○雑誌『CREA』2016年2月号「特集・大人の少年少女文学」 文藝春秋 2016.2
はじめのほうに「500人が選んだ好きな作品ベスト50」というランキングがある。50作品を選ぶのにサンプル500人はちょっと少ないんじゃないかな(複数回答可だが)。30位以下は票数が1桁なので、あまり意味あるランキングと思えないが、上位20位を書き抜いておこう。
1位 赤毛のアン/モンゴメリ(×)
2位 若草物語/オルコット
3位 小公女/バーネット
4位 不思議の国のアリス/キャロル
5位 シャーロック・ホームズシリーズ/ドイル
6位 ハイジ/シュピーリ(△)
7位 大きな森の小さな家シリーズ/ワイルダー
8位 トムソーヤの冒険/トウェイン
9位 モモ/エンデ
10位 ハリー・ポッターシリーズ/ローリング
11位 オズの魔法使い/ボーム(△)
12位 あしながおじさん/ウェブスター(×)
13位 長くつ下のピッピ/リンドグレーン
13位 ムーミンシリーズ/ヤンソン
15位 クマのプーさん/ミルン(×)
16位 秘密の花園/バーネット
17位 ナルニア国シリーズ/ルイス
18位 フランダースの犬/ウィーダ
19位 怪盗ルパンシリーズ/ルブラン
20位 ドリトル先生シリーズ/ロフティング(×)
なるほど。回答者の平均年齢は、私より(かなり)若いのだろう。私に取って『モモ』(日本語版は1976年刊)や『ハリー・ポッター」シリーズは、新刊が書店に並ぶのを見ていた本なので、はじめから家や図書館にあった「古典的名作」と一緒に扱うのは、少し居心地が悪い気がする。ただ「ナルニア国」シリーズなどは、実際に読んだのは中学時代だったが、あまりにも好きになりすぎて、小さい頃から読んでいたように記憶が補正されている感じがする。
私は、好きな作品は繰り返し読む子どもだったが、好き嫌いが激しくて、一度「面白くない」と感じた本は、それきり手を出さないことが多かった。実は、上のリストで「×」をつけたものは、たぶん読んでいない。1位の「赤毛のアン」は、年少者向けのリライトだけ読んだが、それ以上は決して読まなかった。従姉妹のおねえさんが「面白いから」と文庫本を貸してくれても、かたくなに読まなかった。だいたい女子が主人公の作品には興味が薄かったように思う。
「△」印は読んだかもしれないが、あまりよく覚えていないもの。『ハイジ』は夢遊病の描写が怖くて、その先が読めなくなってしまった。陽気なアニメの『ハイジ』のイメージが一般化する前の話。
では、どんな作品が好きだったかというと、上のリストでは『秘密の花園』『小公女』『トムソーヤの冒険』『長くつ下のピッピ』。リストにはないけど『王子と乞食』『宝島』『十五少年漂流記』それに「ヘンリーくんとアバラー」シリーズなど、少年ものが好きだった。それから少年も少女も関係ない冒険ものや探偵もの、動物もの、怪奇もの、歴史もの、作品でいえば『海底二万マイル』『ああ無情』『三銃士』『ジャングル・ブック』『西遊記』、それに「シートン動物記」シリーズも好きだった(もちろん子ども向けリライトで読んだ)。あ、ケストナーの『点子ちゃんとアントン』『ふたりのロッテ』は、少女が主人公でも受け入れやすかったな。忘れてならない、子ども向け「怪人二十面相」シリーズが50位までに入っていないのは、やっぱり世代の差だろうか。
子ども時代の読書については、人それぞれ思い出とこだわりがあると思うのだけど、それを平均すると、上のようなランキング(主人公=少女ものがベスト3)になるのだろうか。少女(少年)時代の読書って、自分によく似た年代の少女(少年)が主人公の物語を、そんなに読みたいかなあ。特集のコンセプト「人生に迷ったら読みたい」にあわせすぎじゃないか? 私は、もっぱら現実の人生を忘れるために物語を読んできた。男の子になったり、オオカミになったり、中世のナイトになったり、孤独な科学者になったり、別の人生を生きてみるために。あと、本誌で面白そうだなと思ったのは「おいしそうな食べものベスト30」だが、これも回答者(or編集者)が少年少女文学を知らなすぎるんじゃないかと思った。
