一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第83期A級順位戦9回戦の勝敗予想の答え合わせ

2025-02-28 23:23:01 | 勝敗予想
27日に行われた第83期A級順位戦最終戦、私は1月27日に勝敗予想を行ったので、経過とともに結果を確認しよう。
まず、組み合わせを再掲する。

⑥佐藤天彦九段(6勝2敗)VS⑦佐々木勇気八段(4勝4敗)
②永瀬拓矢九段(5勝3敗)VS⑩増田康宏八段(5勝3敗)
①豊島将之九段(3勝5敗)VS⑨千田翔太八段(4勝4敗)
③渡辺明九段(4勝4敗)VS④菅井竜也八段(3勝5敗)
⑤稲葉陽八段(2勝6敗)VS⑧中村太地八段(4勝4敗)

本5局はABEMAで中継があったが、有料なので見なかった。ただ、朝日新聞社でYouTubeの配信があったので、深夜にありがたく拝見した。
まず、渡辺九段VS菅井八段戦は、渡辺九段の攻めが炸裂したようで、早い時間に終局。菅井八段の降級が決まり、これで楽しみ?が半減した。
もっとも豊島九段と千田八段は自身の残留を終局まで知らないわけだが、それでいい。
それにしても渡辺九段は、こうなったらこうなったで、実質2局の不戦敗がいまさらながらに痛かった。ケガがなければ、プレーオフに進出していたのではないか。ただ本人は、もう過去のことは忘れているようである。
佐藤九段と佐々木八段のところは、佐々木八段がうまく指し、勝勢。そのまま押し切り、佐藤九段がプレーオフを指すハメになった。佐藤九段を応援していた身としては、残念である。
その相手は永瀬九段か増田八段かというところで、永瀬九段がうまく指し、勝ち。プレーオフにすべりこんだ。
その後、豊島九段が勝ち名乗り。自力で残留を決めた。
そして最後は、稲葉八段が中村八段に勝ち切り、有終の美を飾った。自分の順位が変わらなくても、一生懸命指す。米長哲学云々は別にして、将棋を生業にする者の、当然の本能だと思う。
では、予想と結果を記してみよう。赤字が正解である。

【7回戦】
●永瀬九段VS○渡辺九段
【8回戦】
●豊島九段VS○中村八段
○永瀬九段VS●千田八段
●渡辺九段VS○佐藤九段
○菅井八段VS●佐々木八段
●稲葉八段VS○増田八段
【9回戦】
○豊島九段VS●千田八段
○永瀬九段VS●増田八段
○渡辺九段VS●菅井八段
○稲葉八段VS●中村八段
●佐藤九段VS○佐々木八段

11局中、6局正解。最終戦は全問正解したと思ったが、中村八段を勝ちと予想していたとは思わなかった。
ただ、名人挑戦者は永瀬九段と予想しており、そちらのほうは辛うじて望みが繋がっている。
プレーオフは3月4日。どっちが勝っても私の生活に変化はないが、プロ間では旗色の悪い振り飛車にモデルチェンジした佐藤九段の心意気を買いたい。
当日は熱戦を期待しております。
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27日はA級順位戦最終局!!

2025-02-27 00:12:02 | 将棋雑記
第83期A級順位戦の最終戦が、27日に静岡市「浮月楼」で行われる。ここまで稲葉陽八段の降級は決まっているが、名人挑戦はプレーオフの可能性もあり、そこそこ「将棋界のいちばん長い日」になったといえる。
それぞれの対戦相手は次の通り。

⑥佐藤天彦九段(6勝2敗)VS⑦佐々木勇気八段(4勝4敗)
②永瀬拓矢九段(5勝3敗)VS⑩増田康宏八段(5勝3敗)
①豊島将之九段(3勝5敗)VS⑨千田翔太八段(4勝4敗)
③渡辺明九段(4勝4敗)VS④菅井竜也八段(3勝5敗)
⑤稲葉陽八段(2勝6敗)VS⑧中村太地八段(4勝4敗)

