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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。データも多いのでお引っ越し作業はタイヘン。どこへ引っ越そうか?

「転生! 太宰治」 佐藤友哉

2018-10-26 | 過去転移・人生やり直し
「題を見ただけでは。なにがなんだかわからない本があふれているというのは、今が、余白を楽しめる時代となったということです」

 一頃、ラノベの新刊はシリーズ物の続刊以外はすべて買っていて家計をかなり圧迫したのだけれど、そのうちウェブ小説の書籍化が新刊の大半になっちゃったんで、まず小説家になろうとかカクヨムで書籍化作品は最新話まで読み、そこで面白くて、話がだれず、イラストや装丁もしっかりしているものを中心に購入するようにしたのだけれど、そうすると、なろうを読むのに忙しくて買った本を読む暇がないのね。

 そんな中で久々に中身を読まずに買ったのが、この本。イラストは『幼女戦記』でお馴染みとなった篠月しのぶ。
 転生といっても、信長の弟とか兄貴になったとか乙女ゲームのヒロインになったとかいうパターンではなく、入水自殺したはずの太宰治が気がついたら現代の東京に濡れ鼠で立っていて……という『帰ってきたヒトラー』パターン。
 ただ、ヒトラーが政治に絡んで生々しい風刺劇になったのに、こちらは文芸とかブログとかカルチャー方面なので、まだ笑って読めます。というか、自分の死や作品について語る同業者の文に一喜一憂したり、自分の自殺遍歴をさんざん揶揄した川端康成が自殺したのを知って「人のことあれだけ言っておいて」と怒ったり、書店で自分の本が未だに美少女写真とかが表紙になって売っているのを喜んだり感心したり、勢い余って転生ラノベを買い込むあたりは可愛いよね。ただ、いきなり心中しようとするのはやめてください、太宰先生。

【転生! 太宰治~】【転生して、すみません】【佐藤友哉】【篠月しのぶ】【星海社フィクションズ】【メイド喫茶】【地下アイドル】【カプセルホテル】【芥川賞】
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「失格紋の最強賢者2」 進行諸島

2018-08-18 | 過去転移・人生やり直し
《たった一人で竜をほとんど滅ぼした、史上最狂の竜殺し?》
 それが神話で「国滅ぼしの竜」と怖れられていた、暗黒竜イリスのマティアスへの評価だった。

 魔族による侵略が水面下で進んでいたことに気づいたものの、既に魔族の介入によって魔法理論は退化し、高度な魔法の多くは失伝していた。ここに至り、マティアスは国王に対して魔族の直接攻撃をとりあえず退けるための結界を王都全域に張ることを提案したが、その大結界を張るために必要な希少な魔法金属がトン単位で不足していて、王国では調達の目処も立たない。
 しかし、マティアかはいとも簡単にちょっと掘ってきましょうという。彼の「簡単」は常人にとっての実現不可能なレベルの話なのだが、動員された王立第二学園の教師やクラスメイトたちは次第にマティアスの「普通」に慣れていってしまう……。

 戦闘凶の転生賢者による、自重なき魔族狩りの物語。パーティーメンバーのルリイやアルマの壊れっぷりや崩れっぷりが楽しい2巻です。イラストも良い仕事してます。
 壊せないものなら壊してしまおうという謎理論が素敵です。

【失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~2】【進行諸島】【風花風花】【GAノベル】【異世界紋章ファンタジー】【小説家になろう】【ダンジョン攻略】【魔族退治】
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「失格紋の最強賢者1」 進行諸島

2018-07-29 | 過去転移・人生やり直し
 魔法戦闘を極め、世界に存在するあらゆる魔法、戦術を研究し尽くした賢者は同時に己の限界も感じていた。生まれつき身体に刻まれた紋章で、その特性が決まってしまうためだ。この紋章でもドラゴンや魔族あたりなら瞬殺だが、宇宙怪獣には勝てない!
 そこで彼は、自らの魂を封じて未来に転生し、魔法戦闘に最適な紋章の保持者に生まれ変わることに賭けたのだった……。

『転生します。探さないでください』

 強さを求め続けた、ぼっち転生賢者こと少年マティアスの冒険譚。
 遙か未来に転生したら、その世界では魔法理論が退化していて、魔法戦闘に最適な紋章が「失格紋」扱いで冷遇されていることに何者かの作為を感じるものの、あまり気にせず好き勝手にやってますね。
 最近の読書スタイルは、まず新刊をチェックして、その連載がウェブで読めるものについては最新話まで読んだ上で、面白いと思うか、中だるみしていないか確認し、なおかつイラストレイターがきちんと老若男女、建造物から怪物、動物、植物、きちんと手抜きせずに描ける人だったら購入するようにしてます。そうでないと書架か溢れ出すし、紙の本を読んでる暇がないんです。

【失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~1】【進行諸島】【風花風花】【GAノベル】【異世界「紋章」ファンタジー】【小説家になろう】【対抗戦】【学園地下迷宮】【直談判(物理)】【モンスターハウス】【付与魔術】
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「ニンジャバットマン」 監督:水崎淳平

2018-06-16 | 過去転移・人生やり直し
「ここは尾張の国……つまり、ジ・エンドなんだよお?」
 バットマン、それは字が違うとツッコんでやってくれ!

