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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

メタモルフォセス群島

2014-10-21 18:37:23 | 読んだ本
筒井康隆 昭和56年 新潮文庫版
こないだ大江健三郎の短編集を読み直したとき、『敬老週間』なんかを読んだら、よくわかんないけど何となーく、あー筒井康隆みたいだななんて思ったもんで。
何冊か文庫を持ってたはず、と探してみたら、あった。持ってるのは昭和60年の11刷。
やっぱ読んでみると、筒井康隆のほうが、ひどいや。ってのは、毒があるっていうくらいの意味。
プロットがどうとか、チープトリックがどうとか、テクニカルなこと論じることはできないが、ひとことで言って、読後感がよろしくない。
いやーな感じが残る、昔から、そう。だから、私は筒井康隆作品があんまり好きぢゃなかった、ということになる。
・「毟りあい」
会社から自宅に帰ると、脱獄囚が家族を人質にとって立てこもっていた。
まわりを取り囲む警察もマスコミも、自分の神経を逆なでる敵としか感じられない主人公は、逆襲を企てる。
・「五郎八航空」
無人島取材をするルポライターとカメラマンは、海が荒れて帰れなくなった。
マメを獲りにきていた地元の人に話を聞き、どうしても早く帰るため、個人所有の飛行機に乗りこむことにした。
・「走る取的」
酒場でバカ話をしているうちに、店の片隅にいた相撲取りを怒らせてしまったらしい、と感じた二人。
二人が店を出ると、相撲取りがどこまでも追いかけてくる。とても悪夢的な話。
・「喪失の日」
自らを成績優秀なエリート社員と信じる男が、何もかもが自分の好みにあう相応しい相手を社内にみつけ、初体験を前にあれこれ妄想癖にふける顛末。
これってオチどうつけるんだっけと思って読んでったんだが、そんなことでしたかって感じでおしまい。
・「定年食」
人口が爆発的に増加し、食糧難になった時代。サラリーマンだけではなく、すべての国民に定年制がしかれていた。
定年の日をむかえた男がウチに帰ると、親族一同が出迎えてくれた。
・「平行世界」
異変が起こり、南北三百メートルの幅のまま、同一の街並みが何段も無限につらなった平行世界。
そこに生きてるのは、それぞれの世界で同じ人物、だから自分のコピーが無限にいるようなものだが、どうも上のほうと下のほうで微妙に違うらしい。
北が山で南が海って、阪神間のイメージなのかな。
・「母親さがし」
ひさしぶりに兄弟の家をたずねて、そこにいた子どもを母親のいる家に送っていく話。
全編関西弁の科白のみ、上方創作落語みたいな話。
・「老境のターザン」
御年七十歳ちかくなったターザン、密林の奥に存在しているだけで観光事業団から給料をもらっている。
年をとって正義の味方が似合わなくなったターザンだったが、あるとき意地悪と嫌がらせこそ老境にふさわしい生き方だと気づく。
・「こちら一の谷」
時空を超えた登場人物たちによるドタバタ。
一の谷の合戦に向かう義経一行だったが、史料や伝説に基づき、この場所に寄ってくれ、こういう行動をしてくれと、いろいろ干渉が入る。
・「特別室」
うしろめたい退職金としてもらった百万円を早く使い切ろうと、ホテルに一泊しようと思ったら、一泊百万円の特別室しか空いていなかった。
キャッシュで払って泊まることにすると、特別室の入り口はフロント・ロビーのすぐ隣りで、なかに入ったら専用のバーに付属品として他の客もいた。
・「メタモルフォセス群島」
水爆実験のおこなわれた後、長く立入禁止区域に指定されている南太平洋の群島に、生物の調査にきた学者たち。
動物と植物の境い目さえ分からなくなっているような異様な生物学的変異を目の当たりにする。
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三週間ぶりの乗馬は、初歩にもどってアブミあげ

