今日は私の定年退職の日である。しかし同じ職場に長く勤めるということがなく、2~3年ごとに職場を渡り歩いてきた上、明日4月1日からは次の職場に再就職が決まっているので、全然感慨がない。
それでも先週から多数のお花をいただき(こんなに花に埋もれるのは、次は棺桶に入るときしかないだろう)記念の時が迫っていることは、だんだん自覚するようになった。
いただいたお花は、自宅に持ち帰って、花瓶がないので、適当なタッパーウェアなどに差している。水と陽の光があれば、植物は持つものだなあと感心している。
お花以外に、お茶やお菓子をたくさんいただいた。集まっての送別会ができない分、みなさん、気を遣って個別にプレゼントをくださるのを申し訳なく思っていた。
そして今日は、ひとりで記念の祝杯をあげようと思っていたら、お誘いをいただいたので、友人と軽く吞んできた。そして明日から第二の(?)人生。
「三月尽」の和歌を探していたら、むかしから好きな「けふとのみはるをおもはぬときだにも たつことやすき花のかげかは」(古今・みつね)よりも、「はかなくて過ぎにしかたを数ふれば 花に物思ふ春ぞ経にける」(新古今・式子内親王)が、ぐっと身に染む感じがした。老いの和歌の妙味が少し分かってきたみたい。これだから、生きることは面白い。