一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

山下奨励会三段、殊勲の勝利

2025-03-01 23:36:57 | 将棋雑記
きょう3月1日は、私が高校を卒業した日である。私は担任の先生に推され「卒業アルバム委員」になったのだが、女子のアルバム委員が怠惰だったのをいいことに、自分の好きなように編集してしまった。
卒業式当日に完成されたアルバムを見て、あまりのおのがエゴに、心底自分がイヤになった。でけど、完成してしまったアルバムは、もう訂正ができない。印刷物の恐ろしさがここにあるのだ。
毎年3月1日が来ると、私はいつも憂鬱になるのだ。

   ◇

2月27日に第83期A級順位戦最終戦が行われたが、その同じ日、関西将棋会館では、第38期竜王戦5組2回戦・藤本渚五段VS山下数毅奨励会三段戦が行われていた。
山下三段については、もはや説明の要もあるまい。山下三段は前期竜王戦6組に奨励会枠で出場し連戦連勝。決勝で藤本五段とまみえ、それに勝てばランキング戦優勝の特典で四段昇段への昇段点1が付き、四段昇段になるところだった。
結果は惜しくも敗れたが5組昇級は果たしていたので、今期は5組での出場となったのだった。
6組から昇級できないプロもいる中、ワンチャンスを活かして昇級を果たした山下三段は賞賛されるべきだし、5組での期待も大きい。将棋ファンは、つねに新たなヒーローを求めるのである。
そして今期の1回戦は、井上慶太九段に不戦勝。この2回戦が今期の初対局となったわけだった。
しかし相手は難敵の藤本五段。昨年度の成績は51勝9敗の勝率.850。今年度もここまで33勝13廃の勝率7割越えである。藤井聡太竜王がいなかったら有力なタイトル保持者候補で、これは山下三段、さすがに相手が悪いと思われた。
将棋は相居飛車となったが、中盤の折衝では藤本五段がよかったらしい。らしい、というのはプロの目から見たら藤本五段が優勢という話で、私の目ではどちらが優勢かまったく分からなかった。
しかし山下三段はよく頑張り、藤本五段に逆転勝ちした。
いやはや、これは大変なことになった。優勝候補の藤本五段を破ったのだから、もはや敵なし。今後誰と当たっても勝ちそうではないか。
そしてあと2勝で4組昇級、「3勝して優勝すれば昇段点1が付加され、四段となる」。「」内は私の推測だが、6組優勝で昇段点1なのだから、5組優勝だって付くだろう。
だがこれは勝ちまくればの話で、次に負けると、話がややこしくなる。まず6組は、女流棋士、奨励会員、アマが途中で負けた場合、昇級者決定戦には出られない。
では5組はどうなのか。(負けたら)昇級者決定戦で戦う、と記したネット記事もあったが、はっきりしない。
そしてそれがなかった場合、山下三段の今期竜王戦は終了となるのだが、5組の在籍も不可、という話もあるのだ。
この措置はあんまりなので、次期竜王戦は6組で出場するだろう、という話もあるが、5組で2回勝っているのに次期は6組、というのもおかしな話である。
そしてもうひとつ、問題があった。
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27日はA級順位戦最終局!!

2025-02-27 00:12:02 | 将棋雑記
第83期A級順位戦の最終戦が、27日に静岡市「浮月楼」で行われる。ここまで稲葉陽八段の降級は決まっているが、名人挑戦はプレーオフの可能性もあり、そこそこ「将棋界のいちばん長い日」になったといえる。
それぞれの対戦相手は次の通り。

⑥佐藤天彦九段(6勝2敗)VS⑦佐々木勇気八段(4勝4敗)
②永瀬拓矢九段(5勝3敗)VS⑩増田康宏八段(5勝3敗)
①豊島将之九段(3勝5敗)VS⑨千田翔太八段(4勝4敗)
③渡辺明九段(4勝4敗)VS④菅井竜也八段(3勝5敗)
⑤稲葉陽八段(2勝6敗)VS⑧中村太地八段(4勝4敗)

6勝の佐藤九段が勝てば名人挑戦。負けた場合、永瀬九段VS増田八段の勝者と、プレーオフとなる。
降級は、残り1席を巡る争いとなる。3勝4位の菅井八段は、負けると降級決定。勝つと、豊島九段VS千田八段の敗者が降級となる。
それぞれの、勝った場合と負けた場合の順位は次の通り。

