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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。データも多いのでお引っ越し作業はタイヘン。たぶんはてなに行きます。

「新・特捜司法官S-A(9)」 麻城ゆう

2009-10-16 | 超能力・超人・サイボーグ
「ネオヒューマンが一般的存在に見えるほど増殖すると、人間は種の存続に危機感を覚えて、生き残るためにネオヒューマンに進化しなくてはならないと本能的に判断する。このことが生殖機能に進化へのスイッチを入れ……」

 人類が、人間の時代からネオ・ヒューマンの時代へとシフトしつつあることは誰の目にも明らかになりつつあった。しかし、そのシフトが何者かによる人為的な操作によるものだとしたら?
 その操作をおこなっている2つのグループを、特捜司法局は己の利益に誘導しようというグループとネオヒューマンを支援しようという謎の人物に区別して、それぞれ「九尾の蜥蜴」と「白い蜥蜴」と呼称していたのだが……。

 六道リィンが登場するサイドストーリー的な短編『人間の姿』も収録した第9巻です。かいま見えるジョーカーの「今」がせつないです。
 ステロタイプの悪役イメージの九尾の蜥蜴に対し、白い蜥蜴の正体のつかめなさ加減がすてきです。

【新・特捜司法官S-A】【ジョーカー外伝】【麻城ゆう】【道原かつみ】【メイドロボ】【新人類】
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「フライデイ」 ロバート・A・ハインライン

2009-10-07 | 超能力・超人・サイボーグ
「ほんのすこし穴のあいた秘密は、ほんのすこし妊娠している娘みたいなものですわ」
 機密の保持に関するフライデイ・ジョーンズの言葉。

 人類が宇宙の彼方にまで広がり幾つもの植民世界を築いているが、アメリカは幾つもの国家に分断しているし、それ以外の国も国境を越えるのが難しい時代。フライデイ・ジョーンズは戦闘伝書使として各国を飛び回り、妨害者を殺したり捉えられて拷問を受けたりする日々に生きている。
 だが、彼女が遺伝子操作によって“加速度感覚”と“強化筋力”を付与された超人として生み出された人工人間であることは、3人の夫たちにも秘密だった……。

 秘密文書を正確かつ迅速に運ぶことを任務とする戦闘伝書使のフライデイ・ジョーンズの物語。「combat courier」という単語を思いつき、それを「戦闘伝書使」と訳した段階で、この作品はなかば成功したようなものです。確かに「コンバット」は「戦闘」だし「クーリエ」は「伝書使」だけれど、これを組み合わせるとなぜか格好良くなる不思議です。
 話は面白いけれど、長さに見合う面白さかと言われるとちょっと疑問かも。

【フライデイ】【ハインライン】【暗殺戦争】【植民地】【生殖行為】
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「私を月まで連れてって!(5)」 竹宮恵子

2009-08-24 | 超能力・超人・サイボーグ
「宇宙は星にその在り方を指示し、星は人にその在り方を指示する」
 NASAの宇宙飛行士ダン・マイルドの言葉。アインシュタインの言葉を引用しつつ。

【私を月まで連れてって!】【竹宮恵子】【オリエント急行】【アインシュタイン】【世代型宇宙船】【ダイエット】【時間旅行者】【タイムスリップ】【死に至る病】【産婦人科】【ロボット】【プロポーズ】
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「私を月まで連れてって!(4)」 竹宮恵子

2009-08-18 | 超能力・超人・サイボーグ
「男にとっては、宇宙もゲームもさして変わらない。もちろん人生もね。命を大事にすることと、命を賭けることとが、さして変わらないのと同じにね……」
 お八重さんの言葉。スーパー・ハウスキーパーお八重さんがこの巻より次第に正体を現し始めます。

【私を月まで連れてって!】【竹宮恵子】【無重力ファッション】【牡丹灯籠】【ビスクドール】【ハッカー】【時間旅行者】
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「人間以上」 シオドア・スタージョン

