一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月11日のLPSA麹町サロンin DIS・上川香織女流二段戦編(後編)

2024-07-30 23:07:19 | LPSA麹町サロンin DIS

第3図以下の指し手。▲3七銀△5三金▲3六銀△4六銀▲4八飛△3五歩▲4六飛△3六歩▲同飛△3四歩▲同飛△4五飛(第4図)

△5五銀に▲同銀は△同角で、香取りと△4九銀が残って下手悪い。そこで▲3七銀と撤退した。
ここで△6六銀は▲5六歩で銀バサミ。そうなれば上手も暴れてくるだろうが、そうは指さないと思った。上川香織女流二段は「引くのか……」とつぶやき、△5三金。以下、思わぬ形で銀交換となった。
△3六歩には露骨に▲4四銀もあったと思うが、ほとんど考えなかった。
上川女流二段は△4五飛と飛び出した。

第4図以下の指し手。▲4七歩△2五飛▲3七桂△2九飛成▲4五桂△4三金▲3三桂成△3四金▲同成桂△3九飛▲5九銀打△3四飛成(第5図)

私は▲3七桂と遊び駒を活用し、金得の戦果を挙げた。ただ直後の△3九飛が厳しく、桂を取り返された。形勢は、私の角が働いていないので、やや私が悪いだろう。

第5図以下の指し手。▲2二角△3三桂▲1一角成△3八歩▲6五歩△4四歩▲2一馬△3九歩成▲5四馬△4九と▲3六香△2四竜▲3三香成△同竜▲5五馬△6四歩(第6図)

▲2二角は、こんなところであろう。▲1一角成に、上川女流二段は△3八歩。こういう手がいちばん困る。
私は▲6五歩。前局もそうだったが、角を働かさないと話にならない。ただしこの角がいなくなると△6六桂が飛んでくるから、痛し痒しだ。
そこで上川女流二段は△3二歩と指し掛けたが、二歩である。△4四歩と指した。
私は▲2一馬と、こちらの馬も活用する。しかし上川女流二段のと金攻めも早く、猶予はならない。
私の▲3六香から▲3三香成は気が利かないが、桂を持たねば美濃崩しはできないと判断した。
「みえみえの詰めろですけど」の▲5五馬に、上川女流二段は△6四歩。ここで次の手がどうだったか。

第6図以下の指し手。▲6四同歩△5一香▲6五馬△7四銀▲6六馬△5九と▲同金引△6五銀打▲6七馬△1九竜▲8六桂△1六竜▲7四桂△同銀▲5六歩(第7図)

私の▲6四同歩がどうだったか。よく分からないが、ここは▲6四同馬とし、もうちょっと上手の反応を見るべきだった。
△5一香が好打。前局も△4一香と打たれ、この香が最後までいい働きをした。本局はどうか。
私は▲6五馬と寄ったが、上川女流二段は徹底的に馬をいじめにくる。なんだか、上川女流二段だけが指している感じだ。
ただ、▲7四桂と銀を取った手には、△同歩と取られたほうが、銀の脅威が残ってイヤだった。

第7図以下の指し手。△6五香▲6六銀△同香▲同馬△6五歩▲4四馬△同竜▲同角△6六角▲同角△同歩▲1二飛△6七角▲8八玉△7六角成▲3四角△7五桂▲7七金(第8図)

△6五香から銀を剥がされ、ついに馬も消されてしまった。
私は▲1二飛と反撃。上川女流二段は「いい手ですね」と言うが、下手が悪い。
△6七角が強打。こんな角、▲同銀と取りたいが、△同歩成▲同玉に△5六竜で負け。ここでも△5一香がいい働きをしている。
▲8八玉△7六角成に▲3六角が狙いの手。
しかし△7五桂も厳しい。これに▲7八金は△9五桂のおかわりがくる。そこで▲7七金と、強く馬に当てたのだが……。

第8図以下の指し手。△2一馬▲6一角成△1二馬▲1六馬△2一馬▲7六歩△6七桂成▲6二金△7七成桂▲同桂△4三歩▲7二金△同玉▲6三銀△同銀▲同歩成△同玉▲6一飛△5二玉▲8一飛成(指し掛け図)
まで、139手で指し掛け。

上川女流二段は△2一馬と引いたが、△8七桂成▲同金△同馬▲同玉△7五桂(参考A図)があることに、局後気づいた。

これもかなり危ないが、▲3四角が奇跡的に5六に利いているので、即詰みはないようである。
ただ、ということは、本譜△2一馬に、▲6一角成が当然のように見えて大悪手。今度は角の利きがなくなったので、△8七桂成▲同金△同馬▲同玉△7五桂▲7七玉△8七金▲6六玉△5六竜(参考B図)まで、上手が勝ちになるのだ!

