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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ロッド・サーリングのミステリーゾーン 3

2020-12-05 18:15:34 | 読んだ本

リチャード・マシスン他/矢野浩三郎訳 1989年 文春文庫
ちょっと前から、リチャード・マシスンをもうすこしだけ読みたいなと思っているのだが、なかなか思うようなものが手に入らない。
私の欲しい古本は文庫なのにすごい高かったりするので躊躇する。ということは、そこまで読みたいというほどでもないってことになるんだが。
この文庫はこの秋に古本街で、恒例のおまつりは中止だったりするが、ふつうに見つけたやつ。
著者に「他」って付いてるんで、他のひとの作品も含めたアンソロジーだろうが、まあいいや、短篇が読みたかったところだし。
訳者あとがきによれば、どうやら元は「ミステリーゾーン」ってテレビ・シリーズ、アメリカぢゃあ「Twiight Zone」というタイトルだったらしいんだが、それのノヴェライゼーションしたのが1985年に出た「THE TWILIGHT ZONE : THE ORIGINAL STORIES」というペーパーバックだそうで、その編纂にマシスンがかかわってたと。
9本の短編が収められてて、目次には作者名ないから、どれがマシスンのものかわからないまま、とりあえずアタマっから読んでったんだけど。
おやおや、困ったことに、マシスン作の「言葉のない少年 Mute」と「スティール Steel」ってのは、どちらも既に読んだ『運命のボタン』って短編集にそれぞれ「声なき叫び」「四角い墓場」として入ってたやつだった。
あらら、というわけで、本書での収穫は「消えた少女 Little Girl Lost」ひとつってことになってしまった。
ま、いいか、ほかのもわりとおもしろかったし。
「サルバドア・ロスの自己改良 The Self-Improvement of Salvadore Ross」 ヘンリー・スレッサー
貧乏な若者サルバドア・ロスは工場で足をすべらせて骨折してしまった。
同じ病室の肺炎の老人が「足の骨折なんて、頼めばこの風邪ととっかえてやる」というので、取引に応じたところ、ほんとに二人の疾病は入れ替わってしまった。
退院したロスは、今度は酒場のバーテンに、店のカネをくれたら俺の髪をあんたにやるよと持ち掛けて、これまた成功する。
「楽園に眠る Elegy」 チャールズ・ボーモント
小惑星K7に到着した宇宙船の一行を出迎えたのはグレイプールと名乗る小柄な男ひとり。
船員たちが周囲を調査しにいくと、老若男女の人々がいるが、誰もが何かの作業をしているようでいて凍りついたように身動きしないで止まっている。
「言葉のない少年 Mute」 リチャード・マシスン
自宅の火事から助けだされた少年パールは保安官にひきとられたが、まったく口をきかない。
保安官の家族や学校の先生はなんとか彼にしゃべらせようとするが、パールが言葉を発しないのには普通ぢゃない理由があった。
「スティール Steel」 リチャード・マシスン
ポールとケリーは機械ボクサーをつれて試合を探していたが、時代遅れのその機械はだいぶガタがきている。
禁止令が出る前までは、自身がライトヘビー級のボクサーでスティールと呼ばれていたケリーは、壊れかけた機械でもなんとか試合をしようとする。
「ジャングル The Jungle」 チャールズ・ボーモント
二十二世紀の地球では、人口問題などを解決するために、ジャングルの土地で山を切り崩し沼を埋め立て、コンクリートで人工的な大都市をつくっていった。
しかし、マラリアに似た病気が発生し都市の建設者たちが倒れていくのは、開発に反対して抵抗した原住民たちの呪いのせいではないかと疑われた。
「人間饗応法 To Serve Man」 デーモン・ナイト
あるとき、豚に似た顔で緑色の上着に半ズボンのカナマ星人が三人で地球にやってきた。
国連の会議に出席したカナマ星人は、新しく安い動力源の供給などを提案し、自分たちの享受している豊かさを地球にもたらすためにやってきたと、その動機を説明した。
「そっくりの人 In His Image」 チャールズ・ボーモント
カーヴィルという町から来たというピーター・ノーランは、ニューヨークで七日前に知り合ったジェスという女性をつれて自分の家につれていく。
ところが町の様子は、聞いたことのない名前の店などあって、自分の記憶とちがうし、自分の家のはずが違うひとたちが住んでいた。
「消えた少女 Little Girl Lost」 リチャード・マシスン
クリスとルースの夫婦は、ある深夜に娘のティナの泣き声で目を覚まし、娘の寝ているリビングへ様子を見に行く。
娘の泣き声は聞こえるが、姿はどこにも見えない。声はソファーの下のなにもない空間から聞こえてくるのだが、手探りしても何もない。
「悪魔が来たりて――? The Devil,You Say」 チャールズ・ボーモント
新聞記者のたまり場の店で、コラムニストの仕事をもうやめるというディック・ルイスが回想する話。
ニュースなんてない町で、小さな新聞社をやっていた父親が死んで、その事業を引き継ぐことになったが、一か月過ぎるころには破産せざるをえなくなった。
ところが真夜中のオフィスに、顔中ひげだらけ、黒の小さな山高帽の老人がやってきて、父上とは懇意にしていたジョーンズという者だと言い、きみとちょっとした取引をしようと思うと持ち掛けてきた。

コメント
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