見もの・読みもの日記

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伊吾国・粟特城の章/西遊妖猿伝・西域篇(2)(諸星大二郎)

2010-07-15 21:43:26 | 読んだもの(書籍)
○諸星大二郎『西遊妖猿伝・西域篇』2 講談社 2010.6

 西域篇第2巻、悟空一行は伊吾国の東端に到達したもよう。と言っても、シルクロードの地図を見ると、伊吾城(ハミ)でさえ、まだトルファンの手前(東側)だから、先は長い。粟特城という架空のオアシス都市が舞台になっているが、粟特とはソグド人のこと。あれ?ソグド人って、もっと中央アジア寄りに居住していたんじゃなかったけ?なんて思ったが、読み返したら、「シルクロード沿いのオアシス都市には必ずと言っていいほどソグドの植民地がありまして」と講釈師が説明していた。西域篇では、講釈師さんの出番が増えそうだ。

 Wikiによれば、ソグド(人)は『魏書』西域伝においては粟特と記され、玄奘の『大唐西域記』においては窣利人と記されているそうだ。宗教は「ゾロアスター教をはじめ、マニ教、ネストリウス派キリスト教、仏教を信仰した」というが、本編の粟特城の人々は、ゾロアスター教の信者として描かれている。悟空が粟特城内に引きいれてしまった妖魔は「ドゥルジ・ナス」と呼ばれていて、ゾロアスター教の悪神の一らしい。この名前って、元世祖クビライの長男ドルジ(朶而只)あるいは朝青龍のドルジと関係がある?ない? いろいろ疑問が湧くのも西域篇ならではである。

 物語は、まだあちこちに妖しい布石を打っている段階で、どう動き出すのか全く読めない。次の巻が待ち遠しい。

 さて、本書が「読んだもの」投稿600件目。年100冊読破を続けてきたが、6年目の昨年は、ひと月半ほど遅れを取ってしまった。速読、多読がエライわけじゃないけど、読書は精神のエクササイズだから、怠け癖をつけないよう、頑張りたい。
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