一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1ヶ月ぶりのジョナ研(後編)・5-1-1

2012-02-29 01:46:14 | ジョナ研
日付変わってきょうは4年に一度訪れる2月29日。きょう誕生日の有名人は、1968(昭和43)年生まれの飯島直子。元祖癒し系タレントだ。
ところで2月29日生まれの人は、うるう年以外の年は、何月何日にひとつ歳を取るのだろう? 2月28日だろうか。3月1日だろうか。
2月28日の24時と3月1日の0時のスキ間に2月29日が挟まっているので、3月1日にひとつ歳を取る、と私は考える。

(きのうのつづき)
Hon-Kaz戦は、先手Hon氏の三間飛車穴熊に、Kaz氏の居飛車銀冠。予想された戦型だが、意外だったのは、Hon氏が「▲2八銀・▲3九金・▲4八金左」という、教科書どおりの囲いをしていたこと。
いつもは穴に潜ったあと▲2八銀と締まらず▲3八金で済ませ、左金は6七に据えるのだ。2八の空間には、後手に攻められたときに駒を入れて補強する、という考え。これがHon流変態三間飛車穴熊なのである。
ところできょうの5人でジョナ研を開いたことはあるのか。Fuj氏の調べでは、W氏が休みなので、この組み合わせは初めてとのこと。
ちなみに先週19日(日)の大野食事会のメンバーだった大野八一雄七段、植山悦行七段、W氏、Hon氏、Fuj氏、Minamiちゃん、私の組み合わせは、5日(日)のメンバーとまったく同じだったという。
最近はMinamiちゃんの出席率が高く、私以外のほかの生徒も大野教室のレギュラーなので、起こるべくして起こったようだ。
Hon-Kaz戦は中盤の難所。Kaz氏が飛頭に△7七歩と叩いた。Hon氏は▲同飛だが、△5六歩と突きだした手が、▲5七角取り。△3三の角も▲7七飛に当たっており、これは大変なことになった。
6五に敵歩がいるので▲6六角と上がれず、▲6八角も△5七歩成があるので、ここでHon氏が投了した。
感想戦に入るが、一手ポッキリで終わったため、検討のしどころは満載だ。私も口を挟む。みんな棋風が違うから、いろいろな見解が出て面白い。
興味深かったのは、変化の▲8五桂跳ねを、Fuj氏は「ソッポ」と見、Kun氏は「味がいい」と見たことだ。
振り飛車で▲8五桂はたまに見る手で、ここまで跳んだ桂はまず死なない。この場合後手の桂はたいてい△8一で、先手は最悪でもこの桂と交換になる。
よってここは、Kun氏の見解が正しい。
ここでHon氏は退席。また大野教室で会いましょう。
2局目はKun-Fujの対決。これも面白い取組である。
Fuj氏の先手で、相掛かり調に進む。▲2四同飛~△8六同飛に、Fuj氏は「横歩を取らねば男じゃない」と▲3四飛と取ったが、これが敗着。Kun氏に△3三桂と跳ばれ、すべて終わった。
むろん一般的にはこれからの将棋だが、ふたりに限っていえば、この形の経験値が違いすぎる。実戦もKun氏の快勝だった。
ここでKun氏も退席。きょうは誕生日だったのに私たちは何のおかまいもできず、それどころかいつものようにKun氏は、多めにおカネを置いていってくれた。Kun氏には申し訳なかったと思う。
まだ将棋を指し足りないKaz氏、今度は私との将棋となった。Kaz氏は難敵だが、挑まれた以上、私も応じないわけにはいかない。
深々とお辞儀をして対局開始。ファミレスの一隅に、異様な緊張感が漂っていた。
Kaz氏の先手で、相掛かり模様になった。▲2四同飛に、私は△2三歩。前回ジョナサンで指したときと同じだ。
▲3四飛~△2五角にKaz氏は、▲3二飛成の定跡は知らないんだよなあ、と、これも前回と同じ▲3六飛。私は△同角~△2七飛と竜を作る。Kaz氏は▲2七角と打つ。
この数手後、前局で私は竜角交換から△2八角と打ってダメにしたので、持久戦模様に進めるが、Kaz氏にじりじりと押され、形勢を損ねた。
しかし△5五角の王手に▲7七銀と打ったのが固めすぎの緩手で、ここは▲7七銀(引)か▲7七桂ぐらいで、Kaz氏が優勢だった。
これでヨリを戻したかに見えたが、▲4五歩に△同金と取ったのが疑問。すかさず▲3四角と出られ、金取りと▲2三角成を見せられ、またこちらが悪くなった。
その局面が下である。

