お代はSuicaで払った。現在それまでのチャージ額は9888円。焼きカレーは1000円だったので、残金は8888円になったのではないか? 8並びとは末広がりで縁起がいい。でも、面倒なので明細までは確認しなかった。
門司港駅に戻り、再び駅舎を愛でた後、緊張しながら改札口を抜け、小倉に向かった。
小倉は北九州市を代表する駅で、鹿児島本線にも日豊本線にも行ける、重要なジャンクションである。
15時55分、小倉で下車すると、旦過市場へ向かった。旦過市場は多くの飲食店、食料品店が集まり、北九州市民の台所である。
だが、2022年の4月と8月に火災があり、市場は壊滅的な打撃を受けた。むかし東京・新宿の「思い出横丁」で火事があったが、木造の建物群は常にその危険と隣合わせにある。今回の訪問は、旦過市場の現状を確認するためだった。
駅前のアーケード街を抜けると、旦過市場があった。パッと見は健在だったが、中に入ると通路から左全部が工事中だった。プレハブ造りで営業もされているが、あまりにも味気ない。
通路の右手は健在だが、こちらもやがて建て替えられるのだろうか。だけどでっかいビルを建ててそこの1階で営業されても、ありがたみを感じない。
ただ、旦過市場の主要顧客は地元の人だろう。その人たちから見たら、建物が新しくなったほうがいいに決まっている。私たち外部の人間は、黙って推移を見守るしかないのだ。
以前もお邪魔した和菓子屋が営業していたので、水ようかん、塩大福、水大福を買った(390円)。
歩きながら食べようとも思ったがはしたないので、とりあえずリュックにしのばせ、小倉城に向かう。
近代的なビル群の先に、小倉城はあった。今回の旅で3つめの城である。ぜひとも中に入りたいが、もう時間がないので、天守閣を眺めるに留める。
近隣の公園では、クリスマスイベントの飾りつけの最中だった。この時期の九州といえば、天神や博多駅前でクリスマスマーケットを覗くのが定番だったが、結局ひとり旅ではあまり楽しめないことが分かり、今年はお邪魔しなかった。
駅前のアーケード街を通ったとき、「湖月堂」という和菓子屋が気になったので、再度行ってみることにする。カステラがあったら買いたかったのだが、純粋な和菓子専門店のようで、何も購入はしなかった。
もうひとつ、小倉駅といえば、駅前の一角にある、ストリップ小屋と成人映画館である。いまは小倉駅に立派な駅ビルが建ち、モノレールも開通した。九州を代表する駅ではあるが、小倉の本質は旦過市場や成人映画館のような猥雑さである。文化の継承という意味で、これらはなくしてはいけない。
以前あったと思しき場所に行くと、ストリップ小屋と成人映画館は健在だった。うんうん、それでよい。
私は満足して、駅ビルに入る。惣菜店では辛子明太子が売られており、切れ子が300g1,080円だった。これはけっこう安いと思うのだが、これに保冷バッグや保冷剤がつくと高くついちゃうのではないか。それで、店員さんがいたのに申し訳ないが、購入を断念した。
再び小倉駅前に出る。旨そうな天ぷら定食屋がある。むかし似た場所で天ぷら定食を食べたことがあるが、680円で美味かった記憶がある。ただそのときは、店の地下に下りて食べた。
ここは1階で、微妙に雰囲気が違う。それと、晩飯にするにはちょっと時間が早く、それほどお腹も減っていなかったので、やはり入店を断念した。
さて、そろそろ北九州空港に向かうことを意識しなければならない。空港へは小倉バスセンターから直行便が出ているが、先入観から、バス代が高いような気がした。
小倉から南下した朽網駅からも空港行きが出ている。スマホを繰ると、朽網からちょっと歩いたところに食事処もあるようだったので、そのルートを採った。長崎空港から川棚バスセンターへ行くのと同じパターンである。
