こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

パパにさようなら

2012年12月11日 | 家族のこと
「ねえ、これからは、お父さんて、呼びたいんだけど」
バースデイケーキに立てたロウソクに、少しかがんで火を灯していた息子が急にそんなことを聞いてきた。

「え?俺のこと?」

「そう。ほかに誰がいるの。」

「そっか、もう、パパはやめか。」



横から妻が、「どうして急にそんなこと言い出したのよ。まだ、パパのままでいいじゃない。」と口を挟む。
火の灯ったケーキを前に息子が、
「ケーキを頼むときに、プレゼントする相手の名前をいうでしょう?そのときに、“お誕生日おめでとう、パパ”っていうの、恥ずかしくて。この先もこういうことあるだろうし。」
と言っている。

紅茶を入れていた娘に、
「あー、もう、ロウソクが終わっちゃう!お兄ちゃん、早く運んで!」と促されて、息子がケーキを運んできた。
Happy Birthday to Youの歌詞は、「ハッピーバースデイ ディア パーパ(妻と娘) お父さん(息子)」と入り乱れていた。



そのあとは、美味しくケーキを食べながら、コロ健40代最後の誕生日を3人で祝ってくれた。

その間も、妻は、
「なんで、まだパパ、ママで良いじゃない。パパが嫌なら、ママだけでもそう呼んで」とか、
娘が、
「あたしはどうしよう」
といったら、
「女の子は、いいの。私だって、パパが死ぬまでパパって呼んでいたし、今でもママのことはママって呼んでいるでしょう。だから、ママのままで良いの。」
などといって、ママと呼ぶように子供達に言っていた。

息子の気持ちもわからないではない。上背が185センチ近くあって、少し向井理に似ているイケメンの高校三年生が、ケーキ屋で「名前は、パパって、入れて下さい」というのを想像すると、親からしてみれば可愛いものの、本人としては顔から火が出るほど恥ずかしかったのだろう。

もちろん、ケーキに乗っているプレートにあったのは、"Happy birthday おとうさん"だった。



私が両親のことをパパ、ママと呼ばなくなったのも高校三年の頃だったように思う。
ある夜、両親のいるところに呼ばれ、親父かお袋のどちらが言ったかは忘れたが、改まった感じで、
「これからは、お父さん、お母さん、と呼んでくれない?」と通告された。そのとき言われた理由としては、パパママでは、いつまでたっても子供っぽいし、親達のほうも、甘やかしてしまうから、というようなことだったはずだ。
それに比べれば、息子から言ってきたこと、私のように甘ったれていたよりは、自分から親離れをしようと、立派なことのように思われる。
まあ、そもそもこんな話、小さい頃からお父さんお母さん、とか、お父様お母様と呼ばせている/呼んでいる人が読んだら、一体何をそんなに騒ぐほどのことか、と一笑に付されそうで、我ながら書いていて若干恥ずかしくなる。


その後、すなわち私の誕生日から数日経つが、息子が私に話しかけてこない。

照れくさいのだろう。そうはいっても、「ねえ」とか、「ちょっと」とかでは困る。
まずは、「お父さんはね」などと、自分から言ってみた方が良いのだろうか。

妻はその後、「おとん、おかん、はやめてよ」と多少軟化している。

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