先手・Kaz:1七歩、1九香、2六歩、3四角、3五歩、5七歩、6五歩、6七金、7七銀、7八金、8六銀、8七歩、8八玉、8九桂、9六歩、9九香 持駒:飛、歩
後手・一公:1一香、1四歩、2一桂、2四歩、3七馬、4二玉、4三歩、4五金、5二金、5三歩、6二銀、6三歩、7三歩、8一桂、8二飛、9一香、9四歩 持駒:銀、桂、歩3

ここから、△5五馬▲2三角成△3二銀▲2四馬△3三歩▲2二飛△3一桂▲5六金△同馬▲同歩△2三歩▲2五馬△1二金▲3二飛成△同玉▲8三銀△同飛▲6一角△8六飛▲5二角成△8二飛▲4二金△2二玉▲4一馬△7一飛▲3二馬△1三玉▲3一金、まで、Kaz氏の勝ちとなった。
△3三歩に▲2二飛が攻め急ぎの疑問手で、△3一桂と受けられてみると後続の攻めが難しい。次に△2三歩▲2五馬△3四歩の飛車取りがあるから、Kaz氏はしょうがない、と▲5六金。
これを私が△同馬と取ったのが悪手だった。ここはふつうに△同金と取り、▲同歩△同馬は、この馬が手順に2三に利いてくるので▲2三金がなく、後手が優勢だった。このとき、Fuj氏がトイレに行っていたが、戻ってきたら私の馬が盤上から消えていたので、何があったのかと驚いたという。
私は△2三歩だが、これも錯覚。最初の読みでは△2三金と打つつもりだったのだが、△2三歩で馬が死ぬと勘違いして、歩を打ってしまった。
しかしこれは当然、▲2五馬と逃げられる。私は動揺して△1二金だが、これも▲同飛成と取ってくれるわけもなく、3二の銀と交換されては、1二金がボケてしまった。
Kaz氏、▲8三銀からの攻めはずいぶん乱暴で、調べれば私の指し手に疑問符がいくつもつくのだろうが、対局中は△5六同馬~△1二金までの自分の指し手に嫌気がさし、粘りを欠いていた。▲3一金と桂を取られ、投了。
結果は負けたが、中盤では私が指せる場面もあり、アマチュアの対局では、横歩取り△2五角は後手も指せる、が持論である。
11時30分すぎに散会。Kaz氏は地下鉄の出入口に駆け降りていった。Kaz氏にはけっこう厳しい時間だった。それなのに彼は、直前まで熱心に感想戦を続けていた。みんな将棋バカだなあと思う。私も彼らの「将棋愛」に負けないようにしなければ。
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1ヶ月ぶりのジョナ研(前編)・5-1+1

2012-02-28 00:08:45 | ジョナ研
26日(日)は女流最強戦準決勝・甲斐智美女流王位と中井広恵女流六段の一戦があった。中盤まで中井女流六段が面白い形勢に見えたが、結果は甲斐女流王位の勝ち。中井女流六段、第5回目にして、初の「投了」となってしまった。
この決勝戦は3月18日で、私の誕生日。もし中井女流六段が決勝に進出したら、当日は対局会場になるであろう大和証券にお邪魔して、中井女流六段の優勝という、最高にハッピーなバースデープレゼントをいただこうと思ったのだが、夢と消えてしまった。

