見もの・読みもの日記

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ラブリー水墨画/畠山記念館

2006-12-12 23:27:48 | 行ったもの(美術館・見仏)
○畠山記念館 秋季展『中国宋元画の精華-夏珪、牧谿、梁楷-日本人が愛した伝来の絵画』

http://www.ebara.co.jp/socialactivity/hatakeyama/display/2006/autumn.html

 六本木の泉屋博古館分館に行ったついでに、そういえば、この展覧会も今日までだったな、と思って寄った。10月に一度、行っているのだが、展示替えが多いので、できれば後期も見たいと思っていたのだ。古筆や茶道具、日本絵画も取り合わせているが、中心となるのは中国(宋元)の水墨画である。

 梁楷の『猪頭蜆子図』対幅は、展示予定では、前期に『猪頭』(ブタの頭をくわえた和尚)、後期に『蜆子』(エビ?ザリガニ?を指先にぶらさげた和尚)のはずだったが、後期は2枚が並べて掛けられていた。寸足らずなプロポーションが可愛い。2人並ぶと2倍可愛い。

 伝夏珪筆の『竹林山水図』は、やっぱり見事だなあ~と惚れ惚れした。日本人の「水墨画」の感覚に、よくマッチしている。たぶん、その感覚を作ったのは雪舟で、夏珪の絵は雪舟によく似ている。というのは、倒錯的な感想で、雪舟が夏珪を強く意識していたわけだが。伝牧谿筆の『蓮鷺図』は、体をひねって宙に浮く白鷺を、薄墨の背景に浮き上がらされたもの。あ、これって等伯だ、と思った。

 さて、いちばんの収穫は、伝牧谿筆の『狗鶏図』。びっくりした。横長の画面に、ふわふわモコモコした丸っこい物体がたくさん描かれている。画面右寄りのカタマリは、よく見ると、ぬいぐるみみたいな4匹の仔犬。応挙の仔犬から芯が抜けたみたいで、へろへろとつぶれて、もたれあっている。左には、親ドリのまわりを取り囲む、毛糸玉のようなヒナが10羽ほど。なんなんだ、このラブリー水墨画は!! 「牧谿」といえば、南宋絵画の粋。素人が気軽に好きとか嫌いとか、言える存在ではないと思っていたのに。

 余談であるが、この『狗鶏図』、井上世外翁の旧蔵であるという。ええ~世外って井上馨でしょ(自信がなくて、帰ってから調べた)。外務大臣、農商務大臣、内務大臣等を歴任し、閔妃暗殺の首謀者とも言われているのに、素顔は意外と可愛いもの好きのおじさんだったのかしら。

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