 ゴリラグロッドの実験で、閃光に包まれるジョーカーらゴッサム・シティのヴィランたち。だが、その爆発に、実験を阻止しようと突入していたバットマンやロビンたちも巻き込まれていた。
 気がついたとき、バットマンが立っていたのは、小国が乱立する中世日本の街角だった……。

 『デッドプール2』と同じくファミリー映画。
 常々、日本のスチームパンクはニンジャとカラクリでオールOKになるというのが持論なんだけど、なんかアメリカ人の期待するであろうジャポニズムとエセ戦国ギミック(ニンジャとカラクリ)とヒーローとメカ満載で初っぱなから全編クライマックス。「外国人の考える間違った日本感」を本場が正してやるぞとばかりに斜め上にぶっ飛ばしちゃったみたいです。
 ネタ的にいうとナルトというより、東映版仮面の忍者赤影で東京ムービー版の赤胴鈴之助が近いかも。出てくる忍者が伊賀とか甲賀とか風魔とか根来ではなく、飛騨忍者だというあたりがポイント。タイムパラドックス的にはぐちゃぐちゃ。そこは突っ込んじゃダメ。
 日本のアニメと特撮のエッセンスをすべてドロドロに溶かして、アメコミの枠に流し込んだ逸品。ジョーカーがひげのせいでブラック魔王に見えてくるし、ハーレクインはドロンジョだかいつきだかロケット団に見えてくる不思議。
 DCユニバース的に、あれは「あり」なんだろうか?

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「約束の国IV」 カルロ・ゼン

2017-12-28 | 過去転移・人生やり直し
「ジン、若者に未来を見せられない国家は滅びる」
 だから、中高年世代と若者のどちらを優先すべきかは明白なのだ。

 最小限度の犠牲として戦友を切り捨てることでヒルトリア共産党を手中に収めたダーヴィドとトルバカイン議長。これで時間を稼いだ2人は、20年先30年先のソフトランディングを目指して、穏健な野党勢力を育てながら機構改革を進め、西側との関係改善を進めながら、危機的状況に陥っていた祖国ヒルトリアを救うべく動き出す。
 しかし、権力を掌握することで明らかになった国家の真の状況は想定以上に深刻な事態に陥っていた……。

 砂場の棒倒しみたいなもので、真ん中の「約束の国」という高い理想が、足元の砂を思い思いに削り取っていく諸勢力のために今にも倒れそうになっているのです。このまま歴史通りに進めば、実の家族を撃ち殺す内戦に突入し、そして国家が分裂したまま経済危機に陥るルートに。
 果たして内戦の悲劇は再現され、家族も友情も霧散した果てに理想は失われてしまうのか。緊迫の最終巻。

【約束の国4】【カルロ・ゼン】【巖本英利】【星海社FICTIONS】【共産主義英雄譚】【人生やり直し】【穏健な野党】【党に不可能はない】【新婚旅行】【ノーメンクラトゥーラ】【コカコーラ】
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「約束の国1」 カルロ・ゼン

2014-12-14 | 過去転移・人生やり直し
「真面目に考えたんだ。迷う時は、できることを、とね」
 自分が過去に戻っていることを受け入れた、士官候補生ダーヴィド・エルンネスト。

 理想の国は悪夢の世界となった。
 ヒルトリア社会主義連邦共和国を解体し、民族自決の名のもとに独立したクナーアン共和国であったが、20年経った今日では物価は高騰し、市民の生活は連邦時代より貧しく、国内での対立は激化。国家の破綻は誰の目にも明白であった。
 万策尽き、己の命を絶ったはずのダーヴィド大統領は、気がつけば自分の周囲に若かりし頃の仲間がいることに気がついた。彼はまだヒルトリアが健在だった時代、士官学校時代だった自分に時を越えて舞い戻っていたのだ。
 果たして歴史をやり直すことはできるのか……。

 薄氷の上に五民族・五共和国が共存共栄する共産主義国家は護持できるのか? 歴史は変えられるのか変えるべきなのか主人公が迷いつつも、今できる最善のことをしていく姿が描かれます。
 “共産主義”か“民族自決”かの間で揺れ動きながら、もう一度、仲間と共にヒルトリア連邦人民軍で栄達を重ねていくダーヴィド・エルンネストの物語。そもそも自分が仲間を失いながら戦い続けてきた20年の結果が、失敗だったと認めるところから始まるので、これがなかなか難しいのです。
 関ヶ原の戦いや太平洋戦争で過去に戻ってやり直す話は多いけれど、これは1980年代の東欧をモデルにしたような共産主義の連邦国家を舞台に、崩壊した民族国家の大統領が20年前に戻って士官候補生からやり直すというニッチなテーマ。一種の架空戦記。

【約束の国1】【カルロ・ゼン】【巖本英利】【星海社FICTIONS】【共産主義英雄譚】【兄弟愛と統一】【演習】【虐殺の地】【鉄道】【不満分子】
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