24日(金)はジョナ研があった。1月27日以来約1ヶ月振りで、2月10日も開催できないこともなかったのだが、その日は私が北海道旅行だったため、取りやめとなった。私は無視して、開いてくれればよかったのに。
きょう24日は、午後6時45分ごろジョナサンに入った。きょうもAyakoさんは休みのようである。もう金曜日のシフトではなくなったのだろう。彼女と飲みに行けなかったのが唯一の心残りだが、それをいっても詮無い。いまはただ、彼女が店を辞めていないことを祈るだけである。
店内の奥でHon氏が手を挙げていたので、その席に着く。
きょうの出席予定は5名だったが、W氏が突然の体調不良で欠席とのこと。大事がなければいいがと思う。
私はキャンペーンメニューを頼んで雑談。7時10分ごろ、Kaz氏が来た。Kaz氏には北海道旅行の土産話をしていないので、多少の脚色を交え、面白おかしく話す。それを聞いたKaz氏の反応は、私の予想どおりだった。
「ええっ?? 大沢さん、それは…うらやましいっす!!」
こちらは人生最高の1日を過ごしたのだから、否定はしない。しかし旅先でのデートなんて誰でも経験していることだし、それほど騒ぐことでもない気もする。
7時35分にKun氏が来た。Kun氏はきょう2月24日が誕生日で、事前のリサーチでは、出欠が不明だった。年に1度の誕生日だからまっすぐ家に帰ればと思うのだが、そこでジョナ研に寄ってしまうのが、将棋バカの将棋バカたるゆえんである。
Kun氏には、形ばかりのお祝いを述べておく。Kun氏だってヤローから祝ってもらっても、うれしくなかろう。
7時40分、Fuj氏が来る。これできょうのメンバーがすべて揃った。どうでもいいが、席の配置を記しておく。

     壁
Kun Hon
           壁
一公 Kaz Fuj

Kaz氏は食事。Kun氏はビールにつまみ。仕事の付き合いで飲んで来たというFuj氏は、いきなりスイーツを注文した。
前日23日の女流王位リーグで、中井女流六段が本田小百合女流二段に勝ち、プレーオフ進出の望みをつないだ。
「大沢さん、中井さんに、勝利のお祝いメールは出さないの?」
とHon氏がいう。
私は中井女流六段のメアドを存じ上げているから、送信するのにやぶさかではないが、それだと中井女流六段も私に返信をしなければならず、却って迷惑なのではなかろうか。
それをみんなに問うと、みんなは即座に否定した。
「中井さんだって、大沢さんからメールを貰えばうれしいよ」
「そうか…。やっぱり送ったほうがいいのかな、広恵に」
というと、みんなが微苦笑した。
Kun氏とHon氏は酒飲みなので、どんどんビールをお代わりする。私たちは長時間粘るので、注文が多いのは助かる。
私たちは相変わらずバカ話に興じる。ジョナ研でも大野食事会でも、いつもバカ話で爆笑の渦なのだが、それより一段高いレベルになると、話の場に「ツヤ」が出る。今回はそれを感じる。きょうはW氏がいないが、それを補って余りある「笑い」であった。
ところでFuj氏が浮かぬ顔である。中身は2月10日の動きだ。当日は各人いろいろあって、私が日本で一番幸せだった自信はあるが、Fuj氏も私に劣らず楽しい1日を送ったはずだ。だがそれが、いまでは重荷になっているようだ。しかしFuj氏、そんなに気にすることはないと思う。
Kaz氏がソワソワしている。きょうは誰か盤駒を持ってないんですか? という。ついに禁断症状が出たか。彼も真性の将棋バカなのだった。
Hon氏が布盤と駒を出し、Hon氏とKaz氏の対局が始まった。ジョナサンで将棋。これがジョナ研のもうひとつの姿である。
(つづく)
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二十たび大野教室に行く(後編)・女流最強戦を観る

