筒井康隆 昭和56年 新潮文庫版
こないだ大江健三郎の短編集を読み直したとき、『敬老週間』なんかを読んだら、よくわかんないけど何となーく、あー筒井康隆みたいだななんて思ったもんで。
何冊か文庫を持ってたはず、と探してみたら、あった。持ってるのは昭和60年の11刷。
やっぱ読んでみると、筒井康隆のほうが、ひどいや。ってのは、毒があるっていうくらいの意味。
プロットがどうとか、チープトリックがどうとか、テクニカルなこと論じることはできないが、ひとことで言って、読後感がよろしくない。
いやーな感じが残る、昔から、そう。だから、私は筒井康隆作品があんまり好きぢゃなかった、ということになる。
・「毟りあい」
会社から自宅に帰ると、脱獄囚が家族を人質にとって立てこもっていた。
まわりを取り囲む警察もマスコミも、自分の神経を逆なでる敵としか感じられない主人公は、逆襲を企てる。
・「五郎八航空」
無人島取材をするルポライターとカメラマンは、海が荒れて帰れなくなった。
マメを獲りにきていた地元の人に話を聞き、どうしても早く帰るため、個人所有の飛行機に乗りこむことにした。
・「走る取的」
酒場でバカ話をしているうちに、店の片隅にいた相撲取りを怒らせてしまったらしい、と感じた二人。
二人が店を出ると、相撲取りがどこまでも追いかけてくる。とても悪夢的な話。
・「喪失の日」
自らを成績優秀なエリート社員と信じる男が、何もかもが自分の好みにあう相応しい相手を社内にみつけ、初体験を前にあれこれ妄想癖にふける顛末。
これってオチどうつけるんだっけと思って読んでったんだが、そんなことでしたかって感じでおしまい。
・「定年食」
人口が爆発的に増加し、食糧難になった時代。サラリーマンだけではなく、すべての国民に定年制がしかれていた。
定年の日をむかえた男がウチに帰ると、親族一同が出迎えてくれた。
・「平行世界」
異変が起こり、南北三百メートルの幅のまま、同一の街並みが何段も無限につらなった平行世界。
そこに生きてるのは、それぞれの世界で同じ人物、だから自分のコピーが無限にいるようなものだが、どうも上のほうと下のほうで微妙に違うらしい。
北が山で南が海って、阪神間のイメージなのかな。
・「母親さがし」
ひさしぶりに兄弟の家をたずねて、そこにいた子どもを母親のいる家に送っていく話。
全編関西弁の科白のみ、上方創作落語みたいな話。
・「老境のターザン」
御年七十歳ちかくなったターザン、密林の奥に存在しているだけで観光事業団から給料をもらっている。
年をとって正義の味方が似合わなくなったターザンだったが、あるとき意地悪と嫌がらせこそ老境にふさわしい生き方だと気づく。
・「こちら一の谷」
時空を超えた登場人物たちによるドタバタ。
一の谷の合戦に向かう義経一行だったが、史料や伝説に基づき、この場所に寄ってくれ、こういう行動をしてくれと、いろいろ干渉が入る。
・「特別室」
うしろめたい退職金としてもらった百万円を早く使い切ろうと、ホテルに一泊しようと思ったら、一泊百万円の特別室しか空いていなかった。
キャッシュで払って泊まることにすると、特別室の入り口はフロント・ロビーのすぐ隣りで、なかに入ったら専用のバーに付属品として他の客もいた。
・「メタモルフォセス群島」
水爆実験のおこなわれた後、長く立入禁止区域に指定されている南太平洋の群島に、生物の調査にきた学者たち。
動物と植物の境い目さえ分からなくなっているような異様な生物学的変異を目の当たりにする。
こないだ大江健三郎の短編集を読み直したとき、『敬老週間』なんかを読んだら、よくわかんないけど何となーく、あー筒井康隆みたいだななんて思ったもんで。
何冊か文庫を持ってたはず、と探してみたら、あった。持ってるのは昭和60年の11刷。
やっぱ読んでみると、筒井康隆のほうが、ひどいや。ってのは、毒があるっていうくらいの意味。
プロットがどうとか、チープトリックがどうとか、テクニカルなこと論じることはできないが、ひとことで言って、読後感がよろしくない。
いやーな感じが残る、昔から、そう。だから、私は筒井康隆作品があんまり好きぢゃなかった、ということになる。
・「毟りあい」
会社から自宅に帰ると、脱獄囚が家族を人質にとって立てこもっていた。
まわりを取り囲む警察もマスコミも、自分の神経を逆なでる敵としか感じられない主人公は、逆襲を企てる。
・「五郎八航空」
無人島取材をするルポライターとカメラマンは、海が荒れて帰れなくなった。
マメを獲りにきていた地元の人に話を聞き、どうしても早く帰るため、個人所有の飛行機に乗りこむことにした。
・「走る取的」
酒場でバカ話をしているうちに、店の片隅にいた相撲取りを怒らせてしまったらしい、と感じた二人。
二人が店を出ると、相撲取りがどこまでも追いかけてくる。とても悪夢的な話。
・「喪失の日」
自らを成績優秀なエリート社員と信じる男が、何もかもが自分の好みにあう相応しい相手を社内にみつけ、初体験を前にあれこれ妄想癖にふける顛末。
これってオチどうつけるんだっけと思って読んでったんだが、そんなことでしたかって感じでおしまい。
・「定年食」
人口が爆発的に増加し、食糧難になった時代。サラリーマンだけではなく、すべての国民に定年制がしかれていた。
定年の日をむかえた男がウチに帰ると、親族一同が出迎えてくれた。
・「平行世界」
異変が起こり、南北三百メートルの幅のまま、同一の街並みが何段も無限につらなった平行世界。
そこに生きてるのは、それぞれの世界で同じ人物、だから自分のコピーが無限にいるようなものだが、どうも上のほうと下のほうで微妙に違うらしい。
北が山で南が海って、阪神間のイメージなのかな。
・「母親さがし」
ひさしぶりに兄弟の家をたずねて、そこにいた子どもを母親のいる家に送っていく話。
全編関西弁の科白のみ、上方創作落語みたいな話。
・「老境のターザン」
御年七十歳ちかくなったターザン、密林の奥に存在しているだけで観光事業団から給料をもらっている。
年をとって正義の味方が似合わなくなったターザンだったが、あるとき意地悪と嫌がらせこそ老境にふさわしい生き方だと気づく。
・「こちら一の谷」
時空を超えた登場人物たちによるドタバタ。
一の谷の合戦に向かう義経一行だったが、史料や伝説に基づき、この場所に寄ってくれ、こういう行動をしてくれと、いろいろ干渉が入る。
・「特別室」
うしろめたい退職金としてもらった百万円を早く使い切ろうと、ホテルに一泊しようと思ったら、一泊百万円の特別室しか空いていなかった。
キャッシュで払って泊まることにすると、特別室の入り口はフロント・ロビーのすぐ隣りで、なかに入ったら専用のバーに付属品として他の客もいた。
・「メタモルフォセス群島」
水爆実験のおこなわれた後、長く立入禁止区域に指定されている南太平洋の群島に、生物の調査にきた学者たち。
動物と植物の境い目さえ分からなくなっているような異様な生物学的変異を目の当たりにする。