代名人が55歳での受賞だったのは、当時の定年が55歳だったからだろうか。
大山十五世名人は受賞当時、タイトルは77期だったが、この翌年より王将を3期獲得し、80期となった。ほかは、受賞後にタイトルを増やした棋士はいない。
こうしてみると、渡辺九段は確かに、若くしての受賞である。しかしその理由は分からない。
なお個人的には、この中に内藤國雄九段があってもよかったと思う。
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タイトル戦が遅れても

2024-11-03 23:44:26 | 将棋雑記
5日から予定されていた、第32期倉敷藤花戦の挑戦手合いは、福間香奈倉敷藤花の体調を鑑み、福間倉敷藤花の休場明け、すなわち来年2月以降に持ち越されることになった。
ここまで福間女流五冠は白玲戦、女流王将戦と不戦敗続きで、これじゃとてもキリがないと、将棋連盟も再考したようだ。
この結論に関しては賛否両論、いろいろ意見があるだろう。ただ、主催者が同意したのだから、周りがどうこう言うことではあるまい。対戦相手の伊藤沙恵女流四段は釈然としないかもしれないが、さすがに対局なしでタイトル獲得は寝覚めが悪いだろう。
来年の開催になれば、倉敷市での公開対局が復活するかもしれない。将棋ファンの前で将棋が指せるのは女流棋士冥利に尽きるだろうし、何より福間倉敷藤花と番勝負が指せるのは、これ以上ない勉強となる。個人的には、熱い記譜が紡がれるのは、いいことだと思う。
なお、倉敷藤花戦は山陰新聞等に観戦記があるが、当然ながら、掲載時期が遅れても問題なし、の判断である。
ちなみに、現在新聞の観戦記があるのは、スポーツ報知の女流名人戦、この倉敷藤花戦。それと女流王座戦、女流王位戦の挑戦手合いは、日本経済新聞と東京新聞等に掲載される。
仮に今回と同様の事態になった場合、女流名人戦はちょっと、掲載に支障が生じる。しかし女流王座戦と女流王位戦は、王座戦と王位戦の掲載を続ければいいので、問題はない。
観戦記の話は抜きにして、純粋に挑戦手合いが3ヶ月くらい遅れたと仮定する。その戦いに勝ったほうはタイトル保持者になるから、次期の登場に問題はない。問題は負けたほうで、それが次期の戦いにどう影響を及ぼすかである。
初戦はどの位置からになるのか、棋戦ごとに記してみよう。

白玲戦・女流順位戦…A級
清麗戦…予選2回戦
マイナビ女子オープン…本戦1回戦
女流王座戦…本戦1回戦
女流名人戦…女流名人リーグ
女流王位戦…挑戦者決定リーグ
女流王将戦…本戦1回戦
倉敷藤花戦…トーナメント2回戦

明らかに余裕があるのは、予選に参加しなくて済む、マイナビ女子オープン、女流王座戦、女流名人戦、女流王位戦、女流王将戦だ。
大変なのは残り3棋戦で、白玲戦は、女流順位戦をみなと一緒に指さなければならない。
清麗戦も、みなと一緒に予選を指す。しかも2回戦からなので、長期で休むことはできない。
倉敷藤花戦もほぼ同様で、トーナメント戦の2回戦から出場となる。
この3棋戦の対処法としては、女流順位戦はあとでまとめて指す。
また清麗戦と倉敷藤花戦は、なるべく対局時期を遅らせる。それしかない。
いずれにしても、女流棋士はこれからも、気兼ねなく妊娠休場すればよい。予選の不戦敗は受けてもらわねばならないが、タイトル戦のスケジュールは、何とかなる。
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福間女流五冠の不戦敗つづく

