一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・山下カズ子女流五段&大庭美樹女流初段②

2009-06-30 01:41:23 | LPSA金曜サロン
26日の金曜サロン、昼は山下カズ子女流五段、夕方は大庭美樹女流初段の担当だった。
山下カズ子女流五段はあらためて説明するまでもない。女流名人位を4期獲得し、草創期の女流将棋界を牽引したひとりである。往年のNHK杯の記録・秒読み係としても有名だ。「10秒…20秒…6、7、8…」という、抑揚のない低音での秒読みは、テレビの前で観戦している私を、否応なく緊張と興奮の世界へ誘ってくれた。当時の棋譜読み上げだった蛸島彰子女流五段とのコンビは、永遠に語り継がれるであろう。
ところで山下女流五段には、一度お聞きしたかったことがある。
私が小学生だか中学生のとき、駅前の将棋センターで、山下女流五段によく似た女性と指したことがあるのだ。
その将棋は、先手の私が▲2八飛▲3七銀型、後手の女性が△6四角と構えていたのに、私は▲3六銀、と上がってしまった。しかし女性は飛車を取らず別の手を指し、私は「ラッキー!」とばかり、すぐ▲4六歩と突いたのだが、以下玉頭から強烈な攻めを食らい、完敗した。きっとタダの飛車は、見逃してくれたのだろう。子供ながら、世の中には強い女性がいるんだなあ、と思ったものだった。
もっとも当時の私は級位者だったし、もし山下女流五段ご本人だったら、手合い係氏が私と平手の手合いをつけるわけがないのだが、ここのセンターの師範が蛸島彰子女流五段だったこともあり、何かの縁で遊びに来てくれた、という可能性もなくはなかった。
だから今回、その疑問を数十年振りにお聞きしたのだが、答えは「否」だった。まあ、そうであろう。ちょっぴり残念な気もしたが、永年の疑問が解消され、私はスッキリした気持ちになった。
そんな山下女流五段との指導対局平手戦は、夕方の5時近くから始まった。これだけ遅くなったのは、私が日本将棋連盟の道場で、女流棋士会主催のLadies Holly Cupを観戦、勉強してきたからである。
山下女流五段の四間飛車に、私は山田流▲9七角戦法を採る。いまの棋士は警戒して△5四歩をなかなか突かないが、△3二銀型でここを突かれると、反射的に▲9七角と上がってしまう。以下山田定跡では▲8六~▲6八と角を移動させたが、平成に入ってからか、▲9七角からすぐに▲7九角と1手トクする手が発見され、指してみる気になった。
しかし実際は先手の玉形も薄く、実戦的には難しい。局後は植山悦行七段らを交えての感想戦になったが、局面の考え方がとても勉強になった。