⑥佐藤九段(名人挑戦~2位)
②永瀬九段(名人挑戦~3位)
⑩増田八段(名人挑戦~7位)
③渡辺九段(3位~7位)
⑦佐々木八段(3位~8位)
⑧中村八段(3位~8位)
⑨千田八段(3位~9位)
①豊島九段(4位~9位)
④菅井八段(5位~9位)
⑤稲葉八段(10位~10位)▲降級

順位にまったく関係ないのは、稲葉八段のみ。これは甚だ異例で、ふつうは勝つと負けるとで、順位数枚分の違いがある。
ともあれ将棋ファン注目の順位戦A級が指せるのは、棋士冥利に尽きる。熱戦を期待しています。
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藤井七冠、八冠復帰はおあずけ

2025-02-26 13:48:32 | 将棋雑記
きのう25日は、第10期叡王戦本戦トーナメント準決勝・藤井聡太竜王・名人VS糸谷哲郎八段の一戦があった。再度の八冠王を目指す藤井竜王・名人にとっては、文字通り負けられぬ一戦である。
しかもここまでの藤井VS糸谷戦は、藤井竜王・名人の8戦全勝。藤井竜王・名人にとっては、トップクラスの棋士の中でも、与しやすい相手であろう。ただ藤井ファンからすれば、いままで勝ちすぎているからこそ、そろそろ負けてしまうのではないか、という不安もあるのではないか。
そして結果を先に書けば、藤井竜王・名人はこの将棋に負けた。
別にタイトルを取られたわけでなし、七冠王にとってこの1敗は痛くないが、上述のとおり、八冠王への復帰がおあずけになったのと、タイトル戦連続出場が「19」で止まったのが痛い。大山康晴十五世名人の「50」はもちろん、羽生善治九段の「23」にも届かなかった。ちなみに叡王戦でリターンマッチを果たしていれば、その時点で秋の竜王戦までのタイトル戦出場が約束され、記録が「25」まで伸びていた。
叡王戦は本戦トーナメント4連勝で挑戦者になれるが、リーグ戦と違い1敗もできない。大山十五世名人、羽生九段も、このパターンで連続出場の記録が切れた。
話を巻き戻し、本局は藤井竜王・名人の先手で、横歩取りになった。この戦法は後手が誘導できるもの。過去の将棋は知らないが、先手の藤井竜王・名人相手に角換わりは得策ではないから、糸谷八段がこの戦法を採用したのは腑に落ちる。
ちなみにこの将棋はABEMAが有料で配信していたので内容は分からないが、終局後の感想を聞くと、藤井維竜王・名人が早い段階で悪手を指してしまったらしい。
とするならば、当然糸谷八段は自分の有利を感じ取っていただろう。そしていったん形勢が良くなれば、いつも以上に思い切り行くのが糸谷流。そのままものすごい勢いで、押し切ったようだった。
糸谷八段は待望の藤井戦初勝利で、これでいままでの連敗がチャラになった。
敗れた藤井竜王・名人は、「また実力を高めて来期のトーナメントに臨めるように取り組んでいきたい」と述べたようだ。
ここから八冠王を目指すには、現在進行中の王将戦、棋王戦を防衛し、名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦をすべて防衛し、叡王戦の挑戦者になり、奪取しなければならない。
さらにタイトル戦の連続出場「51」を達成するには、4月の名人戦から始めて6年半かかる。もう気が遠くなりそうだが、藤井竜王・名人ならそれを達成する可能性がある。
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第96期棋聖戦本戦トーナメント表を見て

2025-02-21 23:29:57 | 将棋雑記
第96期棋聖戦(主催:日本将棋連盟、産経新聞社)の本戦トーナメント表が発表された。ではちょっと、雑感を記してみよう。

佐藤天彦九段VS高崎一生七段
羽生善治九段VS服部慎一郎七段
大橋貴洸七段VS八代弥七段
三浦弘行九段VS永瀬拓矢九段
佐々木大地七段VS斎藤慎太郎八段
木村一基九段VS西田拓也五段
及川拓馬七段VS澤田真吾七段
杉本和陽五段VS山崎隆之九段