2009-07-28 | 超能力・超人・サイボーグ
「倫理なんてものは、調べられる事実じゃない。考え方なんだ」
 ヒップ・バロウズの言葉。

 彼らは年齢も人種も性別もさまざまだったけれど、白痴であり発育不良であり言語障害であり社会に溶け込めず阻害されている者たちだった。
 けれども彼ら5人が出会ったとき、彼らは新たな人類、集合人としてテレパシーやテレポテーションなどの超能力を開花させ始めるのだが……。

 「あらゆるものの9割はクズである」というスタージョンの法則でお馴染みスタージョンの超能力ミュータント・テーマの代表作。古典的なテーマを敬遠して長く手に取りませんでしたが(旧版は表紙イラストが怖いんだ…)、緒方剛志のイラストになったのを機会に購入。
 外部とのコミュニケーションをとれない小グループが世界を一変させるほどの力を手に入れてしまったらどうなるか、どうするべきかという話ですね。誰が主人公かよく解らないまま終盤に突入してしまって、最後になってようやく「主人公も集合人だったんだ」と納得しました。
 
【人間以上】【シオドア・スタージョン】【緒方剛志】【集団人】【品性】【新人類】【超能力】
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「ホロウ・ボディ」 米田淳一

2009-07-14 | 超能力・超人・サイボーグ
「時間は、基本的に全ての『心』の味方だ」
 民権党党首・大島薫の言葉。

 日本の首都・新淡路市に仕掛けられたバイオテロを皮切りに襲いかかる国際犯罪機関の罠。内閣調査庁は2人の少女を投入してこれを打ち砕こうとする。
 双子の少女型バイオロイド、シファとミスフィこそ日本政府の切り札、特等突破戦闘艦であった……。

 思春期に達しない少女の心は無人システムの制御に適しているという理屈で、無人機械が少女の姿をしているのが当たり前の22世紀。少女の姿形をしていてもシファとミスフィは能力的に「戦艦」にクラス分けされているというアイデアは素敵。美少女でも戦艦。2人でも艦隊! これなら軍を軍と言い張れない日本でも大丈夫。この設定は面白い。
 ただ、文章が若干読みづらいのと政治家などのキャラがパターン化しているのが難点。

【ホロウ・ボディ】【プリンセス・プラスティック】【米田淳一】【緒方剛志】【パワードスーツ】【粘菌】【無人空母】
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「れじみる。」 藤原祐

2009-07-12 | 超能力・超人・サイボーグ
「衛生兵! 衛生兵はどこですか!?」

 何かを失うことを代償に異能を手に入れた少年少女が殺し合う『レジンキャストミルク』の幕間劇集を集めたコメディ短編集。弁当勝負に命をかけたり、海水浴場のウミウシで死にかけたり、保健室で制服したり。イントロがわりに各短編の冒頭に掲載されている椋本夏夜のコミックもなかなか……というか絶品。 

【れじみる。】【藤原祐】【椋本夏夜】【ぶつ森】【海水浴】【夏祭り】【白いスクール水着】【手作り弁当】【ホームズ】【ネコミミ】
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「レジンキャストミルク8」 藤原祐

2009-06-30 | 超能力・超人・サイボーグ
 夜の学校を戦場に、虚軸である晶たちと実軸であるという樹たちとの最後の戦いが始まった。だが、その争いの中に紛れ込む者たちがいた……。

 大団円といえば大団円なのかしらん。たとえるなら、デス・スターを破壊したもののオビ=ワン・ケノービを失い、皇帝もシスの暗黒卿も健在なまま辺境惑星でつかの間の勝利に酔いしれる共和国軍。でもまあ、あれはあれで良いか……と『れじみる。Junk』を再読して納得。みんな幸せそうだもの。
 やっと読み終えました。
 買いそろえてから読み切るまでが長かったけれど、面白かったです。個性的で良いキャラばかりだったし、馴染むと別れるのが辛いな。
 ただ、主人公は設定ほど口先で相手を丸め込めるキャラに見えなかったのが残念。『悪魔のミカタ』の堂島コウくらいしたたかでも良かったのに、最終的には口先と計略ではなく、仲間との連携の方に重心が偏ってしまったのが惜しい。もう少しトントンでも良かったというか、【無限回廊】まではともかく最後の樹たちは口先と計略で退けるという展開が見たかった。結果は同じでも、過程の見せ方の話だけれど。

【レジンキャストミルク8】【藤原祐】【椋本夏夜】
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「レジンキャストミルク7」 藤原祐

2009-06-26 | 超能力・超人・サイボーグ
『言いたいことが山ほどあるってのは、そういうことか。
 ようやく気付いた。
 何だ、私。
 この世界、好きだったんだ』


 終わりが始まり、始まりが終わる。
 もはや、何が「虚」で何が「実」かは関係ない。自分の望んだ世界が残ればいいのだ!