夕方からは、前述のとおり、大庭美樹女流初段の担当である。この日は会員のW氏と金曜リーグ戦を指す予定だったのだが、私の入りが遅れたのと、W氏が時間の都合で早退し、それは叶わなかった。W氏との対局より、女流棋士の実戦を勉強するほうを選んでしまった…。W氏にはこの場で深くお詫びしたい。
大庭女流初段は、女流棋士では珍しい受け将棋。黒縁のメガネがよく似合い、性格も温厚、無口だが、話してみればLPSAでいちばん面白いのではないかと私は見ている。
夕方の大盤解説では、先日のとちのきカップでの、対船戸陽子女流二段戦が採用された。この将棋は、前の週で船戸女流二段が自戦解説するものとばかり思っていたのだが、別の将棋の解説になったのだ。
今回は大庭女流初段が
「私のほうに勝ちがあったか、皆さんといっしょに検討したいと思います」
と、謙虚に話された。ここに大庭女流初段の優しい人柄が表れている。
実はこれ、前の週の大盤解説のあと、会員有志で終盤の部分を勝手に検討していたのだ。そこでは船戸女流二段の▲3二飛に、△3三飛(鬼手)▲同飛成と取らせての△6六角が詰めろ竜取りでで後手勝ち、が会員O氏の読みだった。しかしさらに検討を続けると、これでは後手玉に詰みがないから、先手は△3三飛を無視して▲1二飛成が冷静な1手となり、これで先手が残しているのでは、という最終結論になった。
今回の大盤解説ではどうだったか。112手目、大庭女流初段は取った飛車を銀桂両取りに△2八飛と打ったが、ここでは△4八飛と打ち、▲4二のと金を取る手も有力だった。△4二飛成となれば、これは自陣竜が強力の上、△2三飛の活用も見込めて、後手勝勢。
さらに進んで、大庭女流初段が122手目に△5六銀と王手に打ったのが、好手のように見えてやや疑問手だった。ここは△5六金と打つべきで、本譜のように▲7八玉なら、△6七銀▲8九玉を決めたあと、△4六金と角を取って後手勝勢。以下▲6七銀なら△7七桂不成の詰みがある。
問題は▲5六同玉と強く取られたときだが、これも難解ながら先手玉に詰みがある(コメント欄参照)。つまり、トドメにしたい金を先に打つ(捨てる)という、先日の私の詰将棋のテーマのような手で、大庭女流初段の明快な勝ちだったのだ。以下は船戸流の粘りに手を焼き、大庭女流初段はいい将棋を落としてしまった。
ともあれ今回の大盤解説会は中身も濃く、とてもに勉強になった。
さて大庭女流初段との指導対局は、大庭女流初段の向かい飛車。飛車のぶっつけに気合よく交換に応じ、以下も難しい戦いが続いたが、これも内容の濃い勝負だったと思う。
放課後、会員の皆さんや、事務でサロンに訪れていた石橋幸緒女流王位から、今日は将棋会館道場の熊倉-山口戦を楽しみにしてたんでしょ? と突っ込まれる。しかしこの一局は、道場で将棋が始まるまで、まったく知らなかった。これは本当である。
Ladies Holly Cupは対局場も開始時間もマチマチだし、平日に行われることが多いので、山口女流1級の対局は最初から眼中になかった。だから今回は、ひょんなことから女流棋士の将棋を堪能でき、熊倉、山口の両先生には感謝している。
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LADIES HOLLY CUP・熊倉紫野女流初段VS山口恵梨子女流1級

