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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

増田裕司七段の順位戦復帰の目を考える・特別編

2024-12-04 00:04:19 | 目を考える
この3日、4日は、東京・立川市で第2回達人戦の本戦7局が行われる。出場棋士は豪華で、谷川浩司十七世名人、羽生善治九段、佐藤康光九段、丸山忠久九段、森内俊之九段、行方尚史九段、木村一基九段。そして増田裕司七段である。
竜王・名人経験者ら猛者ぞろいの中で、増田七段の名だけが異質だ。しかし増田七段は風貌が私そっくり。しかもフリークラス10年目で、今年度の成績に棋士生命が懸かっている。となれば、増田七段を応援する一手である。けれど、今回の8名のなかで、増田七段を応援する将棋ファンは1%もいまい。上等じゃねぇか。こっちはこっちで静かに応援してやるぜ。
ところで3日は、シフトの関係で1日時間ができた。問題は現地に応援に行くかどうかである。行きたいのはヤマヤマなれど、休みの日は録りだめしたビデオを見ないと、HDDの空きができない。
とはいえ、増田七段の公開対局を見るなど最初で最後のチャンスだ。だけど立川までわざわざ行って、入場料を払ってなあ……。今回はABEMAでの中継があるし、そこで応援でもいいんじゃないか……などと考えたが、どちらが後悔するかといえば「行かなかった」ほうで、それならとチケットを取ることにした。2日深夜のことである。
だがこの類は、チケットを取るにも面倒臭い。まずはチケットぴあにアクセスし、会員にならねばいけない。
ごちゃごちゃ必要事項を書き、メールを開いて登録を済ませ、これでチケットが買える、とサイトを開いたら、「サーバーメンテナンスのお知らせ」と出た。火曜日の02時30分から05時30分まで、かくのごとくでサイトが休止してしまったのだ。このとき、PCの時刻は「2:31」を示していた。
いやぁ、なんたる間の悪さか……。これは神様が「行くな」と告げているのか。とりあえず9時にアラームを合わせ、そのまま寝てしまった。
翌3日、8時30分に小便に起きたが、体もだるいので、私はアラームを解除し、二度寝に入った。
10時30分ごろ起き、ゆるゆると朝食を摂る。スマホからABEMA を見ると、前夜祭の模様が映しだされていた。木村九段の次に増田七段が出て、昨年の予選は準決勝で負けたこと、相手は福崎文吾九段だったが、その福崎九段が午後の決勝戦を前に勘違いして帰ってしまったことなどを、面白おかしく話す。
その合間に、「私はフリークラスなので、参加は今年が最後になると思います……」と現実的なことを述べた。
しかし今年度の成績を見れば、まだ復帰の線はある。これはやっぱり応援に行かなきゃ、と思った。
すぐにでも家を出て、電車内でチケットを購入してもいい。だが一応、PCから取得しようと試みる。
ところがサイトを見ると、3日分のチケットは販売終了となっていた。
あいや……これは2日中に購入せねばならなかったのか?
思わぬ形で立川に行かなくてもいいことになった?のに、こうなったらこうなったで後悔するのである。角館の美女しかり、南足柄市の美女しかり、私はいつも後手を引いている。
仕方ないから、ABEMAでの観戦に入る。いつもながら、ABEMAには感謝あるのみだ。第1局の羽生九段―行方九段戦は、行方九段がうまく指し、制勝。4日の準決勝に駒を進めた。
そして午後1時30分からは、丸山九段―増田七段戦である。丸山九段の先手で、丸山九段は飛車先の歩を突く。これに△8四歩だと、以下角換わりになる。先日も述べたが、角換わりのスペシャリストに正攻法で臨むのは割りに合わない。何か変化球が必要である。
増田七段は9筋の歩を突き越したあと、なんと三間飛車を採った。増田七段は居飛車党のイメージがあったが、飛車も振るのか。ただ丸山九段は対振り飛車が巧みで、なかでも居飛車穴熊は絶品だ。果たして本譜もそのように進んだ。
解説は高見泰地七段、聞き手は竹部さゆり女流四段である。高見七段の解説は的確で、解説場所からはABEMA AIの形勢バーは見えないらしいが、「ここは先手期待勝率52%です」と言った局面が「増田48:丸山52」となってたりして、プロの見立ての凄さにあ然とした。
増田七段は巧みに指す。丸山九段は飛角交換に出たが、これはやや短兵急だった。増田七段は自然に応接し、有利から優勢になった。
高見七段は対局者を達人とリスペクトしつつ、なおも的確な解説を続ける。そのほとんどがAI推奨手と同じで、しかも話術が絶品だ。竹部女流四段の聞き手も毒があってよく、このコンビは最強だ。とにかく私は、高見七段に対する評価を上げた。
さて局面、双方の棋歴を考えれば、本局は丸山九段が勝つだろう。だから増田七段には、少しでも丸山九段に食いついてくれれば、私はそれで満足だった。
だが増田七段は以降も優勢を持続する。ここからは高見七段推奨の俗手が分かりやすい勝ちだが、増田七段はやや迂回手順を指す。細かいがこのあたりが、タイトル経験棋士とフリークラス棋士の差の気がした。
だが増田七段は崩れず、気が付けば、増田七段の形勢バーが90%を越えていた。これ、増田七段が勝つのか? 殊勲の金星か?
増田七段、6筋の歩を竜でむしり取る。これを▲同金なら金打ちで先手玉は詰みだ。
だから丸山九段は8九の地点を香で埋めた。さあここだ。高見七段は△同馬と踏み込む手を指摘したが、これはのるかそるかの手に見えて、優勢なほうは指しにくい。すでに30秒将棋の増田七段は、ここで竜を逃げた。
しかしああ、ここで形勢バーが「増田44:56丸山」になってしまった! 勝勢にも見えた局面が、たった一手の疑問手で逆転する。ここが将棋の恐ろしいところだ。そしてこの形勢はもう、逆転しない。
果たして、以下は形勢が開くばかり。まさに急転直下で、増田七段が投了した。
局後、丸山九段は「だいぶ悪かった」と、負けたかのようだった。丸山九段も、増田七段の置かれている状況は知っていただろう。それだけに、敗勢からの逆転勝ちは、却って立つ瀬がなかったのではないか。
対して増田七段は、「勝ちがあると思ったんだが……」と、悔しさを滲ませた。
増田七段の、夢の時間が終わった。これで今年度は「11勝7敗」となった。順位戦復帰の19勝12敗まで、残り「8勝5敗」。この2連敗でだいぶ厳しくなった。
増田七段はくさらず諦めず、頑張ってもらいたい。
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竹内五段の順位戦復帰の目を考える(3)