6勝の佐藤九段が勝てば名人挑戦。負けた場合、永瀬九段VS増田八段の勝者と、プレーオフとなる。
降級は、残り1席を巡る争いとなる。3勝4位の菅井八段は、負けると降級決定。勝つと、豊島九段VS千田八段の敗者が降級となる。
それぞれの、勝った場合と負けた場合の順位は次の通り。

⑥佐藤九段(名人挑戦~2位)
②永瀬九段(名人挑戦~3位)
⑩増田八段(名人挑戦~7位)
③渡辺九段(3位~7位)
⑦佐々木八段(3位~8位)
⑧中村八段(3位~8位)
⑨千田八段(3位~9位)
①豊島九段(4位~9位)
④菅井八段(5位~9位)
⑤稲葉八段(10位~10位)▲降級

順位にまったく関係ないのは、稲葉八段のみ。これは甚だ異例で、ふつうは勝つと負けるとで、順位数枚分の違いがある。
ともあれ将棋ファン注目の順位戦A級が指せるのは、棋士冥利に尽きる。熱戦を期待しています。
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藤井七冠、八冠復帰はおあずけ

2025-02-26 13:48:32 | 将棋雑記
きのう25日は、第10期叡王戦本戦トーナメント準決勝・藤井聡太竜王・名人VS糸谷哲郎八段の一戦があった。再度の八冠王を目指す藤井竜王・名人にとっては、文字通り負けられぬ一戦である。
しかもここまでの藤井VS糸谷戦は、藤井竜王・名人の8戦全勝。藤井竜王・名人にとっては、トップクラスの棋士の中でも、与しやすい相手であろう。ただ藤井ファンからすれば、いままで勝ちすぎているからこそ、そろそろ負けてしまうのではないか、という不安もあるのではないか。
そして結果を先に書けば、藤井竜王・名人はこの将棋に負けた。
別にタイトルを取られたわけでなし、七冠王にとってこの1敗は痛くないが、上述のとおり、八冠王への復帰がおあずけになったのと、タイトル戦連続出場が「19」で止まったのが痛い。大山康晴十五世名人の「50」はもちろん、羽生善治九段の「23」にも届かなかった。ちなみに叡王戦でリターンマッチを果たしていれば、その時点で秋の竜王戦までのタイトル戦出場が約束され、記録が「25」まで伸びていた。
叡王戦は本戦トーナメント4連勝で挑戦者になれるが、リーグ戦と違い1敗もできない。大山十五世名人、羽生九段も、このパターンで連続出場の記録が切れた。
話を巻き戻し、本局は藤井竜王・名人の先手で、横歩取りになった。この戦法は後手が誘導できるもの。過去の将棋は知らないが、先手の藤井竜王・名人相手に角換わりは得策ではないから、糸谷八段がこの戦法を採用したのは腑に落ちる。
ちなみにこの将棋はABEMAが有料で配信していたので内容は分からないが、終局後の感想を聞くと、藤井維竜王・名人が早い段階で悪手を指してしまったらしい。
とするならば、当然糸谷八段は自分の有利を感じ取っていただろう。そしていったん形勢が良くなれば、いつも以上に思い切り行くのが糸谷流。そのままものすごい勢いで、押し切ったようだった。
糸谷八段は待望の藤井戦初勝利で、これでいままでの連敗がチャラになった。
敗れた藤井竜王・名人は、「また実力を高めて来期のトーナメントに臨めるように取り組んでいきたい」と述べたようだ。
ここから八冠王を目指すには、現在進行中の王将戦、棋王戦を防衛し、名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦をすべて防衛し、叡王戦の挑戦者になり、奪取しなければならない。
さらにタイトル戦の連続出場「51」を達成するには、4月の名人戦から始めて6年半かかる。もう気が遠くなりそうだが、藤井竜王・名人ならそれを達成する可能性がある。
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将棋ライターの湯川博士氏は、俳優の藤岡重慶に似ている

