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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

もし僕らのことばがウィスキーであったなら

2020-10-04 18:10:32 | 村上春樹

村上春樹 平成十四年 新潮文庫版
最近また新しいものを読んで、やっぱおもしろいじゃん村上春樹、なんて思ってるんだが。
持ってないもの一応さがしとくか、って中古で買ってきたのがこれ。
小説とちがってエッセイって、タイミング合わないと見逃すことがあるんだよな、なぜか。
なかみはスコットランドとアイルランドをウィスキーをテーマに旅したときのことを書いたもの、自宅で酒瓶ながめてるだけぢゃないのが、さすがだ。
一緒に旅行した奥さんの撮った写真もいっぱい、2ページ文章あったら2ページ写真くらいの半々のわりって感じ。
パブでウィスキー飲むだけぢゃなく、蒸溜所の見学とかにも行ってる。
アイラ島でシングル・モルトをいろいろ飲むとか、まあうらやましい。
ラフロイグの味について、
>文章でいえば、たとえばアーネスト・ヘミングウェイの初期の作品に見られるような、切れ込みのある文体だ。華麗な文体ではないし、むずかしい言葉も使っていないが、真実のひとつの側面を確実に切り取っている。誰の真似もしていない。作り手の顔がくっきりと見える。(p.62)
なんて言ってるんだが、ヘミングウェイなんて読んでない私でも、あーうまいこと言うなーと思ってしまう。
アイルランドではウィスキーだけぢゃなく当然スタウト(ビール)飲んだりもするんだが、
>(略)結局のところ、同じ味のするビールなんてひとつもないということになってしまう。それはときによって、イングリッド・バーグマンの微笑みのようにそっとクリーミーになったり、モーリン・オハラの唇のようにハードに引き締まったり、あるいはローレン・バコールの瞳のように捉えどころのないクールさを浮かべたりもする(略)(p.93)
なんて、またうまいことを言う、私は映画にでてる女優の顔なんてろくに見分けもつかないけどね。(イングリッド・バーグマンは『サボテンの花』って映画がおもしろくて好き。)
どうでもいいけど、酒の味自体の話よりも、私が気になったのは、アイラ島では生牡蠣にシングル・モルトをかけて食べるっていうやりかた。
案内人に「それがこの島独特の食べ方なんだ。一回やると、忘れられない」と言われて、村上さんは「殻の中の牡蠣にとくとくとたらし、そのまま口に運ぶ」ということを実行して、「至福である」と言っている、やってみたい。

コメント
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