一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

渡辺九段は休場すべき

2025-03-21 23:18:07 | 将棋雑記
きょう、ちょっと衝撃的なニュースが飛び込んできた。きょう対局の第38期竜王戦1組出場者決定戦で、渡辺明九段が佐藤康光九段戦に不戦敗を申し出たのだ。竜王戦1組は、連敗すると即降級の厳しさ。渡辺九段は戦わずして、2組に降級となってしまった。
それにしても、このところの渡辺九段は、てんで心許ない。
ケチの付け始めは昨年夏、フットサルの競技中に膝を負傷したことだ。ふつうならすぐに手術だったらしいが、タイミングが悪いことに、王位戦の挑戦者になってしまった。それで手術を延期したのだが、これが何というかどうも、という判断となった。
満身創痍で出場した王位戦七番勝負は、藤井聡太王位に負け、踏んだり蹴ったりとなった。
だが膝以外は何ともないから、藤井竜王・名人以外には勝てる。王位戦敗退以降は10勝4敗と好調ぶりを示した。
ところが12月13日、A級順位戦の千田翔太八段戦において、中盤戦の難しいところで早投げしたことで、周りは異変に気付いた。渡辺九段の膝は、通常の対局がこなせないほど悪化していたのだ。
ここで渡辺九段は1ヶ月の休場を取り、手術に踏み切った。素人考えでは、これで傷は治り、対局に復帰できると思った。
だが実際は、相当なリハビリが必要だったようだ。渡辺九段の膝は、全然治っていなかった。
1月23日の、西田拓也五段との朝日杯は不戦敗。
1月28日のA級順位戦・佐藤天彦九段戦も、膝痛で早投げになってしまった。結果論だが、先の千田八段戦のどちらかを勝っていれば、渡辺九段はプレーオフに進出できていた。
さらに、2月12日の棋聖戦・高崎一生七段戦も不戦敗。私は、このまま渡辺九段の不戦敗が続くのではないかと思った。
だが渡辺九段は頑張った。A級順位戦で永瀬拓矢九段、菅井竜也八段と撃破し、健在ぶり?を見せつけた。
そんな矢先の、再びの不戦敗だったのである。
膝が悪いところに正座を強制されたら、膝がよくなるヒマがない。最近はイス対局も解禁されたが、それでも渡辺九段は不戦敗を続けている。ということは、ふつうの状態でも、膝が悲鳴を上げているということだ。
これはもう、対局は無理なのではないか? とすれば、思い切って来年度1年間、休場してしまう手はある。それでリハビリに専念するのだ。いや私たちも、何度も不戦敗を見せられるのはイヤなのだ。
ヒトの家の懐具合に興味はないが、渡辺九段は竜王11期をはじめ、タイトル31期その他もろもろ実績がある。だから相当な蓄えがあるはずで、1年や2年無収入でも、痛くもかゆくもない。
休場1年なら、A級の地位は確保される。竜王戦は3組に降級となるのだろうが、竜王戦は2組でも3組でも、条件はほぼ同じだ。いやむしろ、3組のほうが戦いやすいともいえる。
まさかと思うが、現役をやめるというバカな考えを抱く前に、とっとと休場届を出したほうがよい。
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杉本八段、不運の降級