やはり本局も、上川女流二段の香が抜群の働きをする可能性があった。
以下は時間もないので、バタバタと早指しになる。▲8一飛成まで、指し掛けとなった。

だが指し掛け図の前、「▲8一飛成で▲6六飛成なら投了でした……」と上川女流二段。指し掛け図では△6七歩成があり、▲同銀△1八飛は王手馬取りだ。もっともそれは▲2八桂の犠打がある。ともあれ、まだまだ長い戦いが続いていた。
「大沢さんとも長い付き合いになりますね。20年くらいになりますね」
と、上川女流二段。
「いやあ、LPSA設立の2007年の翌年にサロンに行きましたから……」
それでも16年になるだろうか。あのころはお互い若かった。私も髪の毛があった。いまの私には誇れるものが何もないが、微力でもLPSAの発展に協力したい。

というわけで、きょう7月30日は、上川女流二段のお誕生日。おめでとうございます。千疋屋のゼリーはいかがだったでしょうか。これからもよろしくお願いいたします。
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7月11日のLPSA麹町サロンin DIS・上川香織女流二段戦編(中編)

2024-07-29 23:18:24 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。▲2三桂△同歩▲同歩成△4二金▲3二歩△2六歩▲3一歩成△1五香▲3二と入△5二金寄▲4五銀△7一角▲4一と寄△1八歩成▲同香△同香成▲同飛△2七歩成▲1一飛成(第5図)

私は非常手段で▲2三桂と打った。△4二銀なら▲1一桂成と、根元の香を取る算段である。
よって上川香織女流二段は△2三同歩と取った。▲同歩成に、上手
に2歩あったら△2七歩▲同飛△2六歩▲1七飛に△2三金で下手敗勢。私もギリギリのところをいっているのである。
▲3一歩成には黙って△2五飛もあるかと思ったが、上川女流二段の手は端に伸びた。ここからの数手が意味不明なのだが、半分蟄居していた私の飛車が、敵陣に成った。
上川女流二段の指導対局には不思議なところがあって、あからさまに緩めているのか、それとも実力?なのか、労せずして下手が指しよくなることがある。
いずれにしても、この展開になっては、下手が負けられなくなった。

第5図以下の指し手。△3七歩成▲同桂△3八と▲5七銀△3七と▲4二と寄△4四香▲5二と△同金▲5一と△6二金(第6図)

上川女流二段はと金を作り、桂得を果たす。しかし私も2枚のと金をヒタヒタと寄せ、駒得となった。しかし上川女流二段も急所に香を据え、まだまだ難しい。
私は2枚目のと金も▲5一まで寄せ、もう少しで優勢確定というところ。そこでヘンな手を指してしまった。

第6図以下の指し手。▲5二金△4五香▲6二金△同角▲5二と△4四角▲1四竜△4七と▲4四竜△同歩▲6二と△7一桂▲5三角△6一金▲同と△同銀(第7図)

▲5二金がダサい手だった。ここは▲5三歩と、私の好きな歩の垂らしでよかった。本譜はたんに金交換をしただけで、ちっとも得になっていない。私は「どうもおかしい」とボヤくが、上川女流二段は「うまく指していると思いますよ」と、ここでも優しい。
とはいえ、本譜▲5二とに△4四角が竜取り。焦った私は、予定のように▲1四竜と引いたが、これもマズかった。むろん邪魔な角を消去し▲6二とを実現させる意味だが、ここは黙って▲5一竜と寄り、次の▲6二とを見るべきだった。
上川女流二段は△4七と。若干働きが弱めだったあのと金が、4筋の香とコラボして、下手にとって脅威となった。
私は予定通り角を取り▲6二とだが、どうも冴えない。上川女流二段は△7一桂~△6一金と頑強な受け。私は全然自信がなかった。

