おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
6月最後の昨日(6月30日)は、14:00に某出版社の方がお越しになり、8月末に出す、新ジャンルの本のことで17:40までみっちり打ち合わせをしていました。
さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、ヒューマン・ギルドの過去のメルマガに書いた原稿のブログに転載する第8回目です。
「アドラー心理学で発想したら」(8):目的論(2)
前回は、「目的論」に相当する英語は“teleology”で、その語源からすると、“tele”は「遠い」を意味するものであり、“ology”は「学問」であることから「未来志向学」とも言うべきであることを書きました。
ところで、誰がアドラーの心理学を“teleology”と名づけたかたいうと、それはハイツ・L・アンスバッハーとロウェナ・R・アンスバッハーです。
1956年、2人は難解かつ散漫なアドラーの著書・論文を自分たちなりに整理・分類し、コメントを加えながら、「これ1冊でアドラーの心理学のほとんどがわかる」というような“The Individual Psychology of Alfred Adler”(日本語にすると、『アルフレッド・アドラーの個人心理学』)を世に出したのです。
その本の冒頭の「個人心理学の基本前提」を彼らはこんなふうに書き出していました。
1.全ての人間の背後には、一つの根本的な、そしてダイナミックな力がある。
その力はマイナスと感じられた状況からプラスの状況へ、劣等感から優越・完全・全体性へ向かう努力である。
2.その努力は、その独特な方向を、各個人に固有な目標あるいは自己理想から受け取る。
目標ないし自己理想は、生物学的および環境上の諸要因に影響されるが、究極的には、各個人の創造物である。
その目標ないし自己理想は、一つの理想であるがゆえに、一つの虚構(fiction)である。
ここからは、ややコラム風に書きます。
ハイツ・L・アンスバッハーは、元々はドイツから蒸気船に乗って移民してきた高卒の証券マンでした。
ところが、アドラーの講演を聴いたことがきっかけで一念発起。
大学に入り心理学を専攻、その後大学院に進み、やがてバーモント大学の心理学教授になった人です。
アンスバッハーから直に指導を受けた ジョセフ・ペルグリーノ博士 (7/27来日) によれば、心理学・哲学のことなら何でも知っている「生き字引」のような人だったそうです。
アンスバッハーは、1950年代半ばの心理学・哲学の用語を使ってアドラーの理論を体系づけ、その過程で「目的論」を使ったのです。
◆「アドラー心理学で発想したら}シリーズの1回目から7回目は、次のとおりです。
1回目 5月12日 自己決定性(1)
2回目 5月15日 自己決定性(2)
3回目 5月19日 自己決定性(3)
4回目 5月28日 自己決定性(4)
5回目 6月1日 自己決定性(5)
6回目 6月8日 自己決定性(6)
7回目 6月14日 目的論(1)
<お目休めコーナー>7月の花(1)

(クリックして勇気づけを)