皆さま、こんにちわ。24期生の中野です。
私の勤務先は靖国神社のほぼ正面にあり、普段は比較的静かなこの場所も、年に何回か多くの人が集まり、ときには参道いっぱいに人で埋め尽くされることもあります。先日8月15日もその1日で、平和とは何か、これからどうなるのか、昨今の時勢を鑑みるに、本当に考えさせられる機会です。何しろ、平和あっての診断士活等ですから。
平和とは何か、という問いの答えはそれを問う人それぞれの人生、思いが反映されるものでしょう。
なかなか、容易に触れることのできないところもありますが、自動車の調査研究機関に勤務する立場から、ちょっと唐突感がありますが、今回は自動車の衝突被害軽減ブレーキに関連付けて考えてみます。
もう20年近く前になりますが、自動車ユーザーにとって「安全・安心」とは何か、それを具現化する技術・機能は何か、を探索する調査を実施しました。通常の言語回答では出てこない、深い探索を行うため、深層心理にアプローチする、一般的には概ね「投影法」と呼ばれる手法を用いました。言語にならない深層心理を画像で表現してもらい、その意味を解釈する手法です。
そして集まった画像を分析し、抽出したキーワードは「調和」「ハーモニー」。“クルマ同士が絶対にぶつからない交通システム”として報告書をまとめました。報告書がどう受け止められたか、知ることはできませんでしたが、まもなくあるメーカーが衝突回避を目指す機能を打ち出しました。
現在の国際政治の多国間協調システムも、「調和」や「ハーモニー」に基づく“クルマ同士が絶対にぶつからない交通システム”にある面では似ています。しかし現実にはこれが破綻しかけている今、改めて平和とは何か、それを保障するフレームは何か、問い直さないままでは大変なことになりそうです。
理論やそれを支える科学的知見について今回は省略しますが、投影法は面白い手法で、私は「画像メタファー深層心理抽出法」と名付けており、本家は当時の米国ハーバード大・ザルトマン教授。国内では「心脳マーケティング」として有名になりました。深層心理をメタファーとしての画像で媒介し、それを解釈する、というものです。
たとえばあるブランドのイメージを画像で表現してもらった場合、「こちらを見下す尊大な男性」の画像が提示されると、一部の消費者にとって当該ブランドは威圧的で、好ましくないイメージであり、早々に量的検証と対策が求められます。
一方で保険会社をエンドクライアントとした「お金」についての深層心理探索では、複数の人が「塔」「タワー」の画像や写真を提供してくれたことがあります。お金を交換ツールとして「流通」性を表現するのではなく、広い地面の上に孤独に高く積み上げていくイメージであり、なんとなく理解はできるのですが、これを実際に保険会社の戦略や商品施策にどう落とし込むか、なかなか難しいところです。
さて、たとえば、「中小企業の経営者さまにとって、中小企業診断士とは何か」を投影法で探索してみたら、どんな結果になるでしょうか。稼プロ!第2回目講義ではキャリアビジョンシートにて、「プロコンに求められること、期待されること」がありましたが、自分が「中小企業の社長さま方はきっとこういったことを期待しているはずだ」と思うことに加え、じっさいに社長さま方や経営陣が(無意識に)期待していること等を知ることで、よりよい診断士活動につながるのではないか、とも考えています。そのキーワードが「調和」や「ハーモニー」であれば、伴走ご支援の姿勢について、検証または導出につながるのではないでしょうか。