2014-10-20 18:31:08 | 馬が好き
先々週予定してた乗馬が台風で中止になってしまったこともあり、馬に乗るのは3週間ぶりである。
その前も3週間ぶりだったので、なんか月イチペースみたいになってしまっている。
以前だったら、こんだけ間が空くと、もう全然乗れなくなっちゃったもんだが、いまはそんなにひどいことにはなってはいないと思う。
それというのも、自分で振り返ってみるに、2010年5月に週5日、2012年5月に週6日という、ある程度の集中訓練をやってからというもの、ではないかと思われる。
やっぱ運動というのは、ダラダラとポツポツしたペースでやるよりも、ある時期にギュッと詰め込むようにやるべきなのだろう。
さて、それでもブランクによる技術的な後退はしかたない、モチベーションだけは保ちたいものだが。
どうも昨日の晩から調子悪いと思い、今朝もだるいので、起き抜けに熱など計ってみると37度6分もあった。
困ったなあと思いつつも、その程度で休むはずもなく、迷うことなく、乗馬にいく。
(ひさしぶりなもんだから、玄関出てしばらく行ったあとになって、リンゴを持つのを忘れてたことに気づいて、引き返す。ブランクでかいなあ。)

きょうの馬は、ギルデッドエージ。私にとっては、ちょっとてごわい相手。
この馬は、私の脚を脚と思ってくれていないようなとこあるんで、ウォーミングアップのときに、反応したらホメる、を繰り返す。
前出てくれたら、そうそう、これが一応合図ですから承知しといてください、と約束する。
んぢゃ、部班。この馬で先頭行くのは、ちょっと自信ないので、ほかの人馬に譲る。(体調もよくないんでラクさせてください?)
軽速歩スタート。
「肩の力をぬく。腕と上体が一緒に動いてはいけない。肩から先、腕はその重みで地球に引っ張られるように。」
手綱短く持たずにテキトーな感じで乗ってみるけど、どうもうまくないらしい。
「人の姿勢を変えていきますよ。」ということで、いちど常歩にして輪乗り、アブミあげを始める。
「脚で馬にしがみつかない」
「バランスを力で直そうとすると馬のジャマ」
「ふだんから力が入ってると、脚使うとき使えない。力入れるとき100%入れるかわり、ふだんはゼロにしておく」
ということで、力を抜いて乗ることを求められる。
踏むアブミが無いと、人の足は下がる。そうすると脚は自然に馬体に接する。
いわく、「脚は、濡れ雑巾のように、馬体にくっつく」んだそうだが、なかなかそういう境地に達するのはゆるくない。
なので、準備運動みたいなところから始める。
馬の動きにあわせて、脚を前後に振る。
ヒザから曲げて、カカトやふくらはぎを後ろに振り上げる感じにする。
あとは力を入れずに、脚の重みで振るように。
リラックスして振ると、脚はその重みで下がる。
脚の重さを感じて、脚を長くして乗るのがよい。
こうして乗ると、ふだんは、いかにムダな力を入れて足を(必要もないのに)持ち上げてしまっているか、よくわかる。
そしたら、アブミはかないまま速歩。
ちなみに、ギルデッドエージは、動かすのは大変なんだけど、正反撞は気持ちいい。
ぽんぽんハネあがってくるんぢゃなくて、逆に一歩一歩沈みこむような感じがある。それについていけると、とても気持ちいい。
さて、まだ力が入っているようで、片手を放すように命じられる。
片手だらりと下げる。腕の重みにまかせて力ぬく。
そしたら今度は腕を真上に。そのあと前に上げて、そっちの方向に動いていくこと意識して乗っていく。
あとは馬のリズムになるべくあわせて、腕をぐるりとまわす、おなじみの馬上体操。
ぢゃあ手綱をもって、速歩で大きくまわるんだけど、あいかわらず脱力系で乗る。
「カラダのコリを馬の動きでほぐしてもらう感じ」って、ありですか、そんなの?
速歩でどうにかリラックスを実現できたら、さいごに駈歩(アブミあげたまんま)。
それにしても、駈歩の扶助として脚使おうとすると、ふくらはぎがつりそうになるのって、力の入れ方完全にまちがってるよね、俺。
練習おしまい。次の人に乗り替わる。

