あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

高橋昭雄著「成島柳北『新柳情譜』二編評釈」を読んで

2024-01-09 14:54:54 | Weblog

照る日曇る日 第2001回

 

暮れから新年に泣かけては大学時代の先輩、高橋昭雄氏が2017年の「成蹊人文研究第25号」に発表された成島柳北(天保8年~明治17年)の評釈をちびちび読んで、江戸・開花期の色街に遊んだ文人、儒者、ジャーナリスト、実業家の風雅の戯文の世界に、いっとき酔いました。

 

夢裏三春容易過   夢裏 三春 容易に過ぐ

戀花蛺蝶患情多   花を恋う 蛺蝶 情の多きを患う

粉衣秋薄西園夕   粉衣 秋は薄(せま)る 西園の夕べ

冷露凄風奈汝何   冷露 凄風 汝を奈何せん

 

向島に住んで末広鉄腸、秋風道人、猫猫道人などの文人墨客と頻繁に行き来していた「柳橋新誌」「花月新誌」「朝野新聞」で有名な成島柳北は、彼らと共に近所の柳橋や新橋の花柳界で遊んだりしましたから、当時の有名な芸者の人となりを熟知しており、だから本書のような芸者談義を能くすることができたのでしょう。

 

君のその優しき笑顔を誰彼に見せたくもあり見せたくもなし 蝶人

コメント
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