2012-02-27 00:08:40 | 大野教室
時刻は午後6時を回っている。妙齢の美女はすでに教室を後にしていた。先ほどは大野八一雄七段に四枚落ちを教わっていたが、どのくらい満足してくれただろうか。今後の彼女の出席率は、大野教室の生徒の増加に直結する。来月以降に注目したい。
Fuj氏が、大野教室生徒数の推移を棒グラフにまとめてきた。アンタほかにやることがないのか、といいたいところだが、これは大野七段もうなる労作だった。
Fuj氏いわく、数ヶ月前に、月4回で延べ40人を突破したが、その後も着実に生徒数を伸ばし、今月はきょうの11人で、延べ50人を突破したという。これは喜ばしいことだ。大野七段の長年の普及が、やっと実を結び始めたということだろう。
遅くなったが、植山悦行七段がW氏相手に、指導対局を始めた。
私はHanaちゃんに対局を申し込む。現在研修会に通っている彼女も、望むところだった。
Hanaちゃんの▲5六歩に、私は角道も開けず中央を厚くする。Hanaちゃんの作戦は先手でも後手でも中飛車だから、対策は立てやすい。
しかしHanaちゃんに巧妙に攻め込まれ、またも敗勢になってしまった。こちらの様子を見に来た植山七段に、
「なんで(角と銀二枚の)二枚換えになってるんですか」
と苦笑されたが、返す言葉がない。
終盤、Hanaちゃんが金銀を捨てて寄せに出る、という強引な順があったが、それでもこちらが負けているのに呆れた。
最後は▲5三歩成というシャレた手があり、△同玉に▲5四銀と打ち換えられ、△同玉▲5二飛成まで、私の投了となった。
まだ植山-W戦は続いている。私はHanaちゃんに、泣きの再戦を申し込む。
「負け先」で私の先手。Hanaちゃんは当然ゴキゲン中飛車。私は超速▲3七銀に出たが、Hanaちゃんは先手陣にスキありと見て、居玉で仕掛けてきた。
一目無理っぽかったが、それでもいい勝負だったのに驚いた。しかしそれなら、この仕掛けはやらないほうがいい。
最後は私▲1七角、1九香、4三と 持駒角桂、Hanaちゃん△2九飛、4一金、5一玉、5四飛、6一金…の局面で、△1九飛成▲3三角△4二歩▲5三角成(▲5三とがよかった)まで、私の勝ちになった。
最後はHanaちゃんの居玉が祟った形だ。居玉での仕掛けは、これを最後にしたほうがいいと思う。
これできょうの将棋は終了。しかし、7局指して2勝5敗はひどい成績だ。以前は指導対局以外の一般対局は全勝、ということもあったのだが、いまは思い出話になってしまった。
このあとは食事会。クルマで少し走ったところにある、ガストへ向かう。参加者と席の配置は、以下のとおり。

