あまでうす日記

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高橋源一郎著「一億三千万人のための『歎異抄』」を読んで

2024-01-28 08:30:40 | Weblog

照る日曇る日 第2011回

 

小林秀雄の顰にならって親鸞の弟子唯円が著わした«他力本願»の『歎異抄』を、自分の眼と心で、歎異抄ではなく「タンニショウ」として読み解く高橋のゲンちゃん。

 

有名な第3条の「善人なほもて往生をとぐ。いはんや悪人をや」、第13条の「わがこころのよくてころさぬにはあらず。また害せじとおもふとも、百人・千人をころすこともあるべし」の力のこもった解釈は必読である。

 

さりながら、18歳で学生デモで逮捕されて「10番」と呼ばれ、留置所に収容され「23番」と呼ばれ、「名前」を失った若き日のゲンちゃんが、1207年鎌倉幕府の「専修念仏」禁止令で師法然と共に逮捕され、強制的に還俗されて「非僧非俗」の藤井善彦を名乗らされ、越後に配流された35歳の親鸞に自分を重ねている個所のほうが重要で、ドストエフスキーのあの死刑宣告同様、この貴重な体験あらばこそ親鸞は「シンラン」に、23番は「タカハシゲンイチロウ」になったのである。

 

そんなタカハシゲンイチロウに倣って、私も原文から読もうとしたのだが、鎌倉時代の書き物とはいえこれが意外にも難物で、今回はあえなく挫折してんげり。

 

        東アジア反日武装戦線の桐島聡がほんとの自分にたどり着く日 蝶人

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