 君子たちと愉しく街で遊ぶ硝子を見た舞鶴蜜は【無限回廊】や城島樹らと戦う気があるのかと城島晶を問い詰めるが、晶はこれこそが戦いなのだと答える。自分は硝子たちの日常を守るために戦う。そのためにも彼女たちには今まで通りの日常を過ごしてもらわねばならないのだと。
 そして、能力のほとんどすべてを失っても速見殊子の本質は変わっていなかった。虚軸という牙を持とうが持つまいが獣は獣であり、もっとも危険な少女だった。
 だが、彼らの前に現れたのは誰からも認識されなかった地味な少女【エデンの恍惚】。鴛野在亜はカッターナイフと毒蛇の牙で世界を作り替えていく。血と死と再生によって、自らの世界を取り戻すのだと少女は笑う。
 晶たちの反撃は間に合うのか!?

 まったく、こいつら異能戦士かい!と思いましたが、なんにせよ遅い、遅すぎる。一手遅い。
 果たして最終巻で挽回できるのでしょうか? 

【レジンキャストミルク7】【藤原祐】【椋本夏夜】【クレープ】【ハラハラ時計】【絶対言語】
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「レジンキャストミルク6」 藤原祐

2009-06-20 | 超能力・超人・サイボーグ
「友達だから恐くてもいいんだ。だって、友達になら何されてもいいもん。利用されても、裏切られても、殺されても、消されても、全然いいよ」
 だから晶は、打算と計算で自分を思う存分利用すればいいのだと里緒は言う。

 速見珠子は他人をそれほど重んじていない。
 けれども自分自身の価値はそれよりずっと軽い。
 だから、殊子【目覚まし時計】は晶たちに力を貸す。お節介だと思いつつ。
 そして保険医・佐伯ネアも保健室に「本日休診」の札をかける……。

 ついに樹と【無限回廊】がその目的を明らかにし、晶は完膚無きまでに叩きのめされますが、いちばん恐いのは佐伯先生のくすくす笑いでした。自虐的で暗くて猟奇マニアで血に弱いネアですが、良いキャラになってきました。裏表紙のカットも良い感じ……。

 ストーリー的には起承転結の「転」あたりに来ています。そしていよいよ最終ラウンド。ひたすら分の悪い戦いが待っていますが、崩れそうになる晶を支えてくれるのは彼が今まで戦いの中で利用してきた「友達」です。
 個人的な小さな戦いが、世界の存続そのものを左右する戦いになるというセカイ系っていうんですか? そういう話ですが、個人的な内輪の戦いだからこそ、友達の存在は大きいんです。

【レジンキャストミルク6】【藤原祐】【椋本夏夜】【初夜】【FF3】【家族】
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「レジンキャストミルク5」 藤原祐

2009-06-17 | 超能力・超人・サイボーグ
「お前は硝子を泣かせた。それだけでも殺すに足る」

 2学期が始まり、奏と逆絵の津久見兄妹が転校してくる。そして彼ら双子は晶たちの予想通り、虚軸【ライ麦畑の墜落死体】だった。
 しかし、それも【無限回廊】の計画の一部に過ぎない。これまでにない規模の日常の浸食が起こり、窮地に追い込まれた城島晶と【全一】の前に、晶の父・城島樹が姿を現す。

 これまで詭弁と欺瞞と偽善で相手を容赦なく奈落に叩き落としてきた城島晶ですが、ここしばらく旗色が悪くて苦戦しています。相手が悪いと言えば悪いのですが、先手を取られ、一方的に言われまくってます。主人公が日常を守ろうとすればするほど、日常の方が離れていく悲劇。せめて硝子だけは手放さないようにして欲しいもんです。

