■畠山記念館 秋季展『中国宋元画の精華-夏珪、牧谿、梁楷-日本人が愛した伝来の絵画』
http://www.ebara.co.jp/socialactivity/hatakeyama/index.html
畠山美術館には、通い始めて間がないので、まだ収蔵品をよく知らないのだが、今回は、ヘンな作品が多くて、笑ってしまった。
因陀羅筆『禅機図断簡(智常・李渤図)』は、木の下で、積み上げた書冊を前に、2人の男が向き合っている。なんだか、子どもが描いたようにたどたどしい筆致。これが国宝か~分かんないな~と思って、隣を見たら、伝・梁楷筆『猪頭図』。ブタ鼻の和尚が、ブタの頭にかぶりついてニコニコしている。うう、分かんない。さらに隣は宗達の『騎牛老子図』で、妙に丸顔の老子が、オカッパ頭の黒牛に乗って、ご満悦顔。とりあえずこっちも笑っておこう。こういうのが苦手の向きには、伝・夏珪筆『山水図』が一服の清涼剤である。
■東京国立博物館・東洋館第8室 特集陳列『中国書画精華』
http://www.tnm.jp/
畠山美術館を出て、地下鉄を乗り継ぎ、上野の国立博物館に向かった。特別展『仏像』も始まっているはずだが、今日のお目当ては『中国書画精華』に絞っている。
会場に入ると、簡潔で颯爽とした『李白吟行図』が目に入った。畠山美術館の『猪頭図』を描いた梁楷の作である。あのブタ鼻の和尚に比べると、ずいぶんオツにすました作品だなあ、と思うと、可笑しい。それから、因陀羅筆『寒山拾得図』。蓬髪の子鬼のような二人が楽しそうに向き合っている。実はこれも、畠山美術館にある『禅機図断簡』と、かつては一巻を成していたらしい。切断されて泣き別れた、佐竹本三十六歌仙みたいなものか。
初見の『竹鶏図』(蘿窓筆・南宋時代)は、今回、いちばん見たかった作品である。薄明の中に立つ、大きな(ちょっと太りすぎて体の重たそうな)白鶏の姿が、薄墨の一部を塗り残すことで表現されている。よく見ると、ずいぶん陰険な目つきである。若冲の描くニワトリとは全く異質で、絶対、アクロバテッィクなポーズなど取りそうにない。何かに怒って体を膨らませているようで、凄みと迫力のあるニワトリである。
呂紀筆『四季花鳥図』は、あ、狩野派!と指差したくなるし、王世昌筆『山水図』は、水辺を叩いて吹き上げる風の激しさに、おお、雪村!と手を打ちたくなる。それから、『売貨郎』も嬉しかった。移動式の屋台を担いで、子どものおもちゃを売る物売りの図である(そういえば、この夏、西安の城門外で、まさに”売貨郎”のおじさんを見た)。しがない露天商なのに、品のいい君子顔なのが面白い。私の記憶と記録に間違いがなければ、以前、根津美術館で見たのも呂文英の作品だったようだ。
今年の『中国書画精華』(後期)は、バラエティ豊かで、いつもに増して面白いと思う。畠山記念館と合わせて行くと、さらに楽しめて、おすすめである。
http://www.ebara.co.jp/socialactivity/hatakeyama/index.html
畠山美術館には、通い始めて間がないので、まだ収蔵品をよく知らないのだが、今回は、ヘンな作品が多くて、笑ってしまった。
因陀羅筆『禅機図断簡(智常・李渤図)』は、木の下で、積み上げた書冊を前に、2人の男が向き合っている。なんだか、子どもが描いたようにたどたどしい筆致。これが国宝か~分かんないな~と思って、隣を見たら、伝・梁楷筆『猪頭図』。ブタ鼻の和尚が、ブタの頭にかぶりついてニコニコしている。うう、分かんない。さらに隣は宗達の『騎牛老子図』で、妙に丸顔の老子が、オカッパ頭の黒牛に乗って、ご満悦顔。とりあえずこっちも笑っておこう。こういうのが苦手の向きには、伝・夏珪筆『山水図』が一服の清涼剤である。
■東京国立博物館・東洋館第8室 特集陳列『中国書画精華』
http://www.tnm.jp/
畠山美術館を出て、地下鉄を乗り継ぎ、上野の国立博物館に向かった。特別展『仏像』も始まっているはずだが、今日のお目当ては『中国書画精華』に絞っている。
会場に入ると、簡潔で颯爽とした『李白吟行図』が目に入った。畠山美術館の『猪頭図』を描いた梁楷の作である。あのブタ鼻の和尚に比べると、ずいぶんオツにすました作品だなあ、と思うと、可笑しい。それから、因陀羅筆『寒山拾得図』。蓬髪の子鬼のような二人が楽しそうに向き合っている。実はこれも、畠山美術館にある『禅機図断簡』と、かつては一巻を成していたらしい。切断されて泣き別れた、佐竹本三十六歌仙みたいなものか。
初見の『竹鶏図』(蘿窓筆・南宋時代)は、今回、いちばん見たかった作品である。薄明の中に立つ、大きな(ちょっと太りすぎて体の重たそうな)白鶏の姿が、薄墨の一部を塗り残すことで表現されている。よく見ると、ずいぶん陰険な目つきである。若冲の描くニワトリとは全く異質で、絶対、アクロバテッィクなポーズなど取りそうにない。何かに怒って体を膨らませているようで、凄みと迫力のあるニワトリである。
呂紀筆『四季花鳥図』は、あ、狩野派!と指差したくなるし、王世昌筆『山水図』は、水辺を叩いて吹き上げる風の激しさに、おお、雪村!と手を打ちたくなる。それから、『売貨郎』も嬉しかった。移動式の屋台を担いで、子どものおもちゃを売る物売りの図である(そういえば、この夏、西安の城門外で、まさに”売貨郎”のおじさんを見た)。しがない露天商なのに、品のいい君子顔なのが面白い。私の記憶と記録に間違いがなければ、以前、根津美術館で見たのも呂文英の作品だったようだ。
今年の『中国書画精華』(後期)は、バラエティ豊かで、いつもに増して面白いと思う。畠山記念館と合わせて行くと、さらに楽しめて、おすすめである。