2025-03-09 23:26:02 | 将棋雑記
5日の第83期B級2組順位戦で、前代未聞の出来事があった。もう大多数の将棋ファンが知っていると思うが、5勝5敗の成績を取りながら、降級してしまった棋士がいた。杉本昌隆八段である。
今期のB級2組は、参加26名。B級2組は4人に1人降級点が付くので、今期は6名に付く。数年前だったら「5人に1人」だったから、降級点は5名だった。たった1人増えただけだが、されど1人だ。B級1組で羽生善治九段が3人目の降級になったのと同様、数年前の規約改正が、まさかのドラマを生むことになる。
杉本八段は前期降級点を取り、開幕前は順位最下位。この後4勝5敗で、最終戦を迎えた。この時点で26名中21位。最終戦で自身が勝つのは絶対として、自身より上位の4勝5敗者は7名いる。この7名全員が勝つとは思えぬから、自身が勝てば、今期の降級点は回避となる。ふつうはそう思う。
そして杉本八段は勝ったが、何と上位の7名も全員勝ってしまい、杉本八段は降級点2回で、降級となってしまったわけだった。
だがちょっと待て。順位戦は、指し分けでは降級点は付かないのではなかったか?
でも付いちゃったのだから、そんな規定はないのだろう。
だとすると、だ。今期は降級点持ちの鈴木大介九段が、5勝5敗ながら順位の差で、辛くも降級点を免れた。
その鈴木九段が来期も5勝5敗だったら? ふつうは「2期連続指し分け」で降級点消去になる。だけど他者の勝敗によって降級点を食らったら、今期の杉本八段のように、降級してしまうのか?
それで日本将棋連盟の規約のページを見ると、「指し分け以上でも、降級点に該当すれば、そちらが優先だれる」旨の一文があった。つまり、降級してしまうのであった。
いや、これはかなり厳しい規約である。
そもそもB級2組は(ほかのクラスもだが)むかしから実力伯仲で、かつては桐山清澄九段や飯島栄治八段が、4勝6敗の成績で降級点を取ったこともある。
今期は稀にみるダンゴ状態で、全10局終了の結果を見ると、5勝5敗が13名もいた。実に26名の半数である。そして、0勝が1名、1勝が1名と、負け数が特定の棋士に集中し、負け越しの棋士が少なかったのも異例だった。杉本八段は運がなかったというほかない。
杉本八段、「連載エッセイのネタができた」と苦笑いする気も起らないだろう。ともあれ当ブログとしては、来期のC級1組は、杉本八段を応援したい。
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羽生九段、B級1組最終戦で敗れる

2025-03-07 14:27:42 | 将棋雑記
きのうは将棋界で衝撃的な結末があった。いうまでもないが、第83期B級1組順位戦最終戦・羽生善治九段VS大橋貴洸七段戦で羽生九段が敗れ、B級2組への降級が決まってしまったことだ。

きのう、ABEMAで放送があったかどうか分からぬが、先日のA級順位戦プレーオフで朝日新聞社がYouTubeで配信をしてくれたことから、今回もあるのではとフンだら、ビンゴだった。これ、いままでの私が勉強不足だったのかもしれないが、だいぶ前から朝日新聞社(毎日新聞社も)は、こうしたサービスを行っていてくれたのではあるまいか。けっきょく、情報弱者は損をするのである。
朝日新聞社のYouTubeは、棋士の解説はなかったが、両対局者の対局姿と、盤面はもちろん、形勢バーの表示もある。これで十二分である。
将棋は羽生九段の先手で、矢倉。大橋七段は雁木から中住まいに構える例の形で、昭和の将棋の「私からすると、戦型からすでに、先手に勝ってもらいたい形になった。
将棋は中盤まで難しい形だったが、1時間半ほど席を外して戻ってくると、羽生九段が銀桂交換の駒損になっていた。しかも羽生九段はその桂をすでに手放している。これは羽生九段がマズいのではないかと思った。
対して大橋七段は渋い。早めに底歩を打ったり、玉を安全地帯に引いたりと、実に落ち着いている。勝ち急がない姿勢というか、これが勝利への近道ではと思わせるものがあった。
羽生九段は不利ながらも、これから最善を続ければ、まだ楽しみがある。だが羽生九段は微妙に疑問手を重ね、徐々に差が開いていった。
最後は大橋七段に5手一組の好手が出て、羽生九段投了。まさかの降級となったのだった。
今期、羽生九段は立ち上がり2連勝。これはA級復帰もと期待できたが、以降がダメだった。せめて降級が2名だったら免れたのだが、これも規則だから仕方がない。
さて問題はこれからである。羽生九段は今後の動向に即答せず、「年度末まで考える」と回答を濁した。
私はこのブログでさんざん述べているが、棋士は順位戦を指すことに意義があると思う。実力者がフリークラスに転出することにまったく意味はない。B級2組に落ちたらB級1組に上がり、さらにA級に上がればいいだけの話だ。
羽生九段VS谷川浩司十七世名人の対決も夢がある。羽生九段には冷静な判断をお願いしたい。
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山下奨励会三段、殊勲の勝利

2025-03-01 23:36:57 | 将棋雑記
きょう3月1日は、私が高校を卒業した日である。私は担任の先生に推され「卒業アルバム委員」になったのだが、女子のアルバム委員が怠惰だったのをいいことに、自分の好きなように編集してしまった。
卒業式当日に完成されたアルバムを見て、あまりのおのがエゴに、心底自分がイヤになった。でけど、完成してしまったアルバムは、もう訂正ができない。印刷物の恐ろしさがここにあるのだ。
毎年3月1日が来ると、私はいつも憂鬱になるのだ。

