週末は関西小旅行。昨日10日(土)は京都に着いて、夕方から奈良に入った。お目当ては奈良国立博物館の修理完成記念・特別陳列『薬師寺の名画-板絵神像と長沢芦雪筆旧福寿院障壁画-』(2018年2月6日~3月14日)。薬師寺の塔頭・福寿院には33面の障壁画があり、うち襖絵28面及び杉戸絵1面を長沢芦雪(長澤蘆雪)が描いている。このたび、平成25年から4年余りをかけて行われた修理の完成を記念して、33面の障壁画を全て公開。鶴や雀の顔つきがみんなひとくせありそうだし、虎は後ろ足が着ぐるみみたいに太いし、唐土のおじさんたちは楽しそうだし、芦雪の世界を満喫。いちばん変だったのは、海上の小島を極端に上空から見た風景図。鳥どころか、飛行機の上から眺めたみたいで、声を出して笑ってしまった。『板絵神像』は、かつて東博の『国宝 薬師寺展』で見た記憶がある。現代の復元模写が添えられていて、分かりやすかった。
そして何度目か分からないが、特別陳列『お水取り』(2018年2月6日~3月14日)も見ていく。二月堂礼堂の実物大模型と、その周辺に流れる声明がうれしい。「南無観」も聴けた。毎年、新しい発見があって、今回は『東大寺縁起』(たぶん)に描かれた「青衣の女人」が緑色の衣を着ているのを興味深く眺めた。足利義満が二月堂内陣を見学した記録は、ブログを検索したら2015年にも見ているが、今回は、義満が来ると聞いた東大寺の僧侶たちが、濫觴(始まり)以来のことを聞かれるに違いないと思って準備を始めたという記事で、これも面白かった。
博物館地下のカフェで一休みしたあと、二月堂へ向かった。10日のお松明は午後7時に上がる。まだ1時間以上あるが、前回(2016年)交通規制で二月堂まで近づけなかった記憶があるので、早めに行動することにした。この日は幸い、二月堂の舞台を見下ろす右側の坂道(石段の手前)に場所を占めることができた。舞台下の芝生にも、まだ入ることができたが、かなり混んでいたのと、お松明終了後、すぐに出ることができないと聞いたので、坂道で見ることにした。
6時過ぎまでは空が明るく、人混みの中で立ったまま、本を読んでいることもできた。次第にあたりが暗くなると、街灯が点ったが「お松明が始まると消えます」というアナウンスがあった。6時半に小さな松明が回廊を上がり、また下りていった。それから修二会の紹介と参観の注意(手荷物、迷子など)が、日本語、英語、中国語で繰り返された。暗闇に浮かぶ二月堂の屋根のかたちを見ながら、中国語のアナウンスを聞くのは、往時がしのばれて趣きがある。
「ストロボ、フラッシュは使わないでください」というアナウンスもあった。一時期、呆れるほどひどかったけど、このマナーはずいぶん徹底されてきた。今回、スマホのフラッシュの切り方がどうしても分からないおじいちゃんがいたが、「東大寺」の半纏を着たお兄ちゃんが、スマホを借りて切ってあげていた。
7時少し前に、小さな松明が回廊を二往復する。それから鐘が打ち鳴らされ、街灯が全て消えると、いよいよ大松明に先導されて練行衆が上がってくる。左の回廊をゆっくり上がってきた松明は、お堂の陰にいったん消えたあと、舞台の上に姿を現す。長い竹がするすると伸び、大きな火の玉が中空に浮く。そして激しく回転し、火の粉を飛び散らせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/85/97a15a99204c2f6694da35cf66ae86e9.jpg)
しばらく舞台の左端に留まっていたお松明は、ゆっくり、または滑るように素早く(これは人によって違う)右端に移動する。このとき、舞台の左右で声をかけあうのが聞こえる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/82/c3db751b903eca3e41035da544862aeb.jpg)
右端でしばらく留まって燃やし尽くし、火の粉を落とした松明は、舞台の裏側へ消えていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/11/192f7deb0076d0d003da68a59614bb5a.jpg)
10本の松明が全て終わると、石段周辺では警備とお手伝いの人たちが、火の粉とともに落ちた杉の葉を大急ぎで掃き集め、側溝に落とす。安全が確認されると、規制解除になり、お堂に上がることができる。今年はお松明だけと考えていたので、声明の聴聞はしなかったが、御朱印はいただいていくことにした。受付には三人の方がいらっしゃって、左の方が「観自在」、中央が「南無観」、右の方が「観音力」を書かれていた。たまたま真ん中に並んだので、久しぶりに「南無観」をいただいた。うれしい。深夜まで続く行法に思いを馳せながら、左側の回廊を下った。
翌日(今日)は大阪へ。朝のうちに興福寺の境内を少し歩いた。中金堂の再建工事は「平成30年落慶予定」なんだな。早いもので今年の秋ではないか、と気づく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c7/95a04d4ad9b73b747465298c81051a3a.jpg)
