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”パワハラ”

2023-02-12 12:00:00 | 22期生のブログリレー

22期の常木です。三寒四温が始まって春に向かう気配を感じる季節になってきました。二十四節気でいう立春と雨水の間になりますが、冬から一歩足を踏み出す季節です。日没も午後5時15分を越えてきていて、5時過ぎての明るさが戻ってきました。東京で一番日没が早いのは12月上旬で、午後4時28分なので、随分と日が長くなったことになります。

 

そんな心躍る春に相応しい話題を探していたのですが、最近職場でのハラスメントについて考えることが多いので、全く心躍りませんがお付き合いください。

 

令和2年6月1日 「改正 労働施策総合推進法」

令和4年4月1日 中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化

 

中小企業において昨年3月31日までは「努力義務」だったものが義務化されたわけです。そもそも、職場でのパワハラは何を指すのかですが、厚生労働省の定義によると、

① 優越的は関係を背景とした言動

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

③ 労働者の就業環境が害されるもの

 

上記3つにすべて当てはまるものがパワーハラスメントに該当するとされています。

また、より具体的に示されている6類型というものがあって、それはこのようなものです。

 

① 精神的な攻撃

② 身体的な攻撃

③ 過大な要求

④ 過小な要求

⑤ 人間関係からの切り離し

⑥ 個の侵害

 

多くの皆さんは常識的にマズイというセンサーは働いている事でしょう。ただ、①と⑥に関しては無意識、無自覚にやってしまう危険性があるのでは。

 

例えば、「精神的な攻撃」は、最近他のメンバーのいる前での罵倒は減ってきたと思うのですが、その分メールでの攻撃は増えてきているように思えます。必要以上の多くの人がccに入っていたり、送った時間帯が深夜であったあり、休暇中であったり。内容も相手が目の前にいない状況で指導スイッチが入ってしまい、言葉がエスカレートしがちです。もう一つ注意すべきは「個の侵害」です。部下との関係値が近くなると、ついプライベートなことに立ち入る事が話題になり、いつの間にか相手の交際相手の事を聴いたりしてしまったりは、良くあることではないでしょうか。それを相手が「執拗に聞かれた」と感じてしまったら、もうハラスメントの第一歩です。

 

本当に何気ない事がハラスメントのクレームになり、訴える側、訴えられる側にとって大きなストレスになります。会社経営の指導・相談をする際は、しっかりと上記を認識しつつ、良い職場づくりのお手伝いをしていきましょう。以上!

 

と、今回のブログを締めくくるのは、非常に簡単です。箇条書きのおかげで、そこそこ行数も稼げたし。でも、こういう事が顕在化してきた背景はいったい何なんだろう、と思考を巡らしてみることにします。

 

まずは誰もが納得する「時代」。昭和時代の教育と令和時代の教育では、人への厳しさが言うまでもなく違います。これは高いレベルを求めなくなっているという事ではなく、アプローチや言葉の選び方が変わったという表面的なものが多いのではと感じます。ただ、今の時代でも自分が昭和時代に自分が受けた教育方法を実践したり、バリバリ昭和な上司から平成時代に受けた教育をそのまま引き継いでいたりして、なかなか根強く残っています。それが、令和な尺度に合わなくなってきているのはお察しのとおりです。

 

ただ、それだけではないと思います。私が感じているのは「余裕のなさ」です。年功序列が崩れ、転職が激しさを増し、生活水準や給与水準が上がらずという日本の状況もハラスメントの横行に一役買っている(この言い方が正しいかは置いておいて)と思います。自分の現在のポジションを脅かすような部下が外から入ってきた場合などは、対象になる場合があります。いくつもの例を見てきましたが、将来の不安感からか、ハラスメントする方も必死です。

 

また、ハラスメントは1対1よりも、大人数が一人に対してする事が実は多いという説を読んだことがあります。旧来の集団のやり方に迎合しない人に対して、様々な方法で仕事をやりにくくする「いじめ」です。これは、集団で庇いあって顕在化しにくいものです。いじめがあることを知りながら、異を唱えず黙認している人も含まれます。この背景を掘ったらキリがなく、「社会的動物であるホモサピエンスとは」的なところまで行きつくので、考えていると簡単に駅を2つ3つ乗り過ごしそうです。

 

厚生労働省のパワハラの定義には入ってこないこのいじめが実は一番厄介なものではないかと思います。ちなみに英語の言葉にPower harassment という表現はありません。あくまでもJapanese Englishです。(それを更に日本語的にパワハラと略している我々は、かなり微妙です。)彼らはより広い定義でbullying(いじめ)と言って問題視しています。行政の定義付もまだまだ甘いなと思ってしまう次第です。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (柴山宗馬(22期))
2023-02-12 12:14:15
平成9年生まれですが、パワハラ顕在化の背景にある「余裕のなさ」はされる側にもあると感じています。
昭和や平成の「昔は~だった」の話を聞くと、今だったらパワハラになるものも、それをうまくいなしたり経験に変えたりすれば将来自分が相手の立場に上がれるという一種のギブアンドテイク、契約関係があるように感じます(年功序列とやや似ています)。
が、今の時代は評価基準も変わり上に行くために必要な条件は(表面的には)変わってきています。
そうなると、下側の人間にとってパワハラを受ける「うまみ」がない、という部分があるかもしれません。

また、パワハラは上司→部下だけでなく、部下→上司や同等の立場でも発生することには注意ですね。
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Unknown (杵渕竜也)
2023-02-12 17:22:19
常木さん、柴山さん、それぞれの考察は納得させられるものがありますね。

ハラスメントは受けた人がそれと感じるかどうかと言われますね。傍からみてると「この部下は多分パワハラに感じているだろうけど、上司のいう事は最もだよな」とか「この上司の言ってること、笑ってきいてるけど、完全にパワハラだよ!大丈夫?!」と内心思うことがよくあります。黙認してはだめですね(笑)

私はパワハラ的な言動をされたことで、診断士になることができました!(ポジティブ脳)
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Unknown (佐々木桃太郎)
2023-02-14 09:48:23
個人的には、記載されている「余裕のなさ」の影響はあると思います。それはパワハラする側にも、されていると感じている側、どちらに対しても影響を及ぼしているのだとも思います。
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Unknown (たけい)
2023-02-15 22:23:53
つい、先日パワハラに関する資料をつくりました。
ハラスメントは同じセリフを言っても、AさんはセーフでもBさんはNGというパターンがあるので、線引きが本当に難しいなと感じます。
参考までに経団連のアンケートでは、このようになっています。(資料作成の参考に使いました)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/114.pdf
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