第7図以下の指し手。▲6三香△5二飛▲6一香成△5三飛▲6二銀△5五飛▲7一銀不成△9三玉▲7五金△同飛▲同歩△7六銀(第8図)

私は▲6三香と必死の攻め。これに上川女流二段は△5二飛と受けたが、ここは△5七とがなかったか。
これに▲6一香成は△6七銀で相当恐いので▲5七同金と取るが、△5五飛が角金両取り。こうなったら上手優勢であろう。
本譜に戻り、私は自然に攻め、▲7五金の待ち駒。しかし上川女流二段はアッサリ△同飛と取り、空いた空間に銀を打った。なるほどこれが攻防兼備の名手で、たぶん△8六桂以下の詰めろになっている。
上手に好きなように指させ、勝負形にする。これがプロの技だと思った。

第8図以下の指し手。▲8二銀打△9四玉▲8六桂△8四玉▲7三銀不成△同桂▲7四飛△8五玉▲6七金打(第9図)

▲8二銀打に△8四玉は▲7三銀不成とする。以下A△同玉は▲7四金で下手勝ち。B△同桂は▲7四飛△9三玉▲8五桂△同銀▲7三飛成△8四銀(参考図)で、以下下手が寄せ切れそうな気もするが、分からない。

上川女流二段は△9四玉を選んだが、指導対局なので、もはや指運である。
本譜に戻り、私は敵の打ちたいところに▲8六桂と先着し、△8四玉。ここは△8五玉も有力で、▲7七桂には△7五玉か△同銀成か。こちらも難しい変化だった。
本譜に戻り、△8四玉にはやはり▲7三銀不成とした。ここでも△同玉はなく、△同桂に▲7四飛、△8五玉に▲6七金打の局面は、どちらが勝っているのか。

第9図以下の指し手。△5七と▲7六金△同玉▲6七銀(投了図)
まで、126手で一公の勝ち。

上川女流二段は△5七ととしたが、▲7六金から▲6七銀で、即詰みとなった。▲7七桂の余地を残し、6七から駒を打つのがミソである。

勝てた私は疲労困憊。まるで負けたかのようだった。上川女流二段は、「9筋の突き越しが大きかったですね」と言った。負け将棋を意外に粘れた、というふうだった。
感想戦もそこそこに、さっそく2局目の開始である。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△3二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△5二金左▲6八銀△7二銀▲2五歩△3三角▲4六歩△7一玉▲4七銀(第1図)

今度は私が先手。4手目に上川女流二段は△5四歩と指したが、これだと前局と同じゴキゲン中飛車になってしまう。そこで指し直し、三間飛車となった。
上川女流二段は私の急戦を愉しみにしているようだが、私もそんなに作戦は広くない。ここは石田流崩しをしたかったので▲2五歩△3三角を保留したが、上川女流二段は石田流を指さないタイプなのだ。今回も、「石田流を誘われている気がする」とつぶやきつつ、駒組を進めていく。しびれを切らして、ついに私が▲2五歩を決めてしまった。
本局は▲4六歩を突き、▲4七銀と上がってみた。

第1図以下の指し手。△4二銀▲5八金右△8二玉▲3六歩△5四歩▲1六歩△5三銀▲3八飛△4三金▲3五歩△同歩▲同飛△3四歩▲3八飛△6四銀(第2図)

パッと見、昭和の将棋になっている。▲3八飛に△4三金は大山流で、上川女流二段にしては、珍しい指し方。
私が3筋の歩を交換すると、上川女流二段は△6四銀と出た。これは大山流というか、大野(源一九段)流を思わせる。

第2図以下の指し手。▲5六銀△5二飛▲4七銀△4五歩▲6六歩△4六歩▲同銀△4二飛▲4五歩△5五銀(第3図)