   植山 大野 W
             壁
Fuj Minami 一公 Hon
     壁

7人中6人が、699円のキャンペーンメニューを頼む。しかし植山七段だけがドリンクバーを頼まなかったので、意外だった。
食事のあとは、バカ話に興じる。もちろん、このブログにも書ける内容ではない。書いたらこのブログが消滅するからで、最近はこのパターンが多すぎる。
ひとつうれしかったのは、きょうの美女が独身だったこと。既婚者と勝手に勘違いしていた。
彼女が独身なら、私も大野教室に通うハリがいっそう出てくるというものである。大野七段の指導が詰め込み過ぎのきらいはあったが、次回彼女が訪れるかどうか。ハラハラドキドキである。
8時も過ぎ、ケータイなどで、みんなで女流最強戦を観戦する。今夜は上田初美女王と清水市代女流六段の準決勝だ。この勝者が、翌週26日に行われる甲斐智美女流王位と中井広恵女流六段の勝者と、覇権を争うのだ。
清水といえば「金」、の清水女流六段が棒金に出て、3八~~1五~2四~3三と綺麗に捌いていく。さすがの金使いである。
90手目、上田女王が△6五銀と銀交換に出たのが大悪手。▲同銀△同飛と進んだが、ここで▲9三銀と打てば、後手玉が詰んでいる。
しかし清水女流六段の指し手は▲6六金! よくも悪くも、これが清水流の一手だった。
以下もすったもんたがあり、155手まで、清水女流六段の勝ち。これは熱局なのか、凡局なのか。どうもよく分からないが、清水女流六段は勝ち星を稼いでいるなと思う。
将棋観戦のあとは、またもバカ話。あまりにもバカバカしくて、Minamiちゃんが会話に入ってこられない。いまはスマホで遊んでいるが、それでもときどき口を挟むことがあり、ということは、私たちの話を聞いているのだ。
ちょっとしたトラブルがあって、11時すぎに、散会。しかしきょうも楽しい、大野食事会であった。
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二十たび大野教室に行く(中編)・負け続ける