はじめのほうに「500人が選んだ好きな作品ベスト50」というランキングがある。50作品を選ぶのにサンプル500人はちょっと少ないんじゃないかな(複数回答可だが)。30位以下は票数が1桁なので、あまり意味あるランキングと思えないが、上位20位を書き抜いておこう。
1位 赤毛のアン/モンゴメリ(×)
2位 若草物語/オルコット
3位 小公女/バーネット
4位 不思議の国のアリス/キャロル
5位 シャーロック・ホームズシリーズ/ドイル
6位 ハイジ/シュピーリ(△)
7位 大きな森の小さな家シリーズ/ワイルダー
8位 トムソーヤの冒険/トウェイン
9位 モモ/エンデ
10位 ハリー・ポッターシリーズ/ローリング
11位 オズの魔法使い/ボーム(△)
12位 あしながおじさん/ウェブスター(×)
13位 長くつ下のピッピ/リンドグレーン
13位 ムーミンシリーズ/ヤンソン
15位 クマのプーさん/ミルン(×)
16位 秘密の花園/バーネット
17位 ナルニア国シリーズ/ルイス
18位 フランダースの犬/ウィーダ
19位 怪盗ルパンシリーズ/ルブラン
20位 ドリトル先生シリーズ/ロフティング(×)
なるほど。回答者の平均年齢は、私より(かなり)若いのだろう。私に取って『モモ』(日本語版は1976年刊)や『ハリー・ポッター」シリーズは、新刊が書店に並ぶのを見ていた本なので、はじめから家や図書館にあった「古典的名作」と一緒に扱うのは、少し居心地が悪い気がする。ただ「ナルニア国」シリーズなどは、実際に読んだのは中学時代だったが、あまりにも好きになりすぎて、小さい頃から読んでいたように記憶が補正されている感じがする。
私は、好きな作品は繰り返し読む子どもだったが、好き嫌いが激しくて、一度「面白くない」と感じた本は、それきり手を出さないことが多かった。実は、上のリストで「×」をつけたものは、たぶん読んでいない。1位の「赤毛のアン」は、年少者向けのリライトだけ読んだが、それ以上は決して読まなかった。従姉妹のおねえさんが「面白いから」と文庫本を貸してくれても、かたくなに読まなかった。だいたい女子が主人公の作品には興味が薄かったように思う。
「△」印は読んだかもしれないが、あまりよく覚えていないもの。『ハイジ』は夢遊病の描写が怖くて、その先が読めなくなってしまった。陽気なアニメの『ハイジ』のイメージが一般化する前の話。
では、どんな作品が好きだったかというと、上のリストでは『秘密の花園』『小公女』『トムソーヤの冒険』『長くつ下のピッピ』。リストにはないけど『王子と乞食』『宝島』『十五少年漂流記』それに「ヘンリーくんとアバラー」シリーズなど、少年ものが好きだった。それから少年も少女も関係ない冒険ものや探偵もの、動物もの、怪奇もの、歴史もの、作品でいえば『海底二万マイル』『ああ無情』『三銃士』『ジャングル・ブック』『西遊記』、それに「シートン動物記」シリーズも好きだった(もちろん子ども向けリライトで読んだ)。あ、ケストナーの『点子ちゃんとアントン』『ふたりのロッテ』は、少女が主人公でも受け入れやすかったな。忘れてならない、子ども向け「怪人二十面相」シリーズが50位までに入っていないのは、やっぱり世代の差だろうか。
子ども時代の読書については、人それぞれ思い出とこだわりがあると思うのだけど、それを平均すると、上のようなランキング(主人公=少女ものがベスト3)になるのだろうか。少女(少年)時代の読書って、自分によく似た年代の少女(少年)が主人公の物語を、そんなに読みたいかなあ。特集のコンセプト「人生に迷ったら読みたい」にあわせすぎじゃないか? 私は、もっぱら現実の人生を忘れるために物語を読んできた。男の子になったり、オオカミになったり、中世のナイトになったり、孤独な科学者になったり、別の人生を生きてみるために。あと、本誌で面白そうだなと思ったのは「おいしそうな食べものベスト30」だが、これも回答者(or編集者)が少年少女文学を知らなすぎるんじゃないかと思った。