私はヒョイと▲5六銀と出たが、△5二飛と増員されて困った。私は▲4七銀と撤退する。まだ序盤だから、このくらいの失敗は大丈夫だ。
上川女流二段は△4五歩としたが、私は▲6六歩とし、またも角交換を拒否する。前局はこれで、角がほとんど働かなかった。本局はどうなるか。
上川女流二段は、△5五銀とぶつけてきた。

(つづく)
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7月11日のLPSA麹町サロンin DIS・上川香織女流二段戦編(前編)

2024-07-28 21:17:55 | LPSA麹町サロンin DIS
LPSA麹町サロンin DIS、今月4日の中倉彰子女流二段の予約と同時に、11日の上川香織女流二段の回も予約した。こちらもキャンセルがあったのだ。が翌日、係からメールが来た。この回は18:30からの第2部だった。私は15:00からの第1部だと思っていたのだ。この日は夜に「プレバト」のスペシャルがあったが、もちろんサロンを優先させた。
行きに日本橋の千疋屋に寄り、四ッ谷で降りて小諸そばに入った。二枚もりが430円だった。以前は420円だった気がする。気が付けば二枚もりも随分高くなったが、たまに食べるくらいだからよい。
サロンに入ると、珍しく私が一番手だった。ただ、私が予約したあともキャンセルがあり、この日は3名だった。
「女流順位戦終わりましたよオ」
と、上川女流二段。きょうも熟女の魅力ムンムンである。
「おお、4勝しましたよねえ。素晴らしい」
と私。上川女流二段は3日前の最終戦に勝利し、見事指し分けで終えた。失礼ながら降級点候補と考えていたので、これは大健闘である。
ほかの2名も到着し、うちひとりは、先月も来た二枚落ちの人だ。もうひとりは初見だが、平手で挑戦した。
私も駒を並べたが、最近は先後問題がある。上川女流二段は自分を上手と思ってないのか、先手も指したがるのだ。
とりあえず上川女流二段に振ってもらい、歩が4枚。上川女流二段が先手になった。今回も記譜を紹介するが、「△」を上川女流二段とする。

初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△1四歩▲2六歩△5四歩▲4八銀△5二飛▲5六歩△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△8二玉▲2五歩(第1図)

△3四歩▲7六歩に、上川女流二段はナゾの△1四歩。私の▲2六歩に△5四歩となり、ああ上川女流二段はゴキゲン中飛車を指したいんだと思った。そこで▲2五歩と指さないのが一公流で、▲5六歩と位を拒否する。
以下互いに玉を移動し、▲2五歩。

第1図以下の指し手。△7二銀▲2四歩△同歩▲同飛△3二金▲2八飛△2三歩▲5八金右△9四歩▲6六歩△5五歩▲同歩△同飛▲6八銀△3三桂(第2図)

上川女流二段は△7二銀と締めた。ここ△3三角はお互い角筋が通っているので、▲同角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛となり、これは下手が十分。
ただし△7二銀にも飛車先の歩を交換できて、気分はよかった。
△9四歩に▲6六歩は消極的だが、角交換から思う存分に指されるのを拒否した。
5手後に△3三桂。やはり消極的な手がよくなかったようで、この手が生じた。次に△2五飛とぶつける意味だ。

第2図以下の指し手。▲1六歩△9五歩▲6七銀△2五飛▲同飛△同桂▲2八飛(途中図)
△2四歩▲2六歩△3七桂成▲同銀△6四歩(第3図)

第2図で▲1六歩がなにげないようで、深謀遠慮の手。△9五歩に▲6七銀と上がり、上川女流二段が「むずかしい順ですね」みたいなことをつぶやいた。
そして予定の△2五飛。ここで▲2六歩は意地でも打てないので、▲同飛と取った。その飛車を取り返し、「大沢さん思い切りがいいですね」と上川女流二段が言った。
むろん私にも対策があり、ここで▲2八飛(途中図)が用意の一手。以前渡部愛女流三段との指導対局で似た局面になったとき、当然のように自陣飛車を打たれ、困った記憶がある。

私の▲1六歩は、このとき△1七桂成と、歩を取りつつ自爆してくるのを避けた手だった。それを言うと、「そこまで考えてたの?」と上川女流二段が唸った。

第3図以下の指し手。▲2五歩△同歩▲2四歩△4四角▲2五飛△2二歩▲2八飛△3五歩▲5六銀△3六歩▲4八銀△1五歩▲同歩△1七歩(第4図)