2024-11-23 23:27:45 | 目を考える
竹内雄悟五段が昨日、王座戦を戦った。では、今年度の戦績を確認しよう。

■2024年度
4月2日 第50期棋王戦予選3回戦 ●黒田尭之五段
4月19日 第74期王将戦一次予選4回戦 ●藤本渚五段
4月24日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦2回戦 ○片上大輔七段
5月28日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦3回戦 ○小林裕士八段
6月18日 第96期棋聖戦一次予選1回戦 ○池永天志六段
6月18日 第96期棋聖戦一次予選2回戦 ●上野裕寿四段
7月5日 第18回朝日杯一次予選1回戦 ○中田功八段
7月5日 第18回朝日杯一次予選2回戦 ●船江恒平七段
7月25日 第10期叡王戦五段戦2回戦 ○石川優太五段
8月28日 第66期王位戦予選1回戦 ●藤原直哉七段
9月6日 第73期王座戦一次予選1回戦 ○藤原直哉七段
9月13日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦4回戦 ○高田明浩五段
10月3日 第73期王座戦一次予選2回戦 ○平藤眞吾七段
10月18日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦準決勝 ●千葉幸生七段
11月11日 第10期叡王戦五段戦3回戦 ○今泉健司五段
11月22日 第73期王座戦一次予選3回戦 ●徳田拳士四段

今回の相手、徳田四段は2022年デビュー。その年の加古川青流戦に優勝し、一躍時の人となった。また第64期王位戦ではリーグ入りするなど、只者ではない四段である。
その徳田四段に敗れ、9勝7敗。「年度18勝12敗」には残り9勝5敗となり、ちょっと厳しくなった。まあ今回は、相手が悪かった。