2009-06-29 00:29:03 | 観戦記
私が敬愛する長崎県の喫茶店のマスターによると、この世に偶然はないという。とするならば、今回山口恵梨子女流1級の対局の場に私がいたことは、偶然ではなく必然だったことになる。
もし私がLADIES HOLLY CUPの対局者に背を向けて座っていたら…もし山口恵梨子女流1級が後手番でなかったら…また違った展開になっていただろう。いやそもそも、スーパーサロンのコマが空いてなかったら…。私の山口女流1級への期待が、この「出会い」を作り出したのだ。
おっちゃんとの対局中に開始されたLADIES HOLLY CUPのリーグ戦。私は自分の対局どころではなくなってしまった。私は対局中いつも猫背なのだが、今回はのけぞって指す。山口女流1級のご尊顔を拝見するためである。私とおふたりまでの間にはもう1列将棋盤があるので、彼女との距離は4、5メートルくらいだろうか。
ああ…正面から見る山口女流1級のお顔は、ちょっとすました感じで、素敵だ。彼女が「週刊ヤングジャンプ」の制服コレクションにエントリーしたら、入賞すること確実である。
私の将棋は、先手のおっちゃんがゴキゲン中飛車から向かい飛車に転じている。▲8四歩の存在が大きく、おっちゃんが指しやすい。ここで5五の角を▲3三角成と切り、取った桂を▲7五桂とでも打てば、8筋の突破が利きそうだ。
しかしおっちゃんはウンウン考えてなかなか指さない。こっちはとっとと将棋を終わらせて、観客席でピチピチ女流の対局をじっくりと拝見したいのに…。
しかしおっちゃんはさんざん考えて、▲4六角と自重してしまった。こちらもわざと負けるわけにはいかないから、渋々△7四歩と傷を消す。これは先が長くなりそうだ。またおっちゃんが考えだした。
私はまたもや山口女流1級の観賞に入る。長めの髪を左右で束ねている。幅の広い紺色のリボンを締めた夏用制服の上に、白いカーディガンを重ねている。スカートは長くも短くもなく、このくらいの長さが清楚な感じでよい。ソックスはいま流行りのロングの紺ではなく、オーソドックスな白だ。もう、可憐としかいいようがない。
私の対局相手のおっちゃんには申し訳ないが、こちらの盤面は瞥見するだけだ。 それにしてもおっちゃん、ちょっと考慮時間が長くないか!?
後ろ姿の熊倉紫野女流初段に目をやる。カーキ色の、あれはふつうのTシャツだろうか。ついおしりに目がいってしまう。観客席から眺めるのもいいが、この位置も悪くない気がしてきた。
おっちゃんが「う~ん…」と唸りながら、広げた腕を頭のうしろで組む。あっ、それじゃあ山口女流1級が見えないじゃないか!!
私はやや体をズラして、山口女流1級を観る。なんだか自分の行為が変態的に思えて、軽い自己嫌悪に陥る。
熊倉-山口戦のパソコン棋譜入力は、伊藤明日香女流初段。なるほど…この棋戦はチェスクロックを使用しているので、盤側から盤面を見やすくするために、チェスクロックは盤の向こう側になければならない。通常チェスクロックは、後手番の駒台近くに置かれる。だから先ほど、両対局者は入れ替わったのだ。
やっとおっちゃんが次の手を着手する。私はノータイムで指し返す。こんなところで時間は使えない。まるで2面指しをしている気分だ。いや実際、こちらの将棋と山口女流1級のお顔を交互に見ているので、変則的な2面指しと云えないこともない。
観客席を窺う。みんなの視線は大盤に向けられている。将棋は相振り飛車で、面白い局面ではある。しかし、美少女ふたりが真剣に対局をしているのに、彼女らを観賞しないとは、私には考えられない。皆さん、心底将棋が好きなんだなあ、と、妙に感心する。
こちらの将棋は、何とおっちゃんが▲7三角成と、反対側の桂を取って暴発してきた。これは意外と早く将棋が終わりそうである。しかしそこからまた、おっちゃんの苦慮が続く。じゃあ最初から角を切らなければいいのに…。まさかこちらより先にあちらの将棋が終わることはないだろうが、焦る。
大盤の駒の操作は奨励会員だろうか。解説するわけにもいかないので、黙々と駒を動かしている。記録の伊藤女流初段は、このあと金曜ナイトスクールが控えている。ファンのために、精いっぱい頑張ってほしいと思う。
こちらの将棋は、おっちゃんが完全に指し切っている。と、突然…といった感じで、おっちゃんが潔く投了してくれた。あ、ありがたいことである。すぐにも観客席のほうへ移動したいが、感想戦がある。私は先ほどの局面で自分の読みを披露する。しかし角を切って▲7五桂は、後手も指せる、という結論になった。
気が急く。5分ぐらい感想を述べて、お開き…というところで、しかしなあ…とおっちゃんが言い、また感想戦が再開されてしまった。ま、まだやるんですか。しかしこちらが快勝した手前、もうやめましょうと切り上げるわけにもいかない。美少女の対局姿が遠のく。
感想戦がやっと終わり、これで心おきなく女流棋士の観賞に入れる。しかし私は観客席には座らない。両者の顔を拝見するには、席位置が固定されてはダメだ。
まずは山口女流1級を、あらためて観賞する。正面から向かって左に45度の位置に立ってみる。かなりの色白である。チャッ、と指す手つきが美しい。
白のソックスには紺色のワンポイントが入っている。学校指定のソックスだろうか。
観客席のうしろに廻り、両者を横から眺めてみる。ダメだ。さすがのふたりも、横顔は中倉宏美女流二段のそれには叶わない。
そのまま左に歩を進めて、今回初めて、熊倉女流初段を正面右45度からじっくり拝見する。熊倉女流初段も、山口女流1級に劣らず美しい。
先日発行された「将棋ペン倶楽部 通信33号」で私は、「マイナビ女子オープン挑戦者決定戦」の模様を描いた、拙稿が載っている。冊子全32ページのうち、6ページ以上も割かれている長文だが、今回は女流棋士が20名近くも登場する大作である。もちろん山口女流1級にもスペースを割いているが、熊倉女流初段は名前の紹介だけ。これはマズかった。
熊倉女流初段も、マイナビ女子オープン一斉予選決勝で千葉涼子女流三段に逆転勝ちし、本戦入りを決めている。その戦績だけでも記すべきだった。
カーキ色の半袖のシャツ(正式な名称があるはず)の正面は白抜きのハートマークがいくつもデザインされている。スカートには黒と白の細いストライプが入っている。黒のパンプスは大人の証。高校生の恵梨子ちゃんとは違うのよ、という気概が感じられる。ちなみに山口女流1級は学生靴である。
もう一度先ほどの場所に戻って、山口女流1級を観賞する。あんまりうろうろして不審者に思われたくないが、いまのところ大丈夫だ。
もう1回、熊倉女流初段が窺える位置に戻る。熊倉女流初段の手つきもクセがなく、上品だ。ほどよい駒音が心地いい。と、彼女が私を見て軽く目礼したように見えた。
昨年の「とちのきカップ」で、松尾香織女流初段対北尾まどか女流初段の決勝戦を観戦したとき、松尾女流初段が私を見て目礼したことがあった。
そのときは、おっ、私を覚えてくれていたのかと感激したのだが、後日訊くと、私の存在は気付かなかったと言われ、気が抜けたものだった。
今回も、私がボーッと立っていたので、熊倉女流初段がたまたま視線を向けたものであろう。
試みに、シャツの白抜きハートマークを数えてみる。将棋オタクが熊倉女流初段の胸のあたりをじっと見ている絵は、傍から見ると相当ヤバイ。変態といえよう。そんなリスクを冒してまで数えたハートマークは、横に4つ、その下に5つ。そのパターンが服の下まで6つ繰り返されている。鎖骨のあたりにもハートマークが左右で2つある。計算すると、(4+5)×6+2=56、であろうか。
現在、女流棋士会所属棋士は42名、LPSA所属棋士はツアー女子プロ1名を含めて18名、合計60名である。しかし両対局者と記録の伊藤明日香女流初段、立ち会いの野田澤彩乃女流1級の4名を引くと56名、このハートマークの数とピッタリ一致する。いつの日か、両者合同のイベントが開かれることがあるなら、女流棋士ファンとしては、こんなに嬉しいことはない。しかしその日が来ることは、ない。
冷房が利きすぎなのか、私の粘っこい視線を無意識に感じたのか、熊倉女流初段が両腕を軽くさすっている。
席が空いているのに私が座らないので、近くのおじさんに不審そうに私を見上げる。私は三たび、山口女流1級を斜めに窺える場所に移動した。ここなら一般対局場に近いので、不審者に思われることはない。
肝心の局面のほうは、熊倉女流初段が▲6四同飛から▲5四飛と歩をかすめ取り、△5三銀上に▲4四角と銀を取って勝負に出ていた。
しかし山口女流1級も強く迎え撃って一歩も譲らず、△4九角と迫る。終盤の入口にさしかかり、山口女流1級はお腹を押さえている。たしかに胃が痛くなるような攻防だ。そういえば、6月26日にブログを開設した渡部愛ツアー女子プロも、先日のとちのきカップでは、北尾まどか女流初段との終盤で、心臓のあたりを押さえながら指していた。塚田正夫名誉十段は、「勝つことは偉いことだ」と言ったが、至言だと思う。
▲2六角の飛車取りに構わず、△3七歩の手裏剣が厳しい。指し手が筋に入った感じだ。
以下数手進んで、▲3七の角を取るのに、銀を残して飛車のほうを切ったのが鋭い。もう山口女流1級の体は反っている。勝利を確信したのだ。
熊倉女流初段は不屈の闘志で▲6八飛と打つ。ここで私ならとりあえずは△6七歩と飛車の縦利きを消すところだが、山口女流1級は、そんな甘い手は指さない。数秒後△2八金と打ち、ここで熊倉女流初段の投了となった。
以下手数は長いが、即詰み。ここで投了するのが、プロの嗜みである。
山口女流1級が、あどけない笑顔を見せた。そこだけ見れば、勝負師とは思えない、ふつうの女子高校生である。しかしその「ふつう」が実は、いるようでいないのだ。
感想戦に入ってしばらく経つと、野田澤女流1級が、
「感想戦なので、皆さま近くでご覧ください」
と、ありがたい申し出をしてくれる。こういうのをファンサービスという。
私ははやる心を抑えて感想戦を聞きに行く。と言っても対局者のおふたりに近づき、若い女性のフェロモンを吸引するためである。
ここでも私は一定の場所に留まらず、両対局者にまとわりつくように、観賞する。もう完全な変質者である。
それはともかくおふたりはさすがにプロで、読みの量がすごかった。「山口語」も直に聞くことができて、嬉しかった。熱戦を見せてくれた両対局者には、深く感謝の意を表したい。
感想戦も終わり、私は受付で帰りの手続きをする。と、横を通った熊倉女流初段が、また私を見て目礼をした。
ええ? これも偶然なのか? 繰り返すが、熊倉女流初段と私は、一面識もない。マイナビ女子オープン挑戦者決定戦の控室で、私の顔を覚えてくれたのだろうか。まさか。しかしそれを彼女に訊くチャンスは永久に、ない。
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女流棋士スーパーサロン金曜日・上田初美女流二段④

