一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

川上七段の順位戦復帰の目を考えるSeason2(3)・またもおあずけ

2020-07-31 00:37:11 | 目を考える
フリークラス脱出を目指す川上猛七段は、あと1勝でそれが叶う。
きのう30日は第92期棋聖戦一次予選で北島忠雄七段との対局だったが、残念ながら敗れた。
では、戦績を見ていこう。

■2019年度
6月3日 第32期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦2回戦 ○窪田義行七段
6月27日 第5期叡王戦七段戦予選1回戦 ○大石直嗣七段
6月27日 第5期叡王戦七段戦予選2回戦 ●有森浩三七段
7月1日 第32期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦3回戦 ○竹内雄悟五段
7月か8月 第28期銀河戦予選 ○室岡克彦七段
7月か8月 第28期銀河戦予選 ●野月浩貴八段
8月8日 第32期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦4回戦 ●田村康介七段
8月29日 第13回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○勝又清和六段
8月29日 第13回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ○横山泰明七段
9月26日 第13回朝日杯将棋オープン戦一次予選3回戦 ○伊藤真吾五段
10月4日 第68期王座戦一次予選1回戦 ○室岡克彦七段
10月8日 第61期王位戦予選1回戦 ○山本博志四段
10月24日 第68期王座戦一次予選2回戦 ●遠山雄亮六段
10月28日 第61期王位戦予選2回戦 ○田村康介七段
10月31日 第13回朝日杯将棋オープン戦一次予選決勝 ●佐々木大地五段
11月25日 第61期王位戦予選3回戦 ○及川拓馬六段
12月25日 第61期王位戦予選4回戦 ●丸山忠久九段
1月7日 第33期竜王戦ランキング戦5組1回戦 ●金井恒太六段
1月17日 第46期棋王戦予選1回戦 ●室岡克彦七段
1月31日 第70期王将戦一次予選1回戦 ○及川拓馬六段
2月17日 第70回NHK杯トーナメント戦予選1回戦 ○中田宏樹八段
2月17日 第70回NHK杯トーナメント戦予選2回戦 ○井出隼平四段
2月17日 第70回NHK杯トーナメント戦予選決勝 ○杉本和陽四段
3月10日 第33期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦1回戦 ○瀬川晶司六段
3月25日 第70期王将戦一次予選2回戦 ●中座真七段
3月30日 第33期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦2回戦 ●窪田義行七段
■2020年度
6月1日 第92期棋聖戦一次予選1回戦 ○渡辺正和五段
6月1日 第92期棋聖戦一次予選2回戦 ○高橋道雄九段
6月or7月 第70回NHK杯トーナメント本戦1回戦 ●増田康宏六段
7月17日 第14回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○上野裕和六段
7月17日 第14回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ○長岡裕也五段
7月30日 第92期棋聖戦一次予選3回戦 ●北島忠雄七段
(20勝12敗)

川上七段は3月にも二番連続でフリークラス脱出の一番があったが、連敗して長蛇を逸している。その2局も本局も、勝てない相手ではなかったと思うのだが、勝てない。何だろう。勝負の一番になると、緊張して手が伸びなくなるのだろうか。しかし相手もまた、会心の一局、みたいなのを指すのである。まったく噛み合わない。
ちなみに北島七段は、午後に行われた一次予選決勝で、西山朋佳女流三冠に敗れた。なんだかなー、という感じである。

フリークラス脱出の規定は、現状「良い所取りの30局以上で勝率.650以上」のみが該当となる。
よって今後は
・3連勝→23勝12敗.657
・4勝1敗→20勝10敗.667
を目標とすることになる。しかし、また道のりが長くなった。
今後の対局予定は、

第14回朝日杯将棋オープン戦一次予選3回戦 中村太地七段
第29期銀河戦予選
第62期王位戦予選

となる。とにかく、勝っていくよりない。
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今日30日は、川上七段VS北島七段!!

