見もの・読みもの日記

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今年はウサギ年/2023博物館に初もうで(東博)

2023-01-03 19:50:03 | 行ったもの(美術館・見仏)

 新春恒例、東京国立博物館に行ってきた。過去の記録を見たら、2021年は新型コロナ対応で予約入館のみ、2022年も予約入館が推奨されていたが、今年はようやくフラリと行っても入れるようになった。

■本館11室 特別企画『大安寺の仏像』(2023年1月2日~3月19日)

 昨年、奈良博の特別展『大安寺の全て』でも展示された木彫仏像群が東博に来ていてびっくり。しかも写真撮影可というサービスぶり。ただし大安寺が保有する奈良時代(8世紀)9躯のうち展示は7躯(四天王、楊柳観音、不空羂索観音、聖観音)で、馬頭観音と十一面観音はいらしていない。ほかに江戸時代の弘法大師坐像と、出土瓦などが展示されている。3月まで展示なので、ゆっくり拝見できそう。ずんぐりして、やや動きの硬い四天王に味がある。

■本館13室(刀剣)(2022年10月25日~2023年1月15日)

 ふだん通り過ぎてしまう展示室だが、入ってすぐ正面に展示されている、古い様式の甲冑に目が留まった。どこかで見覚えがある気がしてキャプションを確かめたら『模造・赤糸威鎧(小野田光彦作)』とある。おお!あれだ!畠山重忠が武蔵御嶽神社に奉納した鎧の模造ではないか。先日、大河ドラマ館で『鎌倉殿の13人』の撮影に使われた兜を見て、気になって調べたものだ。東博スタッフの『鎌倉殿』ファンが展示してくれたとしか思えない。ありがとうございます。

 その他、2室(国宝室)は特集「未来の国宝-東京国立博物館 書画の逸品-」を継続中で、今月は伊東若冲の『玄圃瑤華』。3室(仏教の美術)は、妖しい密教絵画が多くて楽しかった。7室は新春恒例となった国宝『松林図屛風』を公開中で、混み合っていた。同作品は、東博の戦後初の購入作品の一つなのだな。

 ところで、毎年、干支にちなんだ展示「博物館に初もうで」が行われる特別室1・2が閉まっていたので、あれ?そんなはずは?とスマホで調べたら、今年は平成館企画室で開催されていた。

■平成館・企画展示室 『博物館に初もうで 兎にも角にもうさぎ年』(2023年1月2日~1月29日)

 今年のメインビジュアルは、伊万里焼『染付水葵に兎図大皿』(江戸時代・19世紀)のこの子たち。可愛いが、制作当時の美意識から見るとハズレじゃないのかな? どうなんだろう。

 展示は5つのテーマ「兎に角うさぎ」「月のうさぎ」「波に乗るうさぎ」「うさぎはどこだ」「うさぎと人と」で構成する。美術工芸品の中のウサギは、ひたすら愛らしかったり、勇猛果敢だったり、ちょっと嫌なヤツだったり、変化に富んでいる。特に楽しかったのは「うさぎはどこだ」で、『豆兎蒔絵螺鈿箱』(江戸時代・19世紀)は、外側は豆の葉のみで、蓋の裏側にウサギが隠れているという趣向がおしゃれ。『海士玉採図石菖鉢』(明治時代)は鉢を支える四隅の脚がウサギになっている。中国の青銅器に、クマやトラの例はあったように思うけど、ウサギはないのだろうか。明治5~6年の錦絵に登場するウサギが、空前の兎ブームを反映して、洋装の嫌味なヤツになっているのも可笑しかった。

 アジア・ギャラリー(東洋館)7室(中国絵画)は「明末清初の書画」の特集で、これも楽しかった。でも、なかなか画家の名前が覚えられない。

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