後の組も同じことやってるようなので、よく見とく。
筋肉で乗らない、骨で乗れ、という。
→力を入れると、歪みが生じる
→歪みは、馬のバランスを崩す
→バランスを崩すと、まっすぐ進まない
→まっすぐ進まないと、手綱で操作しようとする
→手綱をつかうと、ブレーキがかかる
→ブレーキがかかると、脚をつかって出し直さざるをえない
ということで、余計な力が入るようになる悪循環におちいる。
うーむ、明快なんだけど、実現するのは簡単ではない。

わりとよく動いてくれたギルデッドエージ。いつものように、リンゴやると喜んで食う。
馬たち、みんな、毛が長くなってきた? 早いなあ、もうすぐ冬だ。
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ディア・ポップシンガー

2014-10-16 08:00:14 | 荻野目ちゃん
荻野目洋子 2014年8月 JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
荻野目ちゃん、デビュー30周年記念、5年ぶりのニューアルバム。
ボケッとしてたら、買うの出遅れてしまった。
それでもなんでも限定盤のDVD付が手に入ったのは幸いである。
新譜が「キミとタイムマシン」だけとか、そんなことは、いいんだ、それでも幸せ。
なぜなら従前の曲の録り直しでも、荻野目ちゃんの歌はずっとよくなっているから。
あー、もう、なにもいらん。

CD
01.99 Big Balloons(99 Luftballoons)
02.ねえ
03.ホット・スタッフ~恋のかけひき~(Hot Stuff)
04.コーヒー・ルンバ(Moliendo Cafe)
05.ラヴィン・ユー・ベイビー(I Was Made For Loving You)
06.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)
07.ブレイクアウト~弾けろ、ワタシ~(Breakout)
08.STEAL YOUR LOVE
09.フリーダム(Freedom)
10.六本木純情派
11.キミとタイムマシン
12.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)[remix]

DVD
01.MV:ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)
02.メイキング映像[BGM:“STEAL YOUR LOVE”~“ねえ”]
03.六本木純情派
04.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)
05.STEAL YOUR LOVE
06.ねえ
07.コーヒー・ルンバ(Moliendo Cafe)
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諸星大二郎『暗黒神話』と古代史の旅

2014-10-15 19:15:30 | 諸星大二郎
太陽の地図帖_027 2014年9月 平凡社
たまにしか行かない書店の、コミック売り場の、マニアックそうな一角(つまり諸星大二郎とか置いてある場所)をのぞいてみたら、これが積んであった。
なんだろうと思ったもんだが、いきなり、中沢新一が『抜群の古代史センス―諸星大二郎という「構造」』なんて巻頭言を寄せているし、とりあえず買った。
「太陽の地図帖」って、まったくその存在を知らなかったんだけど、「別冊太陽」(当然これも知らないが)の姉妹篇だそうで、テーマで旅するためのガイドブックなんだと。
それで、諸星大二郎?暗黒神話? マニア~!
「暗黒神話」というのは、
>1976年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で6回にわたり連載され、のちに単行本化された。
>約40年の時を超えて、今なお愛される伝奇漫画の金字塔。
という作品である(本書から)。
私が最も好きなマンガのひとつで、これを超えた物語はないっていまだに思ってるという意味ぢゃあ、個人的には原初体験といってもいい、すごいマンガである。
で、私がどう思ってるかはさておき、そういうわけで本書のメインコンテンツは、「『暗黒神話』の舞台をめぐる」っていう、旅行ガイド的マップである。
いやー、ほんとマニアだ、私のような者には聖地巡礼案内書みたいなもんだ。
物語の舞台は以下のとおり。(おっと、最後の井の頭公園が無いぞ!?)
Chapter1 諏訪・茅野「縄文の入り口」
Chapter2 九州北部「装飾古墳の導き」
Chapter3 国東半島「磨崖仏と動物神」
Chapter4 飛鳥・京都「星と曼荼羅」
Chapter5 駿河・伊豆「ヤマトタケルの東征」
それはいいとして、驚いたことには、諸星先生がなんと「暗黒神話」の「完全版」の連載をことし始めているんだという。期待大!
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魔獣狩り