今年度の残る棋戦は、

第33期銀河戦
第10期叡王戦
第38期竜王戦
第75期王将戦
第51期棋王戦
第75回NHK杯

竹内五段はフリークラス1年目だからまだ焦る必要はないが、フリークラス1年目に絶好のチャンスを得た藤原直哉七段がそれをつぶし、そろそろ引退の危機にある現状を考えると、チャンスはそんなに多くない、ともいえる。
さて、どうなるか。
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竹内五段の順位戦復帰の目を考える(2)

2024-11-15 00:11:13 | 目を考える
竹内雄悟五段の順位戦復帰の目を考えるシリーズだが、9月15日の記事から3局を消化して、2勝1敗だった。
では、今年度の勝敗を確認しよう。

■2024年度
4月2日 第50期棋王戦予選3回戦 ●黒田尭之五段
4月19日 第74期王将戦一次予選4回戦 ●藤本渚五段
4月24日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦2回戦 ○片上大輔七段
5月28日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦3回戦 ○小林裕士八段
6月18日 第96期棋聖戦一次予選1回戦 ○池永天志六段
6月18日 第96期棋聖戦一次予選2回戦 ●上野裕寿四段
7月5日 第18回朝日杯一次予選1回戦 ○中田功八段
7月5日 第18回朝日杯一次予選2回戦 ●船江恒平七段
7月25日 第10期叡王戦五段戦2回戦 ○石川優太五段
8月28日 第66期王位戦予選1回戦 ●藤原直哉七段
9月6日 第73期王座戦一次予選1回戦 ○藤原直哉七段
9月13日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦4回戦 ○高田明浩五段
10月3日 第73期王座戦一次予選2回戦 ○平藤眞吾七段
10月18日 第37期竜王戦5組昇級者決定戦準決勝 ●千葉幸生七段
11月11日 第10期叡王戦五段戦3回戦 ○今泉健司五段

以上、9勝6敗。例の「いい所取り.650で20勝10敗」だと、年度最初の2敗を除けるから「あと11勝6敗」でよい。
それと私は前回の記事でうっかりしていたのだが、「年度.600で18勝12敗」の線もあった。
これは増田裕司七段と同じパターンだが、竹内五段は達人戦に参加できないので、通常通り?「18勝12敗」でよい。この条件なら、年度末までに「あと9勝6敗」となる。勝率5分の差が意外に大きいのだ。
今年度の残る棋戦は、

第33期銀河戦
第73期王座戦
第10期叡王戦
第38期竜王戦
第75期王将戦
第51期棋王戦
第75回NHK杯

である。さて、どうなるか。
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増田裕司七段の順位戦復帰の目を考える(2)

2024-11-07 23:16:27 | 目を考える
たぶん当ブログだけが注目している、増田裕司七段の勝敗である。きのうは王座戦が指された。では、今年度の戦績と合わせて、確認してみよう。

5月16日 第96期棋聖戦一次予選1回戦 ●長岡裕也六段
6月4日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦1回戦 ○神崎健二八段
6月26日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦2回戦 ○長岡裕也六段
7月2日 第18回朝日杯一次予選1回戦 ●長沼洋八段
7月17日 第10期叡王戦七段戦1回戦 ●矢倉規広七段
7月29日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦3回戦 ○浦野真彦八段
8月13日 第66期王位戦予選1回戦 ○齊藤裕也四段
9月5日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦4回戦 ○黒田尭之五段
9月12日 第73期王座戦 一次予選1回戦  ○島本亮六段
9月19日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦5回戦 ●山本博志五段
9月25日 第2回達人戦予選1回戦 ○畠山成幸八段
9月25日 第2回達人戦予選2回戦 ○阿部隆九段
10月3日 第66期王位戦予選2回戦 ●狩山幹生四段
10月16日 第73期王座戦一次予選2回戦 ○冨田誠也五段
10月22日 第2回達人戦予選3回戦 ○今泉健司五段
10月22日 第2回達人戦予選決勝 ○藤原直哉七段
11月6日 第73期王座戦一次予選3回戦 ●横山友紀四段
(11勝6敗)

王座戦は横山四段に敗れ、今年度11勝6敗となった。順位戦復帰まで「あと8勝6敗」はまだまだ大丈夫だが、羽生九段の例を見るまでもなく、連敗は誰にも突然やってくる。
また、勝ったら勝ったでそれなりのプレッシャーがかかるので、数字をクリアするのは見た目ほど簡単ではない。
残る棋戦は6つ。