南円堂の下、国宝・三重塔に向かう道すがら見かけた猫。清楚な顔立ちだったが、飼い猫だろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/74/ec4918d7912af2fec8c3ee1df88831cf.jpg)
リニューアルオープンした国宝館は次の機会に。
そして何度目か分からないが、特別陳列『お水取り』(2018年2月6日~3月14日)も見ていく。二月堂礼堂の実物大模型と、その周辺に流れる声明がうれしい。「南無観」も聴けた。毎年、新しい発見があって、今回は『東大寺縁起』(たぶん)に描かれた「青衣の女人」が緑色の衣を着ているのを興味深く眺めた。足利義満が二月堂内陣を見学した記録は、ブログを検索したら2015年にも見ているが、今回は、義満が来ると聞いた東大寺の僧侶たちが、濫觴(始まり)以来のことを聞かれるに違いないと思って準備を始めたという記事で、これも面白かった。
博物館地下のカフェで一休みしたあと、二月堂へ向かった。10日のお松明は午後7時に上がる。まだ1時間以上あるが、前回(2016年)交通規制で二月堂まで近づけなかった記憶があるので、早めに行動することにした。この日は幸い、二月堂の舞台を見下ろす右側の坂道(石段の手前)に場所を占めることができた。舞台下の芝生にも、まだ入ることができたが、かなり混んでいたのと、お松明終了後、すぐに出ることができないと聞いたので、坂道で見ることにした。
6時過ぎまでは空が明るく、人混みの中で立ったまま、本を読んでいることもできた。次第にあたりが暗くなると、街灯が点ったが「お松明が始まると消えます」というアナウンスがあった。6時半に小さな松明が回廊を上がり、また下りていった。それから修二会の紹介と参観の注意(手荷物、迷子など)が、日本語、英語、中国語で繰り返された。暗闇に浮かぶ二月堂の屋根のかたちを見ながら、中国語のアナウンスを聞くのは、往時がしのばれて趣きがある。
「ストロボ、フラッシュは使わないでください」というアナウンスもあった。一時期、呆れるほどひどかったけど、このマナーはずいぶん徹底されてきた。今回、スマホのフラッシュの切り方がどうしても分からないおじいちゃんがいたが、「東大寺」の半纏を着たお兄ちゃんが、スマホを借りて切ってあげていた。
7時少し前に、小さな松明が回廊を二往復する。それから鐘が打ち鳴らされ、街灯が全て消えると、いよいよ大松明に先導されて練行衆が上がってくる。左の回廊をゆっくり上がってきた松明は、お堂の陰にいったん消えたあと、舞台の上に姿を現す。長い竹がするすると伸び、大きな火の玉が中空に浮く。そして激しく回転し、火の粉を飛び散らせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/85/97a15a99204c2f6694da35cf66ae86e9.jpg)
しばらく舞台の左端に留まっていたお松明は、ゆっくり、または滑るように素早く(これは人によって違う)右端に移動する。このとき、舞台の左右で声をかけあうのが聞こえる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/82/c3db751b903eca3e41035da544862aeb.jpg)
右端でしばらく留まって燃やし尽くし、火の粉を落とした松明は、舞台の裏側へ消えていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/11/192f7deb0076d0d003da68a59614bb5a.jpg)
10本の松明が全て終わると、石段周辺では警備とお手伝いの人たちが、火の粉とともに落ちた杉の葉を大急ぎで掃き集め、側溝に落とす。安全が確認されると、規制解除になり、お堂に上がることができる。今年はお松明だけと考えていたので、声明の聴聞はしなかったが、御朱印はいただいていくことにした。受付には三人の方がいらっしゃって、左の方が「観自在」、中央が「南無観」、右の方が「観音力」を書かれていた。たまたま真ん中に並んだので、久しぶりに「南無観」をいただいた。うれしい。深夜まで続く行法に思いを馳せながら、左側の回廊を下った。
翌日(今日)は大阪へ。朝のうちに興福寺の境内を少し歩いた。中金堂の再建工事は「平成30年落慶予定」なんだな。早いもので今年の秋ではないか、と気づく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c7/95a04d4ad9b73b747465298c81051a3a.jpg)
南円堂の下、国宝・三重塔に向かう道すがら見かけた猫。清楚な顔立ちだったが、飼い猫だろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/74/ec4918d7912af2fec8c3ee1df88831cf.jpg)
リニューアルオープンした国宝館は次の機会に。