一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の九州旅行2014・5「マジック開始」

2015-06-30 01:06:06 | 旅行記・九州編
「当店のマジックショーは無料ですが、おひとり様800円以上のご注文をお願いします」
とあった。
当ブログの読者には説明不要だが、あんでるせんのマジックは、あくまでも「マスターの余興」である。喫茶店に入ったら、たまたまマスターがマジックを行っていた、というシチュエーションなので、おカネは取らない。だから注文はコーヒー1杯だけでもよく、事実私は飲み物だけで済ませたことが何度もある。
しかし回数を重ねるにつれ、これだけのマジックを見て500円程度の代金では申し訳なく思い、食事もするようになった。
とはいうものの、こうして「800円」という明確な数字を掲示されてしまうと、抵抗を覚えてしまう。
もっとも、今年も私は食事と飲み物を摂る予定だったので、問題はなかった。私はビーフカレー(810円)とアメリカンコーヒー(540円)を注文する。カレーの810円は半端な数字だが、これは750円に消費税が加算されたものである。税率が4月にアップして、本体価格も上がったようだ。
でも、コーヒー1杯が2,000円でも、私はお邪魔すると思う。

ビーフカレーはご飯が緩かった。昨年もそうだったが、もう少し固めでもいいと思う。
店内には、芸能人や文化人、スポーツ選手などのポラロイド写真やチェキ写真が貼られている。ちょっと見に行ってみるが、多士済々だ。有名なところでは藤岡弘、で、8回も来たという。当ブログの読者なら誰もが知っている、有名女性のそれもある。私はニヤニヤしてしまう。
マジックショーは入店後2時間以上経って始まるので、まだ時間がある。ほかにやることはいっぱいありそうだが、意外とやることがない。結局、ボーッとするのみである。
奥さんと思しき女性が現れ、先に会計となる。これから2時間余の不思議体験を思えば、1,350円は安い。
午後7時半を数分過ぎ、いよいよマジックショーの始まりである。マスターはカウンターの向こう側でパフォーマンスを行い、私たちはこちら側で見る。よって、移動をしなければならない。私の整理番号は「8」で、この数字が重要である。客の一人が番号の書かれたカードを引き、その数字に当たった人がマジックのお相手をすることになるからだ。よって、立ち位置はほとんど関係ない。
ちなみに席順は、以下のごとくであった。

    カウンター
 女-女 女-女 女-女
 男 私 女-女 男-女
 男-女-女 男-女-女

最前列の人はイスに座り、その後方は立つ。さらにその後方はイスの上に長板を置き、立つ。ちょうど雛壇状になる感じだ。
満を持して、丹波義隆似のマスターが登場する。わーい、パチパチパチ。
マスターが挨拶代わりに、客から指輪を所望する。それをごちゃごちゃやっていると、指輪が消えた。
マスターがニヤッと笑って、黒いセーターの下から、ネックレスを出す。そこには先ほどの指輪がくくられていた――。
彼がヒサムラ・ショウエイ、その人である。彼のマジックを見に、世界中から人が集まる。もし長崎県で室谷由紀女流初段の指導対局があり、行けば受けられるとしても、私は行かない。つまりここのマジックショーは、そうまでして足を運ばせる魅力があるということだ。
以下マジックは続くのだが、詳らかに書いても意味がないと思われる。実際に行って、間近で見るのが一番だ。
ただ、実際行くとなると、難しい。やはり長崎までは遠いし、おカネもかかる。同行者も簡単には見つからないだろう。結局、行く人は行くし、行かない人は行かないのだ。
マジックは快調に進む。
「毎回同じネタだと飽きられちゃうから、新ネタを入れてますよ」
マスターがカウンター席の女性に言う。彼女らは、相当な常連らしい。「年に一度」の私はどうなのだろう。
後方は若い女性が多いので、黄色い歓声がしょっちゅう沸く。それがまた楽しい。
マスターがおカネを所望する。壱万円札から5円玉まで一通りである。私は全種類をジャケットのポケットに用意しているが、積極的には出さない。初顔の人が出せばいい。それでも全種類が出なかったので、私が千円札と50円玉を出した。
しばらくして、「千円札を出したのはどなたですか?」という。私が手を挙げると、名前を聞かれた。
「じゃあ、その名前をこのお札に書いてください」
私が「かずポン!」と書き、このお札は世界にひとつとなった。
それをマスターがお札入れに入れる。傍らにはコーヒー豆の入った缶がある。それをバラまくと、中から袋に包まれたあるものが出てきた。それを開くと、さっきのお札だった――!!
う~む、やっぱり、実際に見るのが一番興奮すると思う。
…と、ここまで書いてきて、ただのマジックショーじゃないか、という人がいると思う。私が初めてここを訪れたのは1999年だが、その後、セロとか前田知弘とか。テーブルマジックの旗手が相次いで現れ、マスターのマジックも、以前ほどのインパクトはなくなった。
しかし中には、マジックでは説明できないネタもあるのだ。
だが、このマジックショーの本質は、別のところにある。マスターがマジックの合間にしゃべる人生論みたいなもの、これが客の心を打つのだ。
その代表的なものが「自分の10年後を思い浮かべれば、現在の自分のやることが見えてくる」というものだ。
これを私は15年前に聞いていながら、何の努力もしてこなかった。そしてこのザマである。結局、私が堕落しているのだ。

