あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

夢は第2の人世である 第132回

2024-01-23 10:49:27 | Weblog

 

西暦2023年長月蝶人酔生夢死夢百夜

 

有名な思想誌の偽物が登場して話題になっているが、そこでは本物そっくりの偽物著者が本物の論旨を借りて、正反対の結論を出している。つまり思想なんて筆先三寸でころころ変わるし、変わっても構わないものなんだ。9/1

 

ある多忙な人物とのインタビューを頼まれたのだが、「4つの質問を4分以内にせよ」という条件がついていたので、そんなアホな、と断ってしまったのだが、うんと簡単な質問なら可能だったと、今頃になって後悔しているずら。9/2 

 

「です・ます体」でものを書くと、その噺をとりまくもっともらしさが次第に消え失せて、噺の真正さと空恐ろしさが浮き上がって来たので、怖くなって、「である体」に切り替えてしまったのよ。9/3

 

A子さんはとても素晴らしい人なんだが、突然選挙に出たら、見事当選してしまったので、ほんにんも、おらっちも、吃驚仰天だった。9/4

 

八百万神が列島に降臨して、1968年をもう1回やり直して、全国民が生き直すことになったらしい。もしかすると、国と民草の運命が、劇的に回天するのではないかと、みな興奮しているようだ。9/5

 

その住宅会社では、おらっちが画用紙に悪戯書きした童話風、あるいは漫画風のスケッチに基づいた一戸建て住宅が、ジャカスカ現場で採用されていったので、おらっちは時折恐ろしくなったものだ。9/6

 

道端に栗が落ちていたので、それを拾って進んで行くと、子どものコジュケイに出くわしたが、黙って電柱の陰に消えていった。そのとき、一陣のそよ風が「アリガトウ、サヨウナラ、ゲンキデネ」と囁くのだった。9/7

 

20代の若さで夭折した、天才キダンを悼む人々の群れ!9/8

 

ジャニーyouのおらっちは、ウィーン少年合唱団の童たちをアルファベット順に呼び寄せ、毎晩彼らに奉仕させて、おらっちの精液を愛らしい口唇に注ぎ込んでいたが、誰一人知る者はいなかったずら。9/9

 

某社のホームページの評判が悪いので「なんとか改善してほしい」と頼まれたので、冒頭の気持ち悪いブグウギ人形のダンスシーンを削除したら、それだけで注目率が倍増したのだった。9/10

 

頼んでいた本がようやく届いたが、とても時間がかかった。日本歴でいうと明治、大正、昭和、平成、令和、緑藻、弁義、下痢と流れ下って、いまは雲古の時代だが、そのかみの明治の初版本を発注したのだから、推して知るべしである。9/11

 

施設の職員なんて安月給に決まっているのに、長男は時々ヒガさんにファミレスに連れて行ってもらって、大好物のロースカツを御馳走になっているらしい。困ったことだ。9/12

 

住み込みのバイト学生の私は、「その子を落語が分る人間に育ててくれ」と両親から頼まれていたのだが、私自身あまり落語に詳しくなかったので、落語塾は諦めて、誰でも入れる千駄ヶ谷中学校に入学する結果に終わった。9/13

 

おらっちはスーパーで「トイレットペーパーを拡販せよ!」と命ぜられたが、なにをどうしたらいいかさっぱりわからずにうろうろしていたら、「君はてんで売り上げを伸ばせなかった」と店長にいわれて、直ちに解雇された。9/14

 

お隣のAさんたちと一緒に、集団検診を受けたのだが、Aさん一家が、突然モザールのオペラのアリアを歌い出したので、みな吃驚だった。9/15

 

久し振りに電気屋さんに来てもらったのだが、新しい電化製品が物凄く多機能になっているので驚く。しかも以前は10年だった耐用年数が5年に短縮されたので、思わず「原発とは大違いだね」といってしまった。9/16

 

「こんちは、イデですがあ」というて、茶色い下駄のような顔つきの男が入って来たので、すぐに誰だか分ったのよ。9/17

 

久し振りに倫敦へ行ったら、ロイヤルアルバート・ホールで、ハイドンの倫敦交響曲の演奏会をやっていたのだが、誰が指揮しているのかは分からなかった。9/18

 

あたいは、最初の子どもを堕ろされたので、2番目の子どもは絶対に堕ろさないぞ、とぐあんばって産んだのだが、しばらくして、棄てた。9/19

 

おらっちが、治安維持法で牢屋に入れられている間、なけなしの私財を保管しておいてくれと頼んだのに、案の定その女は、おらっちがシャバに出て来ると、行方を眩ませていた。9/20

 

毎年来る年金情報の書類で、障害者手帳の発行日を記入させる項目があるのだが、なんでこんな細かいことを書かせるんだと、頭に血が上るが、それらを書き込んだ書類を、1枚1枚確認する役人の顔を見ると、AI貌であった。9/21

 

棄てても捨てても、婦人便所の壁に浮き上がる4月の蛇じゃった。そこで、カッウーの建設に協力した人たちは。全員殺されたが、しばらくすると、みな蘇えった。9/22

 

ともかく戦争中のことなので、そのホテルの大半は軍隊が占拠し、わずかに残った地下2階にわたしらは押し込められ、地表を出歩くことも許されなかった。黒澤監督と小津監督を除いて。9/23

 

名前からしてウオータービルという建物の中に我が社は入居していたが、雨が降る度にフロアが水浸しになるので、社長のおらっちは、いつも大喜びでピッチピッチチャプチャプランランラあン!と歌いながら、長靴を履いて踊っていた。9/24

 

原発の建設に協力した連中は、殺されても、殺されても、地獄の釜底から蘇って、原発音頭を歌い、猫じゃ猫じゃを、踊り狂うのだった。9/25

 

おらっちは、組織の上層部からの特命を受けて、上司Мと共に特殊任務に就いたが、いつものように、大嫌いなМの指示は、いっさい無視して、行動した。9/26

 

ヘンデルのオラトリオでヘンデルノートの私は、歌詞を忘れたので、テキトーに歌いながら、相手役の女の方Hへ近づき、彼女がきちんと下着をつけてるのか否かを確かめよとしたのだが、舞台が薄暗くて、よお分らんかった。9/27

 

月明かりで時計をみると、まだ1時12分である。これから朝までちゃんと寝られるか、心配で心配で仕方がないが、うまく寝つけるまで、五言絶句を作り続けようと思った。9/28

 

夢の女に出会ったので、手を繋いで歩き始めたのだが、ふと思いついて女の手をギュギュと握ってみると、女もギュギュっと握り返したので、なんだかひどく安心したことだった。9/29

 

巣伊水筒の中で、あんきに泳いでいた2匹のメダカが食べられたのは、次のような、長い長い噺が、あるからだった。9/30

 

       憲法の第9条を抱きしめて黄泉比良坂を下っていこう 蝶人

 

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