2012-02-26 00:37:27 | 大野教室
彼女は紛れもない、大野教室の生徒だった。うら若き女性が、ひとりで大野教室の門を叩いたのだ。これは珍しいことである。
ちょうど午後3時になり、休憩&詰将棋タイムになった。彼女は5手詰まで解いたことがあるという。これはかなりの手練れだ。大野八一雄七段が初級者向けの詰将棋プリントを渡すと、それを真剣な表情で解いていた。
私とMinamiちゃんは、対局を続行中である。Minamiちゃんは快調に攻めていたが、ちょっと攻めが重かった。私は寸隙を衝いて反撃に転じる。
これが的確にヒットして、最後は私が幸いした。しかしMinamiちゃん、敗れたりとはいえ、序・中盤は見事な指し回しだった。このまま努力を続ければ、女流棋士も夢ではない。
私は妙齢の彼女を見るが、いまは大野七段に六枚落ちで教わっている。彼女がこの教室のレギュラーになるか否かは、大野七段の指導法にかかっている。
しばらく休んだあと、私は植山悦行七段の前に座るが、植山七段はほかの指導対局に忙しい。また彼女を窺うが、真剣な表情だ。先ほどは、父君だか旦那様だかの紹介で来たといっていたが、やっぱり人妻なんだ、と思う。
植山七段との指導対局開始。角落ちである。植山七段は飛車先の歩突きを保留し、△7四歩~△6四銀。△7五銀に私は▲6六銀右とぶつけ、△6四銀に▲5八飛。植山七段も△5二飛と対抗して、激しいことになった。私は落ち着いた将棋が好きだが、時おり激しい将棋も指す。要するに、どんな将棋も好きなのだ。
数手進んで、上手△5二飛、5四金、6三歩、6四銀、8一桂、下手▲4九金、5八飛、6六銀、7六銀、8八角。
ここで私は▲5五歩と打ったが、グイッと△4五金と出られて、おかしくなった。私は▲4八金だが上手は△5六歩。以下△5五銀と出られ、一遍に形勢を損ねた。
さらに数手後、▲6五銀めがけて、△7三桂と跳ねた手がピッタリ。この銀が動くと、△5四飛と歩を払いながら飛び出され、△2四飛~△2九飛成が受からない。私は数手指して投了した。
しかしひどい手を指したものだ。▲5五歩と打って△4五金と出られた将棋は、以前もあった。その将棋も完敗だったのに、ちっとも学習していない。
飛車が向かい合っていて、その間に駒が挟まっている場合は、その駒のあるほうが神経を遣う。本局は上手が指しにくいのに、それを▲5五歩と打って帳消しにしてしまっては下手が大損だった。
前日のフランク戦で、△6四角(打)▲3七角(打)に私が△5五歩と打ったのがマズかったように、自ら大駒の利きを止める手は、疑問手だと疑ってかかったほうがいい。
本局、▲5五歩に代わる手は、▲7四歩を推奨された。じっと歩を打ち敵桂の活用を抑える手で、いかにもプロ好みの一手。これで上手に、やってこい、と催促するわけだ。
しかし▲7四歩とは…。私の棋力では見つけられなかったと思う。プロとの指導対局は、得るものが多い。「▲5五歩は悪手」「▲7四歩とじっと打つ感覚」を、今度こそ身につけたいと思う。
4局目はHis氏と。His氏は研究熱心で、遠距離からの参加には頭が下がる。
His氏の先手で▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲4五角。His氏が時折り見せる意欲的な作戦で、昨年11月の将棋合宿でもこれを受けた。
序盤早々1歩損をするのはおもしろくないが、これを避けることはできない。漠然と駒組を進めたが、そのまま作戦負けに陥った。中盤で△6一金、6三銀、7二銀、8二飛と、高美濃囲いの中に飛車を入っているようでは、指すのがイヤになった。
しかし、△6七角にHis氏が▲8六飛と浮いたのが悪手。△7四歩と突いて、▲7五銀が死んでしまった。His氏は▲5七馬と角を取りに来たが、私は△5六角成と金を取り、▲同馬に△7五歩と銀を取る。角と金銀の二枚換えで、急に私がよくなったのでビックリした。
しかしその後、▲2四馬の王手に△3三金と立ち、▲7九馬に△8四歩と突いたのが大悪手。すかさず▲2二角と打たれ、香取りが受からない。こんな簡単な手が見えないなんて…。クサッた私は、ここで投了した。
まだ早いでしょう、とHis氏は呆れ顔だが、勝てない将棋を指しても意味がないのだ。
私の居飛車明示に、Ma君はゴキゲン中飛車。私は超速▲3七銀で迎え討つ。
激しい攻め合いになり、私▲3八飛、4五桂、5三銀、5五銀、8八角 持駒銀、Ma君△3三桂、3七と、4二角、5一金、5二飛、囲いは二枚穴熊…の局面。私が▲5三銀と打ち、Ma君が△3七歩成としたところ。
私は素直に▲同飛だが、△4五桂▲5二銀成△3七桂成▲5一成銀△同角の結果は、後手の駒をすべて捌かせてしまい、甚だおもしろくなかった。
実戦もむずかしいところがあったのだが、最後はMa君に寄せ切られた。
感想戦では、▲3七同飛のところで、▲5二銀成を指摘された。△3八と▲4二成銀△4五桂▲5一成銀△3七桂成▲6一金の結果は先手よし、とのことだった。
たしかにそうで、▲3七同飛は付き合いがよすぎた。この重大な局面で、腰を落とさず考えなかった自分が情けない。
このときだったか、W氏が、大沢さんは、食事会のほうに意識が行ってるんじゃないの? といったがこれもたしかにそうで、要するにいまの私には、将棋愛がないのだ。これでは大野教室にお邪魔してもムダなカネを落としているだけ。もっと将棋に身を入れないとダメだと思った。
(つづく)
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二十たび大野教室に行く(前編)・妙齢の美女、現る

