~心と体がよろこぶ山歩きの旅~ 信越トレイルを歩いて来ました。 長野・新潟の県境をなす関田(せきだ)山脈は、斑尾山、袴岳、黒岩岳、鍋倉山など、いずれもブナ林をはじめとする豊かな自然に覆われ、山麓の集落に暮らす人々の生活文化と深い関わりを持ってきた里山です。
いくつもの里と山をめぐり、尾根をたどる「歩く」道。 豊かな自然と歴史につちかわれた、人々の暮らしや文化が共存する幾多の里と山を結ぶ信越トレイル。
県境をたどりながら「歩くこと」そのものを楽しむことのできる、総延長 80Kmの日本でも類を見ないロングトレイルであります。
総延長 80Kmの信越トレイルは平均 6~7時間で歩けるように 6区間に分けられており、体力に応じた区間を歩きます。 私たちは今回セクション 5と 6を踏破しました。
セクション5は関田(せきだ)峠から伏野(ぶすの)峠へ至るコース。 関田峠(9時出発)からまず尾根に向けて登り、牧峠から伏野峠間は小さなアップダウンの連続でした。
このセクションには、雪の重みで湾曲した若いブナの木が多く、途中にはナベクラザゼンソウの自生地があり春先に見られるとのことであります。
牧峠(11時20分着)からは天気が良いと日本海、遠くは佐渡島まで見渡すことができるようですが、この日は雲があり見えませんでした。 また、ここではイヌワシが見られるとのことで沢山のカメラマンが大きなレンズのカメラを構えていました。寒いのにご苦労様です。
宇津ノ俣峠を過ぎ、しばらく歩くと幻の池に14時、到着。
ブナの天然林に囲まれた周囲300mの池で、6月下旬頃にはモリアオガエルとクロサンショウウオの卵塊が見事にみられるそうですが、沢山のカエルの卵は見たくないですね。
伏野峠が近づくと、新潟側のランドマークである菱ヶ岳のどっしりした山容が望めました。
標高約 1,000m前後のこの山脈は、冬には積雪 8mを超える豪雪地帯であり、様々な歴史と手つかずの自然が今もなお残されています。 特にブナ林の紅葉は素晴らしく感動しました。
初日の宿では、信越トレイルクラブのガイドさんにより豪雪地帯の冬の生活について、色々お話を聞かせて頂き、楽しいひと時を過ごすことができました。
セクション 6は伏野峠(8時50分出発)から北の基点である天水山(あまみずやま)を目指す、細かなアップダウンが連続するハードなコース。(2日目は雨)
深坂峠から先は新潟側が急斜面となり、雨の日などは注意しなくてはいけない道です。
トレイルコースには、歴史を物語る 16の峠が連なっており、すべては、かつて信越を結ぶ重要な物資輸送ルートであったとのことです。
また、戦国時代には越後の武将「上杉 謙信」が信濃攻略の兵を行軍させた軍用道路でもありました。
天水山に向け歩を進めるにつれ、雨が段々強くなりガスも濃くなってきた。 天水山山頂前後のブナ林にもガスが入り込み、晴れた日には見られない幻想的なブナ林を見ることができました。 天水山山頂到着、14時10分。
ブナの寿命は 400~500年といわれています。 6~7年に一度、雪が花粉で黄色くなるほど沢山の花を咲かせ、大量の実を落とすそうです。 そして次の春、地面を埋め尽くすほど一斉に芽を出し、開花までは最低でも 40~50年、結実するようになるのは最低でも 60~80年かかるそうです。
長野・新潟両県の 9市町村地域では、昔から「ブナの木 1本で一反の田んぼの水をまかなう」と伝えられ、ブナの持つ保水力を良く理解されていたようです。
《※一反(=10a)は大人 1人が 1年で食べる分のお米が収穫できる面積と考えられていました。》
ブナに限らず、樹木の張る根は意外に浅く、根回りが踏み固められることは衰弱を早める原因だそうです。 また、根を張る範囲も広く、伸ばした枝先と同じ位置まで根が張っているとのことです。
保水力のあるブナを皆さんで守りましょう。 ブナの紅葉が鮮やかに森を染めてくれるように
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