2020-07-30 00:45:49 | 男性棋士
日付変わって今日30日は、北島忠雄七段対川上猛七段の一戦がある。
現在フリークラスの川上七段は直近31局を「20勝11敗」。すなわち、順位戦復帰まであと1勝となっている。
では、北島七段との対戦成績を確認しておこう(○●は川上七段から見たもの)。

1997年9月1日 第69期棋聖戦一次予選決勝 ●
2005年9月27日 第47期王位戦予選2回戦 ○
2005年11月25日 第14期銀河戦4回戦 ●
2013年2月27日 第63回NHK杯戦予選1回戦 ●
2014年10月22日 第63期王座戦一次予選2回戦 ●
2015年2月24日 第65回NHK杯戦予選1回戦 ○
2015年7月か8月 第24期銀河戦予選決勝 ○

ここまで川上七段の3勝4敗。前局は5年前だしほとんど参考にならないが、要するにいい勝負である。バリバリの若手よりは指しやすいと思う。
本局は、今年の3月に続いて、3度目の復帰のチャンスである。世間は藤井聡太フィーバーで沸いているが、こっちだって人生を賭けた大勝負である。川上七段には、悔いのない将棋を指してもらいたい。
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三浦春馬氏の件

2020-07-29 12:36:52 | プライベート
いまさらだが、三浦春馬の件である。
私が三浦春馬をテレビで初めて見たのは、三谷幸喜の大ヒット作「古畑任三郎」の中学生最初の事件を描いた「古畑中学生」である。……と思って念のため調べたら、2008年放送のそれは、三浦春馬ではなく、Hey!Say!JUMPの山田涼介だった。山田涼介といえば「金田一少年の事件簿」というイメージがあるが、とにかく記憶がすり替わっていた。
そんなわけで三浦春馬をいつ認識したのかは覚えてないが、似たような時期だったと思う。彼はもちろん容姿端麗で、これから彼のような男が21世紀の芸能界を担っていくのだと思ったものだ。
それが突然の訃報である。7月18日、ネットを見ていたら「三浦春馬死亡」の文面が掲げられ、私は訳が分からなかった。この日は1年前に京アニの放火事件が起こった日であり、私が乱心して会社を辞めた日でもあった。
三浦春馬は港区のベイエリアのマンションで、自殺していたという。先崎学九段の鬱の時も書いたが、人生順風満帆に見えても、その内情は分からない。
だけど、である。三浦春馬は日本のそれも東京に住み、人気俳優として活躍していた。これは日本人の大多数が憧れる状況ではなかろうか。おカネも溜まっていたはずで、女性にも不自由しなかったはずだ。それを、どうして自殺しなければならないのか。
これが、落ち目の俳優なら分からんでもない。仕事がない時の大変さは尋常ではないからだ。だが彼は今も連続ドラマの撮影中で、最近は歌手デビューも果たしていたという。どう見ても人生バラ色で、そのどこに不満があるというのだ。
週刊誌等を読むと、お母さんとの確執とか、仕事上の悩みがあったらしい。だがそれが自殺する理由にはならないだろう。物理的には、本人は高層マンション住まいなのだから、訪ねてきたって追い返してしまえばいい。じゃあ仕事上の悩みか? だけどそれは、誰でも抱えているものだ。そのたびに自殺してたんじゃ、命がいくつあっても足りない。
最も分からないのは、彼が30歳とまだ若いことだ。これが齢50をとうに過ぎて独身、仕事なし、頭は禿げあがり貯金も底をつき、「ああぁ、若いころに嫁探しに本腰を入れるべきだった。なんで26年前のあの時、夏子さんに……」となっては後悔しても遅いが、三浦春馬の年齢なら、すべてにやり直しが利く。仮に(仮にですよ)女性に振られたとしても、今後の仕事で彼女を見返すこともできるし―芸能界の仕事は、それを間接的にアピールできるのが大きい―、その結果、すべてを取り返すことができるかもしれないのだ。つまり、自殺が早計すぎるのだ。信頼できる友人がいなかった? いやそれはないだろう。気の置けない友人の2人や3人はいるだろう。どうして相談しなかったのだろう? 解決策は見いだせなくても、ヒトは悩みを打ち明けるだけで、心の負担が軽くなるものだ。
結局、今回の自殺の原因が、私にはまったく分からない。実は巧妙な殺人事件なのではあるまいか?とも勘繰ってしまう。
いずれにしても、今年最大のミステリーとなった。

いま三浦春馬はどこにいるのだろう。天国か地獄か。いまごろあの世で冷静になり、なんで首を吊ってしまったのだろうと、後悔しているのではないか?
だけどもうダメだ。どんなに後悔したって、肉体はこの世には戻ってこられない。

いま精神的に苦しんでいる人は、誰でもいいから周りに相談するべきだ。いまはコロナ禍で行動も制限されているが、ケータイでもリモートでも、手段はいっぱいある。
絶対に早まってはいけない。
とまあ、これは半分、自分に言い聞かせているのだが。
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ストレート負け

