○東京国立博物館 特別公開『中宮寺国宝弥勒菩薩半跏像』
中宮寺の弥勒菩薩とは、奈良で何度もお会いしているが、せっかく東京においでなので、やっぱりお会いしに行ってきた。
今回の展示の”売り”は、弥勒菩薩の周りをぐるりまわって、360度、どこからでも好きな角度で拝観できる点にある。正面から正対すると、ビシリと背筋を伸ばして見える仏像だが、脇にまわると意外と猫背であることが分かった。
以前、韓国で見た類似の半跏思惟像は、ことごとく猫背だった。そのとき、どうして中宮寺の弥勒像はあんなに背筋が伸びているのかなあ、日本産だから違うのかなあ、などと考えたが、その感想は誤りだということが分かった。亀井勝一郎は、この弥勒像の肩や胸のあたりに、若々しい青年の筋肉を感ずると書いていたように記憶するが、それも正面からの印象に束縛されているのではないかと思う。
特別公開の会場は、本館の奥の一室である。かなり照明を落としているので、明るい屋外から飛び込むと、眼が慣れるまで、しばらくとまどう。ふだんのお住まい、中宮寺の本堂はもう少し明るくなかっただろうか。せっかくの桜の季節に、こんな陰気くさい部屋に閉じ込められた弥勒菩薩が少しかわいそうに思った。
むろん美術品の保存の観点からは正しい措置だが、日本の仏像、特に古代の仏像は、できるだけ外気に近いところにおいて、四季の息吹を感じながら眺めたいと思う。弥勒菩薩のつややかな黒い肌に、揺れる桜の影を映してみたい、なんて思うのは不謹慎かしら。
今回、私は初めて博物館の裏庭に入ってみた。そうしたら桜マニア必見のスポットである。大ぶりな古木が多くて、雰囲気がおおらかなのがよろしい。上野公園のように、お弁当を広げたり、カラオケで盛り上がったりはできないが、静かに桜を愛でながら散策するには絶好である。ご来館の際は、ぜひお試しを。
中宮寺の弥勒菩薩とは、奈良で何度もお会いしているが、せっかく東京においでなので、やっぱりお会いしに行ってきた。
今回の展示の”売り”は、弥勒菩薩の周りをぐるりまわって、360度、どこからでも好きな角度で拝観できる点にある。正面から正対すると、ビシリと背筋を伸ばして見える仏像だが、脇にまわると意外と猫背であることが分かった。
以前、韓国で見た類似の半跏思惟像は、ことごとく猫背だった。そのとき、どうして中宮寺の弥勒像はあんなに背筋が伸びているのかなあ、日本産だから違うのかなあ、などと考えたが、その感想は誤りだということが分かった。亀井勝一郎は、この弥勒像の肩や胸のあたりに、若々しい青年の筋肉を感ずると書いていたように記憶するが、それも正面からの印象に束縛されているのではないかと思う。
特別公開の会場は、本館の奥の一室である。かなり照明を落としているので、明るい屋外から飛び込むと、眼が慣れるまで、しばらくとまどう。ふだんのお住まい、中宮寺の本堂はもう少し明るくなかっただろうか。せっかくの桜の季節に、こんな陰気くさい部屋に閉じ込められた弥勒菩薩が少しかわいそうに思った。
むろん美術品の保存の観点からは正しい措置だが、日本の仏像、特に古代の仏像は、できるだけ外気に近いところにおいて、四季の息吹を感じながら眺めたいと思う。弥勒菩薩のつややかな黒い肌に、揺れる桜の影を映してみたい、なんて思うのは不謹慎かしら。
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