2025-02-25 23:23:52 | 似ている
きょう2月25日は、将棋ライター・湯川博士氏の、80歳の誕生日。おめでとうございます。
その湯川氏は、俳優の藤岡重慶に似ていると思う。藤岡重慶は1933年11月19日、兵庫県に生まれた。
劇団入団後は、映画の世界にも進出し、そのコワモテを活かして、悪役で活躍した。
テレビドラマでも悪役で活躍し、「水戸黄門」では、ひとつのシリーズに2~3回出演していた。
またアニメ「あしたのジョー」では丹下段平の声を好演し、「立て! 立つんだジョー!!」は丹下段平のモノマネにおける定番のフレーズとなった。
齢を重ねてからは刑事役も務め、渋い味を出していた。
1991年7月23日、57歳の若さで逝去した。
湯川氏と藤岡重慶は、力のこもった眼が似ていると思う。もし藤岡重慶が80歳になっていたら、両者はさらに似ていたと思うのだが、惜しい。

湯川氏はもうひとり、プロ野球東京メッツ(札幌華生堂メッツ)の、岩田鉄五郎にも似ていると思う。
岩田鉄五郎は戦後の東京メッツを長く支え、プレーイングマネージャーとしても活躍した。70歳を越えてもマウンドに上がり、プロ野球の最年長現役選手として知られている。
湯川氏と岩田鉄五郎もまた、力が宿った眼が似ていると思う。

湯川氏は実はもうひとり、似ていると人がいる。
明石家さんまは高校時代、運動会のリレーのとき、みんなと反対側を走って、教師を激怒させたことがある。
その中心にいたのが乾井實先生である。乾井先生はさんまを追いかけ、捕まえた。このときの写真がテレビで紹介されたが、撮影者は不明。ただ、その決定的瞬間は、同校のピューリッツァー賞と称された。
湯川氏と乾井氏は、全部がそっくりである。

今宵傘寿を迎えた湯川氏は、将棋ライターの長老的存在になった。そんな湯川氏の文章が、現在でも「将棋ペン倶楽部」で読めるのはうれしい。
今後も健康に留意し長生きしていただき、時折落語を聞かせていただければ幸いである。
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カノタマに教えていただく(後編)

2025-02-24 23:39:26 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。△9五歩▲同歩△8四香▲8八銀△9八馬▲9六桂(途中図)
△4六歩▲3一馬△9五香▲8四桂△同歩▲9九歩△8八馬▲同玉△6四桂(第5図)

鹿野圭生女流三段は、女流初段時代の福間香奈女流五冠に勝ったことがある。要するに、女流棋士は皆さん強いのだ。
第4図で私が恐れていたのは、△4六歩(参考A図)の突き出しだった。次に△4四香の応援が厳しく、場合によっては△3二銀と馬に当てつつ飛車先を通す手もある。

しかし鹿野女流三段が考えているようではなかったので、手番を確認した。するとやはり、鹿野女流三段は私の手番と勘違いしていた。
そこで鹿野女流三段は9筋のほうを見、△9五歩と指した。私はもちろん▲同歩。
しかし鹿野女流三段は直感的に緩手と感じたらしく、「(大沢さんの)歩切れを解消させちゃったしなあ……」とつぶやいた。
△8四香に私は▲8八銀を間に合わせ、△9八馬に▲9六桂と据えた。
「なんか不思議な手やなあ」
と鹿野女流三段。たしかに△9六歩を防いだだけの手だから、我ながら気が利かない。ただこう指すことによって、鹿野女流三段は△9五香と走りたくなる。そうしたら▲9九歩で馬を殺す算段だった。
鹿野女流三段は遅ればせながら△4六歩。私は△3二銀の脅威から逃れるのと、根元の飛車を狙って▲3一馬と寄る。ただし簡単に角は渡せない。
本譜△9五香~▲9九歩には、△同馬▲同銀△同香成もあったと思うが、鹿野女流三段は△8八馬と切り飛ばし、返す刀で△6四桂。振り飛車の常套手で、私は一難去ってまた一難である。

第5図以下の指し手。▲7七玉△9九香成▲6六歩△8九成香▲6五歩△5六桂▲6七金直△4七銀(第6図)

