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なんでこんな結果になるの?

2020-09-18 12:00:00 | 20期生のブログリレー

稼プロ!20期生のながいち!です。

東京都診断士協会から毎月届く『SMECAニュース』。
2020年9月号の特集「『アンコンシャス・バイアス=無意識の偏見』研究」を読みましたか?
今回は、この「無意識の偏見」について書こうと思います。

体系的な理解のためには、9月号の特集を読むことをお奨めします。

「無意識の偏見」とは、誰もが潜在的に持っている、他の人や他の集団に対する「先入観」「思い込み」「決めつけ」です。
その対象は、男女、人種、貧富などさまざま。
一方向に偏った見方が、育つ環境や所属する集団の中で、知らず知らずのうちに脳に刻み込まれ、既成概念、固定観念になっていきます。
「女性にはこの仕事は無理」と感じてしまうことが、典型的な例です。
企業では、「無意識の偏見」に気づかないままなされる言動や人への取扱いが、次のような弊害を生むとされています。

1.ハラスメントの温床になること。
2.個人が正当な根拠なしに不利益を被り、成長が阻害されること。
3.個人が十分に能力を発揮できないために、企業が不利益を被ること。

 

IAT

この「無意識の偏見」の存在を特定できる、信頼性の高いセルフチェック・テストが『SMECAニュース』の特集で紹介されています。
IAT(Implicit Association Test、潜在連合テスト)です。
WEB上で、無料で受験が可能です。
「自分の無意識を探る」という試みに好奇心が刺激され、今回、軽い気持ちで受けてみました。

テストでチェックできるのは、以下の7項目でした。
 ・ジェンダー(女性-男性)
 ・セクシャリティ(同性愛者-異性愛者)
 ・人種(黒人-白人)
 ・肌の色(暗い肌の色-明るい肌の色)
 ・年齢(老人-若者)
 ・体重(太った人、やせた人)
 ・国家(他国-自国)の各項目。
その中で「人種」を選び、約10分のタスクをした後、パソコン上に現れたのは以下の文言です。

「あなたの結果データが示すことは、黒人の人たちよりも、白人の人たちに対する中程度の自動的な選好」

結果に対する最初の印象は、「なんでこんな結果になるの?」でした。

 

テストの仕組み

IATがどのようなテストなのか、その仕組みを「人種」を例にとり、簡単に説明します。
画面の中央に、顔の写真、または、言葉が示されます。
顔の写真は、黒人または白人。
言葉は、良い意味の言葉(=「嬉しさ」「愛情」「平和」「素晴らしい」等)または、悪い意味の言葉(=「苦悩」「ひどい」「恐ろしい」「意地の悪い」等)。
求められるタスクは、「黒人の顔」か「悪い意味の言葉」が現れたらキーボードの“E”のキーをたたき、「白人の顔」か「良い意味の言葉」が現れたら“I”のキーをたたくこと。
その後、組み合わせが逆になり、「白人の顔」か「悪い意味の言葉」が出てきたら“E”を、「黒人の顔」か「良い意味の言葉」が出てきたら“I”をたたくよう指示されます。

ルールは、できるだけ速く回答することです。
そして、コンピュータが回答の速度と、回答の正誤を測定しています。
回答が速く、間違いが少ない場合、一方の人種のカテゴリーと、一方の言葉のカテゴリーの結びつき(連合)が強いと判断されます。

 

結果の受けとめ

結果を書くのは、やはりためらいがあります。
「人種差別の傾向あり」とレッテルを貼られるかもしれません。
自分では断じて「人種差別主義者」ではないと思っていますし、そうした意見は言わないと信じています。
全米オープンで、人種差別に反対の意思を示すため、迫害された7人の黒人の名前を書いたマスクをして登場した大坂なおみさんを、讃えたいです。
黒人の方に、実体験でトラウマがあるわけではありません。
50年超の人生の中で、どんな無意識への刷り込みがあったのか?
確かに言えるのは、映像経験も含め、白人の方が見慣れていることです。
また、色彩と言葉が表す概念の結びつきも、深い層では影響しているように思えます。

IATのWEBサイトには、テスト結果の統計的な傾向がざっくり記載されています。
人種に関しては、「大部分のアメリカ人が黒人よりも白人に対して自動的選好をもつ」とのこと。
これを信じると、良い意味の言葉と白人、悪い意味の言葉と黒人を結び付けている人が大部分の国、それが米国です。
米国社会で起きていることの根深さに、改めて気づかされます。
(ある人のIATの結果と、実際の行動の関係については、研究者の間で議論があるようですが。)

 

他の項目も受験

この機会にと思い、他の項目も受験して自分の結果と統計的傾向と較べてみました。

≪ジェンダー≫
結果:人文学と女性、科学と男性に関する中程度の連合
傾向:たいていの場合「人文学と女性、科学と男性に関する連合」が明らかになる

≪セクシャリティ≫
結果:自動的な選好がほとんど無い、あるいは無
傾向:「同性愛者よりも、異性愛者に対する専好」が明らかになることがよくある

≪肌の色≫
結果:暗い肌の色よりも、明るい肌の色に対するわずかな選好
傾向:「暗い肌の色よりも、明るい肌の色に対する選好」が明らかになることがよくある

≪年齢≫
結果:老人よりも、若者に対する強い選好
傾向:たいていの場合「老人よりも若者に対する選好」が明らかになる

≪体重≫
結果:太った人よりもやせた人に対するわずかな選好
傾向:「太った人よりも、やせた人に対する選好」が明らかになることがよくある

受験してわかったのは、ジェンダーを除き私にはいずれの項目にも偏りがあることです。
しかも、それは、IATを受験した人のうち多数派と同じ方向への偏り。
統計的傾向に沿った結果。
他の人が受験しても同じような結果になると想像すると、なぜか安心してしまいます。

 

「無意識の偏見」を抱えながら

IATの試験項目は、先入観、思い込み、決めつけに基づいた言動が、集団の中で差別などの問題を引き起こすに違いない代表項目のリストです。
これらの項目について「無意識の偏見」を抱えながら、集団の中でどう生きていけばよいのでしょう。

所属会社の研修資料には、「無意識の偏見」を克服のためには、まず個人がその存在を認識し、向き合うことが重要と書かれていました。
存在の認識という点で、IATの受験は気づきを与えてくれました。
意識レベルでは「自分は中立、偏っていない」と考えていても、無意識レベルでは、そうではないのです。
向き合うという点では、偏りの「矯正」が抜本策になるでしょう。
しかし「無意識の偏見」が、伝統的な見方や、社会に広まっていた価値観が個人に刷り込まれた結果だとすれば、矯正は相当に難しいのではないでしょうか。
「矯正」できないとすれば、「封印」を考えねばなりません。
「無意識の偏見」を自覚したいま、自分が集団内(企業など)で人にまつわることを決める場合には、次のことを肝に命じて取り組もうと考えています。

1.直ぐに決めない。時間をとって考える。
2.自分の見方だけで決めない。人の意見を聞く。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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1 コメント

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Unknown (岡田 英二)
2020-09-18 22:36:36
タイトルとはウラハラにテーマも内容も思慮も深いですね。
偏見が無い人はいないと思いますし、偏見をうまく使って生活している場面もあると思います。
周りの人や所属集団に迷惑をかけないためには、文中にあるように自分のバイアスを理解することから始まるのかもしれません。
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