2020-07-28 00:39:32 | データ
やや前の話になるが、9日の第91期棋聖戦第3局のとき、「渡辺明三冠は、タイトル戦でのストレート負けがない」という話題になった。渡辺三冠はその棋聖戦まで、タイトル戦登場35回。猛者ばかりが相手のタイトル戦において、「ストレート負けなし」は隠れた偉業だと思う。
そこで今日は、超一流棋士のストレート負けを記してみる。なおここでいう「超一流棋士」は、9日の記事に登場した16名である。


1956年 第5期王将戦 大山康晴王将 ●●● 升田幸三八段
1970年 第17期棋聖戦 大山康晴棋聖 ●●● 中原誠十段
1973年 第22期王将戦 大山康晴王将 ●●●● 中原誠名人
1975年 第14期十段戦 大山康晴棋聖 ●●●● 中原誠十段
1983年 第8期棋王戦 大山康晴十五世名人 ●●● 米長邦雄棋王
1990年 第15期棋王戦 大山康晴十五世名人 ●●● 南芳一棋王

1962年 第11期王将戦 加藤一二三八段 ●●● 大山康晴王将
1973年 第32期名人戦 加藤一二三八段 ●●●● 中原誠名人
1981年 第39期棋聖戦 加藤一二三十段 ●●● 二上達也棋聖
1985年 第26期王位戦 加藤一二三王位 ●●●● 高橋道雄六段

1968年 第27期名人戦 升田幸三九段 ●●●● 大山康晴名人

1974年 第25期棋聖戦 米長邦雄八段 ●●● 大山康晴棋聖
1980年 第21期王位戦 米長邦雄王位 ●●●● 中原誠名人
1986年 第27期王位戦 米長邦雄十段 ●●●● 高橋道雄王位
1988年 第1期竜王戦 米長邦雄九段 ●●●● 島朗六段
1989年 第47期名人戦 米長邦雄九段 ●●●● 谷川浩司名人

1978年 第3期棋王戦 中原誠名人 ●●● 加藤一二三棋王
1981年 第38期棋聖戦 中原誠名人 ●●● 二上達也棋聖
1993年 第51期名人戦 中原誠名人 ●●●● 米長邦雄九段

1984年 第44期棋聖戦 谷川浩司名人 ●●● 米長邦雄棋聖
1994年 第42期王座戦 谷川浩司王将 ●●● 羽生善治王座
1996年 第45期王将戦 谷川浩司王将 ●●●● 羽生善治竜王・名人
1997年 第46期王将戦 谷川浩司竜王 ●●●● 羽生善治王将
1998年 第11期竜王戦 谷川浩司竜王 ●●●● 藤井猛七段
1999年 第40期王位戦 谷川浩司棋聖 ●●●● 羽生善治王位
2005年 第30期棋王戦 谷川浩司棋王 ●●● 羽生善治三冠

1999年 第24期棋王戦 佐藤康光名人 ●●● 羽生善治棋王
2000年 第49期王将戦 佐藤康光名人 ●●●● 羽生善治王将
2002年 第50期王座戦 佐藤康光王将 ●●● 羽生善治王座
2003年 第52期王将戦 佐藤康光王将 ●●●● 羽生善治竜王
2005年 第53期王座戦 佐藤康光棋聖 千●●● 羽生善治王座
2006年 第54期王座戦 佐藤康光棋聖 ●●● 羽生善治王座

2002年 第60期名人戦 丸山忠久名人 ●●●● 森内俊之八段
2003年 第74期棋聖戦 丸山忠久棋王 ●●● 佐藤康光棋聖

2003年 第61期名人戦 森内俊之名人 ●●●千● 羽生善治竜王
2005年 第74期棋聖戦 森内俊之名人 ●千●● 佐藤康光棋聖
2005年 第54期王将戦 森内俊之王将 ●●●● 羽生善治二冠
2009年 第22期竜王戦 森内俊之九段 ●●●● 渡辺明竜王
2014年 第72期名人戦 森内俊之名人 ●●●● 羽生善治三冠
2014年 第85期棋聖戦 森内俊之竜王 ●●● 羽生善治棋聖

2003年 第16期竜王戦 羽生善治竜王 ●●●● 森内俊之九段
2011年 第59期王座戦 羽生善治王座 ●●● 渡辺明竜王
2015年 第40期棋王戦 羽生善治名人 ●●● 渡辺明棋王

2010年 第58期王座戦 藤井猛九段 ●●● 羽生善治王座

2019年 第77期名人戦 佐藤天彦名人 ●●●● 豊島将之二冠

以上45回。そのうちタイトル失冠は17回。17回のうち14回は、「超一流棋士」による奪取である。

1956年の第5期王将戦は、大山王将が升田八段に3連敗し、タイトル失冠。のみならず、次の香落ち戦も敗れるという大事件となった。
1973年の第22期王将戦は、大山王将が中原名人(四冠)にストレートで敗れ無冠対全冠となり、くっきり明暗が分かれた。