小倉からはタイム20分で朽網に着いた。駅は西口と東口があるようだが、空港方面は東口のほうだ。そこから食事処へ行くには、途中で線路を跨がなければならない。ちょうどS字のような感じで、道に迷って空港バスに乗り損ねると、ヤバイことになる。こんなに危ない橋を渡るんだったら、素直に小倉から乗ればよかったのだが、変化を望むのが私の悪い癖である。
ともあれ食事処を目指し。タイム20分前後で、目当ての店「黒酢チキン南蛮専門店 たかもとや」に着いた。このあたりは食事処が並んでいて、駐車場も広い。クルマ族にかなり利用されているのではないだろうか。
入店し、店名にもなっているチキン南蛮定食を注文する。
チキンは衣がザクザクで好き嫌いが分かれるところだが、私は好きなほうだ。タルタルソースがたっぷり用意されていたのもよかった。肝心の味もよく、950円の価値はあった。
あとは無事に駅に着けばよい。だが、行きと帰りは景色が違い、スムーズには帰れなかった。
国道沿いにトヨタの販売店があったので駅を聞くと、「あちらの道を入ったところにあります」。私はいつの間にか、行き過ぎていたのだ。旅の2日目、おばあちゃんに早岐駅方面を教えてもらい助かったように、今回の旅も、街の人の教えに助けられた。
19時22分の空港行きバスに乗り、定刻より2分早い19時40分、北九州空港に着いた。
我がスターフライヤーは21時10分発なので、お土産を買う時間は十分にある。カステラの購入は絶対として、辛子明太子の切れ子を見たら、200g1,080円だったのでひっくり返った。小倉の駅ビルは同額で300gあったから、どう考えても小倉のほうが得だった。
私が買うのを断念したときの、店員さんの何ともいえない顔が思い出される。次に小倉に行ったら、あそこで辛子明太子を買おうと思った。
楽しかった旅も終わり。2025年は2024年よりいい年になるだろうか。とりあえず、あんでるせんに行けるだけの心の余裕は持つようにしたい。
(おわり)
門司港駅に戻り、再び駅舎を愛でた後、緊張しながら改札口を抜け、小倉に向かった。
小倉は北九州市を代表する駅で、鹿児島本線にも日豊本線にも行ける、重要なジャンクションである。
15時55分、小倉で下車すると、旦過市場へ向かった。旦過市場は多くの飲食店、食料品店が集まり、北九州市民の台所である。
だが、2022年の4月と8月に火災があり、市場は壊滅的な打撃を受けた。むかし東京・新宿の「思い出横丁」で火事があったが、木造の建物群は常にその危険と隣合わせにある。今回の訪問は、旦過市場の現状を確認するためだった。
駅前のアーケード街を抜けると、旦過市場があった。パッと見は健在だったが、中に入ると通路から左全部が工事中だった。プレハブ造りで営業もされているが、あまりにも味気ない。
通路の右手は健在だが、こちらもやがて建て替えられるのだろうか。だけどでっかいビルを建ててそこの1階で営業されても、ありがたみを感じない。
ただ、旦過市場の主要顧客は地元の人だろう。その人たちから見たら、建物が新しくなったほうがいいに決まっている。私たち外部の人間は、黙って推移を見守るしかないのだ。
以前もお邪魔した和菓子屋が営業していたので、水ようかん、塩大福、水大福を買った(390円)。
歩きながら食べようとも思ったがはしたないので、とりあえずリュックにしのばせ、小倉城に向かう。
近代的なビル群の先に、小倉城はあった。今回の旅で3つめの城である。ぜひとも中に入りたいが、もう時間がないので、天守閣を眺めるに留める。
近隣の公園では、クリスマスイベントの飾りつけの最中だった。この時期の九州といえば、天神や博多駅前でクリスマスマーケットを覗くのが定番だったが、結局ひとり旅ではあまり楽しめないことが分かり、今年はお邪魔しなかった。
