見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

禅宗と書画とインド更紗/根津美術館

2005-09-12 22:14:31 | 読んだもの(書籍)
○根津美術館 特別展『墨蹟と中世漢画-常盤山文庫・根津美術館の名品-』

http://www.nezu-muse.or.jp/

 中世の墨蹟及び絵画(中国宋元時代の舶載品を含む)の展覧会である。いずれも、禅僧や禅文化との関連性が強い。

 正直なところ、墨蹟というのは、どう見ればいいのか、よく分からない。ただ、聞いたことのある名前が多いので、なんとなく懐かしくは感じる。絵画は、水墨画が主だが、淡彩を加えたもの、艶やかな胡粉の色彩を伝えるものもある。画題も、野菜、動物、人物など、さまざまである。小ぶりな作品が多いので、見る方も、あまり気が張らなくていい。気軽に贈答し合ったり、今日はこれ、明日はこっち、と、架け替えて楽しんだものではないかと思われる。

 ところで、展示品の半数以上は鎌倉の常盤山文庫の収蔵品である。常盤山文庫は、実業家・菅原通濟(1894-1981)の個人文庫であるが、この人物、典型的な成金の大富豪であった由。常盤山文庫は、1942年に創設され、1947年から一般公開されていたが、「普通の民家のような建物に国宝、重要文化財が無造作に置かれて」いたそうである。菅原の没後は公開を停止しているそうだが、行ってみたかったなあ。

 なお、根津美術館の第二室では『書画を包む』と題して、常盤山文庫の書画を包んでいたインド更紗を展示している。これがおもしろいので、ぜひお見逃しなく。書画の形状に合わせて、裁断され、秩に仕立てられたものも多い。この絢爛たる色彩の布包みが積まれた書画庫は、さぞ壮観だったろう。
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