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男たちの戦い/中国時代劇で学ぶ中国の歴史2019年版

2018-09-30 23:57:43 | 読んだもの(書籍)
〇雑誌・キネマ旬報ムック『中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2019年版』 キネマ旬報 2018.8

 この「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」シリーズが、少し前から出ているのは知っていた。調べたら2014年版が最初らしい。ちなみに姉妹編の「韓国ドラマで学ぶ韓国の歴史」(または朝鮮王朝の歴史)シリーズは2003年から出ている。しかし、私は韓国ドラマには興味がなかったし、こういうムックに取り上げられる中国時代劇(豪華絢爛、美男美女俳優が主役の宮廷ロマンス)は、ちょっと私の趣味と違うんだよな~と思って敬遠してきた。2018年版には『瑯琊榜』が取り上げられていたので、読みたい記事だけ立ち読みしてみたが、まだ買わなかった。

 それが、2019年版には、私の好きなドラマ、これから見たいと思っているドラマが、かなり載っていると分かって、ついに買ってしまった。目次を見ると、新旧あわせて60作品くらいが取り上げられている。私が視聴済みなのは『瑯琊榜』と『琅琊榜〈弐〉風雲来る長林軍』『三国志~司馬懿 軍師連盟』『少林問道』『天命の子~趙氏孤児』『隋唐演義』『射雕英雄伝』(2017年版)など。ジャンル的にいうと「男たちの命がけの戦い」が「宮廷ロマンス」や「美麗ファンタジー」より先に扱われているのがたいへん嬉しい。中国時代劇ファンの多数派の好みって、やっぱり「男人劇」のほうがないかと思う。

 これから見たいと思っている『昭王~大秦帝国の夜明け~』(大秦帝国之崛起、2017年)や、この週末から見始めた『月に咲く花の如く』(那年花開月正圓、2017年)も紹介されていて、人物相関図など役に立っている。2010年制作の『三国志 Three Kingdoms』もいつかは見たい。評判のいい『開封府』や胡軍の『フビライ・ハン』も見たいドラマに数えているのだが、気になる新作がどんどん公開されているので、しばらくは難しそう。

 ふだん中国ドラマは、あまり解像度のよくないストリーミングで見ているのだが、本誌のようなグラビアで見ると、衣装や装飾品、調度品の質が非常に高いことが分かる。まあ作品によるのだが、私がCSで中国時代劇を見始めたのは2000年頃に比べると、衣装やセットにこだわりのある作品が増えたと思う。

 本誌を読んで混乱したことがひとつ。役名は(実在人物であれ架空の人物であれ)司馬懿とか岳飛とか梅長蘇とか、漢字表記(フリガナは日本語読み)なのだが、キャスト、監督、脚本など、現代人の名前は全て現地読み?のカタカナ表記に統一されているのだ(ただし校正ミスか定着したカタカナ表記がないためか、一部に漢字表記が残っている)。ウー・ショウポー(呉秀波)とかワン・ルオヨン(王洛勇)とか、私は漢字のほうがいいのだがなあ。しかし、台湾の俳優さんだとビクター・ホァン(黄維徳)みたいな名乗りを持っている方もいるし、もはや日本の若いファンにとって、ルハン(鹿晗)やリウ・ハオラン(劉昊然)は、現地読みのほうが自然かもしれない。現代中国人名の扱いがこれからどうなっていくのか、興味深い。

 ちなみに本誌で「中国の歴史」が学べるどうかだが、私は有効だと思う。歴史解説のページは少ないが、各王朝の特色など要点がまとまっている。中国ドラマは、周辺国を登場させることが多いので、日本の教科書で学ぶ中国史よりも、広い地域史の視点が身につくのではないかと思う。

 さて次の2019年版に『三国機密』は入るだろうな。『遠大前程』は入るかな。最近の中国時代劇は、隋唐以前を舞台にした古代史ものが多いように思う。以前は多かった清末~民国期のドラマが少し寂しい。もっと作ってほしい。

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