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こんにちは、23期生の永岡伸一です。
7月に北海道の知床を旅行しました。世界自然遺産に登録された国立公園です。昨年4月に知床遊覧船沈没事故という痛ましい事件でも話題になりました。
この世界「自然」遺産に登録されることは相当ハードルが高いようです。現在、日本の世界遺産は25件がユネスコに登録されていますが、文化遺産が20件なのに対し、自然遺産は5件しかありません。大勢の登山客が押し寄せて話題となった富士山も文化遺産です。当初富士山は自然遺産での申請する動きもあったそうですが断念し、「信仰の対象と芸術の源泉」という価値を掲げて文化遺産として登録されました。この高いハードルを乗り越えて自然遺産に指定されているのが知床です。
今回の旅行での主な目的の一つが日本百名山の羅臼岳登山でした。羅臼岳は標高1660メートル、知床半島の火山群の中で最高峰に位置しています。登山口へは中心街から車で30分ほどとアクセスもよく、往復登山で日帰りが可能(ただし難易度は中級という評価が多かったです。)
さて羅臼岳について登山情報誌で注意喚起していたのがヒグマです。7月はヒグマの活動期にあたります。そこで登山前日に情報を入手するため羅臼岳麓にある知床自然センターを訪ねました。センターには常時ヒグマ出現情報カレンダーが張られています。7月のカレンダーは、ほぼ毎日クマのシールが貼られており恐怖を感じました。係員の方の話では、最盛期は半径500メートル内に10頭いる可能性もあるとのことでした。相当な人口(熊口?)密度です。
まずクマスプレーのレンタルのための講習を受けました。クマスプレーとは唐辛子の辛み成分である「カプサイシン」を濃縮した液体が噴出されるもので購入するとしたら1万円前後します。1日レンタルだと1100円です。しかし命には変えられません。あわてない、人に向けない、など基本事項について丁寧に説明を受け、講習を終えました。
クマよけベル、クマスプレーと一通り装備をそろえ、最後に購入したのがヒグマ対策マニュアルです。フィールドワークの第一人者の方がまとめられた、日本クマネットワーク製作のマニュアルです。表紙と1ページ目に大きく記されている言葉があります。
「出会わないことが、最善の安全対策!!」
マニュアルでは、このヒグマとの遭遇回避に多くのページを費やしています。
・人がいることをクマに知らせてやろう!
・注意!!ヒグマがいるのはこんなところ!
・自ら危険を招くべからず!
・それでもヒグマに出会ってしまったら?
事故そのものを起こさない、という保全活動の定義と優先順位を思い出しました。
おかげさまで翌日は晴天で、無事山頂との往復も終えることができました。登山の間中、ひたすらベルを鳴らし、団体登山客の集団にひっつきながら登っていったのが奏功したのかもしれません。
マニュアルは知床自然センターの研究員の方が、年間400~600件と言われるヒグマの出没情報をもとに、様々な研究グループと共有したデータをもとに作成されています。2001年に発刊されて20年以上、現役のマニュアルとして活用されており、さらに内容更新を続けています。こういった活動が、現在も知床の自然を守る基盤になっている事を感じ、自分も診断士として同じように活動してゆきたいと思いました。
とても熊口密度が高いなんて想像できません(笑)
熊よけベルというと子供の防犯ブザーみたいのを最初想像してしまいましたが、調べるといろいろな音の種類があって、どれもあまり不快な音ではないようですね。
当時は東北に住んでいて、よくイワナ釣で山奥に入りましたがその時はよくラジオを鳴らしながら行きました。人間の声がすると熊は逃げるというので。
長いコメントで失礼しました。
私は風鈴のようにリーンと涼やかな音がなるものを使いましたが、道中はさすがに飽きました。クマ対策スタッフは調査時は携行せず気配をさぐり、クマが近そうな時は声や拍手で発信するそうです。さすがに一般人には真似できませんが。
知床のホテル地の果ては、まさに羅臼岳の登山口に立地する出発地点でした。私が登山を開始したのは朝4時でしたが、ホテルの宿泊客も多いのか、すでに現地は賑わっていました。ここから出発する人は楽でいいなあ、と思ったものです。いつか泊まってみたいですね。
自然や文化遺産はほぼ行ったことがないので、とても旅行したくなりました!
傾聴も相手を尊重していましたね。自然にお邪魔している、という気持ちが大事だとガイドの方がおっしゃってました。