【レジンキャストミルク5】【藤原祐】【椋本夏夜】【中華鍋】【冷たい王座】【バビロンの簒奪者】【人肉喰】
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「新・特捜司法官S-A(8)」 麻城ゆう

2009-05-19 | 超能力・超人・サイボーグ
 ウィングス文庫の背表紙装幀が一変していて書店の書架で探すのに苦労しました。こういうシリーズ途中での変更って嫌いなんだけど、最近各社変えすぎです。

 暴徒と化した群衆によってネオヒューマンが殺される事件が相次ぎ、人類によるネオヒューマン殺しを「卑属殺人」として厳罰化する法律が成立してしまう。これは人類とネオヒューマンにとってどういう意味を持つのか?
 一連の事件から、ネオヒューマン殺しは反ネオヒューマン派の仕業ではなく、ネオヒューマン有利に社会を動かそうとする陰謀の一環ではないかという結論に至る秋津たちだが、その黒幕と思われる謎の組織『九尾の蜥蝪』についてはまったくつかめていなかった……。

 新たなグループが誕生し、感情よりも論理、個より全を優先するネオヒューマンの特異性がさらに強調された巻です。ネオヒューマン全体のためになるなら仲間の死も当然と受け入れる、自分を殺すこともいとわない。人の変革がどちらへ向かうことになるのか、その鍵を握るのはただの人間に過ぎない秋津秀です。
 雑誌連載分の『卑属殺人』と書き下ろし短編『バーリー警部の事件簿』が収録されています。いつものようにするするっと読めて若干物足りない気もしますが、連続ドラマの1時間分と思えば、これくらいの進展でしょうか。安心して読めるシリーズです。

【新・特捜司法官S-A】【ジョーカー外伝】【麻城ゆう】【道原かつみ】【進化】【新人類】
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「レジンキャストミルク(3)(4)」 藤原祐

2009-05-16 | 超能力・超人・サイボーグ
 ずいぶん前に購入したまま積ん読になっていた本を発見し、読了し、覚え書きをブログに書き込もうとしたらかなり前に読み終わって投稿済になってました。なんなんだ……。オレの記憶は一体どこに?

「世界をちゃんと理解しないと、世界は滅ぼせないってこと。どんなに力を持っていても、自分のことを理解できてもいない奴に身を委ねるほど世界は小さくも脆くもないんだ」
 速見殊子の言葉。

 姫島姫は死んでしまった。

 生まれては消えていく平行世界【虚軸】の最後の生き残りは、固定剤といわれる存在と出会うことで現実世界に定着し(あるいは現実世界の人間に寄生し)、消え去った世界そのものを体現する異能を発揮する。

 【虚軸】と関わった姫の死は、その同類である虚構(キャスト)以外には誰にも認識されることはない。しかし【全一】である城島硝子は、姫が消えたことで仲良し四人組が三人組になったことにいつまでも違和感を覚えていた。これはバグではなかろうか。機械人形である硝子には感情はないはずだ。ただ計算するだけなのに。
 何かが狂い始めていた。
 だが、自分の求める世界を構築しようとする【無限回廊】は死んだはずの“ひめひめ”の姿で現れ、三人組の1人である直川君子を道具に新たな計略を実行に移していた……。

 蜜と君子の過去話を中心にした、硝子と晶の関係の再構築話。【壊れた万華鏡】はあいかわらず壊れてますが、今回はいろいろな意味で壊れました。

 ほのぼのとコメディタッチの描写が続いたかと思うと一転してダークな陰謀とアクションという展開が繰り返される話なので、油断も隙もあらず。今回もなし崩しの宴会シーンの後に二転三転して続いてしまったので、3巻を読み終えたときには4巻も手元にあって良かったと思いました。面白いけれど気軽に読み飛ばせないので、いつの間にか未読が積み上がってしまい、5・6巻はなくて7・8巻はあるという歯抜けの状態だったのです。さあ、5・6巻をどこかで買ってこないと……。