このままふつうに△7六桂と跳ばれてはさすがに悪い。とはいえ、それをどう受けても味が悪い。
そこで甚だ異筋だが、▲7七玉と顔面受けした。
鹿野女流三段はじっと香を成る。私は▲6六歩と桂を取りにいく。上手玉を攻略するには、▲9四桂しかないのだ。もっとも次に▲6五歩としても桂は取れないが、ほかに指す手がなかった。
果たして▲6五歩には△5六桂と跳ばれ、▲6七金直と後手を引くようではやはり苦しい。
ここで鹿野女流三段は少考する。私は△8八銀と決められるのがイヤだったが、注目の指し手は、俗手の△4七銀だった。

第6図以下の指し手。▲5九金△3六銀成▲5六金△4七歩成▲5三香△4六と▲6六金△5七と▲9四桂△8三玉(第7図)

K氏の角落ち戦は、鹿野女流三段が勝った。どうも、K氏が序盤で失敗したようだ。
LPSAの指導対局は、時間まで指せるので、すぐにK氏の雪辱戦が始まった。
私は▲5九金と引く、手の善悪はともかく、私らしい手だと思った。そして△3六銀成には▲5六金。思わぬ形で桂が取れ、少し希望が出てきた。
△4七歩成に▲5三香が待望の反撃である。ただここで△3二飛の強手があり、▲同馬△同銀は次に△8八角があるのでそれを受けるしかないが、すると△4二金で5三香がスカタンになってしまう。つまり▲5三香は、馬引きのスペースを自ら消してしまう、諸刃の剣だった。
だが鹿野女流三段は△4六とから△5七ととした。これも厳しいが、駒の動きが重複していると思った。
私はいまのうちに▲9四桂を決める。鹿野女流三段は△9三歩と打たないとは思ったが、打てるときに打っておこうと思った。
鹿野女流三段は
「こっち(△7一玉)は相手の駒がいるもんなあ。じゃあ上か。8三か。9三か」
とつぶやきつつ△8三玉と立った。
そこで私の指し手は。

第7図以下の指し手。▲7八玉△9六歩▲8九玉△9七歩成(第8図)

私は▲7八玉と引いた。△8八角の筋から逃れるためと、攻めると見せかけて受けの手を指せば、鹿野女流三段が混乱すると思ったからだ。
すると鹿野女流三段は△9六歩。成香をくれてやる代わりに、三段目にと金を作るハラだ。だがこちらは香を取るしかない。
鹿野女流三段は△9七歩成としたが、この瞬間、私に絶好の順が生じていた。

第8図以下の指し手。▲5二香成△同飛▲9七馬△8五桂▲8六馬△2六成銀▲9一角△9五歩▲8二角成△9四玉▲9五馬(投了図)
まで、91手で一公の勝ち。

私はここで▲5二香成。対して△同銀は▲4二馬。△同金も▲4二馬が残り指しきれない。もっとも鹿野女流三段はさして考えず△同飛と取った。しかしその瞬間、私の馬の利きが再び自陣に通った。すなわち、▲9七馬と虎の子のと金を取れた。これは一遍に下手の勝ちである。
鹿野女流三段は「そうかー」とつぶやき、△8五桂。私は▲8六馬と逃げ、△2六成銀に▲9一角と迫った。
鹿野女流三段はすべてを悟り、△9五歩。これには簡単な即詰みがあり、私の勝ちとなった。
私は僥倖の勝利で、まあ、鹿野女流三段が私に花を持たせてくれたというところ。私はただただ、感謝するのみである。
なお、LPSA麹町サロンでの指導対局では、私の飛車が1回も動かないことが何度かあったが、本局もそうなってしまった。

感想戦では、中盤の私の▲6六銀に、鹿野女流三段は△8八香を考えていたそう。だが以下▲4四桂△4二飛▲5二桂成△同銀に「大沢さんなら▲7九金と(参考B図)打つやろ?」と鹿野女流三段は言った。

はい、と私は答えたが、鹿野女流三段に私の棋風がバレているのは驚異だった。
ただ参考B図ではやはり△4六歩の突き出しはあるし、その前にどこかで△8九馬の王手は入る。この変化も冷静に見れば、上手有望であろう。
時刻は午後7時47分。鹿野女流三段は2局目を申し出てくれたが、私は固辞し、味よく麹町サロンを後にした。
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