2009-06-28 00:19:49 | 女流棋士スーパーサロン
26日(金)の女流棋士スーパーサロンは、前週に引き続き上田初美女流二段の担当だった。今回は前日の午後に予約をしたが、10時のコマが空いているというので、入れてもらう。今回でスーパーサロンの参加は6回目になるが、10時のコマはいつも空きがある。私の自宅から将棋会館までは45分で着くが、地方から向かう人は、30分でも遅いほうがいいから、10時30分からのコマが先に埋まってしまうのだろう。
毎週1回将棋会館へ向かう。なんだか自分が棋士になった気分だ。
きょうの上田女流二段の装いも夏らしく涼しげだ。しかし詳細を書くと某団体からの突き上げが厳しいので、ここでは省く。
道場内にあるテレビは、きょうは将棋盤が映っていない。
「きょうはトクタイ(特別対局室)で将棋はないのかなあ」
と上田女流二段が言う。このテレビカメラは、特別対局室に設置されているということか。
戦型は上田女流二段の四間飛車に、私の▲8八玉型左美濃。珍しく居飛車穴熊を志向したが、▲2五歩を決めてないのに△3三角と上がられたので、急戦で来られるのを警戒して、▲7八銀と締めた。
ほかの対局者のひとりは、楽しそうに会話をしながら指している。私にはできない芸当である。
局面は上田女流二段の中央からの動きをうまく逆用して、金桂交換になったところでは指しやすさを感じた。しかし上田女流二段の反撃も厳しく、以下の局面を迎えた。このブログではお馴染みの、駒の配置のみを記す。