本戦シードは、前期ベスト4の山崎九段、佐藤九段、永瀬九段。佐々木七段。
前期挑戦者決定戦に進出した佐藤九段は、高崎七段と。
高崎七段は順位戦B級2組で連続降級点を取り、今期はすでにC級1組への降級が決定している。
だが棋聖戦はよく頑張り、本戦入りを果たした。二次予選決勝で渡辺明九段に不戦勝したのが大きかった。このツキは活かしたいところだ。
永世棋聖の羽生九段は、いま話題の服部七段と。服部七段が年度最高勝率を更新するには、今年度はもう、一敗もできない。熱い戦いが期待される。
大橋七段は藤井聡太棋聖に4勝2敗で勝ち越している。大橋七段がタイトル戦に出れば面白いが、まだ先は長い。
初戦相手の八代七段は、順位戦C級2組ながら竜王戦は1組という実力者。今期棋聖戦は一次予選から6連勝で勝ち上がってきた。このカードも熱い戦いが期待される。
三浦九段は元棋聖。永瀬九段も棋聖戦には相性がよく、2回タイトル戦に登場している。
佐々木七段は斎藤八段と。佐々木七段は順位戦C級2組ながら、第94期では挑戦者になっている。藤井棋聖とタイトル戦を戦った数少ないひとりだ。
斎藤八段は2年連続名人戦に登場したが、前期順位戦はA級から降級するなど、パッとしていない。叡王戦かこの棋聖戦で、タイトル戦に出たいところだ。
木村九段は、先ごろの王将戦リーグで活躍した西田五段と。西田五段の振り飛車に、木村九段がどんな急戦策を見せるか。将棋の内容そのものに注目している。
「初段の常識手筋」の及川七段は、実力A級の澤田七段と。澤田七段はオールラウンドプレイヤーなので、戦型の予想がつかない。この将棋も注目している。
杉本五段は、前期挑戦者の山崎九段と。杉本五段は振り飛車党なので、居飛車党相手には、必ずどこかに振る。
対して山崎九段の作戦は注目される。山崎九段だからふつうの囲いにはしないはずで、その独創的構想を楽しみたい。
なかなか個性的な16名が揃ったが、個人的には、佐藤九段に勝ち進んでもらいたい。羽生九段の登場でもいい。
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中女流三段、敗れる

2025-02-20 15:44:10 | 将棋雑記
きょうかなりびっくりしたことは、19日に指された第50期女流名人戦予選(主催:日本将棋連盟。報知新聞社)で、磯谷祐維女流初段が中七海女流三段に勝ったことだ。
女流初段が女流三段に勝つのは珍しくもなんともないが、中女流三段の場合は「中身」が異なる。中女流三段は昨年9月まで奨励会三段。福間香奈女流五冠や西山朋佳女流三冠に勝るとも劣らない棋力の持ち主である。果たして11月の女流棋士デビュー後は勝ちを重ね、現在6連勝中だった。
その中女流三段に磯谷女流初段が勝った。どういう将棋だったのだろう。
将棋は中女流三段の四間飛車。対振り飛車にどんな作戦を採るかが居飛車の腕の見せどころだが、磯谷女流初段のそれは右桂を跳ね、右金を△7二金と上がる力戦形だった。
中女流三段は▲6五歩と突き、角交換辞さずの構え。実際交換になったが、以後の進行は中女流三段に分があったようで、優位を築く。
しかし局面は乱戦で、どこが急所か分からない。これは磯谷女流初段にも勝機があることを意味する。
そこで中女流三段は▲7六角。間接的に4三に利かしたもので、以下も桂、香と4三に利かして打つ。
しかしこの構想が疑問だったようで、磯谷女流三段が優位に立った。
といっても後手玉は中段におびき出され、とても生きた心地がしない。アマでは勝ち切れない局面である。
だが磯谷女流初段はよく指し、勝った。これは殊勲の銀星。いや、金星というべきだろう。
とはいえ磯谷女流初段も本局前まで今年度、18勝6敗だった。磯谷女流初段もまた、強かったわけだ。
それにしても、女流棋士のレベルは高い。磯谷女流初段にしても、女流棋士2年目とはいえ、女流順位戦はD級である。女流棋士全体にレベルアップされているのを感じた。
いっぽう中女流三段も、女流棋界の洗礼を浴びたが、これから対局はいくらでも付く。頑張って、福間女流五冠と西山女流三冠の牙城を崩してもらいたい。
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