桂はすでに入手したが、▲2五歩と突いた。△同歩に▲2四歩。これで飛車の走りから歩成が実現すれば下手が勝つ。上川女流二段は当然防いできたが、▲2五飛には△2二銀もあったと思う。
なお▲2四歩で▲1五歩△同歩▲1二歩△同香▲2四桂が実現すれば面白いが、そうはならないだろう。
本譜△3五歩に、私の▲5六銀が悪手だった。△5五角の筋を警戒したのだが、この銀は囲いで残しておくべきで、のこのこ出ていくべきではなかった。
△3六歩▲4八銀の次、ヘンな手だが、△2六飛を考えていた。▲同飛△同角は、次に△4八角成から暴れてくる手を見て、下手はかなり神経を遣う。
といって、△2六飛に▲2七桂は絶対に指さないが、仮にそう指したとしても、△3七歩成から△5六飛がある。
が、上川女流二段は△1五歩。イヤなところを衝いてきたが、こちらも1筋を相手にしてられないと思った。

(つづく)
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7月4日のLPSA麹町サロンin DIS・中倉彰子女流二段戦編

2024-07-23 19:38:00 | LPSA麹町サロンin DIS
4日のLPSA麹町サロンin DISは、第1部が中倉彰子女流二段の担当で、直近にキャンセルが出たので、申し込んだ。こっちは土日に融通が利かない分、平日を充実させるしかない。
しかし、社団戦のショックが尾を引いている中、それを将棋で癒すとは、何の因果だろう。
サロンに行く途中、東京駅でセリーを買う。その袋を持ったままサロンの入るビルに入り、4階のトイレに行こう……と思いきや、その前で彰子女流二段が電話をしていた。
このゼリーは彰子女流二段に差し上げるものだが、それをトイレに持ちこんだら彰子女流二段もいい気はしないだろう。それで、トイレに入るのはやめた。
いつも人気の彰子女流二段は、けっきょくきょうも4名満席である。私の先手で対局が始まった。きょうもその記譜を紹介したいが、彰子女流二段は記譜公開を好まないという都市伝説がある。ただ、彰子女流二段の将棋を見たい読者もいるはずなので、載せてしまう。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△6二玉▲6八玉△3二銀▲7八玉△9四歩▲5八金右△9五歩▲2五歩△3三角▲3六歩△7二銀▲6八銀△7一玉▲5七銀左△5二金左▲6八金上△8二玉(第1図)

私の居飛車明示に、彰子女流二段は四間飛車。私は▲5七銀左とし、このときは鷺宮定跡で挑むつもりだった。
ところが……。

第1図以下の指し手。▲5五歩△4五歩▲5六銀△6四歩▲5七銀△6三金▲3七桂△4三銀▲4五桂△1五角▲4六銀△4一飛▲1六歩△5一角(第2図)

いざこの局面になったら、▲3八飛は彰子女流二段にうまく捌かれてしまうような気がした。それで、中央位取りにシフトチェンジした。
彰子女流二段はさっそく△4五歩と突っ張ってきたが、これだと△4三銀と上がりにくい(△4五歩が取られる恐れがある)。
私は▲5六銀~▲5七銀と上がってまずまず。そして▲3七桂には△4三銀と上がるくらいだが、やはり△4五歩が浮いた。
ここで▲1六歩は△4四銀が間に合ってしまうので、私はよくも悪くも▲4五桂と跳ねるしかない。
しかし△1五角のノゾキが厄介で、これには▲4六銀でギリギリ受かっていると思った。
私は▲1六歩と角を追ったが、△5一角に次の手はしくじった。

第2図以下の指し手。▲5四歩△同銀▲2二角成△4四歩▲3二馬△4三飛▲5五歩△4五銀▲4三馬△5六銀(第3図)

