照る日曇る日 第2001回
暮れから新年に泣かけては大学時代の先輩、高橋昭雄氏が2017年の「成蹊人文研究第25号」に発表された成島柳北(天保8年~明治17年)の評釈をちびちび読んで、江戸・開花期の色街に遊んだ文人、儒者、ジャーナリスト、実業家の風雅の戯文の世界に、いっとき酔いました。
夢裏三春容易過 夢裏 三春 容易に過ぐ
戀花蛺蝶患情多 花を恋う 蛺蝶 情の多きを患う
粉衣秋薄西園夕 粉衣 秋は薄(せま)る 西園の夕べ
冷露凄風奈汝何 冷露 凄風 汝を奈何せん
向島に住んで末広鉄腸、秋風道人、猫猫道人などの文人墨客と頻繁に行き来していた「柳橋新誌」「花月新誌」「朝野新聞」で有名な成島柳北は、彼らと共に近所の柳橋や新橋の花柳界で遊んだりしましたから、当時の有名な芸者の人となりを熟知しており、だから本書のような芸者談義を能くすることができたのでしょう。
君のその優しき笑顔を誰彼に見せたくもあり見せたくもなし 蝶人