   ◇

2月27日に第83期A級順位戦最終戦が行われたが、その同じ日、関西将棋会館では、第38期竜王戦5組2回戦・藤本渚五段VS山下数毅奨励会三段戦が行われていた。
山下三段については、もはや説明の要もあるまい。山下三段は前期竜王戦6組に奨励会枠で出場し連戦連勝。決勝で藤本五段とまみえ、それに勝てばランキング戦優勝の特典で四段昇段への昇段点1が付き、四段昇段になるところだった。
結果は惜しくも敗れたが5組昇級は果たしていたので、今期は5組での出場となったのだった。
6組から昇級できないプロもいる中、ワンチャンスを活かして昇級を果たした山下三段は賞賛されるべきだし、5組での期待も大きい。将棋ファンは、つねに新たなヒーローを求めるのである。
そして今期の1回戦は、井上慶太九段に不戦勝。この2回戦が今期の初対局となったわけだった。
しかし相手は難敵の藤本五段。昨年度の成績は51勝9敗の勝率.850。今年度もここまで33勝13廃の勝率7割越えである。藤井聡太竜王がいなかったら有力なタイトル保持者候補で、これは山下三段、さすがに相手が悪いと思われた。
将棋は相居飛車となったが、中盤の折衝では藤本五段がよかったらしい。らしい、というのはプロの目から見たら藤本五段が優勢という話で、私の目ではどちらが優勢かまったく分からなかった。
しかし山下三段はよく頑張り、藤本五段に逆転勝ちした。
いやはや、これは大変なことになった。優勝候補の藤本五段を破ったのだから、もはや敵なし。今後誰と当たっても勝ちそうではないか。
そしてあと2勝で4組昇級、「3勝して優勝すれば昇段点1が付加され、四段となる」。「」内は私の推測だが、6組優勝で昇段点1なのだから、5組優勝だって付くだろう。
だがこれは勝ちまくればの話で、次に負けると、話がややこしくなる。まず6組は、女流棋士、奨励会員、アマが途中で負けた場合、昇級者決定戦には出られない。
では5組はどうなのか。(負けたら)昇級者決定戦で戦う、と記したネット記事もあったが、はっきりしない。
そしてそれがなかった場合、山下三段の今期竜王戦は終了となるのだが、5組の在籍も不可、という話もあるのだ。
この措置はあんまりなので、次期竜王戦は6組で出場するだろう、という話もあるが、5組で2回勝っているのに次期は6組、というのもおかしな話である。
そしてもうひとつ、問題があった。
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27日はA級順位戦最終局!!

2025-02-27 00:12:02 | 将棋雑記
第83期A級順位戦の最終戦が、27日に静岡市「浮月楼」で行われる。ここまで稲葉陽八段の降級は決まっているが、名人挑戦はプレーオフの可能性もあり、そこそこ「将棋界のいちばん長い日」になったといえる。
それぞれの対戦相手は次の通り。

⑥佐藤天彦九段(6勝2敗)VS⑦佐々木勇気八段(4勝4敗)
②永瀬拓矢九段(5勝3敗)VS⑩増田康宏八段(5勝3敗)
①豊島将之九段(3勝5敗)VS⑨千田翔太八段(4勝4敗)
③渡辺明九段(4勝4敗)VS④菅井竜也八段(3勝5敗)
⑤稲葉陽八段(2勝6敗)VS⑧中村太地八段(4勝4敗)

6勝の佐藤九段が勝てば名人挑戦。負けた場合、永瀬九段VS増田八段の勝者と、プレーオフとなる。
降級は、残り1席を巡る争いとなる。3勝4位の菅井八段は、負けると降級決定。勝つと、豊島九段VS千田八段の敗者が降級となる。
それぞれの、勝った場合と負けた場合の順位は次の通り。

⑥佐藤九段(名人挑戦~2位)
②永瀬九段(名人挑戦~3位)
⑩増田八段(名人挑戦~7位)
③渡辺九段(3位~7位)
⑦佐々木八段(3位~8位)
⑧中村八段(3位~8位)
⑨千田八段(3位~9位)
①豊島九段(4位~9位)
④菅井八段(5位~9位)
⑤稲葉八段(10位~10位)▲降級

順位にまったく関係ないのは、稲葉八段のみ。これは甚だ異例で、ふつうは勝つと負けるとで、順位数枚分の違いがある。
ともあれ将棋ファン注目の順位戦A級が指せるのは、棋士冥利に尽きる。熱戦を期待しています。
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