横浜の話題が続いている。先に「横浜ハンマーヘッド」を紹介したが、これは商業施設であり、実は現役の港湾旅客ターミナルでもある。年に数回大型のクルーズ船なども着岸する場所だ。
「新港」とはいっても歴史は古く、明治から大正期(1914年(大正3年)完成)に造成された。大さん橋を補完する形で旅客ターミナルが作られたが、最盛期には赤アレンやみなとみらい21側を含め12の岸壁があったが現在は2岸壁のみ。官民連携(PPP)により、2019年商業施設やホテルをを併設した形で生まれ変わった。
それにしても「ハンマーヘッド」といういかつい名前はどこから来たのか?それはかつて岸壁だった場所に鎮座する大型クレーンにある。商業施設の2階から湾岸のテラスに出ると、その雄姿がドーンと視界に入ってくる!
確かにカナヅチ(ハンマー)のヘッドに見えるこのクレーン。1914年(大正3年)に建造されたイギリス製の50トンのジャイアント・クレーンでカンチレバークレーンで、同様のものが日本には3基(長崎市、佐世保市)のみで、世界でも僅か17基しかないという貴重なもの。
関東大震災や横浜の大空襲などの幾多の災難を免れて、横浜開港期や高度経済成長期には日本の経済産業の発展を支えてきたが、船便もコンテナ化が進むと横浜港でも水深の深い本牧ふ頭や大黒ふ頭へと荷役の役目が移ることになり、2001年(平成13年)に現役を引退することになった。
ただ、塗装を塗り替え耐震化も図るなどしてしっかりと保存されており、いつでも動かせる状態にはある。新港地区のシンボルとして存在感を誇っていて、2007年(平成19年)に近代化産業遺産、2018年(平成30年)には土木学会選奨土木遺産に指定・認定されている。
みなとみらい地区や先に紹介した汽車道、赤レンガ倉庫などとは違い、地味であまり注目されることもないのかもしれないが、テラス(ハンマーヘッドデッキ)やふ頭付近は「ハンマーヘッドパーク」として整備され、2020年から供用開始。デートスポットやクルーズ船見学の場所としても人気だそうだ。
日没後はライトアップもされているそうで、そんな姿もぜひ見てみたいものだが、市民や買い物客だけでなく、クルーズ船で訪れる人たちにとっても印象的な「ハマのシンボル」として目に焼き付くのではないだろうか?
なお、長崎は三菱長崎造船所に。こちらは国の登録有形文化財で世界文化遺産の構成資産。また佐世保に佐世保重工業のものは250トンクレーンで、国の登録有形文化財、日本遺産の構成資産であり近代化産業遺産でもある。いずれも横浜港のものより大型で設置年も古いが、この2基(いずれもイギリス製)は現役だそうである。
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