私の▲5四歩がマズかった。彰子女流二段は当然△同銀とする。そこで▲1一角成が予定だったが、すると△3三桂が幸便で、以下ぞんぶんに捌かれると思った。
それで、香を取りたいのを堪えて、▲2二角成。これは本当に辛抱した。
彰子女流二段は△4四歩。このまま桂を取り切られると負ける。私は▲3二馬と寄り、彰子女流二段は△4三飛と浮いたが、ここは△4二飛とぶつける手だったと思う。
というのは、△4三飛には▲5五歩と根元の銀を攻めるのが好手で、これが動けば▲4三馬と飛車を取れるのだ。
彰子女流二段は開き直って△4五銀。これにはいったん▲同銀直と取る手も考えたが、△4二飛▲同馬△同角▲3四銀の結果は、ちょっと下手の動きがダサい気がした。
私はふつうに飛車を取る。△5六銀も当然。

第3図以下の指し手。▲6一馬△同銀▲2二飛△6二銀▲2一飛成△6五角▲1一竜△4七銀成(第4図)

いつも彰子女流二段はじっくり考えるのだが、きょうの彰子女流二段は、いくぶん指し手が早い。
さて局面、大事な馬だが、私は▲6一馬とバッサリ行った。△同銀のときほかの対局が終わり、感想戦に入った。このあたりが微妙で、もし▲6一馬の前に感想戦が始まったら、私はこの決断を迷っていたかもしれない。
再開後、▲2二飛が期待の一手で、この受け方が難しいと思った。彰子女流二段は△6二銀だが、ここはふつうに△7二銀打もあったと思う。
△6五角は彰子女流二段待望の反撃だが、私は黙って香を補充しておく。
さて△4七銀成にはどうするか。

第4図以下の指し手。▲7五桂△5二銀▲6三桂成△同銀左▲6一金△5八成銀▲5一竜(投了図)
まで、63手で一公の勝ち。

第4図で▲4七同金△同角成▲4九香はちょっとダサい。藤井聡太竜王・名人ならどう指すかと考えたら、攻め合い一手勝ちを目指すのではないかと思った。
それで▲7五桂と打った。彰子女流二段もすぐ△5二銀と受けたので、この攻め合いで間違っていなかったと思った。
▲6三桂成△同銀左に▲6一金。私らしからぬ最短距離の寄せである。
そして△5八成銀▲5一竜に、彰子女流二段は次の手を指すことなく、投了してしまった。

「受けなしだから……」と彰子女流二段。たしかにそうで、投了図以下△5一同銀は▲7一角以下詰みである。
短く感想戦をやり、私は▲5四歩を反省したが、その後の▲2二角成を褒められた。本局、自分としてはまずまずの将棋が指せた。だが私は、社団戦の後悔があり、心からよろこべなかった。
まあよい。まだ時間はたっぷりあるので彰子女流二段は2局目に入ろうとしたが、私は辞退し、味よくサロンを後にした。
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6月13日のLPSA麹町サロンin DIS・上川女流二段戦編(後編)

2024-07-17 07:45:01 | LPSA麹町サロンin DIS

第8図以下の指し手。▲5二歩△5六歩▲5一歩成△7一金▲5二と△6一桂▲6二竜△同金▲同と△7六歩▲7一銀△9二玉▲7二と△7七歩成▲同桂(投了図)
まで、121手で一公の勝ち。

私は▲5二歩と垂らした。5筋に歩を謝らなかった効果がここで出たと思った。とはいえこの歩は、先の「△7五歩▲同銀」で得た1歩。私にはあまりにも大きい1歩だった。
ここで上川香織女流二段は△6五歩と突く手もあったと思うが、△5六歩。この攻め合いなら、こちらが一手早いと思った。
▲5二とに上川女流二段は、「耐えがたきを耐え……」と△6一桂。これを▲同とと取っては笑われる。▲6二竜と潜って、勝ちを確信した。
以下、▲7七同桂まで私の勝ち。終局後、上川女流二段は、第3図からの△5五歩を「敗着」と断じた。これで飛角銀の進出路を止めたのがマズかったという。

私は、まずまずの将棋が指せたかな、という感じ。
四枚落ち氏は快勝したようで、二枚落ちに手直りして、2局目が始まった。私のほうもまだ時間があり、再戦である。

初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲5六歩△6二玉▲6八玉△7二銀▲7八玉△7一玉▲5八金右△5二金左(第1図)