第33期銀河戦
第2回達人戦(12月3日)
第38期竜王戦
第75期王将戦
第51期棋王戦
第75回NHK杯

とにかく、勝つしかない。
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増田裕司七段の順位戦復帰の目を考える(1)

2024-10-28 00:03:51 | 目を考える
先日、日本将棋連盟の棋戦表を見ていたら、第2回達人戦で、増田裕司七段が予選を突破していたので、驚いた。
以前もチラッと触れたことがあるが、私の顔は増田七段によく似ている。全体的な雰囲気も含め、そっくりといってよい。ある年に将棋会館で行われた将棋ペンクラブ関東交流会に、増田七段がふらっと現れた。
私は増田七段に、「私、先生に似ていると思うんですけど、どうでしょうか」と問うた。
すると増田七段も即座に「うん」と答えた。私はうれしくなって、(女流)棋士とツーショットで収まる趣味はないのだが、このときばかりは頼み込んで、撮らせてもらった。私の頭が薄く肥満気味なのがアレだったが、ふたり並ぶとそっくりだった。
さてその増田七段の今年度の成績を確かめたら、かくのごとくだった。

5月16日 第96期棋聖戦一次予選1回戦 ●長岡裕也六段
6月4日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦1回戦 ○神崎健二八段
6月26日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦2回戦 ○長岡裕也六段
7月2日 第18回朝日杯一次予選1回戦 ●長沼洋八段
7月17日 第10期叡王戦七段戦1回戦 ●矢倉規広七段
7月29日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦3回戦 ○浦野真彦八段
8月13日 第66期王位戦予選1回戦 ○齊藤裕也四段
9月5日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦4回戦 ○黒田尭之五段
9月12日 第73期王座戦 一次予選1回戦  ○島本亮六段
9月19日 第37期竜王戦6組昇級者決定戦5回戦 ●山本博志五段
9月25日 第2回達人戦予選1回戦 ○畠山成幸八段
9月25日 第2回達人戦予選2回戦 ○阿部隆九段
10月3日 第66期王位戦予選2回戦 ●狩山幹生四段
10月16日 第73期王座戦一次予選2回戦 ○冨田誠也五段
10月22日 第2回達人戦予選3回戦 ○今泉健司五段
10月22日 第2回達人戦予選決勝 ○藤原直哉七段

なんと、11勝5敗! このうち、若手の黒田五段、冨田五段、齊藤四段を倒した星が光る。そして達人戦が公式戦だったのが絶妙で、フリークラス脱出の目が出ていた。
その条件は例によって、まずは「いい所取り30局以上で勝率.650以上」。これは最初の5局を端折れるので「9勝2敗」となり、残りを「11勝8敗」でよい。
また、今回は年度初めからよく勝っているので、「参加棋戦数+8勝で、年度勝率.600以上」でもよい。
増田七段の場合、7大タイトルに朝日杯、NHK杯、銀河戦、達人戦に参加しているので、「19勝12敗」がクリアの一例となる。その場合、残りを「8勝7敗」でよい。
ところが改めて調べると、衝撃的事実があった。増田七段は、今年度がフリークラス10年目なのだ!
たしか熊坂学六段のときに議論になったが、フリークラスは11年目の勝敗は、復帰規定にカウントされない。年度末の戦績までが対象である。となると、「いい所取り30局」を指している猶予はないのだ。
じゃあ前年度の成績を加えればいいと思うが、前年度は終わり8局が1勝7敗だったので、全然ダメだ。
よって、増田七段順位戦復帰の条件は、「年度19勝12敗」。これだけとなった。ただ、残りを「8勝7敗」は、現在の増田七段の調子なら十分可能だ。
残り棋戦は、

第33期銀河戦
第73期王座戦
第2回達人戦
第38期竜王戦(2局)
第75期王将戦
第51期棋王戦
第75回NHK杯

となる。このうち銀河戦は9月に予選が行われているが、結果はまだ公表されていない。2勝していたらずいぶん楽になる。
とにかくこれからは一局でも多く勝って、対局を繋げていくしかない。
しかし熊坂六段といい中尾敏之六段といい、どうしてフリークラス10年目で勝ちだす棋士が出てくるのだろう。
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