見もの・読みもの日記

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中国・日本の貴重書/静嘉堂文庫

2006-12-13 21:31:14 | 行ったもの(美術館・見仏)
○静嘉堂文庫美術館 静嘉堂文庫の古典籍 第6回『中国・日本の貴重書』

http://www.seikado.or.jp/

 同文庫の貴重書を公開する展覧会。第5回『中国の版本』が2005年の春だったから、ほぼ2年ぶりだ。今回は、中国の本(漢籍)と日本の本(国書)を、あわせて公開するところが、新しい試みであるという。

 好みでいうと、私は漢籍のほうで、より長く足を止めてしまった。『説文解字』の現存最古の版本(南宋初期)とか、『東京夢華録』の現存最良のテキスト(元版)とか、「伝本」価値の解説に、へえ~と唸らされる。『広韻』(宋版)は、版心に刻工(板木を彫った工人)の氏名が刻まれているのが面白かった。よく見ると、1丁ごとに刻工が異なるようだ。『宣和博古図録』は、宮廷文物の図録で、中国古籍にはめずらしく、絵のあるもの。

 南宋地誌の代表作『咸淳臨安志』は、巻頭の挿絵も楽しく、本文の版面も美しい。私は、この『咸淳臨安志』くらいの堂々とした文字組み(10行×20字)が好みだが、もっと小さな字をびっしり書き込んだものから、大きいもの(蜀大字本)まで、さまざまな版面があって、見飽きない。

 蔵書印は、ようやく少し判読できるようになった程度。『白氏六帖』の「文淵閣」印は分かりやすいが、『礼』の「汲古閣楼主、毛晋の旧蔵書」という解説は、どの蔵書印を指すのか分からなかった。前回もチェックしたが、清朝の大蔵書家・陸心源の似顔絵蔵書印は、やっぱり楽しい。

 国書は、奈良絵本の『羅生門』、『伊勢物語』(巻子、零本)など、美しい彩色絵本があったが、つい漢籍に影響されて、慶長古活字本の『日本書紀』をいちばん興味深く眺めた。吉田神社の神供所司家に伝わったもので、神代巻は「門外不出の秘本」だったという。現在は、静嘉堂文庫の所蔵に帰しているわけであるが。

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