古代の官道であった足柄路の途中に『地蔵堂』という地区があります。 中世まで東西交通の要衝であった足柄峠の東側のふもとにある足柄山誓光寺で、御本尊の神奈川県指定重要文化財『足柄地蔵尊(木造地蔵菩薩立像)』の御開帳がありました。 御本尊【令和のご開帳】は11月21日(土)~22日(日)に行われました。
南足柄市観光ボランティアガイドの会と南足柄ジオガイドの会で参拝者の検温、拝観順番行列の管理・誘導、御本尊収納庫入口での案内などのお手伝いに参加してきました。
9時から江月院ご住職による開廟式、開扉法要が始まり、10時より拝観が開始されました。
『足柄地蔵尊』は、秘仏として60年に一度公開されてきたと伝わっていますが、近年では150年以上にわたり公開の記録が残っていない。 という地域の檀家皆さまのご尽力により「令和のご開帳」として、この2日間に限り公開されました。
行列待ち様に椅子を30ほど間隔を保ちながら並べましたが、御本尊を一目見ようと、市内外の人たちが、あの狭い御堂前の道路に、長い列が折り返すほど沢山見えられ、檀家の方々は喜んで居られました。
木造地蔵菩薩立像は、像高160.5cmで体が黒漆、衣は朱漆で塗られ、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ。衣に蓮華や飛雲などの文様が衣いっぱいに美しく描かれている。 鎌倉時代の作と考えられています。 立像は収納庫に納められた地蔵堂内厨子 (屋根間口256cm:奥行147cm:軒高182cm)の中に保管されています。県指定重要文化財。
軒高182cmの厨子の中に像高160.5cmの立像が納められており、立ったままの参拝では立像のお顔を拝むことができず 、皆さん収納庫前で姿勢を低くして厨子内の秘仏を拝んでいました。
屋外に展示されていた立像写真をを撮影 したので、お顔が光って見難いですが白毫水晶製、玉眼の技法で作られ、目は輝いていました。 全体は檜材の寄木造りだそうです。 150年ほど公開の記録が無いとのことですが、衣の朱漆色が確認できるほど保存状態は非常に良いものでした。実際の御本尊はこれほど濃い朱ではありません。
檀家さんのお話では、江戸時代に地蔵堂には5軒のはたごがあり、旅人は多かったとのことです。 昭和50(1975)年に地蔵尊の建物が火災に遭遇しましたが、住民が御堂に飛び込み、御本尊様を担ぎ出したという記録が残っており、無事で現在に至ります。
足柄峠を難儀して越える旅人たちは、ここで手を合わせ無事を祈り、また集落の人達にとっては精神的な心の支えとなっていたようです。
御堂内には 六体の仏像が安置されていましたが、見えている下段の三体像は左側が「木造役行者像」、中央は「木造奪衣婆像」、右は「木造閻魔王坐像」 三体とも江戸時代作の寄木造りとのことです。
2020年11月28日発行の足柄版「タウンニュース」より 地蔵堂のお地蔵様である秘仏が檀家様のご厚意で、近年では150年以上公開されていないものを、ここ2日間ご開帳の運びとなり、3千人以上の参拝者があったようです。 以前は60年に1度のご開帳があったようですが、私達はもう見られません。 参拝者の皆さま、ありがとうございました。
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