上手(平手)上田初美女流二段:1三歩、2三歩、3四歩、3九角、5二飛、5五歩、6一金、7二銀、7三桂、7四金、8二王、8四歩、9一香、9五歩 持駒:銀、桂、歩2
下手 一公:1一馬、1六歩、1九香、2五歩、2八飛、3六歩、4五歩、6五歩、6六金、7六歩、7七桂、7八金、8六歩、8七銀、8八玉、9七歩、9九香 持駒:銀、桂、香、歩2

△6六歩▲同金に△3九角、までの局面。
ここは当初、▲6七銀としっかり固める予定だった。△2八角成なら▲7五歩と突いて、これは玉頭の厚みが大差で、下手勝ち。
しかし上田女流二段がほかの将棋を見ているときに考え直してみると、貴重な銀を自陣に埋めるのが惜しくなってきた。ここは▲7五歩と金取りに突いても上手は△2八角成と飛車を取るだろうから、それなら銀を使わないだけ得だと考えたのだ。
そこで本譜は単に▲7五歩と突いたのだが、あっさり△6六角成と金を取られて、アテが外れた。さすがにプロは甘くない。
せっかくなので、終局までの手順も書いてしまおう。
(△3九角以下の指し手)▲7五歩△6六角成▲7四歩△7六歩▲7三歩成△同銀▲6七金打△7七歩成▲同金直△6七馬▲同金△7五桂▲6六金△8七桂成▲同玉△5七銀 まで、102手で上田女流二段の勝ち。
手順中、△7七歩成を▲同金直と取ったのも疑問手。当然▲同金寄と取るべきだった。疑問手連発に呆れて、戦意を喪失。最後は△5七銀と金取りに打たれたところで投了した。
上田女流二段は、
「もう少し粘れませんか?」
と気を遣ってくれたけれど、これはもう大差である。しかし最初から最後まで手も足も出なかったわけではないのが、逆にもどかしい。己の中途半端な棋力が情けない。
対局時間は、30分あまりだっただろうか。これで上田女流二段とは、4戦して3連敗になってしまった。ここはさらっと読み流されると困るので、もう一度書く。4戦して3連敗である。ちなみにこの対戦成績に、時間切れの引き分けはない。4局とも、時間内に決着がついたものである。
ところできょうはLPSA金曜サロンで、W氏と金曜リーグの大一番がある。この日は第5回リーグ戦の最終週。成績には関係のない消化試合だが、この日をふたりの決戦日として、わざと対局を消化せずにいたのだ。
スーパーサロンのあとも引き続き連盟の道場で将棋を指し続け、1時45分ごろ、新たな一般客と手合がついたので、これが終局したら駒込に向かおうと思った。
と、道場後方に設置された簡易対局場に、熊倉紫野女流初段が現れた。高校と思しき制服を着ている、おさげ髪の女の子もいる。熊倉女流初段を講師にした、レディースセミナーだろうか。日本将棋連盟および女流棋士会では、いろいろな教室をやっているので、どれがどれだかまったく分からない。
しかしそのふたりは、将棋盤を挟んで座った。私の対局位置から熊倉女流初段のお顔が正面に見え、制服の女の子はこちらに背中を向けている格好だ。どうもセミナーにしてはヘンである。しかも先ほどまで将棋を指していた棋客数人が、2列に並んだ椅子に座り、その将棋が始まるのを待っている。…あれっ? これはLADIES HOLLY CUPのリーグ戦ではないか!?
やがて駒が並べられ、振り駒をすると、ふたりが席を入れ替わった。先後で座る位置が決まっているのだろうか。制服の女の子が、今度はこちらにお顔を見せる形になった。
…あああっ!? か、彼女は!! や、や、や、や、山口恵梨子ちゃんではないか!!
突然現れた女流棋士会屈指の美少女を目にして、私は心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
(つづく)
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島井咲緒里女流初段とふたりで創った詰将棋