今度は交替して、上川女流二段の先手。でも上手なので、本局の表記は「△」とする。
上川女流二段は三間飛車。私は対石田流を指したいが、上川女流二段は石田流を指さない。それで、▲2五歩△3三角を決めた。

第1図以下の指し手。▲4六歩△8二玉▲3六歩△5四歩▲3七桂△2二飛▲4七銀△9四歩▲1六歩△9五歩(第2図)

今度は天守閣美濃を指してもいいが、時間が潤沢にないのと、上川女流二段が急戦を望んでいるようなので、▲4六歩から▲3六歩とした。
△9四歩には反対の歩を突いたが、ここはふつうに▲9六歩とお付き合いするのだった。

第2図以下の指し手。▲5五歩△同歩▲4五歩△4三銀▲4六銀△5六歩▲5五銀△4二飛(第3図)

私は▲5五歩と仕掛けた。いつもは左銀を5七に持っていってから指すのだが、いつも同じ将棋では面白くない。むろん、これでも指せるの確信を持っていた。
以下、▲5五銀と銀が中央に進出し、これは下手もまずまずではなかろうか。
だが△4二飛の迎え撃ちに、どう指すか分からなかった。

第3図以下の指し手。▲2四歩△同角▲6八金直△4五歩▲同桂△4四歩▲5四歩△4五歩▲2四飛△同歩▲7五角(第4図)

第3図から▲4四歩は、△同銀▲同銀△同角▲同角△同飛▲4五歩に△5四飛(参考図)で、△5七歩成を見られて悪いと思った。

そこで私はとりあえず▲2四歩としたが、△同角で△5七歩成を見られ、大変なお手伝いになってしまった。
私は▲6八金直だが、ここでも▲6八銀と上がるべき。いやこの3手は悪夢だった。
上川女流二段に△4五歩から△4四歩と冷静に桂を殺され、いよいよ苦しくなった私は、▲2四飛から▲7五角と強攻した。つまらぬ結果論だが、先の▲1六歩を▲9六歩に代えていたら、▲9七角という手が利いた。
本譜の進行は負けペースである。

第4図以下の指し手。△4一桂▲4二角成△同金▲2二飛△3二銀▲2四飛成△3八飛▲3四竜△3三桂▲2三歩△2一歩▲4四銀(第5図)

△4一桂が上川女流二段らしい手厚い受け。私の▲4二角成は気が利かないが、ほかに手もない。
▲2二飛に△3二銀も当然ながら好手で、陣形の低い上川陣はビクともしない。▲4四銀とは進出したが、冴えない攻めである。

第5図以下の指し手。△4六角▲4八歩△1九角成▲5三歩成△同金▲同銀成△同桂▲5四竜△5一香▲5六竜(第6図)

△4六角が厳しい。この将棋はどこまでいっても、△5六歩の存在が大きい。私は▲4八歩と竜筋を遮断したが、△1九角成で、また駒損が広がった。
私は▲5三歩成から銀を捌いたが、△5一香が下段の香の威力。どこまで行ってもつらい。
私は▲5六竜と、目障りな歩を除去したが……。

第6図以下の指し手。△5七歩▲同金直△6五桂▲5二歩△同香▲5三歩△5七桂成▲同竜△5三香▲同竜△5二歩(投了図)
まで、79手で上川女流二段の勝ち。

△5七歩から△6五桂の跳躍が気持ちいい。私は▲5三同竜まで最善を尽くしたが、△5二歩で、時間切迫もあり、投了した。

「時間があったら▲4二竜と入って、△4一金と打たせて、まだまだ粘るんでしょお?」
と上川女流二段は言ったが、それでも下手の負けであろう。
本局は雑な仕掛けに尽きる。中原誠十六世名人の将棋を勉強しないといけないと思った。
上川女流二段は絶妙に緩めてくれるので、ありがたい。先ほどの二枚落ちの男性も、「LPSAの先生は、優しく教えてくれるからありがたいです」と言った。その通りだと思う。また上川女流二段に教えてくれる日を楽しみにしたい。
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