カウンターの女性がカードを引くと、「8」だった。
8!? 私じゃないか!!
「あなたは結婚されてますか?」
とマスターが聞く。
「いえ」
いい歳をして恥ずかしいが、正直に答えるよりない。
「あなたは将来、結婚しますよ」
マスターは散文的に、言った。
(つづく)
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冬の九州旅行2014・4「あんでるせんへ」

2015-06-29 00:13:43 | 旅行記・九州編
(25日のつづき)
12時38分、長洲着。私は降りることにした。これは私の旅。やはり初志を貫徹すべきと考えたのだ。
長洲駅前は、パッとしなかった。時刻表で見た限りでは長洲駅が海岸線にあり、駅から港までは徒歩圏内と思われた。次のフェリーは13時30分。ぶらぶら歩いて、ちょうどいい時間であろう。
港へは角を1度曲がっただけで、ほぼ一本道。大通りが広く、散歩するには気持ちがよかった。途中、ほかほか弁当店があったが、さすがに寄れなかった。とはいえ港には、30分ほどで着いた。
待合室がないので時間を持て余したが、こういう待ち時間は楽しい。売店にはくまモンのグッズがある。ここは熊本県である。
乗船する。定刻を数分遅れ、「有明きぼう」は出航した。空はどんより曇っていて、有明海も鉛色に染まっているが、あんでるせんに向かうと思えば、気分は浮き立つ。
船内は広く、清潔だ。今年2月に竣工した最新船だったようだ。しかしデッキに出る体力はなく、シートで仮眠を取る。何しろ今日は、6時起きである。
多比良港へは定刻の14時15分を少し遅れて着いた。乗船料は440円で、実に優雅な船旅だった。
下船して、フェリーを撮る。船体にはいくつかのキャラクターが描かれており、その中に「国道389号」のマークがあった。この航路がそうに違いない。
ちょっと遅くなったが昼食を摂る。多比良港前に食事処があったので、入る。佇まいが立派で、こういう店の味に外れはない。
ざるそばにぎり寿司セット(961円)をオーダーする。ざるそばはしこしこして、美味い。にぎりはまぐろ、海老、サーモン、イカで、こちらも美味かった。
次は島原鉄道にリレーする。発車は15時08分だが、店から多比良町駅までは近いので、問題ない。
多比良町駅に着いた。駅舎はプレハブ風で何てことはないが、今の時代、ローカル民鉄が営業していること自体が奇跡だ。事実、島原鉄道は2010年に島原外港―加津佐35.3kmが廃止されている。諫早―島原外港が残ったことだけでも佳しとし、乗れるうちに乗っておいたほうがいい。
黄色い列車が入線した。〈18〉がまだす号、のヘッドマークが掲げられている。十八銀行の提供らしい。
列車は島原半島の海岸線を走る。列車の振動、車窓からの景色、駅舎…等々見どころはいっぱいある。それらをうつらうつらしながら楽しみ、16時01分、列車は諫早に着いた。乗車賃1,120円は、高くはなかった。
ここからまた青春18きっぷを使う。4分の待ち合わせで、大村線の快速シーサイドライナーに乗る。人気の列車だけあって乗客が多く、立席を余儀なくされた。大村湾を左手に見やり、17時12分、川棚着。
「あんでるせん」は駅前にあり、駅舎を出て視線を左に転じれば、確認できる。私は1999年12月18日に初めて訪れ、以後毎年この時期にお邪魔している。今年(2014年)で実に16回目となる。
駅近くのスーパーで70円のおにぎりを2個調達し、店前のバス会社の待合室で待つ。5時半すぎ、あんでるせんに入店した。



あんでるせんは完全予約制なので、開店と同時にほぼ全員が入店する。男女比は例年女性が多く、3:1くらいだろうか。そして男女とも、一人客はほぼいない。つまり私のパターンが最も少ない。
私は角のテーブルに案内された。さりげなく辺りを見渡すと、男1女5、男1女2、男1女2、男1女1、女2、男1…という感じ。満席は30人+αだから、私も含めて18人は少ないほうである。
あんでるせんは予約が取れないこともあり、事実予約を断られた人を何人か知っている。が、私は一度も断られたことがない。必ず店に行くというイメージができているからであろう。
マスターの奥さんと思しき女性が、メニューを配っている。中を開いて、ビックリした。今年は、マスターからの「メッセージ」が書かれていた…!!
(つづく)
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将棋ペン倶楽部 通信45号

2015-06-28 12:09:00 | 将棋ペンクラブ
「将棋ペン倶楽部」通信45号が発行されたので、その紹介をする。

表紙…将棋ペンクラブ関東交流会の写真
指導対局棋士の、上野裕和五段、熊倉紫野女流初段、渡部愛女流初段の姿が見える。

関西交流会レポート 犬塚将…2
5月4日に大阪で行われた、関西交流会のレポート。今回は湯川博士幹事の代理で、犬塚将幹事が参加、そのままレポートとなった。
関西交流会は、会員や棋士によるリレー将棋があるのが特色。関東以上にアットホームな感じがする。私も参加したいが、5月4日は日が悪い。毎年その日は、どこかを旅行中だ。