2014-10-14 20:23:31 | 読んだ本
夢枕獏 (1)淫楽・(2)暗黒編・(3)鬼哭編 昭和59年 祥伝社ノン・ノベル
先日、といっても、つい最近というか、少なくとも今年になってからのことだとおもうけど、書店で文庫が店頭に積まれてて、あー、これだったら、むかし読んだよなーと思って、探したら(かなり奥のほうに仕舞いこまれてたけど)ありました。
「超(スーパー)伝記(2015年5月19日修正)伝奇小説」の「サイコダイバー・シリーズ」の第一、二、三弾である。
なんで、こういうの読もうと思ったんだっけ?
たぶん、『ブッダの方舟』(中沢新一、夢枕獏、宮崎信也の対談集)のせいぢゃないかなという気がする。
私の持ってるのは、(1)が平成元年3月の85刷、(2)が平成元年4月の67刷、(3)が平成元年3月の52刷で、『ブッダの方舟』の初版は1989年10月だけど。
(ちなみに、第一巻のカバーで、著者は「大型新人」とか「今もっとも注目を集めている新鋭作家」って紹介されてる、当時そうだったのね。)
『ブッダの方舟』の序文で、夢枕獏が書いている、
>十二年ほど前に、小説の取材でこの高野山にやってきたおり、ぼくは、ひとりの僧をつかまえて尋ねたことがある。
>「空海は、本当にまだ生きているんですか?」
>返ってきた答えは、
>「我々は、ここでそのように教わりました」
>というものであった。
ってやつが、この小説の第一巻に、
>空海は即身仏となり、高野山の廟所でまだ生きている―高野山ではそういうことになっているのだ。
>高野山の僧にそのことを訊ねると、「われわれはそのように教わりました」そういう答が返ってくる。
って出てくる。
これは、なんとも魅力的な考え方である。
んで、その空海の即身仏が、高野山から盗み出されてしまった、というのが、このシリーズのメインの事件。
盗んだやつらは何をしようというのか、べつに身代金目的ではなさそうだ。空海が生きてるって前提が、そのミイラを手に入れようって動機につながってるんだろう。
ということで、いろんな超人的なキャラクターが出てきては、空海の争奪戦を繰り広げるんだけど、そのなかで、やっぱ魅力的なのは、高野山側からの指令でヤミで動いてる、美空って若い僧、密教術の達人。
だけど、彼は、肝心カナメの「サイコダイバー」ではない。なので主人公ではないのだろう。
各巻の裏表紙の紹介文によれば、
>精神(サイコ)ダイバーとは人間の頭脳に潜入し、その秘密を探り出す特殊技能を持った戦士である…
ということなんだけど、これは著者の創作によるSF的なものであって、残念ながら私はこれがよく理解できない。
なので、そんなダイバーたちの活躍するメインの部分よりも、脇役の美空のほうが好きなんぢゃないかという気がする。
今回ひさしぶりに読み返したけど、なんかよう分からないんだが、とりあえず前へ前へと進んでいく力みたいなものは感じるなあ。
ちなみに、第三巻に、
>「精神を鍛えるのに一番いい方法を知っているか」
>(略)「何だ?」
>「身体を鍛えるのさ―」
というやりとり(これこそサイコダイバーによるもの)があるんだけど、これなんかは私のお気に入りのフレーズである。
ところどころ、そんなおもしろい言い方を発見できながら読めるんで、まあ退屈しないんだろう。
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