2024-10-30 23:45:31 | 将棋雑記
最近ビックリしたのはやはり、福間香奈女流五冠の「アレ」だ。
26日に行われる予定だった第4期白玲戦第6局に、福間女流五冠が体調不良を訴え、不戦敗になった。
これで西山朋佳白玲は2勝2敗2不戦勝となり、白玲防衛が決まった。しかし女流棋界最高の公式戦とは裏腹の衝撃の結末で、私はぽかんと呆けてしまった。
この23日には第14期女流王座戦第1局があったが、福間女流王座は元気に?対局に臨み、西山女流三冠に快勝していた。だがやはり、福間女流五冠の容態は安定していなかったのだ。
これに複雑な思いだったのが当の西山白玲だった。自身の病気は延期の措置になったのに、妊娠による体調不良は延期不可では、同性として割り切れないものがあっただろう。
西山白玲は旧Twitterに、主催者ならびに関係者、対局場を細かく挙げ、深く感謝の意を表した。これが西山白玲にできる精一杯の誠意であった。
ところが話はそれで終わらない。その3日後の29日、福間女流五冠は、第46期女流王将戦第3局でも体調不良で対局回避となり、西山女流王将が1敗2不戦勝で防衛となった。しかも通算5期でクイーン王将を獲得というオマケ付きである。
白玲戦は一応2勝していたからアレだが、女流王将戦は初戦に負けている。一回も勝ってないのにクイーン王将獲得とは、これまた西山女流王将、複雑な思いであっただろう。
なお白玲防衛のとき、「不戦勝でタイトルの行方が決まったのは女流棋界初」と書いたメディアがあったが、男性棋戦を含めても「初」ではないのか? むかし升田幸三八段が香落ちの将棋をボイコットするなどがあったが、あれはタイトルの行方が決まったあとのことだった。だから私には、記事の意味がよく分からなかった。
話を戻し、この有様では、福間女流五冠の今後が心配だ。さしあたっては。あさって11月1日には早くも、第5期白玲戦のA級1回戦が行われるのだ。だけどもう、福間女流五冠は対局できる体調にないのではないか。このまま休場してしまうのではないか?
仮に前倒しで休場したとして、白玲戦はリーグ戦だから、主催者は不戦にせず、延期扱いにすると思う。
問題は11月5日から始まる、第32期倉敷藤花戦の挑戦手合いだ。
今期の挑戦者は伊藤沙恵女流四段である。伊藤女流四段は挑戦者決定戦でも室谷由紀女流三段の妊娠休場につき不戦勝になっていた。よって、挑戦者決定戦→三番勝負と、不戦でタイトルを獲るという前代未聞の珍記録となる。
ちなみに倉敷市長はおなじみ、伊東香織さんである。おなじ「いとう」姓で、いいではないか。
そうしたら伊藤女流四段は、39年前の谷川浩司新名人ではないが、「倉敷藤花を1年間預からせていただきます」とでも述べるのだろうか。
という冗談はさておき、本当にタイトル戦が行われなかったら、倉敷藤花戦は地方新聞に観戦記が載るから、やはり実戦譜は欲しいところである。
そこでウルトラCがある。福間女流五冠のご主人に登場していただき、伊藤女流四段とエキシビジョンマッチを行うのはどうだろう。
ご主人・福間健太さんは元奨励会三段で、第55回リーグ戦では、13勝2敗で最後の3戦を残し「マジック1」だった。ところが福間三段はその3局に全敗し、大魚を逸したのだった。
つまり氏の実力はほぼ四段で、その後に参戦したアマ棋戦でも好成績を残しているから、伊藤女流四段とは当然、互角以上の好勝負を保証できる。
とにかく、福間女流五冠は体調第一に考えたほうがいい。タイトル戦は逃げないから、また取りに行けばいいのだ。
そして西山女流三冠は堂々と、タイトルをこのままもらえばいい。おめでとうございます。
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2024年度上半期・私が勝手に選ぶ、驚愕の一手

2024-10-29 00:18:45 | 将棋雑記
半期に一度の企画「2024年度上半期・私が勝手に選ぶ驚愕の一手」を、今月上旬に発表するのを忘れていた。それで、約1ヶ月遅れで発表する。
今回選んだのは、上半期最終日の9月30日に京都市で指された、第72期王座戦第3局(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)・▲永瀬拓矢九段VS△藤井聡太王座戦である。
ここまで藤井王座の2連勝。後がない永瀬九段は角換わりを志向し、いつもの形になった。
そこから永瀬九段がうまく指し、大優勢になった。思えば前期の第4局もここで行われ、永瀬王座(当時)が必勝形になりながら、終盤の落手で歴史的逆転負けを食らったのだった。
ちなみに、この将棋が指されたのが昨年10月11日だったので、私は永瀬王座のこの落手を、「2023年度下半期・驚愕の一手」に選んだのだった。
さて本局、この局面まで来たらもう永瀬九段は負けられないが、藤井王座の受けも見ものである。藤井王座といえばAIばりの終盤が代名詞だが、実は大山康晴十五世名人ばりの受けにも目を見張るものがある。勝率8割を実現するには負け将棋も勝たねばならず、それには強靭な受けと、強烈な勝負手が必須となるのだ。
藤井王座はふらふらと玉を逃げ、一手すいたところで、渾身の香を打った。

△9六香! ふつう、香は下段から打つものだが、ここではあえて近づけて打った。そこで永瀬九段が1分将棋の中、▲9七歩と打ったのがマズかった。
その前まで後手玉は簡単な詰めろだったが、それは9筋に歩を打つ手があったからである。利き数の少ない端は、歩の叩きが銀に近い働きをすることがある。▲9七歩を打つ前、永瀬九段の持駒は「金銀歩5」だったが、実戦的には「金銀銀歩4」の感じだった。
だが9筋に歩を打ってしまっては、持駒は「金銀」のみとなる。これでも後手玉は詰みそうだが、ギリギリ逃れている。これが△9六香の効果で、玉が9五まで逃げられるのだ!
本譜はそこで△7八銀。これに▲8八金打の変化がよく分からないが、それでは先手負けなのだろう。
よって永瀬九段は詰ましにかったがもちろん詰まず、無念の投了となった。
戻って図では、▲9七桂と跳ねて先手が勝ちだったらしい。だがこの手は△同香成と取られて王手が続きそうだし、8九の地点も開く。人間的には、歩でガードしたくなるところである。大山十五世名人は、「人間は間違える」の信念のもと指し手を進めたが、藤井王座にもそれが垣間見えることがある。それが△9六香だった。
藤井王座が掘った、恐るべき落とし穴であった。
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