20期生の皆さん、1年間お疲れさまでした!
事務局の宇野毅です。私は19期生ですので、今期初めて事務局に参加させていただきました。20期はコロナ禍の影響でさまざまな制約がありましたが、皆さん、とても精力的に活動されていたと思います。特に、皆さんの、アウトプットに対する姿勢には勉強させていただきました。今後、私自身、より意識していきたいと感じています。
さて、今日のテーマですが、「ウェルビーイング(Well-Being)経営」という言葉をご存じでしょうか?日経新聞朝刊の連載<Newストーリー>(5月26日~29日)によると、近年、幸福やウェルビーイングを経営理念やビジョンに掲げる企業が増えているそうです。
2020年11月、トヨタ自動車の中間決算説明会で豊田章男社長は、「私たちの使命は世界中の人たちが幸せになるモノやサービスを提供すること、幸せを量産することである。」と宣言しました。また、同じ2020年11月に、積水ハウスの仲井嘉浩社長は、「お客様に幸せを提供するなら、まずは従業員が幸せにならないといけない。」と話し、グループの従業員2万7千人に「幸せ度調査」を実施しました。従業員が幸せに働くことがイノベーションを生み、企業収益につながっていく、そしてその結果、従業員の生活や待遇の向上につながる好循環を生んでいく、と仲井社長は言います。
日立製作所のグループ会社では、ハピネスをテクノロジーで「見える化」しています。うなづきや相づちなど、人が幸せや不幸せを感じたときの特徴的な動きを検知・計測する仕組みを考案し、ビックデータを解析することでパターンを見つけ出しました。これからは、社員の幸せの計測と可視化が当たり前の社会になるかもしれません。
実際、従業員の幸せを追求することが経営数値の改善にもつながっています。三菱鉛筆の販売子会社では、「みんなで幸せになるのが会社の目的であり、売り上げや利益は手段である」と経営トップが言い続けることで、4年連続増収増益、離職率はそれまでの20%から1%以下になりました。
2025年までに日本の上場企業の50%が従業員幸福度の向上をESG(環境・社会・企業統治)開示情報に含むようになる、と予測する専門家もいるようです。
これらは、「人を大切にする経営学会」で坂本光司会長が提唱されてきた「五方良し」の考え方(会社経営とは5人に対する使命と責任を果たすための活動である。5人とは、①社員ととの家族、②仕入企業とその家族、③顧客、④地域社会・地域住民、⑤株主であり、その順序も重要である。)と相通じるものです。
これからの新しい経営スタイルである「人を大切にする経営/ウェルビーイング経営」を継続的に実践していくためには、経営者の強い関わりや覚悟がとても重要です。今後、われわれ診断士には、その実現に向けた強力なサポーター/推進者としての役割が求められていくに違いありません。