駅前のアーケード街を通ったとき、「湖月堂」という和菓子屋が気になったので、再度行ってみることにする。カステラがあったら買いたかったのだが、純粋な和菓子専門店のようで、何も購入はしなかった。
もうひとつ、小倉駅といえば、駅前の一角にある、ストリップ小屋と成人映画館である。いまは小倉駅に立派な駅ビルが建ち、モノレールも開通した。九州を代表する駅ではあるが、小倉の本質は旦過市場や成人映画館のような猥雑さである。文化の継承という意味で、これらはなくしてはいけない。
以前あったと思しき場所に行くと、ストリップ小屋と成人映画館は健在だった。うんうん、それでよい。
私は満足して、駅ビルに入る。惣菜店では辛子明太子が売られており、切れ子が300g1,080円だった。これはけっこう安いと思うのだが、これに保冷バッグや保冷剤がつくと高くついちゃうのではないか。それで、店員さんがいたのに申し訳ないが、購入を断念した。
再び小倉駅前に出る。旨そうな天ぷら定食屋がある。むかし似た場所で天ぷら定食を食べたことがあるが、680円で美味かった記憶がある。ただそのときは、店の地下に下りて食べた。
ここは1階で、微妙に雰囲気が違う。それと、晩飯にするにはちょっと時間が早く、それほどお腹も減っていなかったので、やはり入店を断念した。
さて、そろそろ北九州空港に向かうことを意識しなければならない。空港へは小倉バスセンターから直行便が出ているが、先入観から、バス代が高いような気がした。
小倉から南下した朽網駅からも空港行きが出ている。スマホを繰ると、朽網からちょっと歩いたところに食事処もあるようだったので、そのルートを採った。長崎空港から川棚バスセンターへ行くのと同じパターンである。
小倉からはタイム20分で朽網に着いた。駅は西口と東口があるようだが、空港方面は東口のほうだ。そこから食事処へ行くには、途中で線路を跨がなければならない。ちょうどS字のような感じで、道に迷って空港バスに乗り損ねると、ヤバイことになる。こんなに危ない橋を渡るんだったら、素直に小倉から乗ればよかったのだが、変化を望むのが私の悪い癖である。
ともあれ食事処を目指し。タイム20分前後で、目当ての店「黒酢チキン南蛮専門店 たかもとや」に着いた。このあたりは食事処が並んでいて、駐車場も広い。クルマ族にかなり利用されているのではないだろうか。
入店し、店名にもなっているチキン南蛮定食を注文する。
チキンは衣がザクザクで好き嫌いが分かれるところだが、私は好きなほうだ。タルタルソースがたっぷり用意されていたのもよかった。肝心の味もよく、950円の価値はあった。
あとは無事に駅に着けばよい。だが、行きと帰りは景色が違い、スムーズには帰れなかった。
国道沿いにトヨタの販売店があったので駅を聞くと、「あちらの道を入ったところにあります」。私はいつの間にか、行き過ぎていたのだ。旅の2日目、おばあちゃんに早岐駅方面を教えてもらい助かったように、今回の旅も、街の人の教えに助けられた。
19時22分の空港行きバスに乗り、定刻より2分早い19時40分、北九州空港に着いた。
我がスターフライヤーは21時10分発なので、お土産を買う時間は十分にある。カステラの購入は絶対として、辛子明太子の切れ子を見たら、200g1,080円だったのでひっくり返った。小倉の駅ビルは同額で300gあったから、どう考えても小倉のほうが得だった。
私が買うのを断念したときの、店員さんの何ともいえない顔が思い出される。次に小倉に行ったら、あそこで辛子明太子を買おうと思った。
楽しかった旅も終わり。2025年は2024年よりいい年になるだろうか。とりあえず、あんでるせんに行けるだけの心の余裕は持つようにしたい。
(おわり)