 最近のライトノベルでは、二つ名、その個性を体現する呼び名がついたキャラクターが登場して特異な技を使って戦うというのが売れ筋パターンなのだとも聞いたことがあります。それを言ったら『水滸伝』だって同じで、まあ、面白い物語の基本フォーマットは500年変わらずということですね。
 そういう意味で、この作品は王道路線ということができます。【壊れた万華鏡】舞鶴蜜、【有識分体】柿原里緒、【目覚まし時計】速見殊子、【アンノウン】佐伯ネア、そして【全一】城島硝子とその固定剤である城島晶。なんというか、中高生レベルで思いつく最強能力設定を集大成して洗練させたといったところでしょうか? これが行き着くとこまで行ってしまうと「行動が三択で表示される」『フラグの王子様』になってしまうんでしょう。
 ちなみに【全一】は「オール・イン・ワン」と読みます。漢字で表記して英語で読むというのは『ジョジョの奇妙な冒険』以来の新しい伝統なのかも知れません。これ以前は二つ名はあっても、素直にそのまま読んでいた気がします。

【レジンキャストミルク】【藤原祐】【椋本夏夜】【プリン】【火曜サスペンス】
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「新・特捜司法官S‐A(7)」 麻城ゆう

2008-12-17 | 超能力・超人・サイボーグ
 俗にネオヒューマンと呼ばれる新人類の出生率が1%を突破した。さまざまなメディアを通じ、ネオヒューマンも今までの人間と同じく人類の一部であり共存できる存在と広報活動を続けて来た政府や特捜司法局の思惑を裏切るように、些細なきっかけからネオヒューマン狩りというべき暴動が頻発するようになる。
 これまで、旧人類とネオヒューマンで人類の行く末を考えてきたグループ「あひるの会」も、メンバー2名が暴徒によって殺されたことから内部分裂し、ネオヒューマンのグループは自ら意識することなく先鋭化し始めることに……。

 全然特捜司法官が活躍しないシリーズ7巻です。
 ネオヒューマンというのは要するに、頭は良いし、プロポーションも良いし、容姿も男女を問わずモデル並なのですが、頭良すぎて空気が読めないことから犯罪組織の暗躍が無くても一般大衆に疎まれるようになっていきます。
 困ったものですね。

 この話の着地点次第では、新人類テーマの傑作になるかもしれませんが、まだまだ予断を許しません。人造人間テーマも、今までの特捜司法官中心から、愛玩・市販タイプに視点を移す気配もあり、いろいろ先の展開が楽しみです。

【新・特捜司法官S‐A】【麻城ゆう】【道原かつみ】【新人類】
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「エイリアン・テイスト」 ウェン・スペンサー

2008-10-27 | 超能力・超人・サイボーグ
 タイトルは原題どおり『エイリアン・テイスト』。ソウヤーの新刊みたいだけれど、中身は表紙イラストがぴったりの青春アクションSF。『エイリアン青春白書』とかタイトルつけて、ドラマシリーズにしたらいい感じ。中身的には『宇宙人っポイ』とつけるのが正解か?

「おまえがもしだれかを愛して、その人もおまえを愛してくれたら、つかまえて離すんじゃないぞ。彼女の身になにかふりかかるような、そんなことにならんようにな」
 マックス・ベネットの言葉。

 誘拐被害者や失踪人の探索にはずば抜けた成果を上げているベネット探偵事務所。うさんくさいと思われることもあるが、事件にかかわった捜査官たちは、皆「もし自分の身内が消息を絶ったら彼らに依頼する」と答えるという。
 その探偵事務所の切り札は、狼に育てられていたらしい21歳のユカイア・オレゴン。
 その彼らが呼び出されたのは4人の女子大生が住んでいたという森林公園の中の家。3人が何者かによって刀で惨殺され、1人が消息を絶っているというのだが……。

 若い私立探偵と美貌のFBI捜査官が関わった怪事件は、狼男か吸血鬼かと期待させておいてXファイルだった……。

【エイリアン・テイスト】【ウェン・スペンサー】【火星探査機】【狼少年】
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