升田九段は1968年・第27期名人戦で、唯一のストレート負けを喫している。

1978年の第3期棋王戦は中原名人が棋王戦初登場。中原名人は当時五冠王。相手は相性のいい加藤棋王で、誰もが六冠王の誕生を予想していた。だが加藤棋王の中飛車破りが冴え、中原名人は自身初のストレート負けを喫した。
中原十六世名人は1993年・第51期名人戦で米長九段に敗れた。名人戦において、名人のストレート負けはこれが初めてだった。

谷川九段はストレート負けが7回あるが、うち5回が対羽生九段である。1995年の第44期王将戦では羽生六冠を挑戦者に迎えたが、4勝3敗で薄氷の防衛とした。
ところが羽生六冠はひとつもタイトルを減らさず、翌期リターンマッチしてきた。結果は谷川王将のストレート負けで、羽生七冠が誕生した。無冠と全冠。1973年の再現となった。
なお谷川九段は翌期リターンマッチしたが、またもストレート負け。この2年の8連敗は痛すぎた。

佐藤康光九段はストレート負けが6回。相手はすべて羽生九段である。谷川九段にもいえるが、「羽生善治」は目の上のタンコブであった。

森内九段も羽生九段にストレート負けを4回喰らっている。それなのに永世名人獲得は森内九段のほうが早かった。将棋の歴史上、七不思議のトップに来るのは森内「十八世名人」と思う。

その羽生九段もストレート負けが3回ある。だが、上記メンバー相手のストレート勝ちは16回もある。これ以外もストレート勝ちを20回達成している。つまりタイトル99期中、ストレート勝ちが36回ということだ。
鬼だ。

こう書いていくとストレート負けしたほうは弱いみたいだが、タイトル戦で戦っている時点で、その対局者は強いのだ。言い換えれば、ほんの少しの何かの差で、スコアが大きく開いてしまう。それもタイトル戦の恐ろしさである。
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佐藤大五郎八段の詰将棋

2020-07-27 00:13:06 | 将棋雑記
第70回NHK杯は、コロナ禍で休止していたぶんを夜中に放送することでしのぐようだ。25日深夜に畠山鎮八段VS長谷部浩平四段の一戦があるのは承知していたが、24日深夜に郷田昌隆九段VS青嶋未来六段戦があるのをうっかりした。
まさか連チャンで放送するとは思わず、見損ねた……。

   ◇

私が親に初めて買ってもらった将棋の本は、佐藤大五郎八段著「やさしい詰将棋」(日本文芸社・650円)である。3手詰と5手詰が各50問掲載されており、それぞれに詳細なヒントが載っていた。でも「ヒントは言わぬが花です」なんて一文もあったと思う。
この時のエピソードは以前も記したが、当日は両親とどこかへ遊びに行き、その道すがら解いた。はじめは難しく感じたが、大駒を捨てる、というコツを覚えて、スラスラ解けるようになった。
ところがある5手詰で詰まってしまった。たまらず答えを見ると、何と盤上の金を取って詰ましたのだ。そんなのアリか?
「そりゃそうさ」とオヤジは言った。言われてみればルールは指し将棋と同じだから、取る手もあるのだ。
私は中学のクラスメートに、この本の3手詰を出してみた。答えを知っている私には簡単だが、将棋に不案内だと手こずるようだ。

彼を見るとウンウン唸っている。そして3一、3二、3三、5一の地点に点が打たれていた。聞くと、この地点に駒を打つか動かすかしても、どうも詰まないという。
だが4一の地点には打たれていない。ここには飛車を打つしかないが、飛車という大事な駒をこんなところに捨てても詰むわけがない。点を打つまでもなかったのだろう。
そしてここに詰将棋の落とし穴があると思った。最も犯人らしくないヤツが犯人――。
私は苦笑するよりなかった。
あと、覚えている詰将棋は【第2問】である。

これは古典詰将棋の横バージョンという感じか。

もう何度も記したが、この詰将棋本も、3年前の「大掃除」で捨ててしまった。
まったく、バカだった。
だがまあ、失われた将棋本は、おカネを出せばどこかで再入手できる。しかし、喪われた時はもう、戻ってこない。ああつらい。この25年位で、いちばんきついかもしれない(仕事関係のことではありません)。
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