2009-06-27 13:41:06 | 将棋雑記
日本女子プロ将棋協会(LPSA)が編集、販売している「日めくり詰め将棋カレンダー2009」。本日6月27日は、私が創った詰将棋が載っている。
この詰め将棋カレンダーの唯一にして最大の特徴は、ふだん詰将棋を創らない「詰将棋創作初心者」の作品を幅広く採用したことにある。
何しろ、易しい詰将棋のほうが採用の確率が高いというのだから、それだけで従来の常識を覆している。とはいうものの、詰将棋を作るには、ある程度の才能が必要だ。あまり陳腐な詰将棋も投稿できない。私も2008年版のカレンダーに、高校のときに創った詰将棋を投稿しようと思ったが、結局出せなかった。
2009年版のときはどうしようかと考えていたのだが、締切(6月30日)間際である6月27日の金曜サロン、島井咲緒里女流初段との指導対局で、キレイに詰んだ(詰まされた?)将棋があったので、それをそのまま投稿することにした。
結果的に採用されたのだが、私がLPSAのファンクラブ会員だったことや金曜サロンでの将棋ということで、お情けで採用してくれたのだと思う。
これは「将棋ペンクラブ」に拙稿が掲載されるのとは別の嬉しさがあった。また掲載日を対局日と同日にしてくれたのも嬉しかった。ただ悲しいかな、肝心の手順のほうは詰将棋とは縁遠い「詰む将棋」で、妙手はひとつもない。
ここで、この詰将棋の元になった局面を掲げよう。

攻め方:1七歩、1九香、2二歩、2八飛、2九桂、3二竜、3三銀、3七歩、4六歩、5六歩、5七銀、5八金、6七歩、6九金、8三成香、8五玉、8七歩 持駒:金、銀、桂、歩3
受け方:1二香、1三角、1四歩、2五歩、5二馬、5三歩、5四銀、6二金、6三玉、6五歩、7三歩、7四香、9八と 持駒:桂2、歩2

受け方が△5二馬と成桂と取った局面。ここから▲5二同竜△同玉▲4一角△6一玉、で問題図となった。このままだと余詰めがあるので、当然ながら余分な駒は外した。
現在、島井咲緒里女流初段の体調は万全でないようである。無理をせず、あせらず、ゆっくり養生してもらいたいと思う。ファンは気長に待っています。
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渡部愛先生、お誕生日おめでとうございます!!

2009-06-26 01:27:21 | 女流棋士
渡部愛先生、16歳の誕生日、おめでとうございます!!

「16歳」。いい響きですね。私の高校時代は、小泉今日子「私の16歳」、シブがき隊「NAINAI16」、松本伊代「センチメンタルジャーニー」(「伊代はまだ、ジュウロクだから~」の歌詞がある)など、16歳をテーマにした曲が多かったですね。
また私の高校は、生徒の8割以上が男子だったこともあって、辛いこと、苦しいこと、悔しいこと、悲しいことなどばかりでしたが、いま考えると、やっぱり高校時代の思い出がいちばん心に残っています。
むかしテレビのインタビューで、ある女子高校生が、
「女子高生は世界最高のブランド」
と言っていました。将棋の勉強も大切ですが、これからの3年間で、楽しい思い出をたくさん作ってください。
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