神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

女優 松井須磨子

2018年08月24日 10時25分41秒 | 映画/ドラマ/アニメ

わが家は父子二代で魚屋を25年、料理屋を45年やったけれど、その両方で約40年勤務した女性がいた

その人は須磨子という名前で、大昔の女優と同じ名前だというのが自慢だった

それだけの印象だったのだけれど、今年の6月に長野県中野市の中山晋平記念館を訪ねたとき、いろいろな

情報に触れた

中山は中野市の出身で、東京に出てロシアや欧州文学の翻訳家島村抱月に師事した

島村は師と仰ぐ、坪内逍遙の弟子で早稲田文学界のOBのなかでも頭角を現す存在だった

彼らは劇団を創立して、新規俳優を養成すべく募集したが、その中に長野県松代町出身でバツイチの人妻

松井須磨子(本名小林正子)がいた

そして、この大柄で奔放な性格の女は、やがて二度目の離婚をして妻子ある島崎と不倫関係となる

やがてあっけなく島崎が病死すると、絶望した須磨子は後追い自殺をするのだった。

明治という時代は今より遥かに封建的で女性の社会進出も制限されていたけれど、文化人と呼ばれる

知識人階級には結構男女間に大らかなものがいて、それらに関わる知識階級の女性にはむしろ今よりも

情熱的な人を見かけることがある

松井須磨子しかり、与謝野晶子、会津戦争で戦死した美女中野竹子、同戦争で鉄砲を撃って奮戦した山本八重

(新島襄の妻)、津田梅子、平塚らいてうなどなどいとまが無い

そんなことで、松井須磨子の生涯に興味をもった私は恋愛小説の第一人者渡辺淳一作の「女優」を買いました

そして先日、めでたく読了

読んだ感想としては、不倫は別として、現代に置き換えれば松井須磨子は美空ひばりさんのイメージですね・・私的には

怖いものなし、無くてはならぬ大女優だから周りは腫れ物に触るよう、トップである島村抱月が須磨子に骨抜きにされている

から下の者は手も足も出ない。

須磨子が用足しをしているときにまで「先生、紙もってきて」と言われると「はいはい」ってな調子で、厠まで届けた

というから「ほんと?」、側から見れば、それ以外ではキリッとして妥協しない堅物の先生が、須磨子にはポチになる

須磨子はそれが当たり前と思っているし、恥ずかしいとか世間のルールとかまったく関係なく、また側が何を言おうが

どう噂されようが「そうなの・・いわせておけばいいわ」とからっとしている、このあたりは世間の評判に一喜一憂する私は

小気味よさを感じるのである。

こんな二人のところで書生をしていた中山晋平はやりきれない思いだったろうし、よく使いぱしりもさせられたようだ

この小説で知ったのは、坪内逍遙という人の人柄である、切手でしか知らなかったが、まったく無欲な人で、

演劇普及にかけた情熱は莫大な私財を惜しむことなくつぎ込み、ひたすら成功に向けて尽力されたのだ

その大先生も、ついには抱月と須磨子の関係を改善出来ずに縁切りとなってしまうのだった。

フニャフニャばかりのイメージの抱月であるが、残された人生を須磨子への愛情として貫き通したのは見方によっては立派

婿として、恩人の娘と結婚したが愛情はなかったものと思われる、だが夫を奪われた上に少しの罪悪感もない須磨子に

とことんやられっぱなしの本妻こそ哀れな犠牲者である。

一夫一婦制とは国家の法律で仕方ないけれど、こんな悲劇を見るとイスラム国家の一夫多妻制の方が良いのでは?とも

勿論平等のため、一婦多夫制も併設すべし

複数の愛人の存在を認めたどこかの大国の大統領にでも相談してみますか?