13期生の佐野です。
2013年11月22日付の日本経済新聞朝刊(東京版)に、「16ヶ月ぶり2ケタ増-パソコン出荷台数」という記事が載っていました。今年10月のパソコン出荷台数が、前年同月比で19.9%増の伸びを記録したとのことです。記事ではその原因として、WindowsXPのサポート切れを控えての買い替え需要が法人を中心に顕在化したことをあげています。ここ数年パソコン不況がささやかれてきている中でのこうしたニュースは、パソコンメーカーにとっては一服の清涼剤になっているでしょう。
ご存知の方も多いと思いますが、来年2014年4月9日でサポート切れとなるWindowsXP。それ以降はMicrosoft社からのサポートが一切受けられなくなりますので、パソコン本体はもちろん、XP対応のプリンタや外付けハードディスクのような周辺機器、オフィス製品やウィルス対策のようなソフトウェアの開発や保守もその日を境に終了ということになります。XPが初めてリリースされたのは2001年。もう10年以上前になります。そのころはまだパソコンを常時インターネットに接続するような利用方法を想定して設計していませんので、製品はネットの脅威に対して脆弱でした。問題が発覚するたびに対応を重ねてきて、気がついたら全身包帯や絆創膏だらけの体になってしまい、もうこれ以上手当ての余地がなくなってしまった状態が今のXPです。サポートが打ち切られた以降、そのパソコンをインターネットに接続すると、かなり高い確率でダメージを受けるだろうといわれています。自分のデータが消えるだけならまだいいですが、今の脅威は自分のパソコンが知らずに他人のパソコンに悪影響を及ぼす類のものが多くなっています。被害者でありながら加害者にもなるうる可能性がありますので、本当に注意が必要です。
リリース当時は評判の高いOSでしたので、多くの業務用アプリケーションソフトがXP上で開発されてきました。私自身も多くのXP対応ソフトウェアを開発してきました。後継のVistaというバージョンが失敗(?)作ということもあり、より一層XPへの依存度が高まったという事情もあります。Widows7や8がリリースされた現在でもまだ多くの企業や自治体でXPのパソコンが業務を支えています。法人ではまだ約1,000万台のXPパソコンが利用されているとのことです。個人でも1,200万台のPCがXPのままだそうです。先月の読売新聞紙上には、966の自治体の約20万台のパソコンが来年4月を迎えても更新できないだろうという衝撃的な記事が出ていました。自治体では、もともと財政が良くない状態に加え、来年度マイナンバー制度への対応など大きな事業があり、一斉更新のための予算を確保できない状態にあるようです。尤も、住民情報を扱うパソコンがつながっているネットワークは、インターネットにはつながっていない独自の回線のため、外部からの脅威にさらされないという状況下にあり、USBメモリなどの接続を制限することさえできれば、当面問題がないのではという判断も行われています。でも、大切な住民情報を扱う自治体のパソコンが誰のサポートも受けられない状態にあることを考えると、該当自治体の住民は心穏やかではありません。マイナンバーも大事ですが、リスクへの備えも万全に行ってほしいものです。
ブログをご覧の皆様も、是非ご家族やクライアント先のパソコンに気を付けてあげてください。特に7~8年前に購入されたパソコンは、まだ利用できる状態がほとんどです。来年4月を過ぎてもインターネットに接続された状態に無いように、助言してあげるべきでしょう。かくいう私の父のパソコンもXPです。初売りのときにでも買い替えを促すつもりです。
これから来年4月までは、IT業界ではWindowsXP対策に追われる”祭り”の状態になるでしょう。でも、実はもう次のOSのサポート切れが忍び寄っています。2015年7月14日にはWindows Server 2003というサーバー用OSのサポートが終了します。2003はXPのパソコンと組み合わせてよく使われたサーバーOSですので、XP同様影響が大きいといわれています。業界人は”祭り”に疲れて小休止している暇(いとま)は無いということですね。