2012-02-25 12:16:56 | 大野教室
19日(日)は、前日に続いて「大野教室」に行った。2日連続で教室に行くのは意外に珍しい。
午後1時40分ごろ入ると、講師の大野八一雄(おおの・やいちお)七段が、大人1人、子供3人に指導対局を行っていた。奥の部屋では、特別講師の植山悦行(うえやま・よしゆき)七段が、大人1人、子供2人に指導対局を行っていた。
植山七段は原則的に土曜日のみの登板なのだが、最近は日曜日も生徒が多く、連投の機会が多くなっている。
授業料の2,500円を払う。大野教室は月4回の開催で12,000円。1回料金は3,500円だが、3回目からは2,500円に減じられ、トータルで12,000円になる。1回目に全4回分12,000円を払えばそれがいちばんいいが、結果的に月4回通うことになっても損はしないシステムになっており、良心的である。
大野七段に角落ちで教えを乞う。相居飛車の出だしから、私は2、3筋の歩を切る。しかし飛車が2筋から離れたので、大野七段に△3三桂から△2四歩~△2五歩~△2四銀と盛り上がられ、指しにくくなった。
ちょっと遅めに到着したW氏に進行を見守られ、私は▲8六歩と、自玉頭の歩を突く。やぶれかぶれに見えるが、△同歩に▲8四歩の垂らしが大野七段の意表を衝いた。と金を作らせるわけにはいかないので△7三飛浮きだが、▲7四歩△9三飛▲8五銀(すぐに▲9五歩だったか)と出ては、下手がうまくやったと思った。
以下△7三歩▲9五歩△7四歩▲9四銀△7三飛▲8三歩成△7一飛▲8二と△2一飛▲9一と△7三桂▲9二と、と進む。
私は手順にと金を作って、してやったりだが、▲8二と~▲9一とは深追いしすぎた。これでは香得してもと金がソッポで、おもしろくない。△7三桂に▲9二とも不可解。9三~8三~7三のと金攻めを狙ったものだが、こんな攻めが間に合うわけがない。こんなと金を助ける手はなかった。
以降は大野七段に中央で手を作られ、私が非勢に陥る。

第1図で大野七段は△4五歩と突きだした。上手好調の局面で、諦めのいい下手なら投了してもおかしくない。実際私も投了を考えたのだが、私はひとつだけ狙っていた順があった。私は右で対局していたFuj氏に、こうなればいいんだが…と仮想手順を披露する。そんなにうまくいきますか?というFuj氏の顔。
大野七段がこちらに戻る。私はしょうがない、と▲4五同歩。ここから「演技」が始まっているのだ。△4六歩に、私は息を殺して▲5八銀。手の流れからいえば、次は当然△4五桂跳ねだ。指してくれ…私は念じた。
果たして大野七段は△4五桂。私は勇躍▲2五香! これで決まった(第2図)。

上手は2筋に歩が立たないので△2四銀引きだが、▲同香△同王に▲3二銀の飛車金両取りが痛打。
大野七段は
「手がしなってきましたねえ。…もう少し指すか」
と△2三飛。▲同銀成(▲5一馬の王手が優った)△同王▲4一飛△3三王▲1一飛成と進み、うん、投了します、と大野七段が投げてくれた(投了図)。

▲2五香からわらしべ長者のような手順で、飛車得になってしまった。これでは上手がイヤになるのもやむを得ないが、上手には△5七桂左成~△4七歩成が残っており、まだむずかしいところもあったと思う。
実際は上手が全然ダメなのだろうが、下手の心理からいうと、いろいろ気持ち悪いのだ。
ともあれこれで大野七段に5勝目だが、うち快勝は1、2局しかなく、あとは大野七段が勝手に転んだものばかり。私がもっとしっかりした将棋を指さなければならない。
Hon氏がいつもより早めに訪れており、きょうの生徒は10人になっていた。
私はMinamiちゃんと指す。手合いは二枚落ち。Minamiちゃんとは1勝1敗だが、その後Minamiちゃんはグンと腕を上げたという話である。
Minamiちゃんは▲4五歩~▲3五歩のあと、▲3八飛から二歩突っ切り。以前と同じ指し方だが、指し手に自信があふれ、以前より洗練された感じだ。
中盤、Minamiちゃんの指し手が冴え、私は苦戦を強いられる。…と、部屋の入口に、妙齢の女性が見えた。この教室にそぐわない、スレンダー美女である。彼女はいったい…??
(つづく)
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