見もの・読みもの日記

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幼心、遊び心/Kawaii 日本美術(山種美術館)

2014-01-08 23:49:14 | 行ったもの(美術館・見仏)
山種美術館 特別展『Kawaii 日本美術 -若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで-』(2014年1月3日~3月2日)

 正月3日に行ったら、玄関ロビーに和服姿の女性が立っていて、張りのある声で「いらっしゃいませ」とご挨拶をいただいた。あとで同館の館長だと気がついた。

 本展は、時代を超えて日本人の心を捉えてきた「Kawaii(かわいい)」に注目する展覧会。2013年の府中市美術館『かわいい江戸絵画』、さらには2008/2009年の松濤美術館『素朴美の系譜』を思い出さないでもない。同館の得意とする近現代の日本画が中心だが、若冲、蘆雪、森狙仙などの江戸絵画も混じる。さらに、室町時代の『藤袋草子絵巻』『雀小藤太絵巻』『新蔵人物語絵巻』が、サントリー美術館から出ていたのは、嬉しいサプライズだった。

 展示構成は、まず「子ども」。奥村土牛の『枇杷と少女』初めて見た。キャンバスいっぱいに描かれた枇杷の木。画面の隅に身を寄せるように少女の姿がある。ふと坪田譲治の『びわの実』という童話が好きだったことを思い出す。関山御鳥の『琉球子女図』、こういうエキゾチシズムには弱い。

 続いて「動物(生きもの大集合)」。印象ではイヌとウサギが多かった。日本画家は、ネコよりイヌ好きが多いのかも。奥村土牛の『鹿』のべたっとした茶色の質感が、すごく鹿の毛皮らしいと思った。竹内栖鳳の『みみづく』、山口華陽の『木精』も好きだ。ミミズクって、私は見たことがないが、身近な野鳥だったのかなあ。作品解説に、山口華陽は「飼っていた木菟(みみずく)を(描き)添えた」とあった。

 最後が「小さい・ほのぼの・ユーモラス」。松岡映丘の『斎宮女御』をここに出すのは、ちょっと無理がある。谷内六郎は、そんなに好きではないけれど『うさぎ うさぎ』の見事なストップモーションは笑えてかわいかった。

 なお、若冲の『樹下花鳥獣図屏風』は後期(2/4~)展示。いま見られるのは『鶴亀図』『托鉢図』『伏見人形図』の3点だが、いずれも楽しい。私は図録の解説を読んで、『鶴亀図』の二羽目の鶴を見逃していたことに気づいた! 楽しいなあ~。
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