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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

弓と弦で95年の歴史を支える、福島の「松齢橋」

2021年03月05日 | 土木構造物・土木遺産


速攻で日帰り福島出張。午後には帰路に就くことになるのだが、この日はあまりの天気のよさに、以前福島滞在中に訪問をうっかり怠っていた橋を訪問することにした。
市街地にあり、福島市を潤す阿武隈川に架かる橋で、交通の要所、国道4号線、国道115号線となっている橋は「大仏(おさらぎ)橋」。立派なワーレントラス橋であるが、目的地はそのすぐ横(下流方向)にかかる小ぶりなトラス橋「松齢(しょうれい)橋」である。御年95歳!長岡の長生橋よりも一回り上のお兄さん橋だ。(写真上:左側に少しだけ見えるのが大仏橋。)

この橋、架橋されてから95年という年齢だけではなく、その構造が「ボウストリングプラットトラス橋」といって、珍しい構造ということもあって「日本の近代土木遺産2800選」に入りBランク。
ボウは弓、ストリングは弦。弓を橋の構造として置き換えてみると、荷重に耐える仕組みがよく分かる。
現在の橋は4代目。かなり年代物というのを象徴するかのように、幅員は5.5メートルしかなく、クルマがすれ違うことは困難で、今は北側から南側への一方通行となっているが、それほど交通量はなく、大仏橋が架橋され物流を担ってくれるようになってからは優雅な隠居生活といったところか。



加えて、親柱が魅力的。架橋当時のものを復元したものだそうだが、それぞれに5つのタマタマの照明灯を付けて、モダンな様相。正に大正ロマン(橋は1925年、大正14年竣工)だね。
ボウストリング構造の弱点は、どうしてもボウの両端の開口部が、通過するクルマの車高に配慮するとなると広くなってしまうことで、強度に難を生じてしまうこと(写真下を参照)。現在では使われていない構造だそうだ。
ただ、重量制限13トンの松嶺橋だが、路線バスなども走るそうで、まだまだ現役バリバリ。南詰近辺の方々は徒歩で市街地を行き来したりする重要路線でもある。これからも元気で頑張ってほしい。




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