関東交流会レポート 大竹浩介…4
関東交流会初参加の大竹氏がレポートにも挑戦。その視線が初々しく、とても面白く読める。会費が3,000円なのにさまざまな特典があり、「千駄ヶ谷界隈は物価が何かおかしくなって」いるのではないか…と感激して語るくだりは、筆者の面目躍如だ。
幹事はいつもながら、新たな書き手を発掘するのがうまい。大竹氏は先日の当ブログにも登場したOht氏と同一人物の気がするが、また氏の文章を読みたいものだ。

将棋川柳 きたろう…7
今回は7句を紹介。

炬口カメラマンを悼む 湯川博士…8
5月10日に亡くなった、炬口勝弘(たけのぐち・かつひろ)氏の追悼文。郷里淡路島でのエピソードなどを綴る。

棋神伝2(第7回)木村義雄・升田幸三編 茂山俊一…10
木村名人編。木村名人のエピソードはいくつもあるが、「すき焼き」の話は初めて読んだ。筆者の精力的な取材には頭が下がる。

随想 将棋界の浜辺で その1・天才 松岡定行…14
現在の世界に、天才は何人いるのだろうか…の考察。意外な結論に納得。

南九州の道場めぐり 榊原智…16
鹿児島県「天文館将棋センター」と宮崎県「宮崎将棋道場」を訪ねる。経営者の将棋愛がよく描かれている。これらが1頁1/3でまとめられているが、もったいない。4頁ぐらいには膨らませられると思う。もっともそこをサラッとまとめるところが、筆者の奥ゆかしさか。

錦旗、水無瀬、菱湖の比較 今泉忠芳…18
錦旗(きんき)、水無瀬(みなせ)、菱湖(りょうこ)の書体の比較。

興福寺駒を訪ねて―平安将棋を指す人たち― 水野保…20
奈良県の興福寺駒を訪ねる。筆者は天仁元年(1108年)にタイムスリップ。興福寺の僧侶が将棋を指すさまを覗き見る。

将棋ペンクラブ大賞推薦作一覧…26
全国の会員から、観戦記28本、文芸19本、技術16本が推薦された。

編集後記 湯川博士…32
2/3頁ながら、面白い。

将棋ペンクラブへの入会方法を記します。
正会員:年会費3,000円。会報が年4回(雑誌2回・通信2回)届く。途中入会の方にも、年頭の分から郵送する。
郵便振替用紙に「新入会」と記し、1年分の会費を振り込む。
「郵便振替00270-9-45693 将棋ペンクラブ」
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竹俣先生、お誕生日おめでとうございます

2015-06-27 13:04:32 | 女流棋士
今日6月27日は、竹俣紅女流2級の17歳のお誕生日。おめでとうございます!!

竹俣女流2級を初めて見たのは2007年6月。東京・新宿でのLPSAの設立イベントで、石橋幸緒さんとのお好み対局に、天才小学生として出場した時である。
飛車落ちのハンデだったが落ち着いた指し回しで、大豪相手に快勝。将来が嘱望された。私はこの時の模様を「将棋ペン倶楽部」に書き、当ブログにも一部を転載した。
そんなわけで、2012年に竹俣女流2級が女流棋士になった時は、感慨深いものがあった。
デビュー以降は成績がパッとしなかったが、先日は渡部愛女流初段との美少女対決を制し、実力を見せた。この調子なら、女流1級、女流初段もすぐであろう。
竹俣女流2級は現在、ブログを展開している。そこには女子高生のみずみずしい感性で日常が描かれ、とても好感が持てる。ご両親の呼び方にも育ちの良さを感じさせ、もはや同類のブログの追随を許さない感じだ。紅ファンは必読である。
17歳は若い。若くして、英検2級・漢検2級というのがすばらしい。将棋の勉強はもちろんですが、これからもさまざまなことにチャレンジしてください。応援しています。
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渡部愛女流初段は、女優の松下恵に似ている

2015-06-26 00:01:40 | 似ている
日付変わって今日6月26日は、渡部愛女流初段の22歳のお誕生日。おめでとうございます!!
その渡部女流初段は、女優の松下恵に似ていると思う。
松下恵は、1981年1月16日、東京生まれの34歳。言わずと知れた、女優・榊原るみの娘である。1993年、テレビドラマに出演して、芸能界デビュー。以後、テレビや映画、舞台など幅広く活躍しているようだが、私はあまり馴染みがない。
渡部女流初段と松下恵は、鼻から下と、透明感のある雰囲気が似ていると思う。

渡部女流初段は今年も女流名人リーグに入り、新人王戦では男性棋士を破って、時の人となった。タイトル戦初登場を狙う女流棋士の中で、渡部女流初段は最右翼にいると思う。
これからの一局